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站点:NovelAI.one内容:前8章在线试读ID:f8be4770更新:2026-07-14 01:56
連邦標準暦314年、人類はかつてない繁栄を迎えていた。星々を股にかける宇宙船、遺伝子編集による難病の克服、意識をネットワークにアップロードする技術——すべてが実現した。しかし、それでもなお、貧困は消えなかった。 連邦政府は新たな経済政策を打ち出した。債務者救済法だ。この法律により、一般市民は自らの意思で一定期間の労働奉
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逃亡と迷い込み

連邦標準暦314年、人類はかつてない繁栄を迎えていた。星々を股にかける宇宙船、遺伝子編集による難病の克服、意識をネットワークにアップロードする技術——すべてが実現した。しかし、それでもなお、貧困は消えなかった。

連邦政府は新たな経済政策を打ち出した。債務者救済法だ。この法律により、一般市民は自らの意思で一定期間の労働奉仕を申し出ることで、負債を帳消しにできるようになった。法の建前は美しい。しかし、その裏で育った巨大な闇市場があった。

蘇家と仇家。二大奴隷売買組織は、表向きは合法的な人材仲介業を営んでいた。彼らのカタログには、自ら売身した者たちのプロフィールが並ぶ。貧しい家の娘たちが富豪の妾となり、名門の子弟が競争の激しい企業でインターンとして働く——そう謳われていた。

だが、それは嘘だった。

彼らの真の収入源は、連邦法に反した非合法の「注文」にあった。権力者たちは欲しいままに美しい娘を指名する。組織は彼女たちを拉致し、家族に偽の借用書を突きつけ、自ら売りに出たように仕立て上げる。泣き叫ぶ娘の口に布を噛ませ、漆黒の箱に詰め込む。そして、奴隷島へと運ぶのだ。

蘇家の屋敷は帝都の西郊にあった。白亜の館は三世代にわたって蘇一族の繁栄を見守ってきた。スーチン——いや、蘇晴は、その三階の窓辺から夕日を眺めていた。十八歳になる令嬢は、肌は透けるように白く、瞳は濡れたように黒い。彼女はまだ、自分がこれから見る地獄を知らない。

銃声が響いたのは、その日没の瞬間だった。

「うっ——」

蘇晴は反射的に床に伏せた。ガラスが粉々に砕け、破片が彼女の頬をかすめる。耳をつんざく爆発音。階下から父の怒号と、見知らぬ男たちの罵声が聞こえる。

「仇家の犬どもめ!よくも——」

鈍い衝撃音。そして、沈黙。

「お嬢様!」

老陳だった。執事として三十年、蘇家に仕えてきた白髪の老人が、息を切らして部屋に飛び込む。彼の肩には血が滲んでいた。

「裏の抜け道を!急いで!」

蘇晴は老陳に手を引かれ、螺旋階段を駆け下りた。廊下の曲がり角で、彼女は見てしまった。父が、書斎の床に倒れている。その胸には、焼け焦げた穴が開いている。

「お父さま——!」

「行くんです!今すぐ!」

老陳は彼女を無理やり引っ張った。地下へ続く階段の奥、隠し扉の先に、細い通路がある。そこを通れば、敷地外の廃工場へ出られる。蘇晴は必死に走った。涙が視界を歪ませる。息が肺を焼く。

廃工場にたどり着いたとき、異変に気づいた。

ガレージに、見慣れない大型トラックが停まっている。蘇家所有の車両ではない。荷台には金属製の檻が積まれ、中には数人の若い女たちが押し込まれていた。彼女たちは皆、一様に無表情で、目は虚ろだった。

「あれは——」

「おそらく、今日の積荷です。仇家の手が回る前に、奴隷島へ運ぶ途中だったのでしょう」

老陳は唇を噛んだ。その時、工場の入口から怒声が聞こえた。

「まだ逃げた奴がいる!探せ!」

仇家の殺し屋たちだ。蘇晴は震えた。老陳は一瞬の躊躇もなく、彼女の腕を掴むとトラックへと走った。

「お嬢様、申し訳ございません。しかし、これしか——」

彼は素早く荷台の檻の鍵を開け、蘇晴を中に押し込んだ。彼女は女たちの間に倒れ込む。生臭い汗の匂いと、鉄の錆びた匂い。そして、恐怖の匂い。

「隠れていてください。必ず——」

老陳の声は、トラックのエンジン音に掻き消された。誰かが運転席に飛び乗る。クラッチの音。そして、がたがたと車体が揺れ始める。

「ちょっと待って!私は——」

蘇晴は叫んだが、トラックは加速した。背後で、男たちの怒号と銃声が聞こえる。だが、すぐにそれも遠ざかる。

彼女は檻の中で縮こまった。隣の女が、痙攣するように震えている。見ると、彼女の腕には無数の注射痕があった。薬で意識を朦朧とさせられているのだ。蘇晴も、気がつけば意識がぼんやりとし始めていた。空気が淀んでいる。何か——薬品の臭いがする。

