撮影所の奴隷:脚本家の恥辱の転落

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# 撮影所の奴难:脚本家の恥辱の転落 ## 第一章:有名脚本家への不意の招待 電話が鳴ったのは、午後三時を過ぎた頃だった。私は自宅の書斎で新しい脚本の構想を練っていた。窓の外には春の日差しが差し込み、桜の花びらが風に舞っている。この穏やかな時間が、私の人生を一変させる前触れになるとは、その時は夢にも思わなかった。 「も
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有名脚本家への不意の招待

# 撮影所の奴难:脚本家の恥辱の転落

## 第一章:有名脚本家への不意の招待

電話が鳴ったのは、午後三時を過ぎた頃だった。私は自宅の書斎で新しい脚本の構想を練っていた。窓の外には春の日差しが差し込み、桜の花びらが風に舞っている。この穏やかな時間が、私の人生を一変させる前触れになるとは、その時は夢にも思わなかった。

「もしもし、蘇婉?私よ、薇薇」

親友の趙薇薇の声が、どこか興奮した様子で響いてくる。彼女は映画業界のプロデューサーとして、様々な情報に精通している。私たちは大学時代からの付き合いで、彼女の紹介で多くの仕事を得たこともあった。

「薇薇、久しぶりね。どうしたの?」

「今すぐ、東映撮影所に来てくれない?すごい話があるのよ」

「撮影所?私が脚本を書いた作品の打ち合わせなら、来週の予定だったはずだけど」

「違うの。今回はあなた自身の話よ。新しい映画の主役のオーディションがあるの。監督がぜひあなたに会いたがっている」

私は思わず笑ってしまった。脚本家として名を馳せてきた私が、今さらカメラの前に立つなんて。しかし、薇薇の口調にはいつになく真剣な響きがあった。

「私が女優?冗談でしょう?私の顔はスクリーン向きじゃないわ」

「そんなことないわよ、蘇婉。あなたは美しい。それに、この作品は特別なの。あなた自身が書いてきた脚本とは全く違う、新しい挑戦になるわ。絶対に損はさせないから」

彼女の言葉に、私は少し心が動いた。確かに、このところ同じような恋愛ドラマの脚本ばかり書いていて、少しマンネリを感じていたところだ。新しい刺激が必要なのかもしれない。

「どんな映画なの?」

「それはね…行けばわかるわ。詳しいことは監督が直接説明してくれるって。とにかく、今すぐ来て。チャンスを逃さないで」

薇薇にそう言われては、断るわけにはいかなかった。私は書斎を後にし、着替えてタクシーを呼んだ。車窓から見える街並みが、いつもより鮮やかに見えた。何かが変わる予感がしていた。

東映撮影所に着くと、薇薇が入り口で待っていた。彼女は私の姿を見るなり、嬉しそうに手を振った。

「よく来たわね!こっちよ」

彼女について、撮影所の奥へと進む。普段は見ることのないセットや機材が立ち並び、スタッフたちが忙しそうに行き交っている。やがて、一つのスタジオの前に着いた。扉の上には「撮影中」の札が掛かっている。

「ここよ。監督が中で待っている」

薇薇は扉をノックし、中へ入っていく。私も後に続いた。スタジオの中は薄暗く、強い照明が一点を照らしている。その光の下に、一人の男性が立っていた。彼は四十代半ばだろうか、鋭い目つきが印象的だ。

「蘇婉さん、お会いできて光栄です。私はこの作品の監督、林と申します」

「初めまして。蘇婉です。どのようなお話でしょうか?」

林監督はにこやかに笑ったが、その目は私を値踏みするように見つめている。

「趙さんからお聞きになったと思いますが、新しい映画の主役を探しています。あなたの作品をいくつか読ませていただきました。人の心の機微を描く感性が素晴らしい。ぜひ、あなた自身の演技でも、その才能を発揮していただきたい」

「ありがとうございます。でも、私は脚本家であって、女優としての経験は…」

「それでいいんです。むしろ、演技経験がないからこそ、新鮮な表現ができる。この作品は、新しい感覚が必要なんです」

彼はそう言うと、脚本を一冊手渡した。表紙には『夜の蝶たち』というタイトルが印刷されている。

「開いてみてください」

私は言われるままにページをめくった。目に入ったのは、ある女の物語。主人公は幼い頃から貧しい生活を強いられ、生きるために体を売ることを選ぶ。そこには、売春婦としての日常が赤裸々に描かれていた。

「これ…」

「ええ、この作品の主人公は、自らの意思で道を選びながらも、社会の偏見と闘う女性です。非常に深みのある役どころです。あなたにぴったりだと思いました」

私の手が震えた。これは確かに、私が今まで書いてきたロマンティックな恋愛物語とは全く違う。暗く、生々しく、そして痛々しい世界。

「私に、こんな役ができるでしょうか?」

「できると思ってお願いしています。ただし…」

林監督の口調が変わった。彼は一歩近づき、声を潜めて言った。

「この作品には、かなり過激なシーンがあります。ヌードもありますし、実際の性行為を思わせるような演出もあります。すべてをさらけ出す覚悟が必要です」

息を呑んだ。心臓が大きく打ち始める。

「つまり…本番に近い演技を?」

「そうです。観客に真実の感情を伝えるためには、演技であってはならない。あなた自身が、その女になって生きる必要がある。それがこの作品のコンセプトです」

私は薇薇を見た。彼女は微笑みながらうなずいている。

「大丈夫よ、蘇婉。あなたならできる。それに、これは大きなチャンスよ。女優として成功すれば、脚本家としてよりも有名になれるかもしれない」

「でも、私には夫がいるし…」

「陸さんなら、理解してくれるわ。あなたの芸術的な挑戦を、彼も応援するはずよ」

薇薇の言葉が、私の不安をかき消そうとしているように聞こえた。しかし、それでも胸の奥に引っかかるものがあった。

「少し、時間をいただけますか?」

「もちろん。でも、決断は早めに。他の候補者も多数いますので」

林監督はそう言うと、名刺を差し出した。

「三日以内にご連絡ください。蘇婉さんの返事を待っています」

私たちはスタジオを後にした。廊下を歩きながら、薇薇が私の肩を抱く。

「迷ってるみたいね」

「当たり前でしょ。こんな話、聞いたことないわ」

「でも、それはチャンスよ。私があなたに紹介したくなかったら、連絡なんてしなかった。あなたには、もっと輝ける場所があると思ったから」

彼女の言葉には、確かに説得力があった。しかし、それ以上に何か別のものを感じた。それは善意なのか、それとも…

「考えさせて」

「わかったわ。でも、後悔しないでね」

その日の夜、私は夫の陸霆にこの話をした。彼はリビングのソファで読書をしていたが、私の話を聞くと難しい顔をした。

「売春婦の役?しかもヌードがあるのか?」

「演技的なヌードよ。芸術の一環として」

「芸術?そんなもののために、君が体を晒す必要があるのか?」

彼の声には明らかな不満が混じっていた。私は反論しようとしたが、言葉が見つからない。

「私の脚本も、いつか大きなチャンスが来ると思っていた。でも、こういう形で注目されるのは違う気がする」

「あなたの脚本は素晴らしいわ。でも、これは私自身の挑戦なの。あなたに理解してほしい」

陸霆はため息をついた。

「君の好きにすればいい。でも、後悔するなよ」

その言葉は、祝福よりも警告のように聞こえた。私はベッドに入っても眠れず、天井を見つめながら考え続けた。

薇薇の言葉。林監督の目。そして、脚本の内容。

私の心のどこかで、危険な好奇心が芽生え始めていた。この退屈な日常から逃れたい。新しい自分を見つけたい。そんな思いが、恐怖を上回ろうとしていた。

三日後、私は電話をかけた。

「林監督、オーディションを受けさせていただきます」

その瞬間、私は一本の線を越えた。もう戻れない道へと足を踏み入れたことに、まだ気づかずに。

後日、オーディションの詳細が知らされた。撮影所の小部屋に通された私は、林監督とプロデューサー、そして脚本家の前で、指定されたシーンの演技を求められた。それは、客を取るために男にすがる女の姿だった。

私は必死に演じた。自分のプライドを捨て、恥を捨て、ただその女になりきろうとした。監督の「もっと卑しく」「もっと下品に」という指示が、私の耳に突き刺さる。

終わった後、私は手が震えていた。鏡に映る自分の顔は、見たことのないほどやつれていた。

「素晴らしかった」

林監督が拍手をしながら近づいてくる。

「あなたには才能がある。この役はあなたのものだ」

その言葉に、私は安堵と同時に、言いようのない恐怖を感じた。この作品は、私をどこへ連れて行くのだろう。

薇薇はオーディションの後、私の家に来て祝ってくれた。しかし、彼女の目には、心配とは別の何かが光っているように見えた。

「これからが本当の始まりよ、蘇婉」

彼女の言葉は、祝福なのか呪いなのか、その時はまだ判断できなかった。

気質の良さが招いた嫉妬

# 第二章 気質の良さが招いた嫉妬

その日、私は撮影所の応接室で脚本の最終確認をしていた。窓から差し込む午後の日差しが、机の上に広げた台本の紙を柔らかく照らしている。ペンを手に取り、台詞の一部を修正しながら、私は無意識のうちに口元が緩んでいることに気づいた。この作品は、私が長年温めてきた企画だった。今、ようやく映像化の運びとなったのだ。

「蘇先生、本当に素晴らしい脚本ですね」

プロデューサーの田中の言葉に、私は顔を上げた。彼は他のスタッフと共に、私の書いた台本を手に取り、感嘆の声を上げている。

「特にこの主人公の心情描写が秀逸です」

「そうそう、まるで実体験のようにリアルだ」

「蘇先生の脚本はいつも深い洞察に満ちていますね」

私は穏やかに微笑んだ。こうした賛辞には慣れている。しかし、決して傲慢になることなく、謙虚な態度を崩さないのが私の流儀だった。

「皆さんのおかげです。この作品はチームワークで作り上げていくものですから」

私の言葉に、さらにスタッフたちの表情が和らぐ。周囲からは「蘇先生は本当に気質の良い方だ」「才能も人柄も素晴らしい」といった囁きが聞こえてくる。

その時、背後から鋭い視線を感じた。振り返ると、ヒロインを演じる夏夢琪が立ち尽くしていた。彼女は端正な顔立ちに、一瞬歪んだ表情を浮かべたが、すぐに職業的な笑顔を取り繕った。

「蘇先生、お加減はいかがですか? 最近、お疲れのように見えますが」

私は首を振った。「大丈夫よ、ありがとう。それより、あなたの役作りは順調?」

夏夢琪は、すぐに感情を切り替えたように、優雅にうなずいた。「ええ、もちろん。でも、もう一度台本を見直して、もっと深く役に没入したいと思っています」

不安がよぎった。彼女のその言葉には、何か含みがあるように感じられた。しかし、私はそれ以上追求しなかった。もともと、私は他人を疑うことを好まない性格だった。

数日後、撮影は始まった。私は毎日のようにセットに足を運び、監督や俳優たちと密にコミュニケーションを取った。特に夏夢琪には丁寧に役の説明をし、細かいニュアンスまで丁寧に伝えた。

