秘められた欲望

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# 第一章 初めての出会いと暗流 秋の日差しがキャンパスのイチョウ並木を黄金色に染める午後だった。陳小峰は所属する写真サークルの勧誘ブースの前で、退屈そうにスマートフォンをいじっていた。 「すみません、写真サークルってここですか?」 柔らかな声が耳に届き、小峰は顔を上げた。そこに立っていたのは、白いブラウスに紺のプリー
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初めての出会いと暗流

# 第一章 初めての出会いと暗流

秋の日差しがキャンパスのイチョウ並木を黄金色に染める午後だった。陳小峰は所属する写真サークルの勧誘ブースの前で、退屈そうにスマートフォンをいじっていた。

「すみません、写真サークルってここですか?」

柔らかな声が耳に届き、小峰は顔を上げた。そこに立っていたのは、白いブラウスに紺のプリーツスカートを着た少女だった。肩にかかる黒髪が風に揺れ、彼女は恥ずかしそうに微笑んだ。

「あ、はい。そうですよ。興味ありますか?」

小峰は自分でも驚くほどスムーズに言葉が出た。彼女の笑顔に見惚れて、一瞬言葉を失いかけたのだ。特に目を引いたのは、スカートから伸びるすらりとした脚だった。細くて白く、膝下まである黒いソックスが引き締まったふくらはぎを包んでいる。

「はい。写真を撮るのが好きで。でも、初心者なんです」

「大丈夫ですよ。僕もまだまだですから。よかったら、説明しますよ」

そう言いながら、小峰は彼女に勧誘のパンフレットを渡した。指先が触れそうになる。彼女は「ありがとうございます」と言って、パンフレットを受け取った。

その日から、小峰の頭の中は彼女、林小雅のことでいっぱいになった。

---

数週間後、二人は頻繁に会うようになっていた。サークル活動の後、一緒に帰路につくのが日課になった。

ある日、小雅が現れた時、小峰の心臓は大きく跳ねた。彼女は黒のショートパンツを履き、その下から細く長い脚が露わになっていた。そして何より、あの黒いストッキング。足先から太ももまでぴっちりと包む光沢のある黒い fabric が、彼女の脚のラインを一層際立たせていた。

「今日、暑いね。ちょっと涼しい格好にしてみたの」

小雅は軽く言って、小峰の隣に立った。小峰は必死に視線を逸らそうとしたが、どうしても彼女の脚に目が行ってしまう。

「うん、いいじゃん。似合ってるよ」

声が少し上擦っていた。小峰は自分でも気づかないうちに、彼女の脚を注視していた。黒ストッキングに包まれた太ももが、ショートパンツの縁から覗いている。その光景に、小峰の下腹部が熱くなった。

「どこか行く?」

「うん、駅前のカフェに新しくパフェが出たんだって。一緒に行かない?」

「行く行く!」

小雅の笑顔に、小峰はすべてを忘れて頷いた。しかしその心の奥底では、あの黒ストッキングに包まれた脚が焼き付いて離れなかった。

---

その日、小峰は親友の張小龙に小雅を紹介することにした。三人で大学近くの中華料理店で夕食を取る約束をしたのだ。

「おう、小峰!待たせたな!」

店の入り口から、張小龙の大きな声が響いた。彼は体育会系の体格で、がっしりした体つきをしていた。笑顔は豪快で、誰にでも気さくに話しかける。

「小龍、こっちだよ」

小峰が手を振ると、小龍は大股で歩いてきた。そして小雅を見て、目を輝かせた。

「おお!君が小雅ちゃんか!小峰からよく聞いてるよ!めっちゃ可愛いって!」

「こ、こんにちは。林小雅です」

小雅は少し照れながらも、小龍の豪快さに好印象を持ったようだった。席に着くと、小龍はすぐに小雅の隣に座った。

「小峰、パイコー飯と餃子、あとビール!」

「お前、酒飲む気満々かよ」

「今日は特別だろ?彼女紹介してもらったんだから!」

小龍は大笑いしながら、メニューを広げた。小雅もそれに合わせて笑っている。その笑顔を見て、小峰は複雑な気持ちになった。誇らしいような、不安なような。

「小雅ちゃんはどんな写真撮るの?」

「最近は風景が多いですね。でも、人物写真も練習してみたくて」

「いいね!今度俺もモデルやるよ!」

「え、でも私、まだ上手じゃないですよ」

「いいんだよ!記念になるから!」

小龍の勢いには、小雅も押され気味だったが、嫌な感じはしていないようだった。二人の会話が弾むほど、小峰の胸の奥はざわついた。しかし同時に、そのざわつきがなぜか心地よくもあった。

「そうだ、今度三人でどこか行かない?ドライブとか!」

小龍の提案に、小雅が嬉しそうに頷いた。その時、小峰は小雅の脚に目をやった。今日の彼女は黒のタイトスカートに黒ストッキングを合わせていた。席に座った姿勢で、スカートの裾が少し上がり、ストッキングに包まれた太ももが覗いている。