ああ、これが——これが「商品に加工する」工程なのか。

蘇晴の視界は暗転した。

どれほどの時間が経ったのか。

蘇晴が目を覚ますと、そこは見知らぬ部屋だった。コンクリート打ちっ放しの壁。天井には裸電球が一つ。部屋には簡素なベッドと、スチール製の机だけがある。

「目が覚めたか」

女の声だ。振り返ると、軍服に身を包んだ女性が立っていた。短く刈り込んだ金髪。鋭い目つき。口元には冷たい笑みが浮かんでいる。

「ここは——」

「奴隷島だ。ようこそ。私は教官のアリー。ここでのルールは単純だ。命令に従うこと。反抗すれば、痛い目を見る。それだけだ」

蘇晴は必死に記憶を手繰り寄せた。父の死。屋敷の襲撃。老陳——あのトラック——。

「私は蘇家の——」

「蘇家?」アリーは嘲笑した。「そんな名家の令嬢が、自ら売りに出るわけがないな。だが、お前の名はリストに載っている。債務者本人——あるいは、家族が売ったか。どうでもいい。ここでは全員が平等だ。買い手の所有物だ」

「違う!私は誤って——」

アリーの手が、鞭のように速く動いた。平手打ちが蘇晴の頬を打つ。甲高い音が部屋に響く。

「口答えは禁止だ。ここでは過去の身分は意味を持たない。お前はただの奴隷だ。覚えろ」

蘇晴は倒れ込んだ。口の中に血の味が広がる。だが、それ以上に、心の中に冷たいものが広がっていくのを感じた。

逃げなければ。父と母の復讐を果たすまでは。生き延びなければ——。

彼女は顔を上げた。アリーの瞳をまっすぐに見返す。

「——わかりました」

その声は、震えていなかった。

アリーは一瞬、目を細めた。しかし、すぐに背を向ける。

「訓練は明日の朝からだ。しっかり休んでおけ。最初の三日間は地獄だ」

ドアが閉まる。鍵がかかる音。

蘇晴は一人、薄暗い部屋に残された。壁には、前の住人が刻んだのだろうか、無数の傷跡がある。爪で引っかいた痕。血で書いた文字。

「生還」

その文字が、かすかに浮かんでいた。

彼女はそっとその文字に触れた。指先が冷たいコンクリートに触れる。まだ、終わっていない。ここから這い上がってみせる。

連邦も、仇家も、奴隷島のシステムも——すべてを壊してやる。

その決意だけが、彼女の心の中で確かに燃えていた。

身分の剥奪

スーチンは、意識が浮上するのを感じた。全身が鉛のように重く、頭の中は霞がかかったようだ。まぶたを開けると、見知らぬ天井が視界に入る。錆びた鉄骨と低いコンクリートの天井。かび臭い空気が鼻を突き、彼女はむせた。

「ここは…どこ?」

体を起こそうとして、手首と足首に冷たい感触があるのに気づいた。鉄の鎖だ。見下ろすと、粗末な麻の服を着せられ、足元には裸足のままの自分の足がある。昨日まで着ていたあの繊細な絹のドレスはどこにもない。

記憶の断片がよみがえる。あの夜、裏庭で待ち伏せに遭った。屈強な男たちに麻袋をかぶせられ、抗う間もなく意識を失った。そして今、この場所。

「おい、目覚めたか。」

荒っぽい声が聞こえ、スーチンは顔を上げた。分厚い鉄格子の向こうに、作業服を着た男が立っている。彼の胸には「奴隷島管理部」と書かれたバッジが光っていた。

「あなたは誰?ここはどこ?なぜ私をこんなところに閉じ込めるの!」

スーチンは声を張り上げたが、喉が乾いて声はかすれていた。男は無表情で書類をめくりながら言った。

「蘇家から送られてきた奴隷0721番だな。ここは奴隷島、お前の新しい家だ。島の規則に従え。反抗すれば罰がある。」

「蘇家?違う!私はスー・チン、蘇家の令嬢だ!身分を証明できる。父に連絡してくれ、すぐに!」

スーチンは鎖を引きちぎろうと必死に藻掻いた。手首の皮膚が擦り切れ、血が滲む。だが男は鼻で笑い、無造作に書類をめくった。

「そんな話は何度も聞いた。蘇家から送られた奴隣は皆、最初はそんなことを言う。だがここでは誰もお前の身分など気にしない。番号で呼ばれるだけだ。お前は0721番。それだけだ。」

「信じてくれ!私は本当に蘇家の令嬢なんだ!私の首には家紋のペンダントがあるはずだ。見てくれ!」

スーチンは胸元を探ったが、もちろん何もない。服もすべて取り替えられていた。男は冷たく首を振った。

「証拠がなければ無駄だ。島では身分証も家紋も通用しない。お前はただの奴隷、それ以上でも以下でもない。」

「違う…違うのよ!」

スーチンの声が震えた。涙が溢れそうになるのを必死にこらえる。だが男はもう彼女に構わず、鉄格子の鍵を外した。二人の屈強な警備員が入ってきて、彼女の腕を掴んだ。

「隔離室に連れて行け。反抗的な奴隷には罰が必要だ。」

「離して!私は間違っていない!私はただ自分の身分を証明したいだけなのに!」

スーチンは必死に抵抗したが、警備員の力は圧倒的だった。彼らは彼女を引きずりながら、薄暗い廊下を進む。壁には無数の傷跡が刻まれ、血痕がこびりついている。自分の運命がここで決まるのだという恐怖が、スーチンの胸を締め付けた。

隔離室は狭く、空気も淀んでいた。壁も床もコンクリート製で、窓は一つもない。中央には鉄の椅子が一つあり、手錠と足枷がついている。警備員は彼女を椅子に縛り付け、無造作にドアを閉めた。

