暗潮

站点:NovelAI.one内容:前8章在线试读ID:671eabbd更新:2026-06-25 14:48
# 第一章:暗流うごめく 陈浩はスマートフォンの画面に映る時刻を何度も確認した。午前1時47分。寮のベッドで横になりながら、彼はもう一時間以上も眠れずにいた。遠く離れた蘇州の大学に通う张彤の笑顔が頭の中に浮かんでは消える。 「今日はどんな一日だった?」 昼間に送ったメッセージには「充実してたよ」の一言だけ。それ以上の会
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暗流うごめく

# 第一章:暗流うごめく

陈浩はスマートフォンの画面に映る時刻を何度も確認した。午前1時47分。寮のベッドで横になりながら、彼はもう一時間以上も眠れずにいた。遠く離れた蘇州の大学に通う张彤の笑顔が頭の中に浮かんでは消える。

「今日はどんな一日だった?」

昼間に送ったメッセージには「充実してたよ」の一言だけ。それ以上の会話はなく、電話さえもここ三日間、一度もできていない。

陈浩は深く息を吸い込み、再びスマホを手に取った。薄暗い画面の明かりが彼の不安そうな顔を照らす。検索バーに打ち込んだ文字が、何度も削除される。

中国から遠く離れた場所で、张彤は新しい環境に馴染もうとしている。彼女は優しく、純粋で、誰にでも好かれる。それは彼女の魅力であり、同时に陈浩にとっての不安の種でもあった。

「彼女は変わってしまうかもしれない」

その考えが頭を離れない。陈浩は唇を噛みしめ、意を決して検索バーに「遠距離恋愛 不安 解消法」と入力した。

検索結果はさまざまだ。カウンセリング、信頼関係の構築、コミュニケーションの重要性……どれも当たり前のことばかり。彼は失望しながら、さらに深いネットの海へと潜っていった。

「催眠術 遠距離恋愛 コントロール」

その検索ワードを打ち込んだ瞬間、彼の心臓が大きく跳ねた。こんなことを考えている自分が恥ずかしく、同時に恐ろしかった。しかし、指は勝手に検索ボタンを押していた。

画面に表示された結果の一つが、彼の目を引いた。

「あなたの恋人をもっと愛しくさせる催眠術」

怪しいサイトだった。デザインは粗末で、漢字のところどころに誤字がある。しかし、その"専門家"の肩書きに陈浩は惹かれた。

「国際催眠療法士協会認定 黒人催眠術師」

陈浩はしばらくためらったが、結局「問い合わせる」というボタンを押した。ポップアップが現れ、チャット画面が立ち上がる。

「こんにちは。何かお困りですか?」

即座に返信が来た。中国語だが、少し堅苦しい表現だった。おそらく翻訳ツールを使っているのだろう。

陈浩は指を震わせながら、必死にタイピングした。

「彼女と遠距離恋愛中なんです。最近、連絡が減ってきて……どうすればいいかわからなくて」

数秒後、返事が来る。

「お気持ちはよくわかります。私は多くのカップルを助けてきました。催眠術で愛情を深め、あなただけを見るように導くことができますよ」

「でも……催眠術って危険じゃないんですか?」

「ご安心ください。リラックス効果を高めるだけのものです。彼女自身の意思で変わるのを助けるんです。強制は一切ありません」

陈浩は画面に映る文字を何度も読み返した。理屈では間違っているとわかっている。しかし、頭の中のもう一人の自分がささやく。

「試してみる価値はある」と。

「具体的にはどうすればいいんですか?」

「私が開発した瞑想アプリがあります。リラックスと自己啓発のためのものです。彼女にダウンロードさせてください。最初は何の変哲もないアプリに見えます。でも、私が遠隔で催眠誘導をかけられる仕組みになっています」

陈浩はごくりと唾を飲み込んだ。

「彼女にばれませんか?」

「もちろん。ただの瞑想アプリですからね。女性に人気なんですよ。彼女も喜ぶはずです」

チャットはさらに続いた。陈浩は次第に酔いしれるように、催眠術師の言葉に耳を傾けた。彼が言うには、このアプリを使えば张彤の不安が和らぎ、より幸せな気持ちになるという。远距離の悩みも自然と消えるのだと。

翌朝、陈浩はアプリのダウンロードリンクを受け取った。アプリ名は「静寂の湖」。清らかな水のアイコンが印象的だった。彼は一度、自分でダウンロードして試してみた。確かに、穏やかな音楽と自然の音が流れ、リラックスできる内容だった。

「これを张彤に送ろう」

彼はメッセージアプリを開き、张彤とのトーク履歴をスクロールした。最後の連絡から二日が経っている。優しい言葉を選びながら、アプリのリンクを添付した。

「彤彤、元気?最近ストレスが溜まってるみたいだから、良いアプリを見つけたんだ。瞑想のアプリで、凄くリラックスできるよ。試してみて」

送信ボタンを押した後、陈浩は胸の高鳴りを感じた。良心が痛む反面、期待もあった。

一方、蘇州の大学キャンパス。张彤は講義の合間にスマホを確認すると、陈浩からのメッセージが目に入った。彼の優しい言葉にほっとしながらも、どこか違和感を覚える。

「陈浩がこんなアプリを勧めるなんて、珍しいな」

彼女は考え込んだ。最近、陈浩の連絡が少なくなったことを気にしていた矢先だった。しかし、その心配をよそに、彼は自分のことを気遣ってくれている。そう思うと、アプリを試してみる気になった。

その夜、寮のベッドで横になりながら、张彤は「静寂の湖」を開いた。最初の画面には、穏やかな波紋が広がる湖の映像。美しいBGMが流れ始める。

「初めての方は、ガイド付き瞑想をお試しください」

女性の穏やかな声が流れる。张彤はイヤホンを装着し、目を閉じた。

「ゆっくりと呼吸を整えてください。吸って……吐いて……」

声に従いながら、张彤は次第に深いリラックス状態に入っていった。体の緊張が解け、思考がぼんやりしてくる。

「あなたは今、安全な場所にいます。すべての心配を手放してください……」

张彤の意識が、ゆっくりと揺れ始めた。何かがおかしい。たかが瞑想アプリが、こんなにも深く自分を変えてしまうなんて。しかし、抵抗する力も湧いてこない。

「これでいいのかな……」

かすかな疑問が頭をよぎったが、すぐに声に飲み込まれた。

二十分後、张彤はゆっくりと目を開けた。何かが変わったような気がする。心が軽くなったようで、どこか落ち着かない。携帯の画面を眺めながら、彼女は考える。

「明日もやってみようかな」

陈浩から届いた「効果はどう?」というメッセージに、彼女は笑顔で「すごく良かったよ」と返した。

遠く離れた場所で、陈浩はその返事を見て安堵した。しかし、同時に背筋が冷たくなるのを感じた。やはり、この道は間違っている。そう頭のどこかで囁く声がする。

その夜、黒人催眠術师は満足げに笑みを浮かべながら、次のステップを計画していた。

「次の段階に進む準備はできている」と彼はつぶやいた。手元のスマホには、张彤のアプリ使用履歴がリアルタイムで表示されていた。リラックス状態の深さ、呼吸パターン、心拍数——すべてが彼の掌中にあった。