小峰はゴクリと唾を飲み込んだ。同時に、小龍も小雅の脚を見ているような気がして、胸が締め付けられた。しかしその締め付けは、明確な嫉妬とは違う、もっと危険で甘美な感情だった。

「どうする?小峰」

小雅の声で、はっと我に返った。

「あ、うん、いいよ。どこ行くか考えとかないとな」

「よっしゃ!決まりだな!」

小龍がジョッキを掲げ、小峰もそれに合わせた。ビールの苦味が喉を流れていく。小雅もジュースで乾杯に加わり、三人の笑い声が店に響いた。

しかし小峰の心は、喜びと不安が入り混じっていた。彼女の隣に座る親友の存在が、なぜか小峰の内なる欲望を刺激する。その感覚に、自分でも戸惑っていた。

「小雅ちゃん、これ食べてみて。ここの麻婆豆腐、結構辛いけど旨いんだ」

小龍が取り皿に麻婆豆腐を取って、小雅の前に置いた。その親切に、小雅は微笑んだ。

「ありがとうございます。いただきます」

その笑顔が、小峰にはとても眩しく見えた。同時に、嫉妬にも似た黒い感情が渦巻く。だが、その感情の奥で、何かが昂ぶっているのを感じていた。

「小峰も食べろよ。今日は俺の奢りだ!」

小龍の言葉に、小峰は無理やり笑顔を作った。

「おう、じゃあ遠慮なく」

皿に料理を取りながら、小峰はチラリと小雅を見た。彼女は小龍の話に耳を傾け、時折笑顔を見せている。その様子が、小峰の心を複雑に揺さぶった。

その夜、アパートに帰ると、小峰は一人部屋で自慰をした。頭の中には、小雅のあの黒ストッキングに包まれた脚と、小龍と楽しそうに話す彼女の姿が交錯していた。そしてその光景に、なぜか強い興奮を覚えていた。

「俺、どうかしてるのかもしれない……」

暗闇の中で、小峰は自分の欲望の深さに、恐怖と陶酔の入り混じった感情を抱いた。この歪んだ感情が、三人の関係をどう変えてしまうのか、まだ誰も知る由もなかった。

秘密の片隅

第二章 秘密の片隅

春の陽はキャンパスの桜並木に柔らかく降り注ぎ、陳小峰は白いワイシャツの襟元を整えながら、林小雅の手を握っていた。二人の影はアスファルトの上で重なり合い、まるで永遠を約束されたかのようだった。

「ここ、本当に綺麗だね」

小雅が窓辺に立って、カーテンの隙間から差し込む光に目を細める。彼女の長い黒髪が風に揺れ、清潔な石鹸の香りが部屋に広がった。

陳小峰は笑顔を浮かべた。心臓は少し早く打っている。築十五年のワンルームマンションは、畳六畳ほどのリビングに小さなキッチンとユニットバスが備え付けられただけの簡素な作りだった。それでも、彼女と二人で暮らせる場所だと思うと、胸の奥が熱くなった。

「でも、ほとんどの時間は寮で過ごすと思う」

小雅は申し訳なさそうにうつむいた。「学部の研究プロジェクトが忙しくて……」

「大丈夫だよ」

陳小峰は手を伸ばして彼女の肩を軽く叩いた。「週末だけでもここに来てくれれば、それで十分だから」

その言葉に偽りはなかった。実際、彼は一人の時間を必要としていた。小雅がいない昼間、カーテンを閉め切った部屋で、彼はスマートフォンの画面に映る世界に没頭するのだ。

一週間が経ち、陳小峰の生活は急速にパターン化していった。朝、小雅を見送った後、彼は決まってパソコンの前に座る。ブックマークされたサイトを開き、新しい投稿がないかチェックする。特に「寝取られ」タグの付いた作品は、彼の食指を最も強く動かした。

ある夜、彼は『僕の彼女が僕の寝取られフェチを満たすために僕の兄弟を誘惑する』というタイトルの小説を開いた。読み進めるうちに、彼の指は自然とズボンのジッパーに伸びていた。

小説の主人公——自分と重なる男——が、彼女が親友に抱かれる場面を想像しながら自慰に耽る。その描写は生々しく、陳小峰の脳裏に小雅と張小龙の姿が浮かんだ。

「やめろ……やめろよ……」

彼は唇を噛みしめながらも、手を止められない。やがて、短い快感が全身を駆け抜け、すぐに虚無と自己嫌悪が襲ってきた。

トイレの洗面台で手を洗いながら、鏡に映る自分を見つめる。目の下のくまが深くなっていた。性行為そのものは数ヶ月前からうまくいっていない。自慰に慣れすぎた身体は、生身の女性との交わりに反応しなくなっていた。小雅に触れようとするたび、自分は彼女を満足させられないのではないかという恐怖がよぎる。