「ここで三日間反省しろ。食事も水も与えない。お前が自分の立場を理解するまでな。」

ドアが重い音を立てて閉まり、鍵がかかる音が響いた。暗闇がスーチンを包み込む。恐怖と絶望が押し寄せるが、彼女は必死に弱気を飲み込んだ。

「逃げなきゃ…ここから出なきゃ。」

スーチンは暗闇の中で目を凝らし、部屋の構造を観察した。壁にはかすかなひび割れがあるが、素手で壊せるものではない。天井は高く、手が届かない。唯一の希望はドアだが、鉄製で鍵は頑丈だ。

「今は耐えるしかない。機会を待つんだ。」

彼女は自分に言い聞かせた。内部に炎のような決意が燃え上がる。蘇家の令嬢としての誇りは失っていない。ここで屈するわけにはいかない。

三日後、誰かがドアを開けた。まぶしい光が差し込み、スーチンは目を細める。目の前に立っていたのは、灰色の軍服を着た女教官だった。彼女の目は鷹のように鋭く、口元には冷酷な微笑みが浮かんでいる。

「0721番、お前の訓練期間が始まる。島の規則は絶対だ。従えば生き延びられる。逆らえば死ぬ。」

スーチンはゆっくりと顔を上げた。体は飢えと渇きで衰弱していたが、目だけはまだ輝いていた。彼女は教官アリーをじっと見つめ、一言も発さずにうなずいた。

アリーは満足げに笑い、手にした鞭を軽く打ち鳴らした。

「いいだろう。ついて来い。」

スーチンはよろめきながら立ち上がり、アリーの後を追った。廊下を歩きながら、彼女は周囲を観察した。島には無数の奴隷がいる。皆、番号で呼ばれ、服は同じ粗末な麻の服だ。彼女もまた、その一人になったのだ。

腕に彫られた番号「0721」が痛む。身分も名前も奪われた。だが、スーチンはその数字を決して忘れないと誓った。いつか、この島を脱出し、すべてを取り戻す時まで。

彼女は拳を握りしめ、訓練場へと足を踏み入れた。

全裸契約

第3章 全裸契約

部屋の中は殺風景だった。白い壁、無機質な蛍光灯の明かり、そして部屋の中央に据えられた一台のカメラ。スーチンは両腕を後ろ手に縛られ、床に膝をつかされていた。彼女の衣服はすでに切り裂かれ、肩や胸元が露わになっている。寒さと恐怖で彼女の肌は粟立ち、歯の根が合わなかった。

「立て。」

教官アリーの声は冷徹だった。スーチンはよろめきながら立ち上がる。彼女の前に立つアリーは無表情で、手にしたリモコンを操作すると、カメラの赤いランプが点灯した。

「これからお前は自らの意志で奴隷となることを宣言する。台詞は覚えたな。」

スーチンの喉が震えた。彼女は目を閉じ、心の中で蘇家のことを思った。父はもういない。母も、家族も、すべて失った。生き延びるためには、この屈辱に耐えるしかない。

「……はい。」

「なら服を脱げ。全部だ。」

アリーの言葉に、スーチンの肩が跳ねた。しかし、抵抗は無意味だと知っていた。彼女は震える手で、残った布切れを剥ぎ取った。ブラジャーのホックを外し、ショーツを腰から滑り落とす。裸身が蛍光灯の下に晒されると、彼女の肌は青白く光った。

カメラが彼女を捉える。レンズは冷たく、彼女の裸体を隅々まで記録していた。スーチンは両手で胸を隠そうとしたが、アリーが即座に叱咤した。

「手を下ろせ。胸を張れ。お前は今から商品だ。」

スーチンは従った。両腕を体の横に垂らし、顔を上げる。視線は虚ろで、涙が頬を伝う。しかしアリーは容赦しなかった。

「台詞を読め。」

カメラの横に置かれた台本には、彼女が口にすべき言葉が書かれていた。それは自らの尊厳を踏みにじる内容だった。スーチンは声を絞り出した。

「わ、私は……スーチンと申します。この度、自らの意思で奴隷となることを決意しました。私は所有者に対して絶対の服従を誓い、いかなる命令も拒みません。私の体は所有者の所有物であり、自由に使っていただいて構いません……」

声は震え、途中で途切れた。アリーが睨む。

「もっと大きな声で。笑顔を忘れるな。お前はこれを喜んでやっているんだ。」

スーチンは無理に口元を歪めた。それは笑顔と呼べるものではなかったが、アリーはそれで満足したようだった。

「……私は喜んで、この身を捧げます。どうかお買い上げください……」

最後の言葉を言い終えたとき、スーチンの中の何かがぷつりと切れた。涙が止まらなくなり、彼女はその場に崩れ落ちそうになった。しかしアリーは彼女の腕を掴み、カメラの前から連れ出した。

「次は契約書だ。」

隣の部屋に机があり、その上に一枚の書類が置かれていた。タイトルには「自己売身契約書」と書かれ、細かい字で奴隷としての権利放棄、人身の完全譲渡、死に至るまでの服従義務などが列挙されていた。

スーチンは裸のまま椅子に座らされ、アリーがペンを手渡した。

「サインしろ。そして拇印も。」

スーチンは手の震えを抑えられなかった。ペンを持った指が震え、文字が歪む。それでも彼女は名前を書き終えた。スーチン。かつては蘇家の令嬢だった名前が、今は奴隷の印となる。

