# 第10章
朱雀門の女修たちは、目の前の光景に恐怖で身を震わせていた。
山門前の広場には、無数の陣法が幾重にも重なり、その中心に副門主・離雀が吊るされていた。彼女の赤い長髪は乱れ、スポーティーな体は無数の鞭痕と板痕で覆われている。陣法が幻化した鋼鞭が空気を裂き、彼女の尻に容赦なく打ち下ろされる。
「ぐうっ…!」
離雀は歯を食いしばり、声を漏らさぬよう必死に耐える。しかし、その尻は既に腫れ上がり、皮が裂けて血が滲んでいた。
玄罰は冷めた目でそれを見つめ、やがて淡々と言った。
「頑迷だな」
彼は懐から一物を取り出した。神姜——天材地宝の中でも特に希少な霊物で、その辛味は尋常ではない。玄罰は気勁でそれを削り、長い棒状に成形する。
「緋」
「はい、主人」
緋が優雅に歩み寄る。裸身に黒い奴隷の首輪をつけた龍族の妖尊は、炎のように赤い髪を風に揺らし、美しい顔に艶めかしい笑みを浮かべていた。
「あ…あなた、何を…!」
離雀の目に初めて恐怖の色が走る。彼女は必死に身をよじったが、陣法の拘束から逃れられない。
緋は軽やかな動きで離雀の背後に回ると、手を伸ばして彼女の尻の裂け目に触れた。
「離れるな…!触るなっ!」
「大人しくしていなさい」
緋の声は優しく、まるで幼子をあやすようだった。しかしその指は確実に離雀の肛門を探り当て、優しく押し広げる。
「いやあああっ!」
離雀の悲鳴が響く。その叫びは、彼女の高慢な性格からは考えられぬほど、弱々しく悲痛だった。
玄罰は無造作に姜の棒を差し出した。緋がそれを受け取り、ゆっくりと離雀の肛門に挿入する。
「ひぎいいいいいっ!!」
離雀の体が激しく痙攣する。姜の辛味が粘膜を焼き、耐え難い灼熱感が体内を駆け巡る。彼女の肛門は急速に腫れ上がり、赤く爛れたように変色していく。
「た…たすけ…」
離雀の声は掠れていた。涙が頬を伝い、高慢だった赤い瞳が濁り始める。
玄罰は手を挙げ、陣法を操作する。すると空中に鋼鉄の鉤が現れ、その先端は鋭く曲がっていた。
「まさか…」
離雀の目が恐怖に見開かれる。
肛鉤——それは肛門に鉤を引っ掛けて吊るす、拷問具の中でも最も残酷なものの一つだ。
玄罰が指を一つ動かすと、鉤が動き出し、腫れ上がった離雀の肛門に突き刺さった。
「があああああっ!!」
離雀の全身が激しくのたうち回る。肛鉤が直腸を引き裂き、耐え難い痛みが脊髄を駆け上がる。彼女の体は逆さまに吊り上げられ、その重みが全て肛門にかかる。
「ふ…ふざけるな…!お前たち…!」
離雀は気力を振り絞って叫ぶ。しかしその声は震え、傲慢さの欠片もなかった。
「あらあら、まだ元気ね」
その時、楽しそうな声が響いた。林巧心がにこにこと笑いながら歩いてくる。彼女もまた裸身で、首に奴隷の首輪をつけていた。
「私にも遊ばせてよ、主人」
「好きにしろ」
玄罰の冷淡な許可に、林巧心の笑顔が深まる。
彼女は手を掲げると、空中に陣法が展開される。その陣から現れたのは、無数の鞭——ただし通常の鞭とは違い、表面に無数の棘が生えていた。
「さあて、離雀先輩。覚悟はいい?」
「く…来い…!」
離雀は歯を食いしばり、抵抗の意思を示す。
だが、最初の一振りが炸裂した瞬間、その意思は粉々に砕け散った。
「があああっ!」
棘付きの鞭が腫れ上がった尻を直撃する。一振りごとに皮が裂け、血が飛び散る。特に肛門周辺を攻められると、姜の辛味が再燃し、彼女の意識を朦朧とさせる。
「どうしたの? もう限界?」
林巧心は楽しそうに鞭を振るう。その手加減のない打撃に、離雀は次第に声も出せなくなっていく。
「や…やめ…」
「え? 何か言った?」
「やめろ…と言っている…!」
離雀は歯を食いしばり、血走った目で林巧心を睨む。しかしその目には、すでに堕落の影が差し始めていた。
「勝負だ…!」
彼女は震える声で叫んだ。
「私が勝ったら…お前たち…すべてを…!」
「勝ったら?」
林巧心が首をかしげる。
「勝ったら…お前の女奴隷になってやる…!」
その言葉に、林巧心は嬌声を上げて笑った。
「あははは! 何言ってるのよ、離雀先輩? あなた、私にすら勝てないのに、主人と勝負しようだなんて?」
「う…」
離雀は言葉を失う。確かに今の自分は、化神初期の林巧心にすら為す術なく打ちのめされている。
「まあいいわ。その意気や良し。主人、いかがなさいます?」
林巧心が振り返ると、玄罰は無言で前に進み出た。
「来い」
その一言に、離雀は全身の力を込めて空中で体勢を整える。肛鉤の苦痛に顔を歪めながらも、彼女は構えを取った。
