# 第一章 始まりの起源
趙小天は十八歳の高校三年生だった。
彼には誰にも言えない秘密の癖があった。それは母親の李倩が履いたストッキングに強く惹かれることだった。毎日のように、洗濯カゴに投げ込まれた母親のストッキングを手に取り、鼻に近づけてその匂いを嗅ぐ。汗と柔軟剤と、そして何より母親の身体の匂いが混ざり合ったその香りは、小天の理性を麻痺させた。
彼はスマートフォンで、母親がストッキングを履いた脚を盗撮することもあった。リビングでくつろぐとき、母親はよく脚を組んだ。そのとき、スカートの裾から覗く黒いストッキングに包まれた太腿の曲線を、小天は決して逃さなかった。撮影した画像はパスワード付きのフォルダに隠し、夜な夜な見つめては妄想にふけった。
「ただの好奇心だ…」
自分にそう言い聞かせても、胸の奥で疼く何かが彼を止められなかった。
その日は水曜日だった。午前中の授業が急遽中止になり、小天は予定より三時間早く家に帰ることになった。駅からアパートまでの道のりはいつも通りだったが、なぜか胸騒ぎがした。
エントランスのオートロックを解除し、エレベーターで五階へ。廊下を歩きながら、ポケットから鍵を取り出す。ドアを開けようとしたその瞬間、異変に気づいた。
玄関に、見慣れない女性用のパンプスがあった。叔母の李琳のものだ。小天の母の妹で、三十二歳のフリーランサー。姉よりもずっと開放的で派手な服装をする女性だった。
「あれ?母さん、帰ってきてるのか…」
しかし、リビングに人の気配はなかった。代わりに、奥の寝室からくぐもった声と、何かを打つような音が聞こえてきた。
小天の心臓が大きく跳ねた。嫌な予感がした。しかし、好奇心が恐怖に勝った。彼は靴を脱がずに、できるだけ音を立てずに廊下を進んだ。
寝室のドアはほんの少しだけ開いていた。中から漏れる明かりが、細い光の筋になって廊下に伸びている。そこから覗き見た光景に、小天は呼吸を忘れた。
「あ〜っ…もっと…もっと鞭を…」
母親の李倩の声だった。しかし、それは普段聞く優しい声ではなかった。甘く、掠れた、官能的な響きを帯びていた。
小天はドアの隙間から中を覗いた。その瞬間、彼の脳は理解を拒否した。
母親はベッドの上にうつ伏せになっていた。上半身には光沢のある透けブラを着け、薄い布地の下から乳首がはっきりと透けて見えた。下半身は黒いパンストだけ。両手には肘まである長袖レース手袋をはめ、その手は後ろ手に縛られていた。足首も革のベルトで固定され、口には丸めたストッキングが詰められていた。
叔母の李琳も、ほとんど同じ服装だった。しかし彼女は鞭を持っていた。細くて黒い、明らかにSM用の鞭だった。
「このドM女が!自分の息子にストッキングを嗅がれて気持ちよくなってるなんて、よくもまあ恥ずかしいことよ!」
叔母が鞭を振り下ろす。パシッという鋭い音とともに、母親の尻に赤い線が浮かんだ。
「んんっ!んんん!」
口を塞がれた母親が悶える。しかしその声は苦しみではなく、明らかな快楽の響きを帯びていた。
「お前なんか最低のクソ女だよ!姉さんはクソ女のドMだ!」
叔母はさらに罵倒の言葉を浴びせかけながら鞭を振るった。母親は身体をくねらせ、涙を流しながらも、明らかにその行為を楽しんでいる。
小天の心臓は激しく打ち鳴り、鼓膜が破れそうだった。頭の中が真っ白になる。目の前の光景が現実とは思えなかった。
優しくて清楚な母親が。いつも「ちゃんと勉強しなさい」と言うあの母親が。まさかこんな…こんな辱めを受けているなんて。
しかし同時に、小天の下半身は反応していた。ストッキングに包まれた母親の太腿、鞭で叩かれて赤くなった尻、そして何より、苦痛と快楽が交錯する母親の表情。それらすべてが、小天の隠された欲望を激しく刺激した。
「どうした、姉さん?もっとされたいのか?」
叔母が母親のストッキングに覆われた足の裏を撫でながら言った。母親は激しくうなずき、涙とよだれでストッキングを濡らした。
「じゃあ、教えてやるよ。この世界の本当の気持ちを」
叔母はそう言うと、母親の足の指を一本一本舐め始めた。母親の身体が大きく震えた。
それ以上見てはいられなかった。小天は静かに、慎重に後退した。途中、廊下の花瓶に足が触れて危うく倒しそうになったが、何とか支えた。玄関まで戻り、音を立てずに外に出た。
ドアを閉めた後も、心臓の鼓動は収まらなかった。彼はその場にしゃがみ込み、頭を抱えた。
「な…なんだよ、あれ…」
母親が、あんなこと。自分の知らない顔を持っていた。それも、こんなに淫らな、卑屈な顔を。
頭の中で、見た光景が繰り返し再生された。光沢のある透けブラ。黒いパンストに包まれた曲線。鞭が打たれるたびに震える肉。口を塞がれた母親の、それでも快楽に歪む表情。
そして叔母の言葉が耳に残った。
「自分の息子にストッキングを嗅がれて…」
まさか、母親は自分の行動に気づいていたのか?それも、すべて承知の上で?
吐き気がした。しかしそれ以上に、強い興奮が腹の底から湧き上がってくるのを感じた。
小天は二十分ほど外で時間を潰し、落ち着いてからもう一度家に戻った。もう声は聞こえなかった。寝室のドアは閉まっており、リビングには叔母の姿もなかった。
「ただいま…」
誰もいないリビングで、そう言った。返事はなかった。
その夜、ベッドに横たわった小天は、天井を見つめながら考えた。
あの光景は本物だった。母親と叔母は、あんな秘密の世界を持っていた。自分が知らなかっただけで、母親はああいう女だったのだ。
タンスの奥にしまってある、こっそり持ち出した母親のストッキングが、今夜はいつもより深い意味を持っているように感じられた。彼は起き上がり、暗闇の中を手探りでタンスに向かった。
ストッキングを取り出し、顔に押し当てる。あの香り。しかし今は、その香りに別の意味が込められているように思えた。
「母さん…」
呟いた声が、暗い部屋に消えた。
彼の頭の中は葛藤でいっぱいだった。今まで抱いてきた母親への崇拝と、新たに知った欲望の対象としての母親。二つのイメージが激しくぶつかり合い、どちらを選ぶべきか分からなかった。
しかし、ベッドの下に隠したスマートフォンのフォルダには、今日の記憶が永遠に刻まれていた。そして彼の手は、ストッキングを握りしめたまま、ゆっくりと自らの身体へと導かれていった。
夜はまだ長かった。部屋の時計が午前二時を指す頃、小天の部屋から、こらえきれない息遣いが漏れていた。
自分はこれから、どうなっていくのだろう。母親と、どう向き合えばいいのだろう。
その答えは、まだ誰も知らなかった。