「小峰、いる?」

突然、玄関の鍵が開く音がした。小雅が帰ってきたのだ。

陳小峰は慌ててパソコンを閉じ、スマートフォンをポケットに押し込んだ。心臓がバクバクと鳴り、手のひらにじっとりと汗が滲む。

「おかえり」

ドアを開けると、小雅がスーパーの袋を提げて立っていた。彼女の顔には優しい笑みが浮かんでいるが、目は少し疑わしそうに部屋の中をのぞき込んでいる。

「何してたの?なんか、慌ててたみたいだけど」

「何も……ただ、ちょっとネットを見てただけ」

陳小峰は後ろ頭をかきながら、視線を逸らした。

小雅は黙って彼の顔を見つめた。数秒の沈黙が、部屋の空気を重くする。彼女は袋をキッチンテーブルに置き、背を向けたまま言った。

「最近、小峰が時々、上の空みたいなんだ。何か悩み事?」

その声には、優しさと同時に、切なさが混じっていた。陳小峰は答えを探すように口を開き、閉じた。

「疲れてるだけだよ。研究がちょっと忙しくて」

彼は力なく笑った。「心配しないで」

小雅は振り返り、彼の目をじっと見つめた。その瞳の奥には、何かを見透かそうとする鋭さがあった。しかし、彼女はそれ以上追及しなかった。ただ、小さくため息をついて、買い物袋から野菜を取り出し始めた。

「夕飯、一緒に食べよう。最近、二人でご飯食べてないから」

その言葉に、陳小峰の胸が締め付けられた。彼女は何も知らない。自分の心の闇も、毎日のように繰り返される妄想も、すべてを。

夜、小雅が隣で寝息を立て始めた後も、陳小峰は目を閉じられなかった。天井を見上げながら、昼間に読んだ小説の一場面が頭の中をぐるぐると回る。小雅が他の男と——特に張小龙と——絡み合う姿が、鮮明に浮かんでくる。

「俺は、本当に彼女を愛しているのか?」

自問しても、答えは出ない。ただ、指先が無意識にスマートフォンを探し、ポルノサイトのブックマークを開いている自分がいる。画面の明かりが、暗い部屋の中で彼の歪んだ表情を浮かび上がらせた。

翌朝、小雅は早くに出かける準備をしていた。彼女が背を向けて眼鏡をかけ直す姿を、陳小峰はベッドからじっと見つめていた。

「今日は遅くなるから、先に寝てて」

小雅は振り返らずに言った。その声は、昨日より少し冷たく感じられた。

「わかった」

陳小峰は答えたが、彼女はもうドアを閉めていた。鍵がかかる音が、部屋に虚しく響く。

一人になった部屋で、彼は再びパソコンを開いた。昨夜の小説の続きが、待っているかのように画面上に表示されていた。指がマウスをクリックする。小雅と張小龙の妄想が、また始まる。

その時、窓の外を小雅の後ろ姿が横切った。彼女はスマートフォンを耳に当て、何かを話しながら歩いている。その口元には、陳小峰には向けられたことのない、くだけた笑顔があった。

彼はその光景を、カーテンの隙間からじっと見つめた。胸の奥で、何かが軋む音がした。

「小龍……?」

呟いた名前は、部屋の静けさに溶けて消えた。スマートフォンの画面に、張小龙からLINEが届いている。『今夜、暇?久しぶりに飲まないか?』

陳小峰はそのメッセージを見つめながら、ゆっくりと『いいよ』と打ち込んだ。指先が、わずかに震えていた。

酩酊の夜

夜風が肌寒く感じられる頃、陳小峰はすでに三本目のビールを空けていた。彼の隣に座る張小龙は、酒の勢いもあって顔を赤らめ、笑いながら何かを話している。だが陳小峰の耳には、その言葉がほとんど入ってこなかった。

「おい、小峰、大丈夫か?結構飲んでるぞ」

張小龙が肩を軽く叩くと、陳小峰は顔を上げ、ぼんやりとした目で彼を見た。頭の中は濁った酒のような思考が渦巻いていた。小雅のことを考えていたのだ。彼女の優しい笑顔、触れたときの温もり。そして、自分が抱える暗く歪んだ欲望のことを。

「俺、ちょっと…気持ち悪いかも」

陳小峰はスマホを取り出し、震える指で小雅に電話をかけた。

「もしもし?小峰?どうしたの、声が変だよ」

電話の向こうで、小雅の心配そうな声が聞こえる。

「ごめん…迎えに来てくれないか?俺、もう動けなくて…」

場所を伝えると、小雅はすぐに「今行く」と言って電話を切った。陳小峰はスマホをテーブルに置き、深く息を吐いた。その様子を、張小龙は何かを考えるように見つめていた。

寮の部屋で、小雅は手早く服を着替えていた。キャミソールの上に薄手のカーディガンを羽織り、黒いストッキングにショートパンツを合わせる。髪を軽く整えていると、ルームメイトの小燕がベッドから顔を出した。