张彤は知らなかった。自分が気づかぬうちに、罠に足を踏み入れていたことを。そして陈浩もまた、自分が思っている以上に危険な相手と手を組んだことに気づいてはいなかった。

明日、またアプリを開くとき、彼女の中の何かが変わり始める。その第一歩は、もう始まっていた。

兆し現る

# 第二章:兆し現る

陳浩が仕事の合間にスマートフォンを手に取ると、張彤からのメッセージが届いていた。いつもなら「おはよう」や「おやすみ」といった短い挨拶だけだったが、最近は違う。彼女は一日中オンラインで、Instagramに新しい投稿をし、TikTokで短い動画をシェアし、時には深夜になってもメッセージの既読がついていた。

「今日は友達と買い物に行くの」

陳浩はそのメッセージを見て、少し驚いた。張彤はこれまで一人で買い物に行くことすらためらうタイプだったのに。

「いいね、何を買うの?」

「夏物の服を見ようと思って」

彼は特に気にせず、仕事に戻った。

その週末、ビデオ通話をすると、張彤の姿が変わっていることに気づいた。白いTシャツの代わりに、彼女は薄いグレーのローカットトップスを着ていた。首元が大きく開き、鎖骨がはっきりと見える。それだけではない。彼女の頬にはほんのりと赤みが差し、リップもいつもより鮮やかだった。

「その服、新しいの?」

「うん、どうかな?」張彤は恥ずかしそうに笑ったが、どこか誇らしげでもあった。

「似合ってるよ。でも…ちょっと大胆じゃない?」

「最近ね、自分に自信が持てるようになったんだ。大学の友達にも『もっと自分を出せばいいのに』って言われてね」

陳浩は内心、複雑な気持ちだった。一方で、彼女が自分に自信を持つのを喜ぶべきなのだろう。しかしもう一方で、あの露出の多い服が彼女の控えめな性格と矛盾しているように思えた。

「催眠術のせいかな?」その考えが彼の頭をよぎったが、すぐに打ち消した。「いや、単純に成長しているだけだろう」

「ねえ、浩、ちょっと見てほしいものがあるんだけど」

張彤はスマートフォンをいじり始めた。数秒後、陳浩の画面に通知が表示された。彼女がInstagramに新しい写真を投稿したのだ。

写真の中の張彤は、先ほどのグレーのトップスを着て、軽く前かがみになっていた。その角度が、彼女の胸元の谷間をはっきりと浮かび上がらせていた。彼女の顔は少し赤く染まり、口元には控えめながらも確かな笑みが浮かんでいる。

「これ…」

「どうかな?初めて自撮りしてみたんだ」

陳浩は言葉を失った。彼女の写真には、すでに十数件の「いいね」がついていた。中には見覚えのないアカウントもあった。

「すごく…きれいだよ。でも、そんなに露出の多い写真をネットに上げるのは…」

「大丈夫だよ。みんなやってるし、私も自分を表現したいんだ」

彼女の声には、確かな意志が宿っていた。しかしその裏には、陳浩が知らない何かが潜んでいる気がした。

「あ、見て!もう五十件も『いいね』がついた!」張彤の声が弾んだ。「知らない人からもコメントが来てる」

「どんなコメント?」

「『きれいですね』『スタイルいいね』って。なんか、こういうの初めてだから、ちょっとドキドキする」

陳浩は苦笑いを浮かべた。彼は彼女を応援すべきなのだろう。しかし、胸の奥でざわつく不安を抑えきれなかった。

「あまり無理しないでね。君はそのままで十分素敵だから」

「ありがとう、浩。でもね、もっと変わりたいんだ。もっと自信をつけたい。もっと…自由になりたい」

その言葉には、彼の知らない力が込められていた。陳浩は画面の向こうで、彼女がゆっくりと変わっていくのを感じた。それは、彼自身が仕掛けた催眠術の影響なのか、それとも彼女本来の成長なのか、もう区別がつかなかった。

通話を終えた後、陳浩はスマートフォンの画面を見つめた。張彤の新しい投稿は、すでに百件近い「いいね」を集めていた。その中には、見知らぬ男性たちのアカウントが多く含まれている。

彼はため息をついた。すべては計画通りに進んでいる。しかし、その歯車がどこへ向かっているのか、彼にはもう見えなくなっていた。

深みにはまる

# 第3章 深みにはまる

アプリの通知音が、夜の静けさを裂いた。陳浩はスマートフォンを手に取り、メッセージを開く。そこには簡潔な指令が並んでいた。

「彼女に黒人男性の画像を見せなさい。毎日少しずつ。」

陳浩の指が震えた。最初の頃は無害に思えた催眠も、今や明らかに危険な方向へ向かっている。しかし、なぜか彼は従わずにはいられなかった。自分で始めたことだ。今さら止められない。

翌日、彼は遠距離恋人の張彤にビデオ通話をかけた。画面に現れた彼女は、以前より化粧が濃くなっていた。口元にはどこか挑発的な微笑みが浮かんでいる。

「最近、何か変わったことある?」陳浩はできるだけ自然な口調で尋ねた。

「うーん…そうね、ネットで色々調べてるの。知らなかった世界があって、面白くて。」

張彤の目が輝いた。その輝きの中に、彼女自身も気づいていない何かが潜んでいるように見えた。

「例えば?」

「んー、例えば…外人の人たちって、私たちと違う考え方をするのかなって。特に…黒人の人たちって、なんだか特別な魅力がある気がして。」

陳浩の心臓がドキリとした。もう指令が効き始めているのだ。彼は必死に平静を装った。

「へえ、そうなんだ。どんなところが?」

「わからないけど…体つきとか、肌の色とか…なんか、こう…野生みたいなものを感じて。ねえ、陳浩はそう思わない?」

張彤の質問に、陳浩は言葉を失った。以前の彼女なら、絶対に口にしなかった話題だ。

数日後、張彤から届いたメッセージには、黒人男性の画像がいくつも添付されていた。彼女はそれを「芸術的な写真」と呼んだが、その画像の多くは明らかに性的な文脈のものだった。

