# 第一章:暗室の秘密
午後十時、マンションの一室の明かりが次々と消えていく。しかし、三階の角部屋のカーテンの隙間から、まだ微かな光が漏れていた。
部屋の中はひどく散らかっていた。床には食べ物の包装紙や飲みかけのペットボトルが散乱し、埃が積もった机の上には半分食べかけのスナック菓子の袋が置かれている。部屋の隅に設えられた勉強机の上には、教科書が一冊もなく、代わりに女性用下着のカタログや、ネットで拾った足の写真が乱雑に積まれていた。
苏小蕊——十五歳。体重は七十キロを超え、身長は一五〇センチにも満たない。彼女は学校で「ブタ」と呼ばれ、「デブ女」と罵られていた。クラスメートたちは彼女の顔を見ると、すぐに顔を背け、まるで彼女の存在そのものが目障りであるかのようだ。
「おい、見ろよ。あのブタがまた歩いてるぞ」
「うわ、臭くない?ちゃんと風呂に入ってるのかな」
「きっとまた弁当を二つ買ったんだよ。あの豚の胃袋には、普通の人間の三倍は入るんだろ」
そんな言葉が、毎日のように教室の中に響き渡る。彼女はいつもうつむき、短く太い首をさらに縮めて歩いていた。机の中には毎日のように嫌がらせの手紙が入っていた。消しゴムのカスや折れた鉛筆を投げつけられることもよくあった。
彼女の自宅は学校から徒歩十分の古い団地にあった。父は彼女が五歳の時に家を出て行き、以来、彼女は母の王丽と二人暮らしだ。母はデパートの売り場で働き、帰宅するのはいつも夜遅く、疲れた顔で「おかえり」さえ言う余裕もない。
部屋のドアが静かに開いた。苏小蕊は耳を澄ませた。リビングからテレビの音が微かに聞こえる。母は帰ってきて、ソファでうたた寝をしていた。
彼女は決心したように、そっとベッドから降りた。裸足だった。足の裏に感じる冷たいコンクリートの感触が、彼女の頬を熱くする。彼女は這うようにして廊下を進み、母の寝室へと向かった。
ドアは半開きだった。隙間から母の寝息が聞こえる。苏小蕊はドア枠の後ろに身を隠しながら、中を覗き込んだ。
母はベッドで横向きに寝ている。彼女の足が毛布からはみ出していた。白くてほっそりとした、ダンスをしていた頃の面影を残す美しい足だった。
苏小蕊の喉がごくりと鳴った。
彼女は手を伸ばした。指先が震えていた。母の足の甲にそっと触れる。温かかった。母の肌は想像以上に滑らかだった。
「はあ……」
彼女は思わず声を漏らした。慌てて口を押さえ、心臓の鼓動が耳の奥で響く。しかし、彼女の指は母の足から離れなかった。指の腹でそっと撫でる。足の指の一本一本をなぞる。爪の形が整っていて、綺麗だ。
彼女は頭を下げた。鼻先を母の足裏に近づける。
——匂いがした。
一日中靴の中に閉じ込められていた足の匂い。わずかに汗の混じった、独特の甘やかな匂い。それは彼女の鼻腔を刺激し、脳の奥深くまで浸透していった。
苏小蕊の下半身が熱くなった。彼女は唇を舐め、ゆっくりと舌を伸ばした。
母の足の裏に、舌先が触れた。
その瞬間、彼女は全身に電流が走るような衝撃を覚えた。舌の上に広がる、ほのかにしょっぱいような、複雑な味。彼女は獣のように、母の足の裏を舐め始めた。かかとから指先へ、指先からかかとへ。何度も、何度も。
王丽はその時、もう目を覚ましていた。
最初は娘の寝ぼけた仕業かと思った。しかし、舌の動きはあまりにも執拗で、明らかに意識的なものだった。彼女は息を殺し、体を硬直させた。恐怖と嫌悪感が一瞬にして全身を駆け巡る。しかし同時に——足の裏から伝わる奇妙な刺激が彼女の体を不思議な感覚で包み込んだ。
「やめて……やめてほしい……」
心の中で叫ぶ。しかし体が動かない。なぜなら彼女は、自分が本当はこの感覚に拒絶反応を示していないことに気づいてしまったからだ。娘の舌が自分の足を這い回るたびに、彼女の脚の付け根が熱くなっていく。
そして、娘の舌が足の指の間に差し込まれた時、王丽はわずかに声を漏らしそうになった。彼女は必死に唇を噛みしめた。
——なぜ、なぜあなたが……。
涙が彼女のまぶたの裏に広がった。心は罪悪感と自己嫌悪でいっぱいだった。それでも彼女は、声を上げることができなかった。娘を怖がらせたくなかった。それ以上に——自分自身を怖がりたくなかった。
しばらくして、娘の這うような物音が遠ざかっていった。王丽は長い間、動けずにいた。
翌週の金曜日。王丽は仕事を休んだ。彼女は携帯電話を握りしめ、何度も電話番号を見つめ、また画面を消した。
——沈梦瑶。彼女の大学時代の親友で、今は臨床心理士として開業している。聡明で思いやりがあり、結婚生活もおそらく順調で、仕事と家庭の両立に成功している。それは王丽が夢見ながらも手に入れられなかった人生だった。
結局、彼女は電話をかけた。
「もしもし、王丽? 久しぶりね、元気だった?」
受話器の向こうから、沈梦瑶の明るい声が聞こえる。
「梦瑶……私、相談したいことがあるの」
王丽の声は震えていた。彼女は必死に涙をこらえながら、娘の話を始めた。最初は学校でのいじめについて。次に——