「このシーンでは、ヒロインが自分の弱さと向き合う瞬間です。だから、涙を見せる直前で止めることで、感情を込めて……」

「でも、私は感情を爆発させた方が観客に伝わると思いますが」

夏夢琪が口を挟んだ。その声は有無を言わせぬ響きを持っていた。

私は穏やかに説明を続けた。「もちろん、様々な解釈があると思う。でも、この作品のテーマは抑制と開放のバランスだから……」

「蘇先生はいつも理論的ですね」

彼女は皮肉とも取れる口調で言った。その目には、かすかに敵意が宿っていた。しかし、私はそれを気にしなかった。むしろ、芸術家としての情熱の表れだと思いたかった。

その日の撮影終了後、私は自分の控室に戻ろうとした。すると、背後から夏夢琪の声が聞こえた。

「蘇先生、ちょっとお話があります」

振り返ると、彼女の隣に数人のスタッフが立っていた。その表情は、普段の優雅さを失い、どこか強いものを感じさせた。

「何かしら?」

「私たち、もっとリアルな演技を追求したいのです。そのために、『生活体験』という形で、あなたにも協力していただきたいと思います」

私は困惑した。「生活体験? どういうこと?」

夏夢琪は微笑んだ。その笑顔は、これまで見たことのない、冷たいものだった。

「脚本家として、あなたが描いた世界を、私たちも体験してみたいのです。たとえば、あなたが描いた主人公のように、屈辱的な扱いを受けることで、役の心理をより深く理解できるでしょう」

私は息を呑んだ。「それは……どういう意味?」

「文字通りの意味ですよ、蘇先生」

彼女が手を打つと、背後にいたスタッフたちが私を取り囲んだ。私は後退ろうとしたが、壁に阻まれた。

「ちょっと待って、これは何かの冗談よね?」

「冗談ではありません。私たちは、本当に深い演技を追求しているんです。あなたにも協力していただく義務があります。何しろ、あなたが書いた脚本ですからね」

私は必死に冷静さを保とうとした。「それはおかしいわ。脚本と現実の体験は別物よ。それに、こんなことは聞いていない」

「今、聞いているでしょう?」夏夢琪の声は冷たく、断固としていた。「それとも、あなたの書いた『弱さを認める勇気』というテーマについて、実践してみたくはありませんか?」

周りのスタッフたちは、やはり困ったような顔をしていた。しかし、誰も助けに入ろうとはしなかった。私は理解した。この撮影チームにおいて、夏夢琪の影響力は絶大だったのだ。

「あなた、なぜ私を恨むの?」

私は率直に尋ねた。彼女の目に、嫉妬の炎が揺らめくのを見た。

「恨んでなんかいませんよ。ただ、あなたのその『気質の良さ』に苛立っているだけです。誰からも愛され、称賛され、すべてを手に入れたかのように振る舞うあなたが」

彼女の言葉に、私は何も言い返せなかった。私の人生は確かに順風満帆だった。才能と努力に恵まれ、夫の陸霆にも支えられ、仕事も順調だった。しかし、だからといって、こんな仕打ちを受ける理由にはならない。

「お願い、やめて。本当にやめて」

私は震える声で懇願した。しかし、夏夢琪は耳を貸さなかった。

「さあ、体験を始めましょう。あなたにとって、新しい扉を開く瞬間になるはずです」

スタッフたちは私の腕を掴んだ。私は抵抗したが、非力な脚本家の力では、到底敵わなかった。

彼らは私を薄暗い倉庫のような場所に連れて行った。そこには、使い古された椅子とテーブルだけがあった。

「今日から一週間、ここで過ごしてもらいます。もちろん、役作りのために」

夏夢琪の声は、どこか楽しげだった。私は状況を飲み込めずに呆然と立っていた。

「そんなこと、許されないわ。権利侵害よ」

「権利侵害? 撮影チームの一員として、作品の質を高めるための共同作業です。契約書の但し書きに、『演技指導・体験学習に参加する義務』とあるでしょう?」

私は絶句した。確かに、脚本家としての契約書には、細かい但し書きが多数あった。しかし、こんな事態を想定していなかった。

「他のスタッフや監督は? 彼らはどう思っているの?」

「彼らはもう理解していますよ。あなたの傲慢な態度が、作品の質を下げているとね」

ウソだ。私は決して傲慢には振る舞っていない。むしろ、気質の良さで知られていた。しかし、だからこそ嫉妬を買い、今のような状況に陥ったのだ。

私は深く息を吸い込んだ。自分に言い聞かせる。これは一時的なものだ。なんとか抜け出せる。周りに助けを求めればいい。

しかし、その希望もすぐに打ち砕かれた。

「もちろん、外部との連絡は制限させてもらいます。大切な体験学習ですから」

夏夢琪は、私のスマートフォンを手に取った。電源を切ると、ポケットにしまった。

「やめて! 警察に通報するわよ」

「通報するなら、どうぞ。でも、あなたにできることはありませんよ。私たちは、あなたの協力を得るために、法的な手続きも整えていますから」

彼女の言葉には嘘が混じっていなかった。私はもう、完全に彼女の手中にあった。

それから、一週間が始まった。毎日、私は彼女たちの要求に従わされた。無理な姿勢での立位保持、低い声での反復練習、さらには屈辱的な言葉を浴びせられることさえあった。

「泣いてもいいんだよ」

「あなたが書いたヒロインのように、弱さを見せてごらん」

夏夢琪の言葉は、私の心をえぐった。しかし、私は歯を食いしばって耐えた。いつか、この状況が終わると信じて。

しかし、一週間が終わっても、解放の兆しはなかった。むしろ、彼女の要求はエスカレートしていった。

「次は、もっと深い体験をしましょうか。あなたが書いたクライマックスシーンを、実際に経験してみましょう」

私は恐怖に震えた。「やめて……お願い……」

しかし、彼女は冷酷に微笑むだけだった。

「蘇先生、あなたのその『気質の良さ』が、どれだけ周りの人の嫉妬を買っているか、自覚したほうがいいですよ」

その夜、私は倉庫の薄暗がりでひとり震えていた。なぜ、こんなことになったのだろう。私はただ、自分の才能を信じて、作品に打ち込んできただけなのに。

思い返せば、かつて私は多くの人から妬まれていた。しかし、それを気にせず、自分の道を進んできた。それが、私の強さだった。でも、今思えば、その強さが、逆に私を孤立させたのかもしれない。

窓の外には、煌びやかな東京の夜景が広がっていた。まるで、私の人生そのもののように、輝かしい表舞台の裏で、闇が広がっている。

「陸霆……助けて……」

私は夫の名前を呟いた。しかし、彼は遠く、この状況を知る由もない。

それから数日、私は疲れ果てていた。精神的にも肉体的にも、限界に近づいていた。しかし、夏夢琪は私を解放しなかった。

「もういいでしょう……これ以上続けたら、本当に壊れてしまう」

私は懇願した。しかし、彼女の答えは冷たかった。

「壊れる? そんなに脆い人じゃないでしょう? あなたは、いつも強くて完璧な蘇婉先生ですからね」

皮肉に満ちた言葉に、私は打ちのめされた。そう、私は完璧な人間でいることを強いられてきた。弱みを見せられず、すべてを完璧にこなさなければならなかった。その結果、誰にも本音を語れず、孤立していたのだ。

その時、私は初めて自分の弱さを認めた。私は弱い人間だった。人に頼りたかった。でも、その方法を知らなかった。

「わかりました……私は間違っていました。あなたの言う通り、私は弱い人間です」

私の言葉に、夏夢琪は一瞬驚いた表情を見せた。しかし、すぐに嘲笑に変わった。

「ふん、今さらそんなことを言っても遅いですよ。あなたのその台詞、まるで私が書いた脚本のセリフみたいだわ」

彼女は私を椅子に縛りつけた。私の腕は自由を奪われ、動けなかった。

「さあ、次の体験を始めましょう。あなたが書いたヒロインが味わう『絶望』を、リアルに感じてごらんなさい」

私は深く息を吸った。そして、目を閉じた。もう抵抗しない。これが私の運命なら、受け入れるしかない。少なくとも、この経験が、私の書く作品に深みを与えるだろう。

不思議と、その時、私の心は静かだった。恐怖も葛藤も、すべてが溶けていくようだった。私は、自分の意志とは関係なく、この世界に飲み込まれていた。

「そうだ、それでいいのよ」

夏夢琪の声が、どこか遠くから聞こえてきた。

私は、かつての自分が信じられないほどの変貌を遂げていた。誇り高き脚本家だった私は、今や、卑しい奴隷に堕ちていた。

でも、それも私の人生の一部だ。そう思えるようになった時、私はもう、以前の蘇婉ではなかった。

そして、その夜、私は初めて、心の底から笑った。狂ったように、声をあげて。

「面白いわね……ほんとに、面白い……」

私のその反応に、夏夢琪の顔色が変わった。

「あなた……正気なの?」

私は答えなかった。ただ、無邪気な笑顔を浮かべて、彼女を見つめた。

「もっと、もっと体験させてください。私は、もっと深い絶望を知りたいんです」

私の言葉に、彼女は一瞬後退した。しかし、すぐに自分を取り戻し、冷たく言い放った。

「いいだろう。望み通りにしてやるよ」

それから、私の本当の地獄が始まった。しかし、もう私は怖くなかった。むしろ、その体験を糧にして、新たな作品を生み出してやろうとさえ思っていた。

堕落した自分を受け入れることで、私は新たな力を得ていた。この嫉妬という悪意に満ちた世界で、生き抜くための力を。

本物の売春婦を強要される

# 第三章 本物の売春婦を強要される

## 1

「カット!」

監督の声が響き渡る。私は震える手を必死に抑えながら、薄汚れた部屋の隅に立っていた。真夏の熱気がスタジオに充満し、汗が背中を伝う。それでも私は、与えられた売春婦の衣装から滲み出る汗さえも、役作りの一部だと自分に言い聞かせていた。

「蘇婉さん、動きが硬すぎます。あなたはベテランの売春婦なんですよ。もっと体をくねらせて、男たちを誘惑するように」

撮影監督の陳偉が、苛立ちを隠さずに指示を飛ばす。彼の言葉の端々に、私に対する侮蔑が混じっているのがわかる。かつては名脚本家として君臨していた私を、今や新人女優のように扱っているのだ。

「もっと自由に。さあ、私が言う通りに動いてください」

陳偉が近づいてくる。彼の手が私の肩に触れた瞬間、全身に鳥肌が立った。

「ちょっと待ってください。私は脚本家です。こんな役を演じるためにここにいるんじゃありません」

「あら、蘇婉さん。あなたが自ら志願したんでしょ?」

涼やかな声が背後から聞こえる。振り返ると、夏夢琪が微笑みながら立っていた。彼女の目は冷たく、私の苦境を楽しんでいるように見える。

「夢琪さん、これは……」

「あなたの脚本、とても良かったわ。だから私が特別にプロデューサーに頼んで、あなたにこの役をやってもらうようにしたのよ。あなた自身が書いた脚本でしょう?売春婦の心情を理解するには、実際に体験するのが一番だと思って」