次にアリーは朱肉の入った小皿を差し出した。スーチンは右手の親指を押し付け、署名の横に指紋を捺した。

しかしそれだけでは終わらなかった。アリーはさらに机の引き出しから細長い棒状のスタンプを取り出した。先端には小さな刻印があり、赤いインクが染みている。

「もう一つ、ここに押せ。」

アリーはスーチンの股間を指差した。意味を理解したスーチンの顔色が一瞬で青ざめる。

「……いや……それは……」

「契約書には身の証として、最も秘めたる場所の印が必要だと書いてある。お前が本当に買われる覚悟があるのか、証明するためだ。」

スーチンは首を振った。椅子から逃れようとしたが、アリーが肩を押さえて動きを封じる。そして彼女の脚を無理やり開かせた。

「暴れるな。一瞬で済む。」

アリーは冷めた口調で言い、スーチンの股間にスタンプを押し当てた。冷たい金属の感触が彼女の内部に触れる。スーチンは悲鳴をあげたが、アリーは構わず強く押し込んだ。鈍い痛みが走り、彼女の体内に刻印が刻まれる。インクが粘膜に染み込み、焼けるような感覚が広がった。

「これで完了だ。」

アリーはスタンプを離し、契約書を乾かすために机の端に置いた。スーチンは両膝を抱え込み、体を丸めて震えた。彼女の内腿からは赤いインクが混じった体液が滴り落ちていた。

これで彼女は正式に奴隷となった。蘇家の令嬢としての過去は完全に断ち切られ、彼女の体は所有者の所有物として登記された。

涙は枯れ果て、彼女の目は虚ろだった。頭の中では何も考えられず、ただ繰り返し響くのは蘇家の執事・老陳の言葉だけだった。

「お嬢様、どうか生き抜いてください。いつか必ず、奴は罰を受けます。」

その言葉が唯一の支えだった。しかし今、裸で床に蹲る自分を見て、その言葉さえも空しく感じられた。

アリーは部屋を出ていく前に、冷たく言い放った。

「明日から訓練を開始する。今のお前にはまだ何の価値もない。早く慣れろ。」

扉が閉まり、スーチンは一人残された。契約書の上には彼女の指紋と、体内の印が転写された痕が、赤く浮かび上がっていた。

身体検査

検査室へ通される廊下は、どこまでも白かった。蛍光灯の青白い光が無機質に並び、一歩ごとに靴底がタイルを打つ反響が辺りに満ちる。スーチンは裸足だった。足の裏の冷たさが全身を伝い、心臓の鼓動が喉元までせり上がる。

彼女の両腕は金属製の拘束具で背後に固定されている。鎖こそないが、動くたびに手首を締め付ける冷たい感触があった。前に立つ老陳は振り返らず、その背中はいつもより小さく見えた。執事として半生を仕えてきた男が、自ら主人の娘をこの場所へ連れて行く。その事実が、スーチンの胸を刃のように切り裂く。

「老陳」

呼びかけると、彼の足音が一瞬止まった。だが、振り返ることはなかった。

「……私は、もうあなたの主人ではない」

彼の声はかすれ、廊下の奥へ吸い込まれて消えた。

検査室の扉は自動で開いた。中はさらに白く、無菌室のような刺激臭が鼻を突く。中央には獣医用の検査台にも似た金属製のベッドがあり、天井からは幾本ものアームが垂れ下がっていた。それぞれの先端には針、カメラ、メス、そしてスーチンには用途のわからない器具が取り付けられている。

「こちらへ」

無表情な男性の声。白衣を着た医師――と呼ぶにはあまりに冷徹な男が、手にしたクリップボードを見ながら顎でベッドを示した。彼の後ろにはさらに数人の助手が控え、誰一人としてスーチンの顔を見ようとしない。まるで家畜の検品でもするかのごとく、彼女の身体だけがそこに存在していた。

「服を脱げ」

命令に逆らう術はない。老陳がそっと拘束具を外すと、スーチンは痺れる手首をさすりながら、ゆっくりと着ていた簡素なワンピースを脱ぎ捨てた。すべてを剥き出しにされた身体が、冷たい空気に晒される。彼女は無意識に両腕で胸を隠そうとしたが、助手の一人が即座にそれを引き剥がし、手首と足首をベッドの端に固定した。

「抵抗するな。時間の無駄だ」

医師が無機質な声で告げる。金属製のアームがうなりを上げて動き始めた。まずは全身の除毛。高温のレーザーが肌を撫でるたび、焼けるような痛みとともに小さな毛が消えていく。脇の下、腕、脚、そして陰部。すべてが滑らかに、人形のように無垢な肌へと変えられていく。スーチンは唇を噛み締め、痛みを声に変えまいと必死に耐えた。自分の身体が、誰かの価値観に合わせて作り変えられていく感覚。それは暴力よりも悍ましい、魂の蹂躙だった。

次に乳房の拡大手術が始まった。細い針が乳房に何度も刺さり、脂肪溶解剤と充填剤が交互に注入される。徐々に、張りと形を整えられていく自分の胸を、スーチンは天井の鏡で見せられる。膨らみが増すたびに、鏡の中の自分はもはや自分ではなく、誰かが作り上げた商品そのものになっていった。

「美意識に合わせた調整が必要だ。市場価値を高めるためにな」

医師は淡々と説明しながら、指で形を整え、左右の対称性を確認する。指の感触は冷たく、愛情もなければ敬意もない。ただの素材として、スーチンの身体が扱われていた。

続いて、うつ伏せにさせられ、背骨の横に小さな切開が加えられた。奴隷身分確認用のマイクロチップを埋め込むためだ。皮膚の下に異物が滑り込む不快感。そして、その瞬間からスーチンは「蘇晴」ではなく、奴隷番号で認識される存在となった。チップが彼女のすべての情報を管理し、逃走しようものなら即座に位置情報が送られ、電気ショックが走る仕組みだ。

