# 第一章:始まりの起源
趙小天は十八歳の高校三年生だった。クラスメートの前ではいつも控えめで、口数も少なく、目立たない存在だった。しかし彼には誰にも言えない秘密の習慣があった。
それは母親のストッキングに対する執着だった。
李倩は四十歳とは思えないほど若々しい容姿をしていた。会社では管理職として働き、いつも品のあるスーツとストッキング姿だった。家に帰ると、彼女は疲れた足からストッキングを脱ぎ、洗濯カゴに入れる。
小天はその洗濯カゴから、母親が履いたばかりのストッキングをこっそり取り出していた。洗われていないストッキングには、微かに汗と母親の匂いが染み込んでいた。彼はそれを鼻に近づけ、深く息を吸い込んだ。そのたびに胸の奥で何かが疼く感覚があった。
彼はスマートフォンのカメラを静かに構え、リビングでくつろぐ母親のストッキングに包まれた足を隠れて撮影した。写真フォルダは気づかれないようにパスワードでロックしてあった。消せない、消したくない。それらの画像は彼の妄想をかき立てる糧だった。
あの日も、いつものように日常が流れるはずだった。
十一月の金曜日、学校が午前授業で終わった。小天はいつもより三時間早く家に帰宅した。玄関の鍵を開けると、妙に静かな家の中に違和感を覚えた。母親は会社に行っているはずだった。
しかし、奥の母の寝室から、何かくぐもった音が聞こえてきた。
「……んんっ……んぐっ……」
それは人の声だった。女性の声だ。苦しげで、しかしどこか甘やかな響きを含んでいた。
小天の心臓が大きく跳ねた。靴を脱ぐのも忘れ、足音を殺して廊下を進む。寝室のドアはほんの数センチ隙間が開いていた。
彼は息を殺し、その隙間から部屋の中を覗き込んだ。
その光景に、小天の頭は真っ白になった。
母親の李倩が、ベッドの上に手足を縛られていた。彼女は上半身に艶やかな透明な黒いストッキング地のタンクトップを着ており、その下の乳首が薄く透けて見えていた。下半身は厚手の黒いパンストを履き、両手には長袖のレースの黒い手袋をはめていた。そして口には、丸めたストッキングが詰められていた。
傍らには、叔母の李琳が立っていた。
李琳は三十八歳のフリーランスで、いつも姉の李倩より自由奔放な雰囲気を漂わせていた。彼女は黒いレザーのミニスカートに網タイツを履き、手には細い鞭を持っていた。
「姉さん、今日はどうしてほしい?」李琳は甘く低い声で問いかけた。
李倩は口を塞がれたまま、必死に何かを伝えようと首を振っていた。その目には涙が浮かび、頬は赤く上気していた。
「もっと、きつく……?」李琳がささやくように言うと、李倩は何度も何度もうなずいた。
小天はその場に釘付けになった。動くことができなかった。母のあの品のある姿からは想像もつかない光景だった。彼女はまるで、誰かに支配されることに快感を覚えているようだった。
李琳がゆっくりと鞭を振り上げると、李倩の身体が緊張した。彼女の目には恐怖と同時に、強い期待が宿っていた。
「あなた、誰かに見られたいんでしょ?そういう女なんだから」
李琳の言葉に、李倩は激しく首を振った。しかしその頬はさらに赤くなり、太ももが微かに震えていた。
小天はその時、母親の複雑な表情を見た。恥じらいと快楽が入り混じったその顔。母は、誰かに見られることを拒みながらも、実は強く望んでいる。その矛盾が、彼女をさらに興奮させているようだった。
彼は無意識のうちに、スマートフォンをポケットから取り出していた。カメラのレンズを隙間から向ける。指が震えていた。
シャッター音を消し、彼は何度も何度もシャッターを切った。
部屋の中では、李琳が優しく李倩の髪を撫でながら、こうささやいた。
「小天が帰ってきたら、どうする?彼にも見せてあげようか?」
その言葉に、李倩の目が大きく見開かれた。彼女は激しく首を振り、口の中のストッキングの向こうから必死の声を漏らした。
しかしその瞳の奥には、一瞬、別の光が走った。
小天はその瞬間を写真に収めた。彼の指はもう震えていなかった。代わりに、胸の奥で何かが固く冷たく変わっていくのを感じた。
これが現実なんだ。と彼は思った。
これがあの優しい母の、本当の姿なんだ。
彼は静かに、音を立てずに玄関まで戻った。そしてわざと大きな音を立ててドアを開け、「ただいま」と声をかけた。
寝室から慌ただしい物音がした。数分後、ドアが開き、何事もなかったかのように李倩が出てきた。彼女は普段通りの清潔感のある部屋着を着て、髪も整えていた。頬にはまだ微かな赤みが残っていたが。
「おかえり、小天。早かったわね」
「うん、午前授業だったから」
母親の声はいつも通りだった。しかし小天には、その声の震えがわかった。
彼は微笑みを浮かべた。いつもの、おとなしい小天の笑顔で。
「母さん、何かしてたの?」
「え?何もしてないわよ。ちょっと横になってただけ」
その嘘が、小天の胸に冷たい満足感を与えた。
彼は知ってしまった。母の秘密を。叔母の秘密を。そして、自分自身の欲望を。
この日から、小天の日常は永遠に変わった。彼はもう、ただの小心者でストッキングフェチの高校生ではいられない。彼は母親と叔母の世界の片隅に、足を踏み入れてしまったのだ。