# 第10章 仙儀尽喪、俯首低眉
暗室の空気は澱んで重い。慕天瀾は冷たい石板の上に投げ出され、長く美しい髪が乱れて顔にかかった。先ほどの辱めの記憶がまだ全身を焼き尽くしている。喉の奥には苦い味が残り、唇には他人の体液の匂いが染みついていた。
「立ち上がれ。」
烏勒の声は低く、どこか愉悦を帯びていた。天瀾はゆっくりと身を起こそうとしたが、四肢は震えて力が入らない。暗がりの中で、異域の男が火打石で灯りを点した。揺らめく灯明の光が、天瀾の──かつて宗主として全ての弟子を統べていた男の──今の姿を照らし出す。
「そのまま動くな。」
烏勒が近づいてくる。天瀾は本能的に後退したが、背中は壁にぶつかった。烏勒は天瀾の衣の襟に手をかけ、一気に引き裂いた。裂帛の音が暗室に響く。絹の袍が破れ、白く輝く肌が露わになる。
「やめろ……」
天瀾の声は掠れていた。抵抗する力もなく、ただ震える手で前に残った布切れを押さえる。しかし烏勒はその手を掴み、無造作に押し開けた。
「貴様のような極上の美しい体は、この世に幾つもない。俺の目に狂いはなかった。」
烏勒の声には嘲りと賞賛が混ざっている。天瀾は顔を背けた。白粉を施したように白い頬が朱に染まる。細い腰、豊かな尻、長い脚──男でありながら女よりも艶めかしい肢体が、今や灯明の下に露わになっている。
「こんな体を持って、よくも今まで清らかぶって来れたものだな。」
烏勒の指が天瀾の鎖骨をなぞる。ひんやりとした指先が肌の上を這い、天瀾は全身を震わせた。
「触るな…」
「触るなだと?今更何を言う。さっきはあんなに熱心に俺のものを舐めていたくせに。」
烏勒は笑いながら、天瀾の顎を掴んで無理やり顔を向けさせた。天瀾の瞳には涙が溜まっているが、それでもまだどこか傲慢な光を宿している。その光が、烏勒の心をさらに煽った。
「また舐めろ。」
烏勒は天瀾の頭を押し、自身の股間へと導く。天瀾は抵抗しようとしたが、烏勒の手は容赦なく頭を押さえつける。鼻先に異域の男の麝香のような匂いが漂う。皮の下から現れたそれは、天瀾が先ほど舐めたものだった。
「嫌だ…これ以上は…」
「嫌なら、息子の前で貴様がどんな表情でイったか、教えてやろうか?それとも直接あの者を呼んで、目の前で見せつけてやろうか?」
烏勒の脅しに、天瀾の全身が硬直した。清辞……息子にこれ以上恥ずかしい姿を見せるわけにはいかない。
天瀾は震える手を持ち上げ、烏勒のものを掴んだ。先ほどまで自分の口の中に収まっていたそれが、今また眼前にそびえ立っている。天瀾は目を閉じ、唇を開いて先端を含んだ。
「そうだ…そのまま…舌を動かせ、もっと…」
烏勒の低い喘ぎが暗室に響く。天瀾は涙を流しながら、口を動かし続けた。苦い味と麝香の匂いが口の中に広がる。かつて玄陰宗の宗主として誰にも頭を下げたことのなかった自分が、今や異域の下僕の陰茎を舐めている──その屈辱が天瀾の心を締め付けた。
「よし、もういい。今度は別の味を教えてやる。」
烏勒は天瀾の髪を掴み、引き離した。唾液が銀糸となって天瀾の唇と烏勒のものを繋いだ。天瀾は乱れた呼吸を整えながら、怯えた目で烏勒を見上げる。
「四つん這いになれ。尻をこっちに向けて。」
烏勒の言葉に、天瀾は首を振った。
「そんな格好…できない…」
「できない?ならば、清辞を呼んで来ようか。あの者に父上の淫らな姿を見せてやろう。」
烏勒は笑いながら立ち上がろうとした。天瀾は慌てて烏勒の足にすがりついた。
「待って…待ってくれ…」
天瀾の声は泣きそうだった。ゆっくりと体を起こし、震える手と膝を石床につける。白く美しい背中が丸まり、豊かな尻を烏勒に向けて差し出す──それは犬のように低姿勢で、仙宗の宗主にあるまじき姿だった。
「いいぞ…そのまま…目を開けて俺を見ろ。俺が貴様の体をどう弄ぶか、最後まで見届けろ。」
烏勒は天瀾の腰を掴み、自身のものを後孔に当てた。天瀾は恐怖で息を飲み、手の爪が石床に食い込む。
「いや…見たくない…」