「次は最終段階だ」

医師が手袋を交換し、新しい器具を手に取った。それは膣内の深度と緊縮度を測定するためのプローブだった。スーチンの顔が一瞬で青ざめる。彼女は必死に足を閉じようとしたが、金属製の拘束がそれを許さない。

「……やめて……やめてくれ……」

声が震えた。自分でも驚くほど弱々しい懇願だった。しかし医師は一切の躊躇なく、プローブを挿入した。冷たい金属が内部を拡げ、カメラとセンサーが隅々までデータを収集していく。

「深度18.3センチ。緊縮度は良好、弾力性も標準以上。市場価値は高いと評価できる」

医師の声は録音機のように事務的だった。しかしその間も、プローブの先端が内部の特定の箇所を規則的に刺激し始める。それは正確に、スーチンの弱点を知り尽くした動きだった。意図的なのか、それとも検査の一部なのか。わからない。だが、身体は正直だった。

「あ……っ」

スーチンの口から漏れた吐息が、部屋に響く。彼女は必死に声を殺そうとしたが、繰り返される刺激に全身が震え、背中が弓なりに反る。目の前がチカチカと白く光り、抵抗する力が奪われていく。

「この反応も記録対象だ。絶頂時の身体データは購入者にとって重要な情報となる」

医師が指を動かすたび、理性が音を立てて崩れ落ちていく。スーチンは泣き叫びたかった。しかし、喉から出るのは喘ぎ声と切ない嗚咽だけだった。何もかもが暴力的な快感に飲み込まれ、意識が遠のく。

最後の波が押し寄せ、スーチンの身体が大きく痙攣した。絶頂の瞬間、医師は手を止め、記録機器にデータを送り終えた。

「以上、全検査終了」

医療用の音声が無機質に検査完了を告げる。スーチンの汗だくの身体は拘束を解かれたが、立ち上がる力は残っていなかった。彼女はそのまま、冷たい金属の上に横たわり、天井の蛍光灯の光をただ見つめていた。

涙がこぼれた。頬を伝い、耳へと落ちていく。自分はもう、ただの商品だ。蘇家の令嬢でも、蘇晴という一人の人間でもない。ただの、番号で管理される奴隷だった。

老陳が傍らに立ち、震える手で彼女の肩に布きれをかけた。彼の目には涙が浮かんでいたが、何も言えなかった。感謝も恨みも、もう意味を持たないこの場所で、スーチンはただひとり、自分の砕かれた尊厳の破片を拾い集めることすらできずにいた。

性交訓練

蘇晴は冷たい床の上に裸で正座させられていた。目の前には磨き抜かれた金属製の台の上に、異様な形状の器具が並んでいる。その中で最も目を引くのは、人間の陰茎を模した人造物だった。表面には凹凸があり、根元に近づくほど太くなっている。アリー教官は無表情でそのうちの一つを手に取った。

「口を開けろ。今日からお前はこれを飲み込む練習をする。客をもてなすために必要な技術だ。」

蘇晴は唇を噛みしめた。拒絶の言葉が喉まで出かかったが、アリーの目に浮かぶ冷たい光を見て飲み込んだ。彼女はゆっくりと口を開けた。アリーは人造物を無造作に彼女の口に押し込んだ。唾液が溢れ、喉の奥に異物感が走る。吐き出したい衝動を必死に抑えながら、蘇晴は目を閉じた。

「舌を使って。歯は立てるな。全部飲み込め。」

アリーの冷たい声が部屋に響く。蘇晴は震える手で太腿を掴みながら、命令に従った。何度もむせ返り、涙が頬を伝う。それでもアリーは容赦しなかった。

その日の午後、老陳が蘇晴の房を訪れた。彼は執事の姿ではなく、商人を装っていた。蘇晴は彼の顔を見て一瞬安堵したが、その瞳の奥にある深い悲しみに気づいて緊張した。

「蘇晴様、お辛いことでしょうが、お聞きください。」

老陳は小声で語り始めた。蘇家の当主夫妻、すなわち蘇晴の両親が数日前に殺されたこと。死の間際、父は蘇晴に家業を継ぐように遺言したこと。表向きの商売、群芳閣などの運営は老陳が代行しているが、蘇晴が島から脱出した後はすべてを引き継がせるつもりだということ。

「裏の商売は……乱れております。仇家の手の者が既に食い込んでおります。急がねばなりません。」

蘇晴の拳が震えた。両親の死。家業の混乱。すべては自分の無力さが招いた結果だ。しかし彼女は涙を見せなかった。代わりに、老陳の次の言葉に耳を傾けた。

「わしには直接お館様を解放する権限がございません。奴隷島のシステムは絶対です。しかし、競売でお館様を落札することは可能です。それには金が要りますが、何とか工面いたします。」

蘇晴は頷いた。老陳は続けた。

「しかし、疑われないためにも、今夜は私が客として参ります。お館様の……初夜をいただくことになります。」

蘇晴の顔色が一瞬で青ざめた。老陳は昔から自分の面倒を見てくれた老僕だ。彼に身体を委ねるなど、想像もできなかった。しかし彼の説明は理にかなっていた。他の客に売るよりも、老陳ならばまだ耐えられる。