「小雅、こんな時間に出かけるの?誰と?」

「彼氏が酔ってるみたいで、迎えに行くの」

小雅はバッグを手に取り、ドアへ向かう。

「気をつけてね。夜遅いし、あまり長引かせないようにね」

小燕の言葉に、小雅は「わかってる」とだけ答え、部屋を出た。階段を急ぎ足で降りながら、彼女の胸には不安が広がっていた。最近の小峰の様子がおかしい。何かを隠しているような、落ち着かない雰囲気がある。それに、彼が親友の小龍と二人きりで飲んでいるというのも、なぜか気にかかった。

現場に到着した小雅は、ベンチにぐったりと寄りかかる小峰と、その横でタバコを吸っている小龍の姿を認めた。彼女は早足で近づき、小峰の肩に手を置いた。

「小峰!何してるのよ、こんなになるまで飲んで。心配したんだから」

小峰はゆっくりと顔を上げ、小雅を見ると、悲しげな笑みを浮かべた。

「ごめん…小雅。心配かけたな…」

「もう、帰るよ。立てる?」

小雅が腕を貸そうとすると、張小龙が立ち上がり、にこやかな笑顔を見せた。

「悪いな、小雅。俺がもっと気をつけてやればよかったんだが、つい飲ませすぎちまった」

その言葉とは裏腹に、張小龙の視線は小雅の体を舐めるように這っていた。キャミソールの襟元から覗く鎖骨、ストッキングに包まれた細く伸びる脚―。彼の喉が小さく動いた。

「いえ、小龍さんが気にすることじゃないです。小峰が自分で加減できないのが悪いんですから」

小雅はそう言いながらも、小龍の視線に気づかないふりをした。胸の奥で、何かが引っかかる。彼の目には、親切心以外の何かが潜んでいるように思えた。

「よかったら、俺も一緒に送るよ。一人で酔っぱらいを支えるのは大変だろ」

張小龙が申し出ると、小雅は少し迷ったが、断るのも気まずくて頷いた。

「そうですね…ありがとうございます」

夜道を三人で歩きながら、小雅は小峰の腕をしっかりと支えていた。小峰の体温が、酒の匂いとともに伝わってくる。彼の重さが、小雅の肩にのしかかる。一方、張小龙は一歩後ろを歩きながら、小雅の後ろ姿をじっと見つめていた。ショートパンツから伸びる太もも、腰のライン…彼の手が微かに震えた。

「最近、小峰は何か悩んでるんじゃないか?なんか、様子が変だと思ってさ」

張小龙が突然口を開いた。

小雅は一瞬足を止め、振り返った。

「…そうですね。私も最近、小峰が何か隠してる気がして。でも、聞いても『大丈夫』って言うだけで」

「彼なりのプライドってやつかもしれないな。でも、小雅がちゃんと見てやってくれよ。俺も友達としてできることはするから」

その言葉には、表向きの友情と、その裏に潜む欲望が混ざっていた。小雅はその二重性に気づかないまま、感謝の言葉を述べた。

「ありがとうございます。小峰には、本当にいい友達がいて」

数分後、小峰のアパートに着いた。小雅は小峰を部屋まで連れて行き、ベッドに寝かせた。張小龙は玄関先で待っていると言い、彼女が小峰を落ち着かせる間、部屋の外に立っていた。

小雅が手早く水とタオルを用意し、小峰の額を拭いていると、彼はうつらうつらしながら口を開いた。

「小雅…俺、お前を大事に思ってるんだ。本当だ…」

「うん、知ってる。今日はもう寝なさい」

小雅の優しい声に、小峰は安心したように目を閉じた。小雅は彼の寝顔をしばらく見つめ、それから立ち上がった。

玄関に出ると、張小龙が壁にもたれてスマホをいじっていた。

「お待たせしました。今日は本当にすみません」

「いや、気にすんな。それより、小雅、大丈夫か?帰りは一人で大丈夫か?」

張小龙の口調には、心配そうなふりをした気遣いが込められていた。

「大丈夫です。寮まで近いですし」

「そうか…でも、もし何かあったら連絡してくれ。俺でよければいつでも力になる」

その言葉に、小雅は微笑んだ。

「ありがとうございます。おやすみなさい」

彼女が去っていく背中を見送りながら、張小龙は唇を舐めた。闇の中で、彼の目は獲物を狙う獣のように光っていた。

「…楽しみだな」

呟きは、夜風に消えた。

階段での接触

第四章:階段での接触

夜風が冷たく頬を打つ中、小雅は必死の思いで陳小峰の体重を支えていた。彼は酒臭い息を吐きながら、だらりと彼女の肩に寄りかかっている。足元はふらつき、まっすぐ歩くことすらままならなかった。