「ねえ、見てよ。この人の筋肉、すごくない?日本人にはない迫力があるわ。」

陳浩は画面を見つめながら、自分の仕掛けた罠に自分が嵌まっていくのを感じた。彼女が興奮すればするほど、彼の不安は大きくなる。

そして週末。張彤が送ってきた写真に、陳浩は息を呑んだ。彼女は黒いレースの下着を身につけ、以前よりはるかに露出の多い服を着ていた。しかも、それは彼女が自ら購入したものだと言う。

「どう?陳浩、似合ってる?」

カメラに向かって、張彤はゆっくりと体をくねらせた。以前の恥ずかしがり屋の彼女はどこにもいない。そこにいたのは、自分の体を見せることに躊躇いのない、見知らぬ女だった。

「え、ええ…とても綺麗だよ。でも、その服…少し大胆すぎない?」

「大胆?そんなことないわ。もっと見せたいくらい。ねえ、私の体、見て。ちゃんと見てよ。」

張彤はカメラに近づき、胸元を強調するような体勢をとった。陳浩の興奮と恐怖が同時に押し寄せる。

「最近、気づいたんだけど…ここ、色が濃くなったみたい。」

そう言って彼女が指さしたのは、乳輪の部分だった。確かに、以前よりも明らかに色が濃くなっている。

「スキンケアのクリームのせいかな?成分が合わなかったのかも。でも、なんか…これも悪くないかもね。」

張彤は自分の胸を撫でながら、恍惚とした表情を浮かべた。その表情に、陳浩は背筋が凍る思いがした。それは明らかに催眠の影響だ。でも、彼には何も言えなかった。

「もしかしたら…もっと色々試してみようかな。新しい世界を探索するみたいで、なんだかワクワクする。」

張彤の目は虚ろで、どこか遠くを見つめているようだった。陳浩は自分の選択を深く後悔し始めていたが、もう後戻りはできなかった。

通話を終えた後、陳浩はアプリを開いた。そこには新しい指令が届いていた。

「彼女に黒人男性との仮想デートの画像を見せなさい。彼女の抵抗を少しずつ減らすんだ。」

陳浩の手が震えた。自分は一体、何をしているんだ。愛する人を、自分の手で堕落させている。

だが、彼は指示に従うしかなかった。もう制御不能の流れに飲み込まれていた。

夜、張彤からまたメッセージが届いた。そこには黒人男性の上半身裸の画像と、彼女の一言。

「こんな人と一度でいいから…会ってみたいな。」

制御不能の淵

午後の日差しがキャンパスの並木道に斑模様を落とす中、張彤は図書館へ向かう歩道を歩いていた。彼女の黒髪が風に揺れ、白いブラウスの襟元がうっすらと汗ばんでいる。ここ数日、陳浩からの指示通り、キャンパス内の黒人留学生に対して意識的に視線を向けるようにしていた。最初は気恥ずかしさで顔が赤くなったが、今では少しずつ慣れてきていた。

ふと顔を上げると、サッカーコートの脇のベンチに三人の黒人留学生が座っているのが目に入った。彼らは大きな声で笑い合い、スマートフォンを弄っている。一人が張彤に気づき、何か囁き合った。次の瞬間、彼らの視線が一斉に彼女に注がれた。

張彤の心臓がドキドキと鳴り出した。足を速めて通り過ぎようとしたが、そのうちの一人が立ち上がり、流暢な中国語で声をかけてきた。

「ちょっと待って、君、前も見かけたよね。経済学部の子だろ?」

張彤は足を止めた。顔が熱くなるのを感じたが、陳浩から「自然に振る舞え」と言われていたことを思い出す。彼は言っていた。催眠術の効果を定着させるには、外部刺激が必要だと。黒人男性との接触が、彼女の潜在意識に新しい刻印を押すのだと。

「はい…そうですが」

「よかったら、一緒にお茶しない? 私たちは留学生寮の近くに新しいカフェを見つけたんだ」

張彤は一瞬ためらった。しかし胸の奥で、抑えきれない好奇心が泡のように浮かび上がってくる。その感覚は自分自身のものとは思えなかった。どこか遠くから糸を引かれるような、甘やかな誘惑だった。

「…いいですよ」

彼女は微笑んだ。その笑顔には、かつての内向的な少女の面影はもうなかった。

その日の夕方、陳浩は寮の部屋でスマートフォンを見つめていた。張彤からのメッセージは、午後二時を最後に途絶えている。最後の返信は「友達とお茶してる」という短いものだった。

「誰と?」

彼が問い詰めると、既読がついたまま返事が来ない。焦りが徐々に怒りに変わり、やがて不安へと変わった。彼は何度も電話をかけたが、すべて拒否された。二十回目のコールが切れたとき、張彤から一枚の写真が送られてきた。

それはカフェのテーブルに置かれた三つのカップと、スマートフォンで自撮りする彼女の笑顔だった。写っているのは彼女だけだが、背景の窓ガラスに映る黒い影——誰かの肩越しに携帯電話を操作しているシルエットが、はっきりと写っていた。

陳浩は拳で机を叩いた。痛みが指先に走るが、それよりも深い懊悩が胸を焼いた。自分が始めたことだ。催眠術師に依頼したのは自分だ。張彤が変わっていくことを望んだのは、他ならぬ自分自身だった。

だが、その変化は彼の制御を超え始めていた。

その夜更け、張彤は一人で寮のベッドに横たわっていた。天井のシミをぼんやりと見つめながら、彼女の頭の中は異質な映像で満たされていた。閉じた瞼の裏に浮かぶのは、昼間に見た黒人留学生たちの腕の筋肉、歯を見せて笑う口元、そして——なぜか——彼らの腰から下の部分だった。