「見なければ、清辞の前で貴様の喘ぎ声を聞かせるぞ。」
烏勒の声は冷たく、有無を言わせない。天瀾は震えながらゆっくりと顔を上げた。涙で潤んだ目が、後ろに立つ烏勒の姿を映す。その男の手が自分の腰を掴み、猛々しいものが自分の後孔に押し当てられている。
「よく見ていろ。貴様の最初の男が、貴様の体を破る瞬間を。」
烏勒が腰を進める。天瀾は息を詰めた。熱く硬いものがゆっくりと侵入してくる。痛みが走る。何かが裂けるような感覚。涙がぽろぽろと石床に落ちた。
「あっ…痛い…」
「まだ入り口だ。これからだ。」
烏勒は腰をぐっと押し込んだ。天瀾の体が弓なりに反る。体内に異物が埋まる感覚──それは苦痛でありながら、どこか満たされるような不思議な感覚も混ざっていた。
「どうだ?俺のものが貴様の狭い中でどれだけ膨れているか、分かるか?」
烏勒は腰を引いてから、また深く突き入れた。天瀾の口から嗚咽が漏れる。痛みと共に、これまで味わったことのない快感のようなものが背筋を走る。
「あっ…ああっ…」
「いい声だ。もっと聞かせろ。貴様が俺に屈する声を。」
烏勒の腰の動きが激しくなる。天瀾の体はそれに合わせて揺れ、豊かな尻が波打つ。石床に擦れた膝が赤くなり、手の指は力なく開かれた。
「見ろ、貴様の体は俺を受け入れて喜んでいるぞ。こんなに濡れている。」
烏勒が腰を動かすたびに、湿った水音が響く。天瀾は自分の体が淫らな音を立てていることに気づき、さらに羞恥に顔を赤らめた。
「違う…そんなはずは…」
「嘘をつくな。貴様の体は正直だ。俺のものが入った瞬間から、貴様の内壁は俺のものを締め付けて離さない。」
烏勒の言葉が、天瀾の心をさらに追い詰める。それでも、体は確かに反応していた。痛みの中にも快楽が混ざり、烏勒の動きに合わせて腰が微かに揺れている。
「俺を見ろ。貴様を抱いている男をしっかりと目に焼き付けろ。」
天瀾は涙に濡れた目を開けた。灯明の光の下で、自分を犯す異域の男の姿が見える。その逞しい体、汗に光る肌、そして自分を貪るような視線。
「いやだ…見たくない…」
「見なければ、このまま清辞のところへ連れて行くぞ。」
烏勒の脅しに、天瀾は必死で目を開け続けた。彼の体が自分を貫く様を、彼の欲望の形を、自分の体がそれを受け入れている姿を──すべてを目に焼き付けろと強要される。
「あっ…ああっ…あっ…」
天瀾の口から次第に喘ぎ声が漏れ始めた。恥ずかしいことに、体が勝手に反応している。痛みよりも快楽の方が強くなり、烏勒の動きに合わせて腰を揺らしている自分がいる。
「いいぞ…その調子だ…もっと声を出せ…」
烏勒の腰の動きがさらに激しくなる。天瀾の体は激しく揺さぶられ、豊かな胸がぶるぶると震えた。喘ぎ声は次第に大きくなり、やがて甘やかな声に変わる。
「ああっ…あっ…もう…だめ…」
「イくのか?俺の前でイくのか?」
烏勒の声が耳元で響く。天瀾は首を振りながらも、体は正直に快楽に酔いしれていた。体内で烏勒のものが脈打ち、自分の中を満たしていく。
「ああっ!あっ!あああっ!」
天瀾の体が痙攣する。自分でも止められない快楽の波に飲み込まれ、甘やかな声を上げて天瀾は達した。その瞬間、自分がどれほど淫らな姿を晒しているか──それが天瀾の心に深い傷を刻んだ。
「お前の体は、俺のものだ。覚えておけ。」
烏勒はまだ満足していなかった。天瀾が息を整える間もなく、再び腰を動かし始める。
「まだ…やめてくれ…」
「俺が満足するまでだ。貴様に拒否権はない。」
烏勒の腰の動きは容赦なく、天瀾はただ受け入れるしかない。涙が止まらず、頬を伝って石床に落ちる。
数刻後、烏勒はようやく満足したように体を離した。天瀾は力なく石床に伏し、荒い息を繰り返していた。白く美しい体には、無数の赤い跡がついている。
「次は清辞を呼ぶか?それとも貴様一人で満足できるか?」
烏勒の言葉に、天瀾は首を振った。息子をこれ以上巻き込みたくない。それは天瀾にとって、最後の矜持だった。