「小峰、もう少ししっかりして!」

小雅が焦った声をあげると、小峰はうわごとのように何かを呟くばかりで反応がない。

その時、小龍がタクシーを停めるよう手を挙げた。黄色い車体が路肩に寄り、三人はもつれ合うように後部座席に乗り込んだ。小雅は小峰を真ん中に座らせ、自分は左側に、小龍は右側に位置した。

車内は沈黙に包まれていた。小雅は小峰の頭を自分の肩に預けさせながら、ふと前屈みになって運転手に行き先を告げようとした。その瞬間、ブラウスの襟がわずかに開き、彼女の豊かな胸の谷間が一瞬、小龍の視界に飛び込んだ。

小龍の喉がごくりと鳴った。彼はすぐに目をそらしたが、心臓は早鐘を打ち始めていた。酔いが回っているせいか、理性の箍が緩んでいくのを感じる。

タクシーが彼らの住む賃貸アパートの前に停まった。小雅は小峰をなんとか外に引きずり出そうとするが、彼の体重にふらついてしまう。

「小龍さん、手伝ってもらえますか?」

小雅は困ったように頼んだ。

「ああ、もちろん」

小龍は素早く小峰のもう一方の腕を支え、二人がかりで彼をタクシーから降ろした。

アパートの入り口に着くと、古びた蛍光灯がひときわ暗く灯っていた。階段は狭く、三人が並んで登るのは難しい。小雅が先に立ち、後ろから小龍が小峰を支えながら一段一段上がっていく。

三階に差し掛かった時、小雅の足が空いた段差に引っかかった。

「あっ!」

彼女はバランスを崩し、後ろに倒れかけた。

小龍は瞬間的に反応した。左手で小峰を壁に押し付けて支え、右手を素早く伸ばして小雅の腰を受け止めた。しかし、彼女の体が落下する勢いで、彼の手は自然と彼女の胸の膨らみに触れてしまった。

柔らかな感触が掌に広がる。小龍の指が無意識にその形を確かめるようにわずかに動いた。酔いと欲望が混ざり合い、彼の理性は薄れかけていた。

小雅は一瞬息を呑んだ。顔が一気に赤く染まる。しかし、事故だったのだと思い直し、恥ずかしそうにうつむいた。

「す、すみません…ありがとうございます」

彼女は小声で礼を言いながら、体を引き離した。

小龍も慌てた様子で手を引っ込めた。

「い、いや…大丈夫か?気をつけろよ」

彼は平静を装って言ったが、心の中では荒れ狂う欲望が抑えきれずにいた。触れた場所の柔らかさがまだ手のひらに残り、全身の血液が逆流するような感覚が彼を襲う。

「もう少しだから…頑張ろう」

小雅は再び前を向き、階段を登り始めたが、心臓はまだ激しく打ち続けていた。後ろから小龍の視線を感じるような気がして、背中がゾクリと粟立つ。

小樓はその後ろ姿をじっと見つめながら、唇を噛み締めた。やはり彼女は魅力的だ。友達の彼女だと分かっていながら、もう止められない何かが彼の中で蠢き始めていた。

秘密の露呈

小龍が去った後、部屋には沈黙が降りていた。小雅はため息をつき、ベッドに横たわる陳小峰の衣服を整え始めた。彼のシャツのボタンを留め直し、ズボンのしわを伸ばす。アルコールの匂いがまだ部屋に漂い、彼の顔は苦しそうに歪んでいた。

彼女が彼のベルトを直そうと手を伸ばすと、何かが床に落ちる硬い音がした。見下ろすと、彼のスマートフォンがフローリングに落ちていた。小雅はそれを拾い上げ、画面を確認しようとした。その瞬間、指が誤って電源ボタンに触れた。

画面が明るく点灯した。ホーム画面には見慣れた壁紙が映っているだけだったが、その下にフォルダ名が浮かび上がった。

「寝取られコレクション」

小雅の手が止まる。心臓が一瞬跳ねた。何だこれ? 彼がこんなフォルダを持っているなんて知らなかった。胸の奥に小さな不安が広がる。彼のプライバシーを侵すのは気が引けたが、その言葉の意味が頭から離れない。寝取られ――彼女はその言葉を聞いたことがあった。誰かの恋人が他の誰かに奪われるという、歪んだ性癖のことだ。

彼女は一度だけ、部屋の入り口を見やった。誰もいない。小龍はもう帰ったはずだ。息を呑み、指は震えながらフォルダをタップした。

フォルダの中には、十数個の文書ファイルが並んでいた。タイトルが次々と目に飛び込んでくる。

『僕の彼女を売る』

『僕の彼女が昏睡レイプされる』

『隣の部屋で響く彼女の喘ぎ声』

『親友に抱かれる僕の恋人』

小雅の呼吸が浅くなる。頭がくらくらした。何かの冗談だと思いたかった。しかし、続けて目にしたタイトルが、彼女の心をさらに締め付けた。

『僕の彼女が僕の寝取られフェチを満たすために僕の兄弟を誘惑する』

そのタイトルが、彼女の頭の中で反響した。彼女の彼氏が、小龍と――いや、ありえない。小龍は彼の親友だ。そんなこと、あるはずがない。しかし、小雅はその文書を開かずにはいられなかった。