夏夢琪の言葉に、私は言葉を失った。確かに、この映画の脚本は私が書いたものだ。しかし、それはあくまでフィクション。まさか自分がその役を演じることになるとは、夢にも思わなかった。

「さあ、始めましょう。蘇婉さん、あなたはこれから、本物の売春婦のように振る舞うのよ」

## 2

照明が私を照らし出す。周りのスタッフの視線が突き刺さる。私は必死に呼吸を整え、与えられた台詞を頭の中で反芻した。

「お客様……いらっしゃいませ……」

震える声で台詞を口にする。すると、周りから軽い笑い声が漏れた。

「違います!蘇婉さん、あなたは男を誘惑しているんです。恥じらいながらじゃなくて、むしろ積極的に!」

陳偉の声が鋭くなる。私は唇を噛みしめ、もう一度台詞を繰り返そうとした。

「違う、そうじゃない。動きが硬すぎるんだ。もっと体を柔らかく使って。男の体に絡みつくように」

彼はそう言いながら、私の腕を掴み、無理やり体を動かそうとする。その手の感触が気持ち悪くて、思わず身を引いた。

「やめてください!」

「何を言ってるんですか。あなたは今、売春婦の役なんですよ。売春婦が触られるのを拒否するわけにはいかないでしょう?」

陳偉の言葉に、スタッフから再び笑い声が上がる。私は全身が氷水に浸かったように冷たくなった。

「さあ、もう一度。最初からやり直しです」

私は深く息を吸い込み、与えられた役に入り込もうと試みる。しかし、心の奥底で何かが激しく抵抗していた。私は脚本家だ。こんな辱めを受けるために、ここにいるんじゃない。

