# 秘密の芽生え
月月は窓辺に立ち、黄昏の街を見下ろしていた。十八歳の誕生日から一週間が過ぎた。今日、彼女は正式に父の会社の継承権を得たのだ。
「お嬢様、こちらが全子会社の資料でございます」
秘書が分厚いファイルを机の上に置いた。月月は優雅にうなずき、紅茶を一口含んだ。彼女はいつもの高慢な表情を崩さなかった。社交界では誰もが認める完璧な令嬢。その仮面はもう何年も彼女の顔に張り付いている。
だが、ファイルをめくった瞬間、彼女の指が止まった。
「……AV撮影事業部……女奴隷調教部門……」
それは父のエンターテイメント企業の核心部分だった。表向きは華やかな芸能プロダクション。だがその裏で、彼らは撮影所と調教施設を運営していた。
月月の胸が高鳴った。忘れていた記憶が一気に蘇る。十歳の頃、父の書斎で見つけたあの写真集。首輪をつけられ、裸で跪く女たち。無理やり見せられた映像の中で、女たちは涙を流しながらも、どこか恍惚とした表情を浮かべていた。
あの時、彼女は恐怖を感じた。同時に、理解できない興奮も。
「お嬢様、いかがなさいましたか?お顔が赤いようですが」
秘書の声に、月月ははっとした。
「何でもないわ。……明日、AV撮影所を見学するわ。準備をして」
「は?お嬢様、あのような場所は……」
「命令よ」
月月は冷たく言い放った。心臓は激しく打っていたが、それを悟られるわけにはいかなかった。
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翌日、月月は「小月」という偽名を使い、簡単なスーツ姿で撮影所を訪れた。長い黒髪を一つに束ね、眼鏡をかければ、ただの真面目そうなインターン生に見えた。
「こちらが撮影スタジオAでございます」
案内役の社員が扉を開けた。中から甘ったるい声と、男の荒い息遣いが漏れてくる。
「あ、ああっ……もっと、もっとください……」
ベッドの上で、若い女優が男優に覆いかぶさられていた。カメラが二人の絡み合う体を克明に捉えている。
月月は息を呑んだ。脳裏で何かが焼き付くように、その光景が刻まれる。
「面白いものを見てるね」
突然、背後から声がした。振り返ると、若い男が立っていた。歳は二十代半ば。目つきが鋭く、口元に皮肉な笑みを浮かべている。
「君が小月さん?初めまして。俺は阿杰。ここのディレクターだ」
「あ、どうも……」
「初めて見学に来たんだって?反応が新鮮だね。普通のインターン生なら、ああいうの見て引くか、逆に興味津々になるかだ。でも君は……どちらでもない」
阿杰の目が、月月の顔をじっと見つめた。
「俺の目は誤魔化せないよ。君、ああいう世界に縁があるんじゃないか?」
月月は一歩後退した。
「そんなこと……初めて見ました」
「嘘だね。初めてなら、もっと驚くはずだ。でも君の瞳は……何かを待ってるように見える」
彼の指が、彼女の頬に触れた。
「台本があるんだ。ヒロインは高慢なお嬢様が、徐々に堕ちていく話。君にぴったりの役だと思うんだが……興味はないか?」
「私が?AVに?」
「匿名でいい。顔は加工する。もちろん報酬も出す。でも……お金のためじゃない君の理由が、俺は知りたい」
月月は唇を噛んだ。断るべきだと、理性が警告している。しかし、体中が震えていた。それは恐怖ではなく、期待だった。
子供の頃から押し込めてきた欲望が、今まさに溢れ出そうとしていた。
「……考えさせてください」
「今夜までに返事をくれ。待ってるよ」
阿杰は名刺を彼女に渡すと、スタジオの中へ戻って行った。
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その夜、月月は自室のベッドで天井を見上げていた。カーテンの隙間から月明かりが差し込む。
彼女はスマホを手に取り、阿杰の番号を見つめた。
「私は……何を選ぶべきなの?」
心の奥底で、小さな声が囁く。昔、あの写真集を見た時から、ずっと押し殺してきた声だった。
「……支配されたい。踏みにじられたい。全てを奪われたい」
涙が一粒、枕に落ちた。