「承知した。」

蘇晴は小声で答えた。その声は異様に落ち着いていた。

夜が更け、老陳が再び房を訪れた。彼は上等な絹の服をまとい、顔には変装用の仮面をつけていた。蘇晴は既に薄い布一枚だけを身につけてベッドの上に横たわっていた。部屋にはほのかな灯りが灯っているだけだった。

老陳は手を伸ばし、蘇晴の布をゆっくりとはがした。彼の手は震えていた。蘇晴は目を閉じ、全身の力を抜いた。挿入の瞬間、鋭い痛みが走ったが、彼女は声を上げなかった。老陳の動きは慎重で、できるだけ彼女を傷つけないように気を遣っていた。しかし蘇晴にとっては、それもまた屈辱の一部だった。

「申し訳ございません、お館様。」

老陳の声はかすれていた。蘇晴は答えなかった。ただ天井の染みを見つめながら、この夜が早く過ぎ去ることを願った。

翌朝、アリー教官の命令で蘇晴は男の教官との性交訓練に臨まされた。教官は筋骨隆々の男で、無表情だった。蘇晴は四つん這いになり、後ろから侵入される姿勢を強いられた。冷たい空気が背中を撫でる。

「もっと腰を動かせ。こちらに合わせろ。」

男の声は事務的だった。蘇晴は必死に彼のリズムに合わせようとしたが、体が硬直してうまくいかない。何度か試みるうちに、男の苛立ちが伝わってきた。

「駄目だ。やり直し。」

何度目かの失敗の後、アリーが割って入った。彼女は手に鞭を持っていた。

「跪け。」

蘇晴が膝をつくと、鞭が背中を叩いた。鋭い痛みが走り、思わず悲鳴をあげた。しかしアリーは止めない。二度、三度と鞭が振るわれるたびに、皮膚が裂ける感覚が蘇晴を襲った。

「お前は娼婦だ。客の期待に応えるのがお前の役目。それができないなら、罰を受けるしかない。」

アリーの声は相変わらず冷たかった。蘇晴は歯を食いしばり、痛みに耐えた。血が背中を伝い、床に落ちた。

その夜、蘇晴は独房のような小部屋に戻された。壁には前の奴隷が残した傷跡が無数に刻まれている。彼女は自分の腕を抱きしめながら、暗闇の中で考えた。

(父さん、母さん、ごめんなさい。きっと復讐します。この屈辱を決して忘れません。)

心の中で繰り返すその言葉は、次第に彼女の胸の中で冷たい炎となって燃え上がった。彼女は服従を学んだ。しかし、その服従の裏側で、憎しみは静かに、しかし確実に育っていった。

訓練不合格

評価の結果が告げられたとき、スーチンはその場に立ちすくんだ。教官アリーの無機質な声が訓練場に響く。

「総合評価、不合格。お前の成績は基準に達していない。」

スーチンの拳が震えた。これまでの訓練の日々、どれだけ耐えてきたか。しかし、口を開こうとした瞬間、アリーの冷たい視線が彼女を貫いた。

「お前のような落ちこぼれには特別な罰がある。」

アリーはゆっくりと近づき、スーチンの耳元でささやいた。

「群芳閣に送る。一ヶ月、そこで肉便器として客を満足させろ。耐え抜いたら、島に戻って最後の卒業試験を受ける資格を与えてやる。」

スーチンの心臓が止まるかと思った。群芳閣――奴隷島にある娼館のような施設、そこに送られる者たちの末路は聞いていた。しかし、拒否権はない。彼女は無表情でうなずくしかなかった。

その夜、スーチンは荒っぽい男たちに連れられ、群芳閣の地下房へと運ばれた。薄暗い部屋の壁には、鎖で固定された金属製の器具がいくつも並んでいる。彼女の腕と脚は拘束され、壁に埋め込まれた台座に固定された。下半身だけが露出し、身体はほとんど動かせない。

「新人だな。楽しませてくれよ。」

男の声が響く。スーチンは唇を噛みしめ、目を閉じた。一ヶ月、耐えるしかない。自分はスー家の令嬢だという誇りを胸に、心の中で繰り返す。

しかし、現実は非情だった。最初の客が現れた瞬間、彼女の身体は自由を奪われ、ただの道具として扱われた。男たちはためらわず、彼女の肛門と膣を同時に貫いた。痛みと屈辱が全身を駆け巡る。スーチンは叫び声をあげようとしたが、喉は引きつり、音にならなかった。

「ひっ……う…」

かすれた呼吸だけが部屋にこだまする。客は無表情で作業を終えると、次の男が待っていた。日が変わるまで、次々と男たちが彼女の身体を貪った。数えることさえできなかった。誰が、いつ来たのかもわからない。

朝日が微かに差し込む頃、スーチンは全身が痺れ、意識がもうろうとしていた。しかし、休む間もなく、別の係員が彼女の身体を清掃し、食事らしきものを流し込んだ。そしてすぐに、次の客が現れる。

そうして一日が過ぎ、二日目、三日目……一週間が経過した。彼女の肉体は痛みに麻痺し、精神は崩壊の淵に立っていた。それでも、心の奥で執事の老陳の言葉がよぎる。「お嬢様、必ず生き抜いてください。」 その言葉だけが支えだった。

十日目。スーチンはもう、自分が誰かも忘れかけていた。ただ、下半身に貫かれる感覚だけが現実だった。複数の客が同時に彼女を使い、彼女の身体は無数の傷と痣で覆われた。声を出す力もなく、涙さえも枯れ果てていた。