そのイメージは彼女の意志に反して膨らみ、細部まで鮮明になっていく。彼女は息を呑んだ。下腹部が熱く疼き、太ももを擦り寄せる。自分で自分を止められなかった。

「いや…こんなの…」

彼女は呟いたが、声は空気に溶けて消えた。代わりに、耳の奥で聞き慣れた声が響く。それは催眠術師の声だった。優しく、深く、全てを許すような響き。

「もっと深く、感じなさい…それは自然な欲求よ。あなたの体は嘘をつかない…」

張彤の指が勝手に動き、スカートの裾をまくり上げた。彼女は泣き出しそうな顔で首を振ったが、もう自分をコントロールできる気がしなかった。頭の中では、昼間の留学生の一人が彼女の上に覆いかぶさり、想像を絶する大きさのものが体内に侵入してくるイメージが繰り返される。

「あ…っ」

彼女の口から甘い吐息が漏れた。その瞬間、彼女は自分がもう元の張彤ではないことを悟った。何かが壊れた。催眠という名の壁の向こう側で、別の人格が芽吹き始めていた。

陳浩は翌朝、目を覚ますとすぐにスマートフォンを確認した。張彤からのメッセージは一通も来ていない。代わりに、彼女のSNSのストーリーが朝の四時に更新されていた。そこには、薄暗い部屋で写した自撮り写真——寝間着の襟元がだらしなくはだけ、肩が露わになっている姿があった。キャプションには「眠れない夜」の文字。

陳浩は歯を食いしばった。すぐに電話をかけるが、ワンコールで切られた。代わりにLINEに短いメッセージが届く。

「大丈夫だから。心配しないで」

その冷たい口調が、彼の知っている張彤ではなかった。まるで、別人がスマートフォンを操作しているかのようだ。

その日の午後、張彤は再びキャンパスの中央広場に現れた。今度は、昨日の留学生たちが待ち構えていたかのように、彼女を取り囲んだ。彼女は恥ずかしがる素振りも見せず、むしろ積極的に彼らの輪の中に飛び込んでいった。

一人の留学生が彼女の肩に手を回した。張彤は一瞬固まったが、すぐに笑顔を浮かべ、その腕に身を委ねた。周囲の学生たちが好奇の目で彼女を見るが、彼女は気にも留めない様子だった。

遠くの校舎の影から、陳浩がその光景を見つめていた。彼の目には涙が浮かんでいた。自分が仕掛けた罠に、自分自身が一番深く嵌まっていることを、彼は痛感していた。制御不能の淵へと、張彤は確実に歩みを進めている。そして、彼にはもうその手を引く力が残っていなかった。

夕暮れがキャンパスを包み込む頃、張彤のスマートフォンに一通のボイスメッセージが届いた。それは催眠術師からのものだった。彼女は寮に戻る足を止め、イヤホンを耳に差し込んだ。低く響く声が、脳髄に直接語りかける。

「よくやったね、張彤。君は順調に変わっている。今夜、もう一歩深く進もう。君のベッドで、君の指で、君の体を満たすものが何かを想像するんだ。黒く、硬く、巨大なものだ…」

張彤の膝が震えた。彼女は唇を噛みしめ、頷いた。頷いた自分に気づいて、愕然とした。しかし、もう戻れない。彼女はその感覚を、むしろ甘受し始めていた。

夜の帳が下りる頃、張彤の寝言が部屋に響いた。それは、他の誰かの名前を呼ぶ、湿った掠れ声だった。

公の堕落

その日、張彤は何気なくスマホを手に取り、アプリを開いた。プロフィール写真を変え、これまでにない露出の高いショットを選んだ。肩甲骨が露わになり、胸元が浅く見えるその写真に、彼女はしばらく見入った。心臓が早鐘を打つ。キャプションには「新しい私、どう思う?」と添えた。

投稿から数分と経たないうちに、通知が次々と届き始めた。いいねの数がみるみる増え、コメントも相次ぐ。その中に、外国語のユーザー名がいくつも混じっていた。特に黒人のアカウントからの反応が顕著で、彼女はその一つひとつに目を通した。

「Beautiful.」「So sexy.」「I want you.」

彼女は唇を噛み、画面を見つめたまま動けなかった。何かが彼女の内側で疼く。禁忌を踏み越える感覚が、背筋を冷たくも熱くも撫でた。

あるアカウントからダイレクトメッセージが届いた。黒人のプロフィール写真。筋肉質な腕が写っている。「You look amazing. Want to chat?」とだけ書かれていた。張彤は数秒迷った後、返信した。「Thank you. Sure.」

その夜、陳浩はベッドに横になりながらスマホを手に取った。遠距離になってから、彼は彼女のSNSを頻繁にチェックするようになっていた。不安と期待が入り混じった気持ちで、彼女のページを開く。そこに映し出された写真を見て、彼の手が止まった。

「何だよ、これ……」

写真の張彤は、以前の彼女とは別人のように見えた。目つきが違う。どこか挑発的で、誘うような空気をまとっていた。キャプションの「どう思う?」という言葉が、彼の胸に刺さる。彼はすぐにコメント欄をスクロールした。

黒人のアカウントが並んでいた。中には露骨な言葉で彼女を褒めるものもあった。「I'd love to take you out.」「You need a real man.」「Come to me, baby.」

陳浩の手が震えた。怒りと嫉妬が喉の奥で渦を巻く。彼はすぐに電話をかけようとしたが、その前に彼女のダイレクトメッセージを確認しようと思い立った。画面を切り替える。彼女のアカウントにログインする方法を知っていたわけではないが、彼女が以前教えてくれたパスワードを試した。ログインできた。

彼が見たものに、息を呑んだ。

黒人とのプライベートチャットが数十件。会話はどんどん深い内容になっていた。最初は「こんにちは」や「どこに住んでいるの?」という挨拶から始まったが、すぐに性的な話題に移行していた。

「あなたの肌の色、とても魅力的だと思う。」張彤が送っていた。

「俺もだよ。お前の白い肌が黒い俺にぴったりだ。」相手が返す。

「抱かれたい……?」

陳浩の手からスマホが落ちそうになった。彼は額に汗をかき、呼吸が荒くなった。自分の仕掛けた催眠術が、こんな結果を生むとは想像していなかった。彼は張彤に電話をかけた。