「ならば、俺の目を覚まさせる仕事は貴様に任せる。毎朝、この口で目を覚まさせろ。」
烏勒は天瀾の髪を掴み、顔を自分の股間へと導いた。先ほどまでの戦いでまだ少し膨らんでいるものが、天瀾の目の前にある。
「舐めろ。今日中に三度は出させるぞ。」
天瀾は震える手でそれを持ち上げ、唇を開いた。苦い味と麝香の匂いが口の中に広がる。目から涙が止まらずに流れ落ちた。
「そうだ…そのまま…もっと…」
烏勒の低い声が暗室に響く。灯明の火が揺らめき、二人の影が壁に映る。
一方、暗室の門の外。慕清辞は壁に背を預け、膝を抱えて座っていた。父の喘ぎ声が微かに聞こえてくる。それは苦痛を含んでいるが、どこか甘やかでもあった。
清辞の鼓動は速くなっていた。恐怖と共に、どこか胸の奥で密かな期待が芽生えている。父があれほど屈辱に満ちた声を上げているのに、なぜか自分の体は熱く反応していた。
「父上…」
清辞は震える声で呟いた。門の向こうからは、父の嗚咽と異域の男の低い笑い声が聞こえてくる。清辞は自分の手が無意識に股間へ伸びていることに気づき、慌てて引っ込めた。
「何を考えているんだ…僕は…」
自分を叱りながらも、耳は門の向こうの音を追い続ける。父がどんな仕打ちを受けているのか、想像せずにはいられなかった。
暗室の中。天瀾は口の中のものを吐き出そうとしたが、烏勒はさらに深く押し込んだ。喉の奥に先端が当たり、天瀾はむせた。
「全部飲み込め。俺の種を無駄にするな。」
烏勒の命令に、天瀾は涙を流しながら従うしかない。自分の喉を異域の男のものが上下し、やがて熱い液体が迸る。天瀾はそれを受け入れ、必死で飲み下した。
「よくできたな。」
烏勒は天瀾の頭を撫でた。その手つきは、まるで犬を褒めるようだった。天瀾はその手を振り払うこともできず、ただ俯く。
「明日もまた来る。その時は清辞も呼ぶぞ。」
烏勒は立ち上がると、衣服を整えた。天瀾は石床に伏したまま、動けなかった。体のあちこちが痛み、心はズタズタに引き裂かれている。
「それまでに休んでおけ。今の貴様では、俺を満足させられないからな。」
烏勒は笑いながら暗室を出て行った。軋む音と共に門が閉ざされ、灯明の火が消えた。暗闇の中で、天瀾は声を殺して泣いた。
自分の体が、もう元には戻れないことを知りながら。
かつて玄陰宗の宗主として、高みに立っていた自分。その自分が今や、一人の男の慰み者に成り下がっている。
「どうして…どうしてこうなったんだ…」
天瀾は震える手で自分の体を抱きしめた。冷たい石床の感触が、肌に染み入る。暗闇の中で、自分だけの涙だけが温かかった。
門の外。清辞は父の嗚咽を聞いていた。その声は哀れで、絶望に満ちている。しかし清辞の心には、恐怖とは別の感情が芽生えている。
「僕も…あの男に抱かれるのだろうか…」
その考えが、清辞を震えさせた。恐怖でありながら、どこか期待している自分がいる。父があれほど苦しみながらも、喘ぎ声に混じった甘やかな響き──あれは一体何だったのか。
清辞は自分が知ってはいけない世界の入り口に立っていることを感じていた。戻れない道。もう二度と、以前のような清らかな日々は戻ってこない。
月が雲に隠れ、冷たい風が吹く。玄陰宗の静寂の中、父と子の運命は大きく変わろうとしていた。すべては、あの異域から来た下僕が『玄陰経』の陽巻を手に入れた瞬間から始まった。
その夜、慕天瀾は暗室の冷たい石床の上で、一睡もせずに過ごした。自分の体の全てが異域の男の匂いに染まっている。洗い流しても消えないその匂いが、自分の変わり果てた運命を思い知らせていた。
刻の鐘が遠くで鳴る。新しい一日が始まろうとしている。しかしこの暗室には、時間の流れさえも淀んでいる。
天瀾はゆっくりと体を起こした。あちこちが痛む。屈辱の痕跡が自分の体に刻まれている。もう元の自分には戻れない──その事実が、さらに彼の心を深い闇に突き落とした。
「清辞…」
呟いた声は、虚ろに暗室に響くだけだった。