# 第一章:敗北の屈辱
校内闘技大会の会場は、熱気と歓声に包まれていた。観客席は生徒たちで埋め尽くされ、その視線はすべて中央のリングに注がれている。リングの上、十六歳のコキツは向かい合う相手——同学年の山田リョウタと対峙していた。
「へへっ、お前みたいな弱虫がよく大会に出ようと思ったな」
リョウタの嘲るような言葉に、コキツの顔が歪む。彼女は拳を握りしめたが、その手は微かに震えていた。心臓の鼓動が速くなる。体中の筋肉が緊張で硬直していた。
「やるしかない…やるしかないんだ…」
そう自分に言い聞かせるが、足はリングに張り付いたように動かない。母親のリナが見ている。S級ヒーローの娘として、ここで負けるわけにはいかないのだ。
試合開始のゴングが鳴った。
リョウタが素早く間合いを詰める。コキツは本能的に後退しようとしたが、体が思うように動かない。相手の拳が眼前まで迫っていた。
「くっ!」
なんとか体を捻ってかわしたものの、バランスを崩す。次の瞬間、強烈な衝撃が腹部を襲った。
「がはっ!!」
リョウタの膝蹴りが、コキツのみぞおちに深々と突き刺さっていた。息が止まる。肺の中の空気がすべて押し出されたような感覚。視界が一瞬白く染まる。
「まだまだ!」
リョウタは容赦なく追撃を仕掛ける。連続するボディブローが、コキツの腹を次々と打ち据える。防御する余裕すら与えられない。
「うあっ…ぐっ…ああっ!」
鮮血交じりの唾液が口の端から垂れる。彼女の腕はだらりと垂れ、もはや体を守る力も残っていなかった。観客席からは、失望の混じったざわめきが聞こえる。
「弱すぎだろ」
「やっぱりリナさんの娘っても所詮はこの程度か」
その言葉が、コキツの心をさらに深く抉る。いや、違う。自分は母親のように強くなりたい。そう強く願っているのに。なのにどうして——。
「まだ終わってない!」
コキツは歯を食いしばり、力を振り絞って拳を振り上げた。無我夢中の反撃。しかしその動きはあまりにも拙く、隙だらけだった。
「甘いんだよ!」
リョウタは軽々とその拳を避けると、同時にコキツの足を払った。体が宙に浮く。受け身すら取れずに、背中からマットに叩きつけられた。
「これで終わりにしてやるよ」
リョウタの声が、勝利を確信した響きを帯びる。彼はゆっくりとコキツの上に跨った。逆らう力も残っていない少女の両腕を、マットに押さえつける。
「な、にを…」
恐怖がコキツの全身を駆け巡る。リョウタの手が、彼女のスパッツ越しに股間のふくらみを掴んだ。
「やめ…やめてくれ!」
しかしリョウタは耳を貸さない。強引にスパッツを引き裂く。露わになったコキツの性器——勃起したペニスが、辱めに震えていた。
「女のくせに珍しいものを持ってるんだな。でも、これじゃ役に立たないぜ」
リョウタの手が、コキツのペニスを強く握りしめる。痛みが走る。
「い、痛い!やめろ!」
「この程度で音を上げるなよ。お前はヒーローの娘だろう?」
リョウタの手が激しく動く。抵抗する力もなく、コキツの体はその刺激に抗えなかった。与えられる快感と苦痛の混ざった感覚に、彼女の意識はぼやけていく。
「ああっ…もう…いやだ…」
絶頂が近づく。だがそれは喜びではなく、さらなる屈辱の前触れだった。
「イクんだろ?イけよ、弱虫が」
リョウタの言葉と同時に、コキツの体が激しく痙攣する。白濁した体液が彼女自身の腹と、リョウタの手を汚した。観客席から失笑が漏れる。
「あ…あああ…」
涙が止めどなく溢れ出る。視界が滲んで、何も見えない。リョウタは彼女の上から立ち上がると、汚れた手をスーツで拭いながら、高らかに笑った。
「これがS級ヒーローの娘の実力かよ!笑わせるな!お前は一生弱虫のままだ!」
言葉の刃が、コキツの心臓を刺し貫く。彼女はマットに倒れたまま、体を丸めて嗚咽を漏らした。周囲の嘲笑が耳に響く。
「ママ…ごめん…」
小さな声で呟く。リングの外、観客席の最前列で、リナが何も言わずにこの光景を見つめていた。その瞳に、何を思っているのかはわからない。
コキツの敗北は、ただの試合の敗北ではなかった。彼女自身の存在意義そのものを否定されるような、深い屈辱だった。地面に這いつくばり、涙と鼻水で顔を濡らしながら、彼女は思う。
——いつか、必ず。強くなる。
その決意さえも、今はただ虚しく響くだけだった。