「もしもし、浩?」彼女の声は普段よりもどこか甘く、か細かった。

「張彤、今すぐSNSのあの写真を消してくれ。それと、黒人と連絡を取るのをやめてくれ。」彼の声は切迫していた。

「どうして?」彼女の声に驚きはなく、むしろ冷静だった。「あの人たち、私を褒めてくれるよ。あなたみたいに遠くにいないし。」

「何を言ってるんだ? 俺はお前の彼氏だぞ!」

「知ってるよ。でも……浩、私はね、最近気づいたんだ。黒人に抱かれたいって、強く思うようになった。あなたを愛してるけど、それとは別の欲望があるの。」

陳浩は言葉を失った。彼女の口から出た「抱かれたい」という言葉が、彼の頭の中で反響する。彼女はまだ彼を愛していると言った。だが、その愛が何を意味するのか、彼にはもうわからなかった。

「張彤……お前、自分が何を言ってるかわかってるのか?」

「わかってるよ。でも、これが本当の私なのかもね。あなたが私を変えてくれたんだよ?」

その言葉に、陳浩は自分の罪を思い知らされた。彼は彼女を変えようとし、今その結果が自分を苦しめていた。電話の向こうで、張彤の微かな笑い声が聞こえた。

「浩、心配しないで。私はまだあなたのものだよ。でもね……もっとたくさんのものを欲しがってる。それだけのこと。」

彼女はそう言って通話を切った。陳浩は暗い部屋の中で、スマホを握りしめたまま動けなかった。自分の手で、大切なものを壊しつつある。その自覚だけが、彼の胸に冷たく重くのしかかっていた。

ホルモン改造

# 第六章: ホルモン改造

陳浩はパソコンの画面に映る黒人催眠術師の顔を見つめていた。昨夜のセッションから、張彤の様子がおかしい。電話での声はどこかぼんやりとして、言葉の端々に違和感があった。

「彼女は順調に適応している。次の段階に進む時だ」

催眠術師の低い声がスピーカーから流れる。陳浩は唾を飲み込んだ。

「次の段階って、何をするんですか?」

「ホルモン調整だ。彼女の肉体を、より女性らしく、より敏感にする。お前の望みだろう? 理想の女に育て上げたいと」

陳浩の胸が高鳴る。一方で、不安が脳裏をよぎる。

「危険はないんですか?」

「安心しろ。私はプロだ」

その夜、張彤は再び催眠状態に誘導された。

「深く、深く眠りなさい。あなたの意識は私の声だけを聞いている」

張彤の体が微かに震える。彼女の部屋の電気が薄暗く灯り、カーテンの隙間から月明かりが差し込んでいた。

「あなたの胸は、もっと大きくなるべきだ。毎日、毎日、成長し続ける。あなたの体はホルモンを大量に分泌し、胸は膨らみ、柔らかくなる」

催眠術師の声が続く。

「明日、あなたは病院に行く。乳腺を刺激する注射を受ける。それが自然なことだと信じている。誰にも言ってはいけない。これはあなたと私の秘密だ」

張彤の口元が微かに動く。「はい…先生…」

「よくできた。今から三つ数えたら、すべてを忘れて目覚める。しかし、あなたの潜在意識は私の指示を完璧に実行する。一…二…三…」

張彤のまぶたが震え、ゆっくりと開く。彼女はぼんやりと天井を見つめ、何かが起こったような気がしたが、思い出せなかった。

---

翌日の午後、張彤はなぜか自分が駅前のクリニックに立っていることに気づいた。白い建物が陽光を反射している。彼女は混乱しながらも、受付へと足を運んだ。

「予約の張さんですね。こちらへどうぞ」

看護婦に案内されるまま、診察室へ入る。白い服を着た医師が優しく微笑んだ。

「張さん、今日は乳腺活性化の注射ですね。リラックスしてください」

「私…なぜここに?」

「ご自身で予約されたんですよ。覚えていませんか?」

張彤は首を傾げた。記憶が曖昧だ。しかし、なぜかここにいなければならないという強い衝動があった。

「そう…かもしれません」

注射針が腕に刺さる。冷たい液体が体内に流れ込む感触。何かが変わっていく予感が彼女を包んだ。

数日後、変化は明らかだった。

陳浩はビデオ通越しに、張彤の姿を見て息を呑んだ。

「どうしたんだ、その胸…」

张彤は照れくさそうにうつむいた。彼女の胸は以前よりも明らかに大きくなり、Tシャツの前が突っ張っている。

「わからないの…急に大きくなって…ブラジャーも合わなくなっちゃった」

「医者には行ったのか?」

「ううん…でも、なんか成長期みたいな感じで、痛くもないし…」

陳浩の心臓が早鐘を打つ。催眠術師の言葉が現実になりつつあった。

「ちょっと見せてくれないか?」

「え…?」

「夫婦になるんだろ? 恥ずかしがらなくていい」

張彤は躊躇したが、ゆっくりとTシャツを脱いだ。膨らんだ乳房が露わになる。乳輪が以前より黒く、大きくなっていた。乳首も勃起している。

「すごい…」

陳浩は思わず呟いた。だが、同時に背筋に冷たいものが走る。あの催眠術師は、どこまでやるつもりなんだ?