タップ一つで、文書が開かれた。最初の一行が彼女の視界に飛び込む。

「僕は玄関の陰から、彼女が僕の兄弟と寝室に入っていくのを見つめた。彼女のドレスが床に落ち、彼の手が彼女の背中を撫でる……」

小雅の手が震えた。文字を読むたびに、それは彼女自身の姿を描写しているように思えた。彼女のドレス。彼女の背中。兄弟とは、まさに張小龙のことだ。彼女はその文書を最後まで読む勇気がなかった。ただ、その一部を読んだだけで、自分の心臓が破裂しそうだった。

文書の一番下には、更新日時が表示されていた。昨日の夜、彼が一人でいた時間帯だ。彼は何時間もこれを読んでいたのか。彼の性的幻想の対象が、彼女自身であることを確信し、胸の奥に冷たい何かが走った。

小雅はスマートフォンを机の上に置き、何もなかったかのように装おうとした。しかし、手が震えて力が入らない。彼の寝顔を見た。穏やかな表情で、まるで何の罪悪感もないかのようだ。しかし、その無垢な顔の裏には、彼女を売り物にし、彼女がレイプされるのを楽しみにする男がいる。

「何てこと……」彼女は小さく呟いた。声は震え、涙が込み上げてきた。

彼女は立ち上がり、窓辺へ歩いた。外の街灯が薄暗く光っている。脳裏には、あの文書の一節がこびりついて離れない。彼女は親友を誘惑する女として描写されていた。何の抵抗もなく、むしろ積極的に彼の欲望を満たすために体を差し出す存在として。

それは彼女の知る自分ではなかった。でも、陳小峰にとっては、それが理想の彼女なのだろうか? 彼の性的な空想が、現実の彼女をどこかで操作しようとしているのだろうか?

小雅は深く息を吸い、振り返ってベッドの上の男を見た。愛していると思っていたのに、今はただの見知らぬ人のように感じられた。彼の秘密は、彼女の彼に対する信頼を根底から揺るがしていた。

夜はまだ長く、小雅は眠れずに明け方までその場に立ち尽くしていた。陳小峰の寝息は変わらず、安らかに響いていた。しかし、この部屋にはもう幸福はなかった。ただ、露呈された秘密だけがあった。

心の嵐

第6章 心の嵐

夜の闇が部屋を包み込んでいた。窓の外から差し込む月明かりだけが、かすかに室内を照らしている。小雅はベッドの端に座り、静かな寝息を立てている陳小峰を見つめていた。

彼の寝顔は、まるで何も悩みなどないかのように無邪気だった。かつてはその寝顔を見るだけで、心が温かくなったものだ。しかし今は違う。胸の奥で渦巻く複雑な感情が、彼女の心を激しく掻き乱していた。

「なぜ……なぜなの……」

小雅は唇を噛みしめ、涙をこらえた。彼女の脳裏には、これまでの二人の思い出が走馬灯のように浮かんでは消えていく。

初めて彼に告白された日のこと。図書館で偶然隣に座り、彼が緊張しながら差し出したコーヒーの温かさ。デートのたびに彼が見せた優しさ。手を握る時の震え。すべてが偽りの上に成り立っていたのだろうか。

「あの動画……あれは何?私を……ただの……?」

小雅は自分のスマートフォンを握りしめた。先ほどこっそりと撮影した彼のスマートフォンの画面。そこには、彼女の知らない卑猥な画像と、彼自身の手が映り込んでいた。彼が誰に向けて、あるいは何を目的としてそのような動画を見ていたのか。想像するだけで吐き気がした。

「私と一緒にいる時も……彼はあんなことを考えていたの?」

彼女は震える手でスマートフォンを操作し、親友の小燕にメッセージを送ろうとした。しかし何度も打ち直し、結局送信ボタンを押せない。何をどう説明すればいいのか。自分が彼氏の性的な異常性に気づいてしまったことを、どう伝えればいいのか。

小雅は深く息を吸い、もう一度スマートフォンを握りしめた。今度は迷わず、小燕の連絡先を開き、短いメッセージを打ち込んだ。

「小燕、明日話したいことがあるの。重要なこと。時間作ってくれる?」

送信ボタンを押した瞬間、彼女の心臓が大きく跳ねた。しかし返事を待つ間もなく、彼女は画面をオフにし、スマートフォンを枕元に置いた。

再び陳小峰の寝顔を見つめる。彼は何も知らずに、気持ちよさそうに眠っている。その無防備な姿が、かえって小雅の心を深く傷つけた。

「どうして……どうして私に言ってくれなかったの……?」

彼女は声に出さずに呟いた。もし彼が自分の性癖を打ち明けてくれていたら、もしかしたら二人で向き合えたかもしれない。しかし彼は隠し続けた。自分の欲望のために、彼女を利用していたのかもしれない。そう考えると、胸が張り裂けそうだった。

