荒山の麓、岩肌が露出した崖の陰で、関天応は膝をついていた。周囲の妖気が異常に濃密で、空気すらも歪んでいる。彼の手のひらには擦り傷がいくつもあり、ぼろぼろの道袍は血と泥で染まっていた。卑しい出自の修仙者として、彼はこの何年も人知れず修行に励んできた。だが、今日この場所に足を踏み入れたのは、希少な薬草を探すためだ。
突然、空が暗転した。天と地が一瞬で色を失い、轟音が耳を劈くように鳴り響く。濃密な妖気が爆発的に広がり、木々がばたばたと倒れ、地面の岩石が砕け散った。関天応はその衝撃に耐えきれず、後方へ激しく吹き飛ばされ、岩壁に背中を強打して口から血を噴き出した。何とか顔を上げると、目の前の光景に息を呑んだ。
二つの巨大な妖気の塊が空中で激突していた。一方は金紅色の炎をまとい、もう一方は漆黒の闇を纏っている。その中心に立つのは、一振りの剣のように冷たく鋭い気配を放つ女——緋。彼女の衣は戦いでぼろぼろになっているが、その瞳はなおも不敵な光を宿している。関天応はその名前を知っていた。妖尊緋——この何百年も妖族を統べ、数え切れないほどの修仙者を震え上がらせてきた存在だ。今、彼女は別の妖尊と死闘を繰り広げている。
その戦いは人間の理解を超えていた。緋が指をひと振りするたびに、金色の妖力が渦巻き、相手の攻撃を打ち砕く。黒い妖尊も負けじと漆黒の霧を凝縮させて反撃する。一撃一撃がまさに天地を揺るがす勢いで、関天応のような低階の修仙者が耐えられるものではなかった。彼はもがきながら体を引きずって逃げようとしたが、余波が次々と襲いかかる。最後の一撃——緋が放った金色の光柱が黒い妖尊を貫き、その爆発の衝撃で周囲の山石が空高く舞い上がった。関天応はその衝撃に巻き込まれ、さらに遠くへと吹き飛ばされた。
意識が薄れゆく中、彼はぼんやりと緋が立っているのを見た。彼女の衣は血に染まっていたが、その姿は依然として高くそびえ立ち、頭を下げることを許さない威厳を放っている。その傲慢で冷たい視線が一瞬だけ彼に落ちた——まるで一匹の蟻を見るかのように、何の価値もない、ただのゴミだと。その視線が、脳裏に深く刻まれた。
彼が再び目を覚ました時には、もう同門の医堂に運ばれていた。全身が骨を砕かれたような痛みに苛まれ、丹田はひび割れ、四六時中仙気が漏れ出る感覚があった。医者が彼を診て、「あの余波はあまりにも強烈だった。無事でいるだけでも僥倖だ」とため息混じりに言った。しかし関天応は歯を食いしばってその痛みに耐えた。彼の心には決して消えない一つの姿が焼き付いていた——あの傲慢な女、あの軽蔑の目つき。
「強くなければならない…必ず強くなって、あの代償を払わせてやる…」
病床で、彼はこの言葉を何度も繰り返した。肘掛けに爪を立て、掌から血がにじむのも構わずに。彼の目は暗く沈み、口元には歪んだ笑みが浮かんでいた。
そんなある日、ぼろぼろの古い墓から出てきたという修行者から、ふと一つの話を耳にした。「上古の時代、妖を封じるための鎖妖鎖という法器があった。どんな妖尊でも、ひとたび縛られれば自由にはなれないらしい…」。その言葉に関天応の心臓がどくりと跳ねた。その修行者はさらに続けた。「聞くところによると、その鎖妖鎖は北冥の深海にあって、千年の寒氷に閉ざされているという…」
その夜、関天応は一睡もできなかった。彼は天井を見つめながら、心の中で徐々に一つの計画を練り上げていった。復讐の刃が、本当に彼の手に届くかもしれないのだ。鎖妖鎖を手に入れ、彼女の四肢を縛り、かつての傲慢をすべて塵と化す——その光景が頭の中に浮かぶと、彼は傷の痛みさえ忘れてしまった。
そうして、朝日が昇り始める頃、関天応はゆっくりと身を起こした。彼の目には決然たる光が宿っていた。旅支度を整えるために荷物を取りに行く——彼は自分にそう言い聞かせた。心の中で、あの妖尊の倒れる姿がはっきりと描かれていた。いつか必ず、必ず果たすと。