その夜も、催眠セッションは続いた。

「もっと深く、もっと快感に敏感になりなさい。あなたの性感帯は全身に広がっている。胸だけでなく、太もも、腕、背中さえも感じるようになる」

張彤は重いまぶたの下で、眼球を震わせていた。

「そして、あなたの陰部も変わっていく。黒く、熟れていくのだ。それは美しい変化だ。自然なことだ」

催眠術師の声は優しく、しかし確固たる力を持っていた。

「陳浩はあなたの変化を喜んでいる。もっと変われ。もっと女になれ」

---

一週間後、張彤の体は劇的に変わっていた。胸はさらに大きくなり、Eカップを超えていた。乳輪は濃いチョコレート色に変色し、乳首も太くなっている。

そして、彼女は風呂場で自分の陰部の変化に気づいた。以前は淡いピンク色だったそこは、黒ずんで変色していた。大陰唇も厚くなり、全体的に成熟した印象を与えている。

「どうして…わたしのカラダ…」

恐怖が彼女を襲った。しかし、その恐怖はすぐに甘い疼きに変わる。触れると、全身が電気のように痺れる。彼女は自分の手で陰部を撫でた。指が濡れる。粘液が糸を引く。

「あっ…やっ…」

彼女は声を殺して、自慰に耽った。自分でも止められない。催眠術で植え付けられた強い性欲が、彼女の理性を蝕んでいた。

その夜、陳浩は張彤からのビデオ通話を受けなかった。代わりに、彼女から写真が送られてきた。

全裸で、胸を強調した自撮り写真。乳首が露わになり、陰部もはっきりと見えている。写真の端に、彼女の指が写っていた。自分の陰部を弄っている。

メッセージが添えてある。

「ねえ、もっと見てほしい。もっと触ってほしい。今すぐあなたの声が聞きたいの」

陳浩は震撼した。もはや彼の知っている張彤ではなかった。自分の恋人を、自分の手で変えてしまったという事実が、重くのしかかる。

彼は催眠術師に連絡した。

「もうやめてくれ。彼女が変わりすぎている」

「遅すぎる。もう手遅れだ。思考の種は蒔かれた。彼女はもっと深く、快楽の海に沈んでいく」

「そんなはずは…」

「お前が望んだことだ。彼女の恥じらいを壊し、もっと性的に開かせろと。結果を受け入れろ」

通信が切れる。

陳浩は机に突っ伏した。震える手で、送られてきた写真を再度見る。そこには、快楽に溺れた張彤の姿があった。彼女の目は虚ろで、笑顔はどこか歪んでいる。

「ごめん…張彤…俺は…」

窓の外では、雨が降り始めていた。暗い雲が空を覆い、一切の光を遮っている。遠くで雷の音が鳴り響く。

その頃、張彤は部屋のベッドの上で、自分の体を撫で回していた。催眠術師の声が頭の中で響く。

「もっと快感に敏感になれ。自分を愛せ。自分の体を捧げることを喜べ」

彼女の指は膣の中に入り込み、激しく動く。甘い悲鳴が部屋に響く。

「ああっ…陳浩…好き…大好き…」

しかし、その頭の中には、もう一人の男の影が浮かんでいた。黒い肌を持つ、あの催眠術師の姿。彼の声に従うことが、彼女の全てになっていた。

陳浩には、もはや彼女を止める術はなかった。催眠術師の手は、確実に張彤を蝕んでいた。そして、その先に待つ更なる闇に、誰も気づいていなかった。

初めての裏切り

# 第七章:初めての裏切り

画面の向こうで、張彤の体が大きく仰け反った。私は息を呑み、手が震えた。

「あっ…ああっ…!」

彼女の悲鳴にも似た声が、ヘッドホンから直接脳に響く。黒人の巨体が彼女の上で動くたび、シーツが擦れる音が聞こえる。私はただただ、その光景を見つめることしかできなかった。

「どうだ、陳浩。彼女の反応は素晴らしいだろう?」

催眠術師の声が、別のウィンドウから聞こえる。彼は満足げに微笑んでいた。

「もうすぐだ。彼女は初めて本当の絶頂を経験する」

画面の中で、張彤の目が虚ろに開いた。彼女の口が微かに開き、何かを呟いている。

「…い…いい…」

「そうだ、そのまま全てを委ねろ」

黒人が腰の動きを速める。彼の汗が彼女の胸に滴る。張彤の指がシーツを掴み、そして…

「あああああっ!」

彼女の体が激しく痙放した。何度も何度も、波が打ち寄せるように震え続ける。私は自分の手のひらに爪が食い込むのを感じた。

「初めての絶頂だ。おめでとう、陳浩。君の彼女は今日、本当の女になった」

私は何も言えなかった。声が出なかったのだ。

部屋の明かりが不自然に揺らめく。現実感が薄れていく。これは本当に起こっていることなのか?

*「陳浩…」*

彼女の声が聞こえた。画面の中の張彤が、ぼんやりとした目でカメラを見ている。

*「すごかったよ…初めてだよ、こんなの…」*

彼女は笑っていた。幸せそうに。満足そうに。私に向かって。

「やめてくれ…」

その言葉は、かすれて私の唇から漏れただけだった。

---

翌日、張彤からのメッセージが届いた。

「陳浩、聞いてくれる?本当にすごかったんだ。あの人は私の全てを知ってるみたいだった。カラダの奥深くまで…私が何を求めているか、全部分かってるの」

彼女は興奮していた。これまで私に話したことのないような言葉で、彼女はその夜の体験を語った。

「今までセックスってこんなものなんだと思ってた。でも違ったんだね。本当の快楽って、自分を完全に相手に預けることなんだって、初めて分かった。あの人は私を完全な存在にしてくれたよ」

「完全な存在?」

「うん。前の私は半分だけしか生きてなかったんだ。でも今は違う。カラダもココロも、全部満たされてる気がする」

私はスマホを握りしめた。指の関節が白くなる。

「張彤、それは…おかしいよ。正常じゃない」

「正常?何が正常なの?陳浩はいつもそうだね。物事を頭で考えすぎる。もっとカラダの声を聞けばいいのに」

彼女の口調が変わっていた。以前のような、おどおどした感じはもうなかった。代わりに、どこか傲慢な自信が滲んでいた。

「それにね、陳浩。彼はこんなことも言ってたんだ。『あなたは特別な女だ』って。私には無限の可能性があるって。私はもっと開花できるんだって」

「催眠術にかかってるんだ!それを忘れるな!」

「催眠術?ああ、最初はそうだったかもしれない。でも今は違う。これは私自身の選択だよ。私が望んでそうなったんだ」

私は言葉を失った。彼女の変わり様に、ただただ恐怖した。

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その夜、催眠術師からアプリを通じて連絡があった。

「陳浩、君の彼女は順調に進化している。次のステップに進む時だ」

「次のステップ?」

「そう。彼女をさらに深いトランス状態に導く。そうすれば、彼女の中で眠っている本当の欲望が解放される。君もそれを見たいだろう?彼女が本当は何を求めているのか」

「違う…そんなつもりじゃなかった…」

「何を言っている。これは全て君が始めたことだ。君が彼女を変えたかった。そして今、彼女は変わりつつある。これを邪魔するのは、君自身のエゴだ」

私は反論できなかった。彼の言う通りだった。全ては私が始めたことだった。

「今夜、私は彼女に新しい暗示をかける。彼女が持つ『罪悪感』という枷を外すための暗示だ。そうすれば、彼女は完全に自由になる」

「自由…?」

「そう。自分の欲望に正直になる自由。恥や罪悪感に縛られない心の開放。それが最終的に、彼女を真の幸せへと導く」

アプリの画面が光り、特別な音声ファイルが送られてきた。

「これを彼女に送れ。就寝前に聞かせるんだ。効果は絶大だ」

私はそのファイルを見つめた。指を伸ばす。止めようと思えば止められた。削除ボタンを押せば、全てをなかったことにできたのかもしれない。

しかし、私は送信ボタンを押した。

---

二日後、張彤から驚くべき報告が届いた。

「陳浩、すごいことが分かったの。私、彼のことすごく好きみたい。最初はただのセックスフレンドだと思ってたけど、違った。彼といると、私は本当の自分になれるんだ」

「何て言った!?」

「怒らないでよ。だって陳浩には分からないだろうし。遠距離恋愛って、続けるのに疲れるよね。でも彼は違う。いつもそばにいてくれる。カラダだけじゃなくて、心も触れ合ってる感じがするんだ」