部屋の中は静まり返っている。時計の針の音だけが、規則正しく響いている。小雅は一睡もできずに、ただただ時間が過ぎるのを待った。

外が白み始めた頃、彼女は決心した。立ち上がり、自分の荷物をまとめ始める。急いでいるわけではないが、もうこの部屋にはいられなかった。

彼女は最後にもう一度陳小峰を見つめた。寝返りを打った彼の手が、何かを探すように虚空を掴む。小雅はその手を見て、一瞬躊躇した。しかしすぐに視線をそらし、静かにドアノブを回した。

玄関を出る直前、彼女は振り返って部屋を見渡した。思い出の詰まった場所。しかし今は、ただの虚ろな空間にしか見えなかった。

「さようなら……小峰……」

小さな声で別れの言葉を呟き、彼女はドアを閉めた。かすかに鍵の音が響き、彼女の足音が遠ざかっていく。

部屋の中では、陳小峰がまだ眠り続けていた。彼が目を覚ました時、小雅の姿はどこにもない。彼女がこの夜に何を見て、何を感じ、そしてなぜ去ったのか。彼はまだ何も知らない。ただ、枕元に置かれたスマートフォンの画面が、淡い朝日を反射して光っていた。

探りと葛藤

寮のドアを閉めた瞬間、小雅の指先はまだ震えていた。カバンを床に落とし、そのままベッドに沈み込む。頭の中は嵐の後のように混乱していた。

「小雅、どうしたの?顔色がすごく悪いよ」

ルームメイトの小燕が心配そうに近づいてくる。小雅は唇を噛みしめ、しばらく迷った末に、ようやく口を開いた。

「小燕……私、陳小峰の携帯の中を見ちゃったの」

「え?何があったの?」

小雅は声を潜め、震える声でスマホに保存された写真や動画のことを打ち明けた。話せば話すほど胸が締め付けられ、涙がこぼれそうになる。

小燕は眉をひそめ、しばらく沈黙した後、真剣な口調で言った。

「直接問い詰めるべきよ。そんなの、普通じゃない」

「でも……もし誤解だったら?」

「誤解って、あなたの彼氏がこっそりあなたのプライベートな瞬間を撮ってるのよ?しかも、あの張小龙って男に見せてたかもしれないんでしょ?そんなの、誤解で済ませていい問題?」

小雅は答えられなかった。指が無意識にシーツの端をぎゅっと握りしめる。頭の中は相反する感情で渦巻いていた。怒り、裏切られた悲しみ、そして得体の知れない罪悪感——自分が何か彼をそうさせてしまったのではないかという恐怖。

「とりあえず、まずは彼の反応を見てみるわ。直接聞く前に」

小雅の声は小さく、ほとんど独り言のようだった。

翌朝、陳小峰は頭を抱えて目を覚ました。二日酔いの鈍い痛みがこめかみを刺す。彼はゆっくりと体を起こし、無意識に枕元の携帯を探った。

手に取った瞬間、違和感が走った。

充電器が繋がれていない。確か昨夜は寝る前に充電したはずだ。ベッドから落ちていたのだろうか?それとも酔って自分で動かしたのか?彼は首をかしげながらも、深く考え込む余裕はなかった。

その時、部屋のドアが開き、小雅が朝食の袋を手に立っていた。いつもと変わらない優しい微笑み。だが、どこか目の奥が違う気がする。陳小峰はその視線に一瞬たじろいだ。

「おはよう。頭痛い?」

「うん……ちょっと。ありがとう」

小雅は黙って袋をテーブルの上に置き、ベッドの端に腰掛けた。沈黙が部屋を満たす。陳小峰は落ち着かず、視線をそらした。

「そういえば、昨日小龍と一緒に飲んでたんだって?」

小雅が何気なく話題を出した。陳小峰の肩が微かに跳ねる。

「あ、ああ。ちょっとだけな」

「彼、最近なんか言ってた?変わったこととか」

「いや、別に。普通の話だけだよ」

陳小峰の声が少し上擦っていた。小雅はそれを見逃さなかった。心臓が大きく脈打ち、胸の奥で疑念が確信に変わる瞬間を感じる。

「そう……ならいいんだけど」

小雅は立ち上がり、冷めた口調でそう言った。ドアのところで振り返り、一瞬間を置いてから付け加えた。

「今日の昼、一緒にご飯食べない?話したいことがあるの」

陳小峰の顔色が一瞬で青ざめた。彼はごくりと唾を飲み込み、何とかうなずいた。

小雅が部屋を出ていく足音が遠ざかる。陳小峰はその場に座り込んだまま、額に冷や汗が浮かんでいた。何かを知られたのか?いや、まさか。あの写真はちゃんとロックフォルダに入れてある。酔って操作ミスをしたはずがない。