「もっと声を大きく。お客様をお誘いする時の声を忘れちゃいけませんよ。売春婦は声で男を誘惑するんです」

陳偉の指示に従い、私はもう一度台詞を口にする。今度は少しだけ声が大きくなった。

「はい、そこで止まって。今度はゆっくりと、男の体に触れるように。手を伸ばして」

私は震える手を前に伸ばす。目の前には、エキストラの中年男が立っている。彼の目が、私の体を舐め回すように見つめている。

「はい、そのまま。もっとゆっくりと。男の胸に手を置いて、そして上目遣いで彼を見上げるの。わかりますね?」

私は必死に演技を続ける。しかし、手が男の胸に触れた瞬間、体が硬直した。

「カット!また駄目だ!蘇婉さん、あなたは一体何を考えているんですか!」

陳偉の怒声がスタジオに響き渡る。私は俯きながら、唇を噛みしめた。

「すみません……もう一度お願いします」

「もう一度?もう十回もやってるんですよ!これじゃあ、永遠に撮影が終わらないじゃないですか!」

彼はカメラの後ろから出てきて、私の前に立つ。

「いいですか、蘇婉さん。あなたはもう脚本家じゃないんです。今はただの役者です。それも、売春婦の役です。わかってますか?」

「わかって……います」

「本当にわかってるんですか?じゃあ、どうしてあんな硬い演技をするんですか?あなたは男を誘惑するんですよ。恥ずかしがってる場合じゃないんです」

彼の言葉が、まるで鞭のように私の心を打つ。私は必死に涙をこらえながら、うなずいた。

「もう一度……お願いします」

## 3

「よし、本番!」

カチンコの音が響く。私は再び売春婦のポーズを取り、目の前の男に向かって体をくねらせた。

「お客様……お待ちしておりました……」

今度は、少しだけ自然に動けた気がする。しかし、心のどこかで、自分がどんどん堕ちていく感覚があった。

「はい、いい感じです。そのまま、男の首に手を回して」

私は言われるままに、男の首に手を回す。男の体臭が鼻をつき、吐き気がしてきた。

「もっと密着して。お客様に体を預けるように」

私は男の胸に体を預ける。すると、男の手が私の腰に回された。

「はい、そこで、お客様に耳元で囁くの。『もっと遊んでください』って」

私は震える声で囁く。すると、男が私の耳元で笑った。

「もっと情熱的に。さあ、キスをするふりをして」

陳偉の指示が続く。私は男の顔に自分の顔を近づける。すると、男が突然、私の唇を奪った。

「なっ……!」

驚いて男を押しのけようとするが、男の腕が私を逃がさない。

「カット!何してるんですか!」

陳偉の声が聞こえる。しかし、男はまだ私を離さない。

「離せ!」

ようやく男の腕を振りほどいた。唇には、男の唾液の感触が残っている。

「すみません、監督。つい演技にのめり込んでしまって」

男が軽く頭を下げる。しかし、その目は笑っていた。明らかに、わざとやったのだ。

「しっかりしてくださいよ。蘇婉さんが困ってるじゃないですか」

陳偉はそう言ったが、私に対する同情は微塵も感じられなかった。むしろ、彼もその光景を楽しんでいるように見えた。

「もう結構です。今日はここまでにしましょう」

私は衣装室に向かおうとした。しかし、背後から夏夢琪の声が聞こえてきた。

「ちょっと待って、蘇婉さん」

振り返ると、彼女は優雅に微笑んでいた。

「まだ撮影は終わってませんよ。ここからが本番です」

「本番?」

「ええ。今のはまだリハーサルです。これから、本当の撮影を始めます」

夏夢琪の言葉に、私は恐怖を覚えた。

「本当の撮影……?」

「そうです。あなたの書いた脚本、第3幕のシーンを思い出してください。売春婦が男たちに輪姦される場面を」

私の顔から血の気が引いた。

「そんな……あれはフィクションです!」

「フィクション?でも、あなたはあのシーンを書くために、たくさんの資料を調べたんでしょ?なら、実際に体験してみるのが一番の勉強になると思いませんか?」

夏夢琪の目は、冷たく光っていた。

## 4

私は必死に首を振る。

「そんなの……やりません!私は脚本家です!こんな役は……私の仕事じゃありません!」

「あら、残念ね。でも、あなたはもう脚本家じゃないのよ。今は、ただの役者さん。それも、私たちが雇った役者さん。断る権利なんてないわ」

夏夢琪の言葉に、周りのスタッフが笑い声をあげる。

「そうですよ、蘇婉さん。あなたはもう、ただの使い捨ての駒なんです」

陳偉が付け加える。私は全身が凍りつくような感覚に襲われた。

「でも……私は……」

「あなたは何?まさか、契約を忘れたんじゃないでしょうね?」

陳偉が書類を取り出す。それは、私が先日サインした契約書だった。

「第3条、第4項。『演出の都合上、出演者は監督の指示に従い、あらゆる役柄を演じるものとする』。これにサインしたのは、あなた自身ですよ」

私は呆然とその契約書を見つめる。確かに、私はそこにサインした。しかし、まさかこんな内容になるとは思わなかった。

「さあ、続けましょう。衣装を着替えてください。今度は、もっと……派手な衣装を用意してありますから」

陳偉が指さした先には、ほとんど布と呼べないような、薄いドレスが掛けてあった。

「そんな……私には着れません!」

「着れない?じゃあ、契約違反ですね。違約金は……そうですね、五百万です」

五百万——その言葉に、私は息を呑んだ。今の私には、そんな大金を払う余裕はない。

「どうしますか?着る?それとも、契約違反を選ぶ?」

私は震える手で、そのドレスを手に取った。

## 5

更衣室で一人、ドレスに着替える。鏡に映る自分の姿が、まるで別人のように見えた。薄い生地が体に貼りつき、体の線がくっきりと浮かび上がっている。

「もう少し、派手にメイクをしましょう」

突然、ドアが開き、メイクアップアーティストの女性が入ってくる。彼女は無言で、私の顔に派手な化粧を施し始めた。

「はい、これで完成です。それじゃあ、行きましょう」

彼女に連れられて、再びスタジオに戻る。すると、そこには数人の男たちが待っていた。その中には、先ほどキスをしてきた男もいる。

「さあ、蘇婉さん。今度は本番です。あなたは、男たちに囲まれて、嬲られる売春婦の役です」

陳偉の声が響く。私は唇を噛みしめ、震える体を必死に支えた。

「位置について」

私は指定された場所に立つ。すると、男たちがゆっくりと近づいてきた。

「はい、本番!」

カチンコの音が響く。男たちの手が、私の体に触れ始めた。最初は優しく、次第に激しくなっていく。

「もっと声を出して!苦しんでいる感じを出してください!」

私は必死に声を絞り出す。しかし、それは演技ではなく、本物の悲鳴に近かった。

「はい、そこで服を引き裂く!もっと激しく!」

誰かが私のドレスを掴み、無理やり破こうとする。私は必死に抵抗したが、無駄だった。生地が裂ける音が、耳に響く。

「もっと!もっと激しく!」

陳偉の声が、遠くから聞こえる。私は男たちの腕の中で、ただ必死に身をよじるしかなかった。

「カット!いい感じだ!次のカット行くぞ!」

## 6

撮影は夜遅くまで続いた。何度も何度も同じシーンを繰り返し、私は心も体もボロボロになっていた。

「今日はここまで。お疲れ様でした」

ようやく終了の声が聞こえた時、私はその場に崩れ落ちた。体中が痛い。心も、体も、傷だらけだった。

「お疲れ様、蘇婉さん。明日も早いから、しっかり休んでね」

夏夢琪が優しい声で話しかけてくる。しかし、その目は冷たく、私の苦しみを楽しんでいるように見えた。

「あ、そうそう。明日はもっと過激なシーンを撮るから、覚悟しておいてね」

彼女はそう言い残して、スタジオを去っていった。私は一人、薄暗いスタジオに残され、ただ泣くことしかできなかった。

## 7

翌日、私は再びスタジオに呼ばれた。今度は、もっと豪華な衣装が用意されていた。しかし、それはさらに過激なもので、ほとんど裸同然だった。

「蘇婉さん、今日は特別な撮影があります。あなたの脚本の中で、売春婦が富豪のパーティーに招待されるシーンがあるでしょう?」

陳偉が説明する。私はうなずいた。確かに、そんなシーンを書いた覚えがある。

「今日はそのパーティーシーンを撮ります。ただし、ちょっとアレンジを加えてね」

「アレンジ?」

「そうです。パーティーで、あなたはゲストたちに……体を売るんです」

私は言葉を失った。

「そんな……あのシーンは、売春婦がもっと高尚な客を取るための策略であって……」

「わかってますよ。でも、リアリティを追求するなら、実際にやってみるのが一番でしょう?」

陳偉は笑いながら、私に指示を出す。

「さあ、準備してください。今日のゲストは、私が厳選した特別な方々ですから」

彼が指さした先には、スーツを着た中年の男たちが数人、ソファに座っていた。その中には、私の脚本をかつて酷評した映画評論家の姿もあった。

「あ……あなたは……」

「ご無沙汰してますよ、蘇婉さん。あなたの脚本、いつも楽しみに読んでましたよ」

彼はにたりと笑いながら、私を見つめる。

「さあ、始めましょう。あなたがゲストの間を回って、自分の体を売り込むんです。わかってますね?」

## 8

私は震える足で、ゲストの間に歩いていく。一人の男が、私の手を掴んだ。

「おやおや、これはこれは。大物脚本家の蘇婉さんじゃないですか。どうしてこんな所に?」

「撮影……です」

「撮影?なるほどね。でも、あなたの脚本より、今の姿の方がずっと絵になるよ」

彼はそう言って、私の腕を引っ張る。私はバランスを崩し、彼の膝の上に倒れ込んだ。

「おっと、危ない。大丈夫かい?」

「だ、大丈夫です……」

「なら、もう少しサービスしてくれないか?この前、君が書いた脚本の批評を読んだんだが、どうも納得いかなくてね」

彼は笑いながら、私の腰に手を回す。私は必死に彼の腕を振りほどこうとしたが、無理だった。

「カット!いい感じだ!そのまま、もっと激しく!」

陳偉の声が響く。私は彼の腕の中で、ただじっとしていることしかできなかった。

## 9

撮影は、さらに過激になっていった。私は何人もの男たちに体を触られ、辱められた。その度に、心のどこかで何かが壊れていく音がした。

「はい、そこでポーズを変えて。もっと扇情的に」

陳偉の指示に従い、私は必死にポーズを変える。しかし、もう自分が何をしているのか、半分わからなくなっていた。

「いいですね。その感じです。もっと苦しそうな表情を」

私は言われるままに、苦しそうな表情を作る。すると、男たちがますます興奮したように、私に触れてくる。

「もっと声を出して」

私は声を絞り出す。それは、まるで獣のような声だった。

## 10

撮影が終わったのは、深夜を過ぎていた。私は一人、更衣室でぼんやりと鏡を見つめていた。

鏡の中の自分は、別人のように見えた。化粧は崩れ、髪は乱れ、目は虚ろだった。

「よく頑張ったね、蘇婉」

突然、後ろから声がした。振り返ると、趙薇薇が立っていた。

「薇薇……どうしてここに?」

「心配になってね。だって、あなたがこんな大役をやるなんて、初めてだから」

彼女は優しく微笑む。しかし、その目はどこか冷たく、私を値踏みするように見つめていた。

「大丈夫?辛くない?」

「……辛いよ。でも、もう逃げられない」

「そうだね。でも、あなたはしっかりやってるよ。私、誇りに思う」

彼女はそう言って、私の肩を優しく叩く。しかし、その手の感触が、かえって私の心をさらに傷つけた。

「早く休んでね。明日も、きっと大変だから」

彼女はそう言い残して、更衣室を出ていった。私は一人、鏡の中の自分を見つめ続けた。

「私は……一体、何になってしまったんだ……」

その問いに答える者は、誰もいなかった。

脚本の中の虐待シーン

# 第四章 脚本の中の虐待シーン

プロデューサーの陳に呼び出されたのは、いつもの会議室だった。壁一面に貼られた映画のポスターが、無言で私を見下ろしている。陳は机の上に分厚い脚本を置き、無造作にそれを私の方へ滑らせた。

「蘇さん、脚本の修正が入った。確認してくれ」

私はページをめくる指が震えているのを感じた。第七景、第八景、すべてのシーンが書き換えられている。私が苦心して練り上げたセリフは消え、代わりに——ヒロイン、夏夢琪が私を鞭で打つ場面が追加されていた。

「これは……どういうことですか?」

「夏さんからの要望だ。リアリティを追求したいそうだ。脚本家自身が体験することで、より深みのある脚本が書けるだろう?」

陳の笑顔には一片の迷いもない。私は喉の奥が詰まるような感覚を覚えた。

「私が……演じるのですか?」

「ああ。明日から撮影所でリハーサルだ。夏さんが直接指導してくれるそうだ」

その夜、私は鏡の前に立った。そこに映るのは、かつて業界で一目置かれていた脚本家の姿ではない。頬はこけ、目の下にはくまができている。私は自分の頬を叩いてみた。痛みは確かにある。まだ感覚は麻痺していない。

翌朝、撮影所に着くと、夏夢琪が既に待っていた。彼女は真っ赤なドレスに身を包み、口元に憐れみと軽蔑の混じった笑みを浮かべている。

「さあ、蘇さん。今日からあなたは私の指導の下で、新しい脚本の感覚を掴むのよ」

彼女は鞭を手に取り、軽く振ってみせる。空気を切る鋭い音が響き渡った。

「まずは基本から。あなたは私の前に跪くの。そして、私が指示するまで動いてはいけない」

私は床を見つめた。冷たいコンクリートの感触が膝に伝わる。

「早くしなさい」

彼女の声が冷たく響く。私はゆっくりと膝をついた。床の冷たさが骨に染み入る。

「そう。それでいいの。さあ、顔を上げて」

私は顔を上げた。夏夢琪は満足そうに微笑みながら、鞭の先で私のあごを持ち上げる。

「あなたの書く脚本には、本当の苦しみが足りないわ。本当の痛みを知らなければ、人の心を打つシーンは書けないのよ」

彼女はそう言って、鞭を高く振りかざした。次の瞬間、背中に焼けるような痛みが走った。私は声にならない悲鳴を上げた。

「黙って」

夏夢琪の声が冷たく命じる。

「この痛みを感じなさい。それを言葉に変えるのよ」

二度目の鞭が落ちる。今度は肩甲骨の辺りだった。私は唇を噛みしめ、声を殺した。

「どう? どんな気持ち?」

彼女は私の耳元に顔を近づけ、ささやくように尋ねる。

「屈辱……です」

私は絞り出すように答えた。

「いいわ。それをもっと詳しく。どんな風に屈辱を感じるの?」

彼女の手が私の髪を掴み、後ろに引く。首が反り返り、天井の蛍光灯がまぶしかった。

「自分が……無力で……」

「もっと」

「すべてを奪われているような……」

「そう、それよ。その感覚を忘れないで」

夏夢琪は私の手首を縛り、壁に固定した。私は自由を奪われ、ただ彼女のなすがままになった。

「さあ、次のシーンに行きましょう。あなたは私に謝罪するの。ひざまずいて、額を床につけて」

私は言われた通りにした。冷たい床に額を押し付け、自分の惨めさを味わう。

「もっと大きな声で。私が許すまで謝り続けるの」

「申し訳ございません……申し訳ございません……」

声が震える。涙が床に落ちて、暗い染みを作った。

「時間よ。今日はこれで終わり」

夏夢琪は鞭を置き、優雅に振り返った。私は床に崩れ落ち、体中の震えが止まらなかった。

次の日から、このリハーサルは毎日続いた。夏夢琪は日ごとに要求がエスカレートしていく。鞭打ちはもちろん、拘束、罵倒、時には私の書いた脚本のページを破いて、その破片を飲ませることまで命じた。

「あなたの言葉は、こんなに脆くて無価値なのよ」

彼女は破いた紙片を私の口に押し込みながら言った。

「でも、あなた自身はもっと脆い。だからこそ、強い人間を描けないのよ。本当の強さを知らないから」

紙の味が口の中に広がる。インクの苦さと、自分の無力さの味がした。

ある日、趙薇薇が見学に来た。彼女は心配そうな顔をして近づいてくる。

「婉ちゃん、大丈夫? 最近、全然元気がないみたいだけど」

「大丈夫よ」

私は虚ろな声で答えた。薇薇は私の肩に手を置き、優しい口調で言う。

「でも、この仕事を続けるのは辛くない? 別の道を探すこともできるわよ」

「脚本を書くことが私のすべてなの」

「そう……それならいいけど」

彼女の目が一瞬、冷たく光ったように見えた。その日の夜、私は夫の陸霆と電話で話した。

「仕事は順調か?」

彼の声は事務的だった。

「ええ、大丈夫」

「そうか。最近お前、あまり家に帰ってこないな」

「撮影所で泊まり込みで仕事してるの」

「そうか……」

電話が切れた後、私は長いため息をついた。結婚して十年、最近の陸霆の口調には、かつての温かみはもうない。

リハーサルが始まって二週間が経った頃、夏夢琪は新しい要求を出した。それは、彼女が私に浴びせる言葉を、私自身の口で書かせるというものだった。

「あなた自身を辱める言葉を、あなたの手で書くのよ」

彼女は原稿用紙を私の前に置いた。

「さあ、書きなさい。『私は豚のように扱われるにふさわしい』って」

ペンを持つ手が震える。紙の上に文字が踊る。自分の手で自分の尊厳を否定する言葉を書き連ねる。それは自らの魂を少しずつ削り取るような作業だった。

「もっと卑下して。『私は存在する価値すらない』って」

私は書き続けた。涙が紙を濡らし、インクがにじむ。それでも彼女は止めなかった。

「次は、『私の作品はすべてゴミだ。私は才能がない』って。三ページ分書きなさい」

その夜、私は宿舎のベッドで丸まっていた。体のいたるところに鞭の痕が残っている。鏡を見るたびに、自分が少しずつ違う人間になっていくのがわかる。かつての自信に満ちた脚本家の面影は、もうどこにもなかった。

それでも私は書くことをやめられなかった。なぜなら、この苦しみが確かに私の脚本に深みを与えていることを感じていたからだ。新しい脚本に加えられた虐待シーンは、生々しく、リアルで、読む者の心を打つものになっていた。

しかし、その代償はあまりにも大きかった。私は自分自身を失いつつあった。どの台詞が私の本当の言葉で、どの台詞が夏夢琪に強要されたものなのか、境界が曖昧になっていく。

「あなたは素晴らしい作品を書いているわ」

ある日、彼女は珍しく褒めてきた。しかし、その言葉には悪意が潜んでいた。

「でも、それは全部私のおかげなのよ。あなた一人では決して書けなかった。あなたは単なる道具に過ぎない」

私は何も言えなかった。彼女の言う通りだったからだ。

リハーサルの日々は続いた。夏夢琪は私に新しい役割を強要し始めた。それは脚本の中の奴隷役を、私自身が演じるというものだった。

「ここであなたは私の足にキスをするの。そして、『ご主人様、お仕えできて光栄です』と言うのよ」

彼女の足は革のブーツに覆われている。私は屈み込み、冷たい革の表面に唇を触れさせた。

「声が小さいわ」

「ご主人様……お仕えできて光栄です」

声は震えていた。恥辱と悔しさで、頭の中が真っ白になりそうだった。

「今日はここまで。また明日ね」

彼女は優雅に去っていった。私は一人、撮影所の冷たい床に残された。誰も私を助けには来ない。誰も私の苦しみを知らない。いや、知っていても見て見ぬふりをしているだけだ。

その夜、私は久しぶりに脚本の全体を読み返した。そこには、私が書いたはずのない生々しい虐待の描写が並んでいた。自分で書いたとは信じられないほど、それは残酷で、卑劣で——でも、確かに力強かった。