「それでね……数日前の夜、小蕊が私の……私の足を舐めてたの」
長い沈黙があった。
「小蕊は、私の足の匂いを嗅いだり、何度も舐めたりしてた。私、気づいてたの。前から、彼女が隣の奥さんや同級生の女の子の足を見る目が変だったから。でも、まさか自分の娘にそんなことをされるなんて……」
「わかったわ、王丽。落ち着いて」
沈梦瑶の声は落ち着いていた。
「単なる思春期の性の問題かもしれないわ。もしかしたら、学校でのストレスや自己肯定感の低さから、歪んだ形で解放を求めているだけかもしれない。一度、小蕊ちゃんと話をさせてもらえないかしら?」
「でも……もし彼女に知られたら、もっと傷つくわ」
「大丈夫。普通のカウンセリングの形で来てもらうから。あなたと二人で私のクリニックに来てくれない? 最初は、あなたのストレスケアのための面談ってことにすればいいわ」
王丽は深く息を吸い込んだ。
「……ありがとう、梦瑶」
「気にしないで。それにね——」
沈梦瑶の声が少し明るくなる。
「私の夫がね、『妻はどんな心の傷も癒せる女神だ』って自慢してるのよ。たまにはその実力を見せてやらないとね」
電話の向こうで、彼女の軽やかな笑い声が聞こえた。王丽も思わずほほえんだ。
——同じ年頃の娘がいるわけでもないのに、ずいぶん軽く考えているみたいだ。しかし、その気楽さが、かえって王丽にはありがたかった。
電話を切った後、王丽は娘の部屋のドアを静かに開けた。苏小蕊は背を向けてベッドに横たわっていた。彼女の体は太って歪で、制服のスカートの裾からは、むちむちと膨れた太ももがのぞいている。
本当にこの子は、私の娘なのだろうか。
王丽はそう思った。鏡に映る自分の姿は、まだ細身で美しい。かつてダンス部で活躍していた頃のなごりが、彼女の歩く姿や姿勢に残っている。しかし娘は——肥満で、暗く、いつもうつむいている。
「……母さん、ご飯、まだ?」
突然、苏小蕊が振り返った。彼女の目は赤く腫れていた。また学校で何かあったのだろう。王丽は胸が締め付けられる思いだった。
「もう少し待ってね。今、作るから」
そう言って、彼女は急いで台所に向かった。包丁で野菜を刻みながら、彼女は考えていた。
——もしもこれは、私のせいなのだとしたら? 私がちゃんと向き合ってこなかったから?
彼女は唇を噛みしめた。涙がまな板の上に落ち、野菜の切り口に染み込んでいった。
その夜遅く、苏小蕊は再び目を覚ました。彼女は自分の部屋の押し入れから、一枚の布を取り出した。それは先週、通学路で隣の家の奥さんが落としたハンカチだった。彼女はこっそり拾い、洗濯もせずに隠していた。
ハンカチを鼻に近づける。残っているかすかな洗剤の香りと——それ以上に、その奥に潜む女性の足の匂い。
彼女は深く息を吸い込んだ。
目を閉じると、さまざまな記憶が脳裏をよぎる。半年ほど前、ダンス教室の見学に行った時のこと。薄暗い教室の中で、講師の女性がバレエのレッスンをする足——引き締まったふくらはぎ、曲線を描く足首、そしてピンクのバレエシューズからわずかにのぞく指先。それを見た瞬間、彼女の中で何かが目覚めたのだ。
それからは、もう止まらなかった。
隣の部屋に住む女子高生がベランダに干していた靴下。教室の後ろの席で、前に座る優等生がサンダルからはみ出した土踏まず。プールの授業で更衣室に忘れられたビーチサンダル——そんなものに興奮し、こっそりと触れ、舐め、匂いを嗅いだ。
そして今は——母の足。
苏小蕊はハンカチを口に含んだ。舌で揉みしだくようにして、布の繊維に染み込んだ匂いを味わう。彼女の下半身が熱くなり、巨大な欲望が彼女の中でうごめき始める。
「ああ……」
彼女は低くうめいた。片手を自分のスカートの中に入れ、自分を慰め始める。彼女の陰茎は異様なほど大きかった。同性の臓器が彼女の股間に存在しているという事実が、さらに彼女を苦しめた。
——普通の女の子だったらよかったのに。
しかし、彼女の欲望は抑えられない。彼女はハンカチをぎゅっと握りしめ、より強い刺激を求めて、指の動きを速めた。
「もう少し……」
彼女は自分に言い聞かせるように呟いた。
「もう少しで、手に入るから——完璧な足を——」
欲望の暗闇が、彼女の理性をどんどん飲み込んでいく。
その時、彼女のスマートフォンが震えた。メッセージの着信だ。彼女は手を止め、画面を確認した。
母からのメッセージだった。
『明日の土曜日、母さんの友達のところに一緒に行かない? カウンセリングって言うけど、ただの雑談だから。お菓子も用意してくれるって』
苏小蕊は一瞬、表情を曇らせた。カウンセリング——つまり、心の治療か。
彼女は歯を食いしばった。そして、返信を打った。
『わかった』
——見てろよ。この肥満で醜い女が、どれだけお前たちの心の闇に触れられるか。お前たちの完璧な外見の裏にある、歪みを暴いてやる。
彼女の口元に、歪んだ笑みが浮かんだ。