だが、彼の指先は小さく震えていた。

欲望の蔓延

第8章 欲望の蔓延

陳小峰はスマートフォンの画面を凝視していた。小雅からの返信は既読がついたまま、三時間が経過していた。彼女はいつもならすぐに返事をくれる。たとえ忙しくても、スタンプの一つくらいは送ってくるものだ。

「何かあったのかな…」

彼はベッドの上で寝返りを打ち、何度目かのメッセージを開いた。先週までは普通だった。二人で公園を散歩し、彼女が焼いたクッキーを食べながら、他愛のない話で笑い合った。だがここ数日、小雅の態度は明らかに変わっていた。言葉の端々に冷たさが混じり、デートの誘いも「ちょっと疲れてる」と断られることが増えた。

胸の奥が締め付けられるような感覚が、彼を苛んだ。何がいけなかったのか。自分の秘密——あの歪んだ嗜好が、彼女に伝わってしまったのだろうか。いや、そんなはずはない。小雅は何も知らないはずだ。ただの気のせいだ。

だが、その不安を打ち消すように、彼の指は無意識にスマホのブラウザを開いていた。お気に入りのポルノサイトのブックマーク。そこには、夫の前で他の男に抱かれる妻たちの動画が並んでいる。彼は唾を飲み込み、ゆっくりとそのアイコンをタップした。

画面に映るのは、知らない男女の痴態。だが陳小峰の脳裏には、なぜか小雅の顔が重なった。彼女が――見知らぬ誰かに抱かれている姿。彼女の悲鳴。苦しそうな表情。その想像が、彼の下半身を熱くさせた。

「あ…だめだ…」

罪悪感と興奮がせめぎ合う。彼は抵抗を諦め、ベルトを緩めた。指が動くたびに、頭の中の映像は鮮明になる。小雅が張小龍に肩を抱かれているところ。彼女の頬が赤く染まり、小龍の胸に顔をうずめている。自分はそれを、部屋の隅からじっと見つめている。

「ああっ…!」

一瞬の快楽の後、彼の身体は崩れ落ちた。温かいものが腹部に広がり、同時に冷たい虚無感が全身を包む。手に残った粘つく感触が、自分のやったことを嫌でも思い出させる。彼は天井を見上げ、ゆっくりと息を吐いた。

「俺は…何やってんだろう」

後悔が渦巻く。またやってしまった。何度も繰り返すこのパターン。欲しがる自分がいる一方で、その後に必ず訪れる自己嫌悪。小雅が冷たくなったのは、こんな自分に気づいたからではないか。そう思うと、ますます自分が嫌になる。

その時、スマホが通知音を鳴らした。画面を見ると、張小龍からのメッセージだった。

「元気か?最近小雅から連絡来てるか?心配でさ」

陳小峰は眉をひそめた。小龍が小雅に連絡をする理由はないはずだ。だが彼は気遣いのふりをして、よく小雅に電話やメッセージを送っている。最初は「峰が頼りないから、お前の彼女を守ってやってる」と笑っていた。だが最近、その回数が増えていることに陳小峰は気づいていた。

一方、林小雅もまた、その連絡に戸惑っていた。小龍から届く「峰は大丈夫か?何かあったら俺に言ってくれ」というメッセージ。優しさに見せかけたその一言一言が、彼女の胸に引っかかる。彼女は礼儀正しく「大丈夫です。ありがとう」と返すが、どこか居心地の悪さを感じていた。

「小龍さん、あんまり連絡してこないでほしいな…」

彼女はため息をつき、スマホを机に置いた。だが、その直後に再び通知が来る。今度は小龍からだった。

「もしよかったら、今度三人で飯でも行かないか?峰の様子もちょっと見たいし」

小雅は少し迷った。断る理由もないし、陳小峰の様子を気にかけているのは確かだ。最近の彼は、どこか落ち着きがなく、目を合わせようとしない。何か隠しているような雰囲気がある。

「わかりました。日を決めましょう」

彼女はそう返信した。だがそのやり取りを、陳小峰は偶然目にしていた。小龍が小雅に送ったメッセージ。小雅の返事。内容は普通のものだった。だが二人が連絡を取り合っているという事実そのものが、彼の胸を焼いた。

嫉妬。そしてその裏に湧き上がる、言いようのない興奮。まるで自分の頭の中で描いていたシナリオが、現実になりつつあるかのようだった。

「まさか…な」

彼は首を振り、その考えを打ち消そうとした。だが体の中に広がる熱は、簡単には冷めなかった。