私はその場に崩れ落ちた。冷たい床の感触が、頬に伝わる。

「張彤…俺たちの関係は…もう終わりなのか?」

「終わり?そんなことないよ。陳浩は大切な人だよ。ただ…今の私は、もっと大切なものを見つけたんだ。ごめんね、正直に言うと、あなたよりも彼の方が大事になってる。でも、それは仕方ないことだと思う。だって彼は、私を本当の意味で満たしてくれるんだから」

「それ…催眠術の影響だ…」

「もうその話はやめようよ。確かに最初はそうだったかもしれない。でも今は違う。自分で感じて、考えて、選んでるんだ。これが本当の私なんだよ」

通話を切った後、私は長い間、動けなかった。

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アプリが光る。催眠術師からのメッセージだ。

「どうやら彼女は、完全に我々の計画に沿って動いているようだ。次の段階に進もう。私は彼女に『永遠の絆』の暗示をかける。そうすれば、彼女は私のものになる」

「待ってくれ…もう十分だ…」

「十分?何を言っているんだ、陳浩。まだまだ始まったばかりだ。君の彼女には、計り知れない可能性が眠っている。私はそれを全て引き出してみせる」

「やめてくれ…彼女を戻してくれ…元の彼女に…」

「戻せない。なぜなら、これこそが彼女の本質だからだ。君が知らなかっただけで、彼女は最初からこうなる運命だったんだ」

画面が切り替わり、張彤の部屋の映像が映し出される。彼女はベッドに横たわり、誰かと電話をしている。笑い声が聞こえる。楽しそうだ。幸せそうだ。

「今夜、私は彼女の元に行く。そして、全ての暗示を完成させる。準備はいいか?」

「嫌だ…やめてくれ…」

しかし、私の声は空しく響くだけだった。

画面の中で、張彤が何かを見ている。彼女の手元には、あのアプリが開かれていた。彼女は嬉しそうに、何かを打ち込んでいる。

「陳浩、新しい暗示の準備ができたよ。このアプリ、すごいね。私の全てが変わる感じがする」

彼女のその一言が、私の心を完全に打ち砕いた。

ああ、私はなんて愚かなことをしたんだろう。

彼女を守ると誓ったのに、結局私は彼女を失ってしまった。

いや、もっと正確に言えば、私は彼女を他人に差し出してしまったのだ。

最初の一歩を踏み出したのは私だった。

そして今、戻れない場所まで来てしまった。

画面の向こうで、玄関のチャイムが鳴った。

張彤が立ち上がり、嬉しそうにドアに向かう。

「来たよ!彼が来た!」

彼女の声は、心の底から楽しそうだった。

私はその光景を、ただただ見つめることしかできなかった。

---

ドアが開き、黒い影が部屋に入ってくる。

「お待ちしてました」

張彤の声が甘く響く。

「準備はできているか?」

「はい。あなたが望む全てを捧げます」

「いい子だ。では、始めよう」

アプリが光る。特別な音が流れ始める。

張彤の目が、徐々に虚ろになっていく。

「私の声を聞け…深く、リラックスしろ…」

彼女の体が、催眠術師の腕の中に崩れ落ちる。

「これで終わりだ、陳浩。君の彼女は、永遠に私のものになった」

その言葉とともに、画面が暗転した。

私は一人、暗い部屋の中に座っていた。

何も見えない。何も聞こえない。

ただ、自分の心臓の鼓動だけが、耳の中で響いていた。

「張彤…ごめん…」

その言葉は、誰にも届くことなく、虚無の中に消えていった。

孕み始める

# 第8章 孕み始める

その日、陳浩のスマートフォンに届いた写真を見た瞬間、彼の手が震えた。

張彤の腹部が、明らかに膨らみ始めていた。彼女は白いタンクトップを着て、カメラに向かって微笑んでいる。その背後には見慣れないアパートの部屋。彼女の腕には黒人の腕が回され、所有を示すように彼女の胸の上に置かれている。

「どういうことだ…」

陳浩は何度も電話をかけたが、すべて無視された。メッセージも既読にならない。仕方なく、彼は支付宝を通じてメッセージを送った。

「張彤、話をしよう。会ってくれ。」

数時間後、返事が来た。

「何の用?私は今、幸せよ。」

その冷たい言葉に、陳浩の胸は締め付けられた。

「妊娠してるのか?まさか…」

「そうよ。彼の子供を授かったの。嬉しいでしょ?」

陳浩の指が震える。彼は必死に次の言葉を打ち込んだ。

「俺の子供かもしれないだろう?会って話をしよう。どこでもいい、君の好きな場所で。」

沈黙が続いた。そして突然、ビデオ通話の着信。陳浩は慌てて応答した。

画面に映った張彤は、以前とは別人だった。彼女の頬はふっくらと潤い、肌は艶やかに輝いている。目はどこか遠くを見ているようで、口元には神秘的な微笑みが浮かんでいた。

「久しぶりね、陳浩。」

「張彤…本当に君なのか?俺のことが…」

「あなたのことが?」彼女は軽く笑った。「あなたはただの過去の人よ。私は今、本当の自分を見つけたの。彼が教えてくれたのよ、私が本当は何を望んでいるのかを。」

「そんな…あの催眠術師に操られてるんだ!正気に戻れ!」

「操る?」張彤は大きな腹部を撫でながら言った。「誰も私を操っていないわ。私は自分の意志でここにいるの。彼は私の全てを受け入れてくれた。あなたのように遠距離で不安にさせたりしない。私の体も、心も、全てを愛してくれる。」