十五日目。彼女の目は虚ろで、何を見ているのか分からなかった。客の罵声や笑い声が遠くに聞こえる。体は痙攣し、もう正常な感覚はなかった。

二十日目。スーチンはかろうじて気を保っていたが、もう自分をスー家の令嬢だと思い出すことは難しかった。ただ、あと十日、あと十日耐えれば終わると、繰り返すしかなかった。しかし、彼女の心は砕けかけ、自己を保つ境界線が曖昧になっていく。

二十五日目。彼女は音もなく震えていた。すべての客が去った深夜、暗闇の中で彼女は呟いた。

「老陳…助けて……」

しかし、返事はなかった。ただ、次の日の朝が来て、また扉が開かれる音だけが聞こえた。

便器罰

群芳閣の地下処置室で、スーチンは無機質な台の上に横たわっていた。全身の痛みはすでに麻痺しており、四肢の一つ一つが言うことを聞かない。長時間にわたる性交の拷問で、彼女の身体は限界を超えていた。意識は朦朧とし、視界には天井の冷たい蛍光灯の光がぼんやりと映るだけだ。

「この身体はもう持たないな。」医務官が冷淡に告げる。手には分厚いファイルを持ち、その上で何かを書き込んでいる。「普通の方法ではもう通用しない。便器に転用するしかない。」

スーチンの心臓が鋭く痛んだ。便器——それは奴隷島で最も卑しい身分だ。排泄物の受け皿となり、言葉を奪われ、ただの無機質な器具と化す。彼女は唇を噛みしめた。血の味が口の中で広がった。

作業員たちが彼女の頭を持ち上げ、特殊な加工を施した黒いフードをかぶせた。厚い皮革の感触で、視覚と聴覚が完全に遮断された。唯一口の部分だけが開けられ、円形の穴が露出している。彼女の口の周りを特殊なゴム素材で縁取り、外部からの異物の挿入に耐えられるようにした。

「これで完成だ。」部下が満足げに言う。「ちょうど執事様の私室で、先任の便器奴隷が壊れたところだ。代わりを連れて行け。」

スーチンは抗う力を失っていた。全身は拷問台に打ち付けられたかのように弱りきっている。誰かに担ぎ上げられ、歩き続け、最後に何かの木製の台の上に固定された。彼女の身体は台にぴったりと密着し、頭だけが少し前に突き出し、口がちょうど台の外側の縁に位置している。

それからの一週間、スーチンは暗闇の中で過ごした。時間の感覚がぼやけ、ただ自分の口の中に次々と異物が挿入される感触だけが現実だった。最初は柔らかい布——どうやら掃除用のようだ。次に誰かの陰茎が挿入される。熱く、時に強く、時に弱く擦られ、最後に熱い液体が喉の奥に流れ込む。彼女は無理やり飲み込まされた。それは尿の味だった。彼女は受け入れざるを得なかった。

老陳は執務机の後ろに座り、スー家から送られてきた最新の書類に目を通していた。年を取ったものの、目は依然として鋭く、細かいところも見逃さない。群芳閣の管理権は主家にあり、彼はただ一部の権限を代行しているに過ぎない。今日はオークション前の最後の下見だ。リストの精査を担当している。

「来週のオークションのプレビューリストをお持ちしました。」部下が分厚い書類を手渡す。

老陳はページをめくりながら、一つ一つの奴隷の写真とデータを確認していく。ふと手が止まった——ある欄に慣れ親しんだ名前がない。スーチン。蘇晴。彼女は確かにこのバッチの商品に含まれているはずだ。なぜリストに載っていない?

「これは何だ?」老陳は低い声で尋ねる。「蘇晴のデータが抜けている。」

「執事様、あの奴隷は...」部下は言いにくそうにする。「もう商品ではなくなりました。群芳閣の医務官が彼女を便器に転用することを決定しました。今は...」

「今はどこだ?」老陳の声は震えていた。彼は立ち上がり、机の端に手をついた。

「それは...まさに執事様のプライベートトイレです。先週、先任の便器奴隷が壊れたので、替えが必要でした。」

瞬間、老陳の頭は真っ白になった。彼はよろめきながら執務机の後ろにある小さな扉に向かった。そこは彼専用のプライベートトイレで、普段はここで用を足している。この一週間、毎日彼はその台の前に立ち、口の穴に排泄していた——あの奴隷が、まさか蘇晴だとは。

震える手でドアを開けると、中は狭く、木製の台だけがあり、台の上には黒いフードをかぶった身体がうつ伏せに固定されている。頭が少し前に突き出し、口のところだけに丸い穴が開いており、穴の縁には乾いた尿の跡が浮いている。

「蘇晴...」老陳は声を詰まらせた。

フードの下からかすかな嗚咽が聞こえた。それは恐怖と絶望が入り混じった音だった。

老陳は振り返り、部下に命じた。「すぐに彼女を解放しろ。それから専門の医務チームを呼べ。手術室を準備しろ!」

「しかし執事様、群芳閣の規則では...」

「俺が全責任を負う!」老陳は怒鳴った。「彼女はスー家の令嬢だ、たとえ今は奴隷の身分でも、便器にされるいわれはない!」

蘇晴が台から解放されたとき、身体は長時間の固定で強張っていた。手術は三時間続いた。医師らは彼女の口腔内部の傷を修復し、喉の炎症を治療し、栄養点滴で身体の栄養状態を回復させた。しかし老陳は知っていた——これだけでは不十分だ。蘇晴の管理権は依然として奴隷島にあり、彼は彼女を完全に解放することはできない。