彼女は電話をかけた。
「阿杰さん……明日、撮影をお願いします」
受話器の向こうで、阿杰の笑う声が聞こえた。
「決心したね。期待してるよ、お嬢様」
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翌日、月月は指定されたスタジオに一人で向かった。服装は普段と変わらない清楚なワンピース。だが、下着は自分で選んだ最も華奢なレースのものだった。
控え室で、彼女は阿杰と顔を合わせた。
「台本は簡単だ。君は奴隷になる高慢な令嬢。相手の男優が君を……文字通り、本当の意味で『開く』」
「本当の意味って……」
「初めてなんだろう?顔に書いてあるよ」
阿杰は優しい口調だったが、その目は獲物を値踏みするように冷たかった。
「君が望んだことだ。後悔なら今のうちに言ってくれ」
月月は首を振った。
「……やります」
「よし。じゃあ、始めよう」
スタジオの中は薄暗く、ベッドの周りに照明とカメラが設置されていた。男優は三十代半ばの筋肉質な男だった。彼は月月を見て、にっこり笑った。
「初めてだって?怖がらないで、ゆっくり慣らしてあげるから」
「始めるわよ」
阿杰の声が響く。カメラが回り始めた。
男優が月月に近づき、彼女のワンピースのリボンをゆっくり解いた。布がはだけ、白い肩が露わになる。
「綺麗な肌だ……」
彼の指が鎖骨をなぞる。月月は身を硬くした。心臓は今にも破裂しそうだった。だが、それ以上に――――彼女の内側で何かが熱く燃え上がっていた。
「台本通りに、最初は拒否して」
阿杰の指示が飛ぶ。月月はそれに従い、男優の胸を押した。
「や、やめてください!」
「しないよ。お前は、今日ここで全部捧げるんだ」
男優の手がスカートの中に滑り込む。下着が引き裂かれ、彼の指が彼女の一番敏感な場所に触れた。
「あっ……」
声が漏れた。恥ずかしさと、快感が同時に押し寄せる。
「もう濡れてるじゃないか。お嬢様はやっぱり、本当はこうなるのを待ってたんだね」
男優が彼女の両脚を開かせた。カメラがその様子を克明に捉える。
「入れていくよ」
彼の太く硬いものが、彼女の入り口に押し当てられた。
「いや……まだ……!」
「大丈夫……少しだけ痛いけど、すぐに慣れる」
彼の腰が一気に前へ進んだ。
「ああああっ!」
激しい痛みが月月の体内を貫いた。彼女の処女膜が破れる感覚。温かい血が太腿を伝う。
「まだ終わらないよ……本番はここからだ」
男優は動き始めた。最初はゆっくりと、次第に激しく。
「あっ……あん……!」
月月の口から、自分でも信じられないような声が漏れ出る。痛みと快楽が混ざり合い、彼女の意識を溶かしていく。
カメラのレンズ越しに、阿杰の満足げな顔が見えた。
「そう、その表情だ……まさに堕ちていく令嬢の顔だ」
男優の動きが加速する。彼の汗が彼女の胸に滴り落ちる。
「もう……イきそうだ……中に出していいか?」
「お、お願い……中に、ください……」
月月は自分が何を言っているのかわからなかった。ただ、もっと欲しかった。彼の全てを、自分の中で感じたかった。
「よし……いくぞ!」
男優が最後の一突きをすると、彼の熱い精液が月月の子宮に直接注ぎ込まれた。
「ああああっ!」
彼女は激しく体をのけぞらせ、そのまま絶頂に達した。
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撮影が終わった後、月月はシャワー室で体を洗いながら、鏡の中の自分を見つめた。
頬は紅潮し、瞳の奥には今までにない輝きがあった。
「私は……初めてを、あんな風に……」
彼女の指が、まだ熱を持つ下腹部に触れる。彼の精液はまだ体内に残っている。阿杰が「そのままにしておけ」と言ったのだ。次回の撮影のために。
「次回……?」
彼女の口元が、ほんの少し歪んだ。それは笑顔だったのか、それとも諦めだったのか、自分でもわからなかった。
ただ一つ確かなのは――――彼女の心に、確かに何かが芽生えたということだった。
それは、秘密の快楽の種。
やがて彼女の全てを支配する、深淵への入口だった。