陳浩の喉が詰まった。「俺は…君を愛してるんだ。戻ってきてくれ。子供だって、一緒に育てよう。」

「もう遅いわ。」張彤の声には一切の迷いがなかった。「この子は彼の子よ。彼の血を受け継いでいる。もう私の体は完全に彼のものになった。あなたに戻る場所なんてない。」

突然、画面の向こうから低い声が聞こえた。あの黒人催眠術師の声だ。

「お前の彼女は、もうお前のものではない。彼女は今、私が作り変えた新しい存在だ。お前の知っている張彤はもう死んだ。」

「お前…!」陳浩の怒りが爆発する。「お前が彼女を!催眠術で!」

「催眠術?ははは。」男の笑い声が響く。「いいや、私は彼女の潜在的な欲望を解き放っただけだ。彼女は元々、誰かに支配されたがっていた。お前にはそれができなかった。ただの弱い男だ。」

張彤が優しく語りかける。「陳浩、もう諦めて。私は今、満たされているの。彼の腕の中で、彼の子供を宿して、本当の幸せを知ったわ。あなたには分からないでしょうね。」

通話が切れた。陳浩はしばらく呆然としていたが、必死にメッセージを送り続けた。

「会いたい。最後に一度だけでもいい。直接話をさせてくれ。」

返ってきたのは住所だけだった。郊外の古いアパートの一室。

翌週、陳浩はそのアパートを訪れた。ドアをノックすると、黒人の男が現れた。彼は筋肉質な体に、だらしなくTシャツを着ていた。その目は獲物を見るような鋭さを帯びている。

「来たか。中に入れ。」

部屋の中は薄暗く、カーテンが閉められていた。ソファには張彤が横たわっている。彼女はゆったりとしたワンピースを着ており、腹部は明らかに膨らんでいた。

「張彤…」

彼女はゆっくりと上体を起こした。その動作にはどこか優雅さがあった。彼女の胸は以前よりはるかに大きく膨らみ、ワンピースの布地を押し上げている。

「来てくれたのね。」

陳浩が近づこうとすると、黒人男が腕を伸ばして遮った。

「触るな。彼女は俺の女だ。」

「俺たちだけで話がしたい。」陳浩は歯を食いしばった。

「いいわ。」張彤が黒人男を見上げる。「ちょっとだけ、お願い。」

男は渋々うなずき、キッチンへと消えた。

陳浩は張彤の隣に座った。「本当に大丈夫なのか?目を覚ませ。あいつは君を利用してるだけだ。」

「利用?」張彤は穏やかに笑った。「そうかもしれないわね。でも、私も彼を利用してるのよ。彼は私の全てを満たしてくれる。肌の色も、匂いも、全てが新しい世界を見せてくれた。あなたの世界には戻れない。」

「じゃあ、子供はどうするんだ?ちゃんとした生活ができるのか?」

「彼が面倒を見てくれる。もう決めたことよ。」張彤は自分の腹部を撫でながら言った。「この子は、新しい命の証よ。彼の血と私の血が混ざり合って、新しい何かが生まれる。それが何なのか、楽しみでしょうがない。」

陳浩の目に涙が浮かんだ。「俺が悪かった。催眠術なんか…」

「催眠術?」張彤は首を傾げた。「あれはただのきっかけよ。本当の私はずっとここにいた。ただ、あなたがそれを見ようとしなかっただけ。」

キッチンから黒人男が戻ってきた。

「話は終わったか?」

張彤はうなずき、立ち上がった。彼女のワンピースがひらりと舞い、乳房の輪郭がはっきりと浮かび上がる。その胸元には薄い染みが浮かんでいた。母乳が滲み出ているのだ。

「もう行きなさい。」張彤の声は冷たかった。「二度と来ないで。私はここで幸せだから。」

陳浩が抵抗しようとした瞬間、黒人男が彼の肩を掴んだ。その力は予想以上に強く、彼は引きずられるようにドアの外に押し出された。

「もう彼女に近づくな。次は容赦しない。」

ドアが閉まる音。陳浩はその場に立ち尽くした。遠くから、張彤のくぐもった笑い声が聞こえてきた。

数日後、陳浩がSNSを開くと、張彤の新しい投稿が目に飛び込んできた。

彼女は裸の上半身を鏡に映している。胸はさらに大きくなり、乳首からは白い母乳が数滴垂れている。膨らんだ腹部全体を優しく撫でる手。そしてキャプションにはこう書かれていた。

「私の体はもう完全に彼のもの。彼の子を育て、彼のミルクを与える。これが私の存在意義。幸せはここにある。」

コメント欄には黒人のアカウントからの返信があった。

「美しい。これからも俺の理想の女に育て上げる。お前は永遠に俺の奴隷だ。」

陳浩は膝から崩れ落ちた。もう戻れない。彼女は完全に、あの男のものになってしまった。

しかしそれでも、彼の心のどこかで、わずかな希望が消えなかった。いつか、彼女が目を覚ます日が来るかもしれない。その日まで、彼は待ち続けるだろう。

だがその希望も、次の投稿を見て砕け散った。

張彤が黒人男の腕の中にいる写真。彼女の腹には彼の手が置かれ、指は優しく彼女の臍をなぞっている。彼女の目は完全に虚ろで、かつての張彤の面影はどこにもなかった。そこにいるのは、催眠術師によって作り変えられた、新しい生き物だけだった。

陳浩はスマートフォンを床に叩きつけた。割れた画面に映る張彤の笑顔。それは彼にとって永遠の呪いだった。

夜。アパートの一室で、張彤は自分の胸を揉みしだきながら、母乳がタオルに染み込むのを感じていた。

「どうしたんだ、そんなに胸が張ってるのか?」

黒人男の声が背後から聞こえる。彼女は振り返らずにうなずいた。

「ああ、今夜もたくさん飲ませてくれ。」

彼の大きな手が彼女の乳房を包み込む。張彤は甘い吐息をもらした。彼女の体はもう完全に、この男のものだった。誰にも戻せない。

「俺がお前をこんなにしたんだ。お前はもう、俺なしでは生きられない体になった。」

張彤は微笑みながら、彼の胸に顔を埋めた。その目には、確かに幸せそうな光が宿っていた。しかしその奥底で、かつての彼女の断片が、かすかに泣いていた。誰にも気づかれないまま。