「オークションの最終審査が三日後に迫っています。」老陳は蘇晴の病床のそばに座り、声は疲れきっていた。「私は全力を尽くした。しかし管理権は彼らの手中にある。あなたは島に戻って最終審査を受け、オークションに参加しなければならない。そうしなければ、私も君も罰せられることになる。」

蘇晴は目を開け、虚ろな視線を天井に向けた。老陳は彼女が理解しているのを見て取った。それは再び絶望の淵へと足を踏み入れることを意味している。しかし彼女にはもう選択の余地がなかった。

三日後、蘇晴の身体はまだ完全には回復していなかったが、奴隷島の職員が迎えに来た。老陳は玄関に立ち、彼女が連れ去られる後ろ姿を見送った。胸は重く沈み、悔しさで唇を噛みしめた。彼は知っていた——この別れは再び困難な道のりを意味している。蘇晴の試練はまだ終わっていない。

オークション当日

会所での三日間の狂宴は、スーチンの体に消えない刻印を残した。十人の審査員を相手にした淫靡な責め苦の中で、彼女は自らの限界を超えることを強いられた。最初は拒絶と羞恥に震えた肢体も、次第に快楽に慣らされ、最後には自ら腰を振るまでに堕ちていた。審査員たちの拍手喝采を浴びながら、彼女はA級評価を得た。

奴隷島に戻ったスーチンは、教官アリーの冷たい視線の下で、その後の数日間を静養に費やした。体の傷は癒えても、心の傷は決して癒えない。だが彼女は知っていた。ここでは弱さを見せてはならないと。

そして、オークション当日がやってきた。

薄暗い控室で、スーチンは他の奴隷たちと共に裸にされ、首には奴隷番号0721の札をかけられた。全身を真っ白に塗られ、唇だけが血のように赤く染められている。髪は後ろで一つに束ねられ、鎖骨のラインが露わになった。彼女の体は、数え切れないほどの青あざと噛み跡で覆われていたが、それさえも「商品価値」として評価されていた。

「次は、0721番」

名前ではなく番号で呼ばれ、スーチンは鉄格子の向こう側へと押し出された。眩しい光が目に飛び込み、彼女は一瞬、視界を奪われた。会場からはどよめきが上がる。オークション台の上に立たされ、スポットライトが彼女の全裸を余すところなく照らし出す。

「本日最高の逸品!A級評価の0721番!若く、美しく、訓練済み!貴族の血筋を持つこの雌奴隷は、どんな用途にも耐えうる!」

司会者の声が響く。スーチンは唇を噛みしめ、顔を上げた。売られる側として、見下ろされる立場として、それでも彼女は誇りを失わなかった。観客席には、スーツを着た男たちがずらりと並び、その目は獲物を値踏みするような冷酷さを帯びている。中には見覚えのある顔もあった。スー家の仇家の者たちだ。彼らはスーチンを見て、薄笑いを浮かべている。

「開始価格は、金貨千枚!」

手が次々と上がる。値が跳ね上がる。千五百、二千、三千。競り合いが激しさを増す中、スーチンは心の中で祈った。老陳、必ず来てくれ。

「五千!」

老陳の声が会場に響いた。彼は最前列の席から立ち上がり、手を高く掲げている。その顔には決意の色が滲んでいた。執事として、主人を守るために全てを賭ける覚悟があった。

「他に五千を超える方はいらっしゃいますか?」

沈黙が会場を支配する。仇家の首領がちらりと老陳に目を向けたが、やがて手を下ろした。落札の鐘が鳴る。

「0721番、落札!おめでとうございます!」

スーチンの胸の内に、安堵の息が漏れた。しかし、それは束の間のものだった。

オークションが終わり、スーチンは執事の老陳と共に控室に戻された。解放されたと思った彼女は、ふわりと老陳の胸に飛び込もうとした。しかし、老陳は固い表情のまま、スーチンの肩を優しく押し留めた。

「お嬢様、お疲れ様でした」

「老陳…助かった…本当に助かった…」

スーチンの声が震える。涙がこぼれ落ちそうになるのを必死にこらえた。

「しかし…」

老陳の言葉に、スーチンの顔色が変わった。

「お嬢様、覚悟しておいてください。確かに私はあなたの身柄を買い戻しました。しかし…あなたはすでに国家奴隷システムに登録されています。身分証明書には、あなたの名前と奴隷番号0721が併記されている」

「何…?」

スーチンの目が見開かれる。

「つまり、あなたはスー家の令嬢としての身分を保ちながらも、同時に奴隷0721として生きていかねばならないのです。スー家の屋敷では、あなたは主人として振る舞える。しかし、システムの管理下では、あなたは奴隷としての義務を果たさねばならない」

「そんな…そんなのって…」

スーチンは怒りと絶望に唇を噛みしめた。自分が二重の身分を強いられるとは。一度は自由を夢見たのに、また新たな鎖に繋がれたのだ。

「せめて…せめてスー家の中だけは、普通に過ごせるの?」

「はい。しかし、奴隷としての記録は永久に消えません。いつ何時、呼び出されるか分かりません」

老陳は深く頭を下げた。

「お嬢様、申し訳ございません。私の力が及ばず」

スーチンはゆっくりと息を吐いた。そして、静かに頷いた。

「分かったわ。老陳、あなたはよくやってくれた。全ては私の運命…受け入れるしかない」

彼女は窓の外を見つめた。オークション会場の明かりが一つずつ消えていく。その暗がりに、新たな戦いの始まりを予感しながら、スーチンは強く拳を握った。