この作品が完成すれば、きっと賞を取るだろう。そう考えると、ある種の陶酔感さえ覚えた。自分を犠牲にして作り出した芸術。それは、かつての私では決して書けなかった、本当の人間の苦しみと絶望に満ちていた。

私は鏡の前に立った。そこには、もう脚本家の蘇婉はいなかった。ただ、夏夢琪の操り人形のような女が立っているだけだ。それでも——私はペンを取った。書き続けるために。

窓の外では雨が降り始めていた。私は新しい原稿用紙を広げ、震える手で書き始めた。明日、また彼女に辱められる。そのことを思うと胃の底が冷たくなる。しかし、その痛みが、私の書く言葉に命を吹き込むのだ。

私はどこまで堕ちていくのだろう。もう自分自身を止めることはできない。この道の先に、何が待っているのかもわからない。ただ、書き続けることだけが、今の私に残された唯一の意味だった。

ペンが紙の上を滑る音だけが、部屋に響いていた。そのリズムは、まるで私の心臓の鼓動のようだった。規則正しく、確実に、そして——止められない。

親友の参加

第5章 親友の参加

あの夜、私は独房の隅で丸まっていた。全身の痛みが波のように押し寄せる。新しい傷、古い傷、それらが混ざり合って私の体を覆っていた。もう何日経ったのかも分からない。ただ、与えられる食事を食べ、与えられる命令に従う。それだけの日々が続いていた。

扉が開く音がした。私は反射的に体を縮めた。また新しい「仕事」が来るのだろうか。

「蘇婉?」

その声に、私ははっと顔を上げた。聞き覚えのある声だった。いや、そんなはずはない。ここに来るはずがない。

「趙……薇薇?」

薄暗い光の中で、彼女の姿が見えた。私の親友、趙薇薇。彼女は高級そうなワンピースを着て、真珠のネックレスを揺らしていた。彼女の美しい顔に浮かぶ表情は――複雑だった。驚きと、哀れみと、そして何か別の感情が混ざっているように見えた。

「まさか……本当にあなただったのね」

彼女はゆっくりと近づいてきた。私は無意識に後退しようとしたが、壁に阻まれた。

「薇薇……なぜ、ここに?」

声が震えていた。恥ずかしさで死にそうだった。彼女にこんな姿を見られるなんて。かつて私が指導し、助けていた後輩であり親友に、こんな惨めな姿を。

彼女の目が、私の全身を舐めるように見つめた。裸に毛布を巻いただけの私の姿。体中の傷跡。首の鎖。彼女の目が悲しげに曇った。

「脚本を書き直すために呼ばれたの。夏夢琪さんから直接依頼があったわ」

脚本を書き直す? 私の作品を?

「あなたの代わりに、新たな脚本家として私が参加することになったの」

その言葉が、雷のように私の頭を打った。私の親友が。私の後輩が。私の代わりに。

「そう……なんだ」

なぜか、不思議と怒りは湧かなかった。むしろ、安堵に近い感情があった。少なくとも、私の作品は彼女に託される。彼女なら、私の意図を理解してくれるはずだ。

「ねえ、蘇婉。あなた……ちゃんと食べてるの?」

彼女はしゃがみ込み、私の頬に手を触れた。その手は温かかった。久しぶりに感じる温もりだった。

「食べてるわ。最低限は」

「ひどいわね。こんなに痩せて……」

彼女の目が潤んでいた。本心から私を心配しているように見えた。私は誤解していたかもしれないと思った。彼女は本当に私を助けに来たのかもしれない。

「ありがとう、薇薇。でも、もういいの。これが私の運命だから」

私は無理に笑った。彼女の心配そうな表情を見ていると、逆に自分が救われるような気がした。

「そんなこと言わないで。私が何とかするから」

彼女は強く私の手を握った。その手の温もりが、心の奥深くに届いた気がした。

数日後、状況は変わった。

趙薇薇は定期的に私の独房を訪れるようになった。最初は心配と励ましだけだった。食べ物を持ってきたり、薬を持ってきたりしてくれた。彼女はいつも優しかった。

「薇薇……ありがとう」

「そんなこと言わないで。私たち、親友でしょ」

彼女の笑顔に、私はどれだけ救われたか知れない。この地獄のような撮影所で、たった一人の味方。それがどれほど心強かったか。

しかし、変わったのはそれだけではなかった。

ある日、夏夢琪が私の前に現れた。彼女は高級そうなドレスを着て、優雅に椅子に座っていた。

「蘇婉、お知らせがあるの。あなたが知っている趙薇薇を、私たちのプロジェクトに正式に迎え入れることにしたわ」

私は顔を上げた。プロジェクト? 何のことだろう?

「本作の脚本の大幅なリライトを彼女に依頼したの。それから――」

彼女は微笑んだ。その笑顔には、何か危険なものを感じた。

「今回の撮影の特殊演出として、新しい役割を彼女に与えることにしたの」

「新しい役割?」

夏夢琪は手を叩いた。すると、趙薇薇が部屋に入ってきた。彼女は私とは違い、美しい服を着て、化粧もきちんとしていた。

「薇薇……?」

「蘇婉」

彼女は近づいてきた。その顔には、先日まで見せていた優しさの代わりに、何か冷たいものがあった。

「彼女には、あなたの『トレーニング』を一部任せることにしたの。プロとしての視点から、より自然な演出ができると思うから」

夏夢琪は平然と言った。トレーニング? その言葉の意味が、私の脳裏をよぎる。まさか……

「嫌よ! 薇薇にそんなことをさせるなんて!」

「嫌?」

夏夢琪は冷たく笑った。

「あなたに選択権があると思っているの?」 彼女は立ち上がり、私の前に立った。

「今のあなたは、撮影所の公共奴隷よ。プロジェクトの都合に合わせて、好きに使われるのが当然でしょ」

「でも、薇薇は私の親友で……」

「親友だからこそよ」

趙薇薇が口を開いた。その声には、温かさのかけらもなかった。

「親友だからこそ、一番あなたのことを理解している。一番あなたの反応が予測できる。一番リアルな演技を引き出せるの」

「薇薇……どうして……」

私の声は震えていた。裏切られた絶望が、ゆっくりと全身を蝕んでいく。

「どうして? ずっと思ってたのよ。なぜあなたがトップに立つのかって」

彼女の目が冷たく光った。

「あなたよりも私の方が才能があるのに。あなたよりも私の方が美しいのに。なぜいつもあなたが評価されるの?」

その言葉が、私の心を深くえぐった。そうだったのか。彼女はずっと、私を妬んでいたのだ。私に助けられたふりをして、ずっと復讐の機会をうかがっていたのだ。

「でも、今は違う。今度は私の番よ」

彼女は微笑んだ。その笑顔は、美しかった。けれど、その瞳の奥には、邪悪な光が宿っていた。

「さあ、これからよろしくね『私の親友』」

その日から、私の地獄はより深くなった。

趙薇薇は、驚くほどの熱意を持って私の「トレーニング」を監督した。彼女は脚本家としての知識をフルに活用し、私に最も深い屈辱を与える方法を次々と考案した。

「こういう時は、もっと体を震わせた方がいいわよ。観客が喜ぶから」

「声はもっと大きく。苦痛を感じていることをはっきり表現して」

「オッケー。今の表情は完璧だわ。恐怖と絶望の混じった顔がよくできてる」

彼女はカメラの前で私を指導した。かつて私が彼女に演技指導をしたように。ただし、その内容はまったく逆だった。私は彼女の指導に従い、傷つき、辱められ、観客の欲望を満たす存在へと変えられていった。

「どうしたの、蘇婉? そんな顔をして。私の指導が気に入らない?」

彼女はいつも優しく微笑んだ。その姿は、かつて私が知っていた趙薇薇そのものだった。しかし、その瞳は違っていた。冷たく、計算高く、私の苦痛を楽しんでいる目。

「いいえ……そんなことありません……」

私は力なく首を振った。抵抗する力はもう残っていなかった。

「そう。それでいいのよ。あなたは今、私の作品の一部なんだから」

彼女は私の髪を撫でた。その手つきは優しかった。まるで、自分のペットを可愛がるように。

「さあ、次のシーンを始めましょう。今日のメインは、あなたが犬のように這いながら、私に許しを請うシーンよ」

私は無言でうつ伏せになった。もう反論する気力もなかった。ただ、与えられた役割をこなすだけ。それが、私に残された唯一の選択だった。

「もっと深くお辞儀して。もっと哀れっぽくお願いして」

彼女の声が、鞭のように私を打つ。私は彼女の言う通りに体を動かす。自分の意志ではなくなった体が、機械的に動く。

「素晴らしいわ。完璧なリアクションね」

彼女の拍手が響く。その音が、私の自尊心の最後の欠片を粉々に砕いていく。

その日の夜、私は独房で一人、傷を抱えて横たわっていた。新しくできた傷口は血を滲ませ、痛みが全身を駆け巡る。

「なぜ……なぜこんなことに……」

私は天井を見上げた。かつての自分は、こんな場所で泣いているとは夢にも思わなかった。輝かしいスクリーンの裏側の、この暗い世界で。

「ねえ、蘇婉。聞こえる?」

突然、趙薇薇の声が響いた。天井のスピーカーからだった。監視カメラのシステムを通して、彼女は私の様子を上から見ていた。

「今夜は特別に、あなたの好きなように過ごしていいわよ。ただし、しっかり反省して。明日はもっと大事な撮影があるから」

その言葉が、まるで死刑宣告のように響いた。もっと大事な撮影。それは、もっと深い屈辱を意味していた。

「薇薇……あなたを許さない……」

私は歯を食いしばった。その声は、スピーカーに届くはずだった。

「許さない? あらあら、まだそんなことを言ってるのね」

彼女の笑い声がスピーカーから流れてきた。それは優しく、そして冷たかった。

「あなた、状況を理解してないみたいね。今のあなたに許すも何もないのよ。あなたは私の作品であり、素材であり、所有物。それ以上でもそれ以下でもないの」

「そんな……」

「さあ、もう休みなさい。明日も早いんだから」

スピーカーから音が消えた。私は暗闇の中に一人取り残された。

その夜、私は眠れなかった。ただ、天井を見つめながら、自分の転落を反芻し続けた。脚本家から奴隷へ。尊敬される存在から、軽蔑される存在へ。すべてを失った。友人さえも、私を踏み台にして上に立った。

翌朝、私は撮影所に連れて行かれた。そこには、新しい装置がいくつか並んでいた。脚枷、手枷、そして首枷。それらはすべて金属製で、冷たく光っていた。

「今日から新しい段階よ」

趙薇薇が説明した。

「あなたは完全に公共奴隷になった。誰でもあなたを使って構わない。誰でもあなたを辱められる。誰でもあなたを所有できる」

彼女は私の首枷をはめた。金属の冷たさが肌に染みる。

「これがあなたの新しい身分よ」

彼女は微笑んだ。その美しい顔に浮かぶ笑顔は、天使のようでありながら、悪魔のようでもあった。

「親友として、一番あなたにふさわしい役割を考えてあげたの。感謝してる?」

私は答えなかった。もう何を言っても無駄だと知っていたからだ。ただ、彼女の目を見つめた。その瞳の中に、かつて優しかった趙薇薇の面影を探して。しかし、そこには何もなかった。ただ、権力に酔いしれた冷酷な脚本家の姿だけがあった。