しかし。
次の瞬間、彼女の視界は暗転した。
何が起きたのか理解できない。ただ、玄罰が指を一つ動かしたように見えた刹那、彼女の意識は闇に飲み込まれ、気が付けば地面に倒れていた。
「一撃…?」
離雀は呆然と呟く。化神初期、同境界では無敵と自負していた自分が、一撃も防げずに敗れた。
「当然よ」
林巧心が笑いながら近づいてくる。
「主人は化神大円満。世界最強のお一人よ。あなたごときが敵う相手じゃないわ」
離雀は唇を噛み締めた。悔しさと屈辱が胸を灼くが、同時に——ある種の解放感も感じていた。
自分より強い者に従う。それが彼女の信条だった。
「…わかった」
彼女はゆっくりと頭を下げた。
その時、玄罰が手を差し出した。彼の掌には小さな世界が浮かんでいる——玄天界。
「入るがいい」
その言葉に、離雀は何の抵抗もなく頷いた。
次の瞬間、彼女の体は光に包まれ、玄天界の中へと吸い込まれた。
中は広大で、無数の空間が広がっている。それぞれの空間には、女奴隷たちが修行に最適な環境と古籍が備えられていた。しかし、決して服を着ることは許されない——その規則が、彼女の魂に刻まれる。
「う…」
離雀が自分の首に手をやると、そこには黒い奴隷の首輪が現れていた。緋や林巧心と同じ、玄罰の所有を示す証。
「さて、新入りに規則を教えてあげるわ」
林巧心がにこにこと笑いながら現れる。その隣には緋もいた。
「玄天界ではね、女奴隷はそれぞれ専用の空間を持つことができるの。修行に最適な環境と古籍が備えられていて、自分の修行方向に合わせて選べるのよ」
「代償は?」
離雀が問う。林巧心の笑顔が深くなる。
「代償——そうね。毎日、天道木板による尻叩きを二百回受けてもらうわ」
「…なに?」
離雀の顔が青ざめる。
天道木板——それは天道の力を宿した板で、打たれるたびに絶大な苦痛を与える。通常の修行者なら、一度の刑で数日は動けなくなるという。
「毎日二百回…?」
「そうよ」
林巧心は自分の尻を指さした。そこはいつも赤く腫れ上がっている。
「私の尻がいつもこんな状態なのも、そのおかげよ」
「ふん」
緋が軽く笑った。
「一日二百回など、尻をかゆがらせるにも足りないわ」
「誰もが緋姉のような、尻を叩かれれば叩かれるほど楽しくなる変態じゃないんですよ」
林巧心は肩をすくめる。
「それに、あなたは龍族の血統で回復力が強いから、普通の修仙者ならあんなに何度も板を打たれていられません」
離雀は震え上がった。龍族の血統を持つ緋でさえ、天道木板の刑を軽く見ているわけではない。それが毎日二百回——考えただけで身の毛がよだった。
その時、空中に天道木板が現れた。
「…来たわね」
林巧心が呟く。
天道木板は規則を執行する。新たな女奴隷が玄天界に入れば、すぐに最初の刑が執行されるのだ。
離雀は深く息を吸った。そしてゆっくりと膝をつき、両手を地面について、尻を高く突き出した。
「…覚悟はできている」
その声は震えていたが、確かな決意がこもっていた。
天道木板が動き出す。それは離雀の背後に回ると、一瞬の間をおいて——
「がああああっ!!」
最初の一撃が炸裂した。腫れ上がった尻に、木の板が直撃する。その衝撃で、彼女の視界が白く染まる。
二撃目、三撃目——天道木板は容赦なく打ち下ろされる。普通の板とは違い、天道の力が込められたそれは、魂そのものを打ち据えるような感覚を与えた。
「ぐうっ…! ああっ! ひっ!」
離雀の声が断続的に漏れる。彼女の尻は既に皮が裂け、肉が露わになっている。しかし木板は止まらない。
十撃、二十撃——数えるのも苦痛だった。百撃を超えた頃には、彼女の意識は朦朧としていた。
「まだまだよ」
林巧心の声が遠くに聞こえる。
百五十撃——離雀の悲鳴はすでに声にならず、ただ空気を震わせるだけだった。
二百撃——最後の一撃が炸裂した瞬間、彼女の体が激しく痙攣し、そのまま地面に倒れ込んだ。
「…はあ…はあ…」
荒い息を繰り返す離雀。彼女の尻は見る影もなく、真っ黒に腫れ上がり、裂けた肉からは血が滴っている。
しかし、それでも彼女は立ち上がった。
よろめきながらも、玄罰の前に跪き、深く頭を下げる。
「雀奴…」
その声は掠れていたが、確かな覚悟が込められていた。
「自ら進んで主人の女奴隷となります。あらゆる惩罚を受け入れる覚悟です」
玄罰は無言でそれを見下ろしていたが、やがて微かに頷いた。
「よかろう」
その一言に、離雀の体から力が抜けた。涙が地面に落ちる——それは悔しさか、それとも解放感か、彼女自身にもわからなかった。