「カメラ準備オッケーよ」

「始めてください」

監督の声が響く。撮影が始まった。私は、ただ機械的に与えられた指示に従う。自分の意志を捨て、ただの人形として振る舞う。

「カット! 素晴らしい!」

監督の声が嬉しそうに響く。周りのスタッフも、満足げな顔をしている。彼らは、私の屈辱を作品として消費している。そのことに、誰も疑問を抱かない。

撮影が終わり、私は独房に戻された。脚枷と首枷が外され、代わりに新しい鎖がつけられた。それは、私をこの撮影所につなぎ止めるためのものだった。

「お疲れさま、蘇婉」

趙薇薇が独房に現れた。彼女は私の隣に座り、優しく髪を撫でた。

「今日のあなた、本当に素晴らしかったわ。私の脚本を完璧に表現してくれた」

「……ありがとう」

私は無意識にそう言っていた。その言葉が、自分の口から出たことに驚いた。しかし、それ以上に驚いたのは、その言葉に全く違和感がなかったことだった。

「そう。それでいいのよ」

彼女は微笑んだ。その笑顔が、なぜか温かく感じられた。狂気に蝕まれた私の感覚は、もはや正常な判断ができなくなっていた。

「あなたはまた一つ、成長したわね」

彼女は私の頬を撫でながら言った。

「あなたの存在が、この作品をもっと深く、もっとリアルにする。あなたの苦痛が、観客の快楽になる。あなたの堕落が、私の成功の糧になるの」

その言葉が、脳裏にこびりついた。私の苦痛が、誰かの快楽になる。私の堕落が、誰かの成功になる。それが、私の存在意義なのか。

「ところで、陸霆さんから連絡があったわ」

その名前を聞いて、私ははっとした。陸霆。私の夫。かつては愛し合い、今は離婚した男。

「彼、あなたの新しい役割を知って、とても興味を持っているみたい。もしかしたら、近いうちにここを訪れるかもしれないわよ」

「陸霆が? なぜ……」

「なぜって、あなたの新しい姿を見たいからよ。あなた、忘れたの? 彼はあなたを捨てたのよ。でも、あなたがこんなに落ちぶれた姿を見せれば、彼もきっと面白がるわよね」

その言葉に、私は何も言えなかった。夫にまで、こんな姿を見せなければならないのか。その絶望が、私をさらに深い闇に突き落とした。

「さあ、もう休みなさい。明日も撮影があるから」

彼女は立ち上がり、独房を出ていこうとした。その背中に向かって、私は思わず声をかけた。

「薇薇……なぜ、こんなことをするの?」

彼女は振り返った。その顔には、かすかな悲しみが浮かんでいた。

「なぜって……教えてあげようか? あなたが一番好きだった脚本を台無しにされた時の気持ちを、私は忘れたことがない。あなたが私のアイデアを盗んだ時の悔しさも、あなたが私の恋人を奪った時の悲しみも」

「そんな……私はそんなこと……」

「もういい。今さら言い訳を聞きたくないわ」

彼女は一瞬だけ、本当に悲しそうな表情を見せた。

「私はあなたに感謝していた。尊敬していた。でも、それ以上に、妬んでいた。嫉妬していた。だから、今こうしてあなたを見下ろせる立場に立てて、本当に嬉しいの」

彼女は微笑んだ。その笑顔は、あまりにも美しく、あまりにも残酷だった。

「さようなら、蘇婉。明日も、あなたの素晴らしい演技を楽しみにしているわ」

扉が閉まった。私は一人、暗闇の中に残された。

その夜、私は夢を見た。かつて私が脚本を書き、誰もが賞賛した映画のシーン。華やかな衣装を着て、スポットライトを浴びる女優たち。そして、そのすべてを生み出した私。脚本家、蘇婉。

しかし、その夢はすぐに現実に引き裂かれた。私の体が、また新しい傷に疼き始める。鎖の音が、独房に響く。スピーカーから、明日の撮影の指示が流れてくる。

私は、かつての私ではない。完全に別の存在になってしまった。脚本家ではなく、ただの素材。人間ではなく、ただの道具。親友ではなく、ただの敵。

「薇薇……あなたに、すべてを奪われた……」

私は暗闇の中で呟いた。その声は、誰にも届かない。ただ、壁に吸い込まれていった。

翌日の撮影は、さらに過酷なものだった。趙薇薇は、私の限界を超える辱めのシーンを要求した。私は泣き叫び、体をよじり、地面を這った。しかし、彼女は決して満足しなかった。

「もっと! もっと苦しそうに! もっと哀れっぽく!」

「あなたの苦痛が足りない! もっと深く、もっと激しく!」

「さあ、もう一度! もっと! もっと!」

彼女の声が、鞭のように私を打つ。私は限界を超えて動き続けた。痛みで意識が飛びそうになる。そのたびに、新しい刺激で引き戻される。

そして、撮影が終わった時、私は完全に倒れ込んだ。息も絶え絶えに、地面に伏していた。

「素晴らしいわ。あなた、本当に良い仕事をした」

趙薇薇は私のそばにしゃがみ込み、優しく背中を撫でた。

「あなたの苦しむ顔は、本当に美しい。いつか、このシーンを映画にした時、観客はきっとあなたに魅了されるわ」

私は何も言えなかった。ただ、涙が静かに流れ落ちるだけだった。

「さあ、休憩をあげる。でも、忘れないで。あなたはもう、私のものよ。脚本家ではなく、ただの公共の奴隷。それだけが、あなたの身分であり、あなたの存在意義なの」

彼女は立ち上がり、スタッフに指示を出した。私は担架に乗せられ、独房に運ばれた。

独房の中で、私は天井を見つめながら考えた。趙薇薇は、確かに私の親友だった。彼女の成功を願い、彼女の才能を信じていた。しかし、そのすべてが裏返しだった。彼女が私に抱いていたのは、感謝ではなく、嫉妬だったのだ。

私は、自分の人生に何かを取り戻せるのだろうか? 脚本家としての地位を。人間としての尊厳を。自由を。

しかし、その答えは、すでに決まっていた。私は、永遠にこの撮影所の奴隷であり続ける。趙薇薇の創り出す作品の一部として、永遠に辱められ続ける。

それが、私の運命だった。

私は目を閉じた。痛みが全身を覆う。しかし、不思議と、その痛みが心地よく感じられた。もう抵抗しない。これが私の人生だ。これが私の役割だ。そう受け入れることで、初めて安らぎを得られる気がした。

「ありがとう、薇薇……あなたのおかげで、私は自分が何者なのか、やっと分かった……」

暗闇の中で、私はそっと呟いた。

その言葉は、誰にも届かない。しかし、それでよかった。

私は、ただの素材だ。ただの道具だ。ただの公共奴隷だ。

そして、それでいいのだ。

そう決めた時、心の深い部分で何かが壊れる音がした。それが、私の中の最後の人間性の崩壊だったのか、それとも新たな始まりの合図だったのかは、私には分からなかった。

ただ、一つだけ確かなことは、私はもう二度と、かつての蘇婉には戻れないということだった。

私の身分は、完全に撮影所の公共奴隷と化した。脚本家としての過去は、遠い記憶の彼方に消えた。親友だった趙薇薇は、私の主人となった。夫だった陸霆は、別の誰かのものになった。

すべてを失った。しかし、その代わりに、私は新しい何かを得たのかもしれない。それは、苦痛に慣れた感覚であり、屈辱を受け入れる強さであり、そして、絶望の中にあるわずかな安らぎだった。

「さようなら、かつての私……」

私は目を閉じ、そのまま眠りに落ちた。

夢の中で、私は再び脚本を書いていた。しかし、その内容は、私自身の物語だった。私の転落、私の堕落、私の終焉。それを、一人の脚本家として、客観的に描いていた。

そして、その物語の結末は、永遠に続く苦痛と服従。それこそが、私にふさわしいハッピーエンドだった。

「終わり」

私はそう呟き、ペンを置いた。

そして、すべての光が消えた。

撮影中の身体改造

# 第6章:撮影中の身体改造

気がつけば、私は毎日のようにあの部屋に連れて行かれていた。最初の頃はまだ、自分が脚本家であるという誇りの欠片がどこか残っていた。しかし今では、それはすべて過去のものだ。私の身体は、彼らの欲望を満たすための道具として、日々改造され続けている。

朝、目を覚ますと、まず鏡の前に立つ。かつては優雅で自信に満ちていた女優のような脚本家の面影は、すでに消え去っていた。私の瞳は虚ろで、肌は青白く、頬はこけている。しかし、最も顕著な変化は、私の胸にあった。

「あら、ずいぶんと立派になったじゃない」

夏夢琪が私の乳首を指で弾く。彼女の指先が触れるたび、かつては感じることのなかった鋭い感覚が走る。頻繁な刺激のせいで、私の乳首は常に硬く勃起したままになっていた。色も変わり、かつての淡いピンク色から、濃い暗赤色へと変わっている。乳輪も大きくなり、まるで熟した果実のように膨らんでいる。

「気持ちいいでしょう?あなたの身体、正直ね」

彼女の言葉に、私は何も言い返せない。実際、この変化は私自身も感じていた。ブラジャーに擦れるたび、衣服が触れるたび、私の身体は勝手に反応し、乳首はさらに硬くなる。時には、何の刺激もないのに、突然ズキンと痛みが走ることもある。それはまるで、私の身体が常に彼らの愛撫を求めているかのようだった。

「もっとよく見せてごらん」

趙薇薇が私のブラウスをまくり上げる。彼女の冷たい視線が、私の変わり果てた胸に注がれる。彼女はかつての親友だ。今では、私の堕落を見届ける観客の一人に過ぎない。

「ほら、見てごらん。乳首の形が変わってきてるよ」

彼女の言葉通り、私の乳首は以前よりも長く、太くなっていた。頻繁な吸引と刺激によって、形そのものが変形し始めている。先端は敏感になりすぎて、少し触れただけでも腰が震える。

「撮影の準備はできてる?」

夏夢琪が私の手を引いて、撮影現場へと連れて行く。そこにはすでにカメラが設置され、照明が私を待っていた。私は何の抵抗もせず、言われるがままに服を脱ぐ。もう、恥ずかしさは感じない。むしろ、裸になることに一種の解放感すら覚えていた。

「今日は新しいシーンを撮るわよ」

監督の言葉に、私は頷く。彼は私の身体を隅々まで眺め、満足そうにうなずいた。

「乳首の色、いい感じに出てるね。もっと強調したいから、ジェルを塗っておいて」

アシスタントが私の乳首に透明なジェルを塗る。ひんやりとした感触が広がり、その後すぐにピリピリとした刺激が走る。このジェルには、血行を促進する成分が含まれているらしく、塗布後しばらくすると、乳首はさらに大きく膨らみ、色も濃くなった。

「すごい効果だね。これならアップでも映える」

カメラが私の胸に迫る。レンズ越しに、自分の変わり果てた姿を見つめる。そこには、かつての私の面影は微塵もなかった。ただ、欲望の対象として改造された一人の女がいるだけだ。

撮影が始まる。私はソファに横たわり、脚を開く。かつては想像もできなかった体勢だ。しかし今では、自然に行えるようになっている。私の膣は、頻繁な挿入によって常に潤っている。その変化は、私自身が一番よく知っていた。

「あら、ずいぶんと緩くなったんじゃない?」

夏夢琪が私の脚の間に指を入れる。彼女の指は、以前よりも深くまで入り込む。私の膣は、無理やり拡張されたせいで、その形状が変わりつつあった。内壁の感触も変わり、以前はきつく締まっていたのに、今ではまるで別もののように柔らかく、広がっている。

「トレーニングの成果が出てるわね。でも、まだ足りないわ」

彼女はそう言って、専用の器具を取り出す。それは私の膣をさらに拡張するためのものだった。最初は痛みで悲鳴をあげたものの、今ではその痛みすらも快感に変わりつつある。

「もっと広げてあげるからね」

器具が私の中に押し込まれる。ズンという重い感覚とともに、膣が無理やり広げられる。痛みと快感が混ざり合い、私は思わず声を漏らす。

「ああ…っ」

「静かにして。ちゃんと撮影できなくなるでしょ」

監督の叱責に、私は唇を噛みしめる。カメラは私の表情を捉えている。苦痛に歪む顔、そしてその中に混じる快楽の表情。私はそれを隠すことができない。

器具が最深部まで達した時、私は全身を震わせた。膣の形が、確実に変わりつつある。以前は狭く、締まりのある通路だったのに、今では広く、深くなっている。そして、その変化は歯止めが効かない。

「次はお尻ね」

夏夢琪が私の身体をひっくり返す。私はうつ伏せになり、臀部を突き出す。肛門もまた、頻繁な使用によってその形を変えていた。かつてはきつく閉じていた肛門は、今では常に少し開いた状態にある。そこに彼女の指が入り込むのも、もはや抵抗はない。

「ずいぶんと柔らかくなったわね。最初はあんなに嫌がってたのに」

趙薇薇が冷ややかに言う。確かに、最初は肛門への挿入など考えただけで吐き気がした。しかし今では、そこへの刺激もまた快感に変わっている。私の身体は、どんな屈辱にも適応してしまう。その事実が、自分自身で最も恐ろしかった。

「もう少し広げましょうか」

彼女が細長い器具を私の肛門に挿入する。それは次第に太くなっていく形状で、無理やり括約筋を拡張する。痛みはあるが、同時に何かが解放されるような感覚もある。

「いい感じになってきたね。肛門の色も変わってきた」

アシスタントが私の肛門を覗き込む。その言葉通り、私の肛門の周りの皮膚の色は、以前の健康的な肌色から、濃い紫色に変わっていた。頻繁な挿入と摩擦によって、色素沈着が起こっているのだ。

「これで何回目だろうね」

趙薇薇がカレンダーを見ながら言う。そこには、私が彼らに弄ばれた日付がすべて記録されていた。その数は、もう数えきれないほどになっている。

「でも、まだまだ足りないわ。もっと完璧にしないと」

夏夢琪が私の身体を撫でながら言う。彼女の指が、私の変わり果てた乳首をなぞる。その感触に、私の身体は勝手に反応し、乳首はさらに硬くなった。

「ほら、見て。あなたの身体、自分から求めてるよ」

彼女の言葉に、私は否定できない。実際、私の身体は常に彼らの愛撫を求めている。彼らが触れない時間が続くと、かえって不安になる。私は、完全に彼らに依存してしまっているのだ。

撮影は何時間も続いた。その間、私は様々な体勢にされ、様々な角度から身体を晒された。カメラは私のすべてを捉える。変わり果てた乳房、拡張された膣、色素沈着した肛門。それらのすべてが、鮮明に記録されていく。

「いいね、その表情。苦痛と快楽が混ざった、なんとも淫らな顔だ」

監督の言葉に、私は唇を噛む。彼の言う通り、私の顔は確かに淫らなものに変わりつつあった。以前は品のある微笑みを浮かべていた口元は、今では常に半開きで、唾液が垂れていることもある。目は虚ろで、焦点が合わない。

「そろそろ休憩にしようか」

ようやく解放され、私はソファに崩れ落ちる。全身が痛む。乳首は擦れてひりひりし、膣と肛門は拡張されたままの状態で、なかなか元に戻らない。

「ちゃんとケアしておきなさいよ」

アシスタントが軟膏を渡す。私はそれを自分の乳首と膣、肛門に塗り込む。この軟膏には、皮膚を柔らかくし、さらなる変形を促進する成分が含まれているらしい。塗った後は、肌がひりひりと熱を持ち、その後しばらくすると、さらに敏感になる。

「どう?自分の身体、変わったと思う?」

マネージャーが鏡を持ってくる。私はそこに映る自分の姿を見つめる。胸は以前よりも豊かになり、乳首は大きく濃くなった。腰のラインも変わり、より女体としての曲線が強調されている。そして何より、股間の違和感が、私の身体がもはや元には戻らないことを物語っていた。

「これで、あなたも一人前の女優さんだね」

彼女の言葉に、私は苦笑する。女優?私は脚本家だ。しかし、その事実も今では遠い過去のものに思える。私の日常は、もはや原稿を書くことではなく、彼らの欲望を満たすことになった。それが、私の新しい役割なのだ。

休憩の後、また撮影が再開される。今度は、より過激なシーンだ。私は複数の相手と関係を持つことになる。そのすべてが記録され、後に編集されて作品となる。

「準備はいい?」

夏夢琪が私の身体を押し倒す。彼女の手が私の股間に触れる。そこはすでに濡れていた。私の身体は、もう自分ではコントロールできない。

「ああ、もう入ってるよ」

彼女の指が私の中に入り込む。拡張された膣は、以前よりも深くまで受け入れる。彼女の指の動きに合わせて、私の腰が自然に動く。もう、私の身体は反射的に快感を求めてしまうのだ。

「いい子だね。そのまま、もっと感じて」

彼女の指が増え、私の中で動き回る。膣の内壁がその動きに合わせて収縮する。しかし、以前のような強い締め付けはもうない。私の膣は、すべてを受け入れるために改造されている。

「そろそろ本番ね」

別の男が私の背後に回る。彼の手が私の腰を掴み、その熱い塊が私の肛門に押し当てられる。私は反射的に身体を硬くする。しかし、それも一瞬のことだった。

「リラックスして」

彼の声とともに、その塊が私の中に侵入する。拡張された肛門は、以前よりも容易にそれを受け入れる。痛みよりも、むしろ満たされる感覚が強い。

「すごい…こんなに入るんだ」

彼の驚きの声に、私は複雑な思いを抱く。私の身体は、すでに普通ではないのだ。肛門も膣も、過度な使用によってその機能そのものが変わりつつある。

撮影は深夜まで続いた。私は何度も絶頂に達し、そのたびに意識が飛びそうになる。しかし、彼らは私を休ませない。常に新しい刺激を与え、私の身体をさらに変えていく。

ようやく撮影が終わり、私は一人で更衣室に戻る。鏡の前に立ち、自分の身体をまじまじと見つめる。そこには、自分でも驚くほどの変化があった。

乳首は常に勃起したまま、色は濃く、形も変わりつつある。胸も、以前よりも張りが出て、なめらかな曲線を描いている。しかし、それは健康的なものではない。むしろ、異常なまでの発達だ。

腰を下ろすと、膣と肛門に違和感を感じる。両方とも、常に何かが入っているような感覚がある。実際、指で触れてみると、膣の入り口は以前よりも広がり、括約筋の締まりも弱くなっていた。肛門も同様で、触れるだけで簡単に指が入り込む。

「もう…戻れないんだ」

私は呟く。この身体は、もう以前の状態には戻らないだろう。改造された身体は、元には戻せない。私は、この新しい身体と共に生きていくしかないのだ。

更衣室を出ると、趙薇薇が待っていた。

「お疲れさま。今日の撮影、すごく良かったよ」

彼女はそう言って、私の肩を抱く。しかし、その手には冷たさを感じる。彼女は私の堕落を喜んでいる。かつてライバルだった私が、こうして奴隷のように扱われるのを、彼女は心から楽しんでいるのだ。

「明日もまた、新しいシーンがあるからね。今日よりもっと過激なやつ」

彼女の言葉に、私はただ頷く。もう、拒否する気力もない。すべてを受け入れ、流れに身を任せるだけだ。

家に帰ると、陸霆が待っていた。彼は私を見るなり、眉をひそめた。

「また、あの撮影か」

「ええ」

「お前の身体、変わってきてるな」

彼はそう言って、私の胸を触る。乳首が彼の手に擦れ、鋭い刺激が走る。

「ああ…っ」

「感じやすくなってるな。改造の成果か?」

彼の言葉に、私は答えられない。ただ、うつむくだけだ。

「まあいい。お前の身体がどうなろうと、俺にはもう関係ない」

彼はそう言って、私をベッドに押し倒す。そして、無造作に私の脚を開かせる。

「今日は俺がしっかり使ってやる」

彼の指が私の膣に侵入する。その感触は、以前とは明らかに違っていた。

「ずいぶんと広くなったな。何人も相手をしたんだろう」

彼の言葉に、私は何も言い返せない。ただ、されるがままに身を任せる。

その夜も、私は彼に使われ続けた。私の身体は、もはや私のものではない。すべての人の欲望を満たすための道具として、日々改造され続けている。

朝、目を覚ますと、また新しい一日が始まる。今日もまた、撮影所に連れて行かれ、新しい屈辱を受けるのだろう。しかし、それに対する抵抗感は、もうほとんど残っていない。

私の身体は、確実に変わっている。そして、その変化は止まらない。いつか、完全に人間ではなくなってしまうかもしれない。しかし、それでも構わないという諦めが、私の心を支配していた。

改造され続ける身体。それこそが、私の新しいアイデンティティなのだ。

クランクアップ日の集合写真

# 第7章 クランクアップ日の集合写真

朝の光が撮影所の廊下に差し込む。いつもと変わらない一日の始まりのはずなのに、私の全身は昨日の責め苦の痕跡でまだ疼いていた。特に膝は、長時間硬い床の上に跪いていたために赤く腫れ上がり、歩くたびに鈍い痛みが走る。

私は自分の更衣室の前に立っていた。かつては「脚本家・蘇婉」と記された立派なネームプレートが掛かっていた扉には、今は何もない。私の席はあの小さな物置部屋に追いやられ、ここにはもう用はないはずなのに、なぜか足が止まってしまった。

「あら、蘇婉さん、おはようございます」

背後からかかった声に、私は条件反射的に肩を震わせた。振り返ると、夏夢琪がにこやかな笑顔を浮かべて立っていた。彼女の手には、見覚えのある革製の首輪と鎖が握られている。

「今日はクランクアップですからね。最後まで気を抜かないでくださいよ」

そう言いながら、彼女は私の耳元に近づき、ささやくように続けた。

「監督から、今日の集合写真はあなたも参加するようにって言われてます。もちろん、いつもの姿で」

私の喉が引きつった。集合写真。映画の主要キャストとスタッフが一堂に会する、あの晴れやかな場面を思い浮かべる。プロデューサー、監督、主演俳優たちが笑顔で並ぶ、業界の結束を象徴するあの写真に、私が四つん這いの姿で参加するというのか。

「冗談でしょう...?」

掠れた声で問いかける私に、夏夢琪は首を振った。

「冗談に見えますか?これはあなたが自ら望んだことでしょう?『私をあなたの犬にしてください』って、あんなに懇願したのは誰だったかしら」

彼女の指が私の頬を撫でる。その冷たい感触に、私は無意識のうちに身を引いた。

「でも、あれは...」

「『あれは』何ですか?まさか、今さら後悔なんてしてませんよね?」

夏夢琪の目が細められる。その瞳の奥で、危険な光がちらつくのを私は見逃さなかった。

「いいえ...そんなことは...」

私はうつむいた。もう後戻りはできない。この一週間で、私は完全に彼女たちの掌の上で踊らされていることを思い知らされた。もし逆らえば、私の恥ずかしい写真や動画が業界中に拡散される。それだけではない。陸霆との離婚協議も、趙薇薇の手によって私に不利な方向へと進められている。

「それでは、準備を始めましょうか」

夏夢琪は優雅に手を差し出した。私はもう一度、更衣室の扉を見上げた。この部屋に二度と入ることはないだろう。脚本家としての蘇婉は、ここで完全に終わりを告げようとしている。

物置部屋に戻ると、もうあの赤いドレスが用意されていた。以前はあれほど嫌悪したその衣装も、今では私の体に染みついてしまった。慣れた手つきでドレスをまとい、四つん這いの姿勢になる。夏夢琪が丁寧に私の首に革の首輪をはめ、鎖を取り付ける。

「さあ、行きましょう。みんな待ってるわ」

鎖が引かれ、私は彼女の後ろを這って歩き始めた。廊下の床は冷たく、膝が痛む。早足で歩く夏夢琪に必死について行くため、私は手と膝を懸命に動かした。

スタジオに到着すると、すでに多くのスタッフが集まっていた。機材の最終確認、照明の調整、カメラのセッティング。すべての準備が整いつつある。

「あら、来たわね」

聞き慣れた声に顔を上げると、趙薇薇が立っていた。彼女はディレクターズチェアに座り、優雅に脚を組んでいた。その表情は相変わらずの無邪気な笑顔を浮かべているが、その目は獲物を見つめたハンターのように冷たく光っていた。

「蘇婉、今日はいい調子ね。そのドレス、とてもよく似合ってるわ」

「ありがとうございます...」

私は自然に答えた。最初の頃は言葉を発するのも嫌だったこの台詞も、今では口に出すのが習慣になってしまっていた。慣れとは恐ろしいものだ。

「みんな、そろそろ集まってください!」

監督の声が響く。キャストと主要スタッフがカメラの前に集まり始める。夏夢琪は私の鎖を握ったまま、一番前列の中央に立った。

「蘇婉さん、あなたはここよ。ヒロインの隣があなたの定位置でしょ?」

彼女の指が指し示す先は、彼女自身の足元だった。私は黙ってその位置に移動し、膝をつく。頭を垂れると、視界には彼女の真っ白なヒールと、自分の震える指先だけが映った。

「さあ、笑顔で行きましょう!」

カメラマンが声をかける。私は顔を上げ、カメラのレンズを見つめた。その向こうで、フラッシュが何度も光る。私は歯を食いしばり、必死で笑顔を作った。

「もう一枚!」

カメラマンの声が響く。私は再び笑顔を作る。隣で、夏夢琪が私の鎖を少し引っ張り、私の首を持ち上げさせた。

「もっと顔を上げて、カメラに媚びるように」

彼女のささやきが聞こえる。私は従った。何度も何度も、フラッシュが私の顔を照らす。そのたびに、私の存在が一枚の写真に刻まれていく。脚本家としての尊厳を失い、ただの性奴隷としてカメラの前に立つ、その姿が。

「蘇婉、姿勢が悪いわよ」

趙薇薇の声が聞こえる。彼女はチェアから立ち上がり、私の近くにやってきた。

「もっと体を反らせて。尻尾を振るように、腰を動かして」

私は言われた通りにする。周りから笑い声が漏れる。誰かが「いいポーズだ」と褒める声も聞こえる。私は自分の感覚が麻痺していくのを感じていた。恥辱も恐怖も、もう意味をなさない。

「では、全体写真の前に、ヒロインとそのペットのツーショットを撮りましょう」

カメラマンの提案に、夏夢琪が嬉しそうに頷く。

「いいわね。さあ、犬さん、こっちを見て」

私は彼女の指の指す方向に顔を向ける。フラッシュがもう一度光る。彼女は私の頭を撫で、耳元でささやいた。

「本当にお利口さんね。この調子なら、今夜はご褒美をあげてもいいわ」

その言葉に、私は自分がどれほど堕ちてしまったかを実感した。かつては業界で一目置かれる脚本家だった私が、今や犬のように扱われ、その飼い主からのご褒美を心待ちにしているのだ。

全体写真の準備が整い、監督やプロデューサーたちが前列に並ぶ。私はカメラの真正面、夏夢琪の足元に配置された。彼女のヒールが私の背中に触れ、軽く押す。

「写真に写る時は、ちゃんとカメラを見るのよ」

私は彼女の言う通りにする。カメラのレンズを見つめながら、私はふと思った。この写真はきっと業界誌に載るのだろう。あるいは、彼女たちの私室に飾られるのかもしれない。いずれにせよ、この写真は私が完全に脚本家としての立場を失い、ただの性奴隷として存在することを証明するものになる。

「はい、皆さん笑顔で!」

カメラマンの掛け声とともに、フラッシュが一斉に光る。私はその中で、ただただカメラを見つめていた。笑顔を作ることも、もう忘れてしまっていた。

撮影が終わると、スタッフたちが三々五々解散していく。私はまだその場に膝をついたままだった。足がしびれて、もう立ち上がることすらできなかった。

「お疲れ様、蘇婉さん」

夏夢琪が私の鎖を引っ張り、立たせようとする。私はよろめきながら立ち上がった。

「今夜は打ち上げがあるから、あなたも来てもらうわよ。もちろん、その姿でね」

私はうなずいた。もう逆らう気力もなかった。ただ、彼女の言う通りにすることが、私の役目なのだと、そう自分に言い聞かせていた。

スタジオを後にする時、私はもう一度だけ、あの更衣室の扉を見上げた。もう二度と戻れない場所。そこにはかつての私がまだ存在しているような気がした。しかし、その幻想も、すぐに現実の鎖に引っ張られて消え去っていった。

私の首には革の首輪が、足元には鎖が、そして心には完全なる服従の証が刻まれていた。これが、私が選んだ道の果て。撮影所の奴隷として、私は今日もまた、一歩ずつ堕ちていく。

祝賀会での公開辱め

# 第8章 祝賀会での公開辱め

会場の華やかな照明が眩しく、私は隅っこの床に裸で跪いていた。首には革製の首輪が嵌められ、そのリードは夏夢琪の手の中にある。彼女は今夜の主役、映画のヒロインだ。そう、あの映画——誰もが私が書いた脚本だと知っているのに、誰も口にしない映画の。

「さあ、皆さんにお披露目しましょう」

夏夢琪の声が会場に響き渡る。彼女は私の髪を掴み、無理やり顔を上げさせた。二百人以上の招待客がいる——製作会社の重役、俳優たち、業界の大物たち。全員の視線が私に突き刺さる。

趙薇薇が微笑みながら近づいてきた。かつての親友。今は私の苦痛を見つめる観客の一人。

「今日の特別展示は、私たちの元脚本家、蘇婉さんです」

彼女の言葉に、会場から笑い声が漏れる。私は目を閉じた。この数週間で、私は何度も辱めを受けてきた。しかし、公の場での晒し者は初めてだ。

「あの……脚本を書いたのは私で……」

声が震えた。趙薇薇が私の頬を軽く叩く。

「黙っていなさい。今のお前は言葉を発する価値もない」

夏夢琪がスカートの裾を整え、優雅に私の前に立つ。ハイヒールの先が私の顎を持ち上げる。

「そうだよ、蘇婉さん。あなたはただの奴隷。私たちの娯楽のために存在するの」

彼女は周りの客に向かって宣言する。

「皆さん、この女をご覧ください。かつては『業界の才女』と呼ばれた脚本家です。今は——」

彼女はリードを引っ張り、私の体が床に倒れる。

「ただの雌犬です」

どっと笑い声が起こる。私は唇を噛みしめた。涙が溢れそうになるのを必死に堪える。

「さあ、雌犬。芸をしてみせなさい」

夏夢琪は私の頭を押さえ、自分の太ももの間に導く。彼女のスカートの中、下着も履いていない。周りの客が一歩下がり、私たちに注目する。

「ここで?」

「ここでよ。皆さんに見せてあげなさい。一流脚本家の口がどれほど巧みかを」

私は震えながら、彼女の太腿に顔を埋めた。かつては尊敬していた女優。今は私を踏みにじる支配者。

歓声と野次が飛び交う中、私は夏夢琪の恥部に舌を這わせた。彼女の体が快感に震える。周りの客たちはスマートフォンを掲げ、私の姿を撮影している。

「そう、その調子。もっと深く」

彼女の声が高くなる。私は羞恥で頭が真っ白になりながらも、与えられた命令を遂行する。この数週間で体が覚えてしまった。苦痛に反応し、辱めに興奮するように。

趙薇薇が私の髪を掴み、顔を客の方に向けさせる。

「皆さん、しっかり見てください。これが蘇婉の本当の姿です」

彼女はそう言って、私の口に指を突っ込んだ。唾液が滴り落ちる。

「あなたが書いたあのラブシーン、覚えてる? 今のあなたは、あれよりもずっと淫らよ」

客たちが拍手を送る。夏夢琪が私の頭を離し、代わりにロングドレスに隠れた脚で私の顔を踏みつける。

「よくやった、雌犬。ご褒美をあげる」

彼女は手を打ち鳴らすと、ウェイターが銀の皿を持って現れた。皿の上には——犬用のフードが盛られている。

「食べなさい」

「それは……」

「食べろと言ったの」

震える手で、私は皿に手を伸ばす。すると、夏夢琪が私の手を叩いた。

「手は使わない。犬は口で食べるものよ」

周りの笑い声がより一層大きくなる。私は四つん這いになり、皿に顔を近づけた。ドライフードの匂いが鼻を突く。

食べ始めると、趙薇薇が持ってきた水を私の頭にかける。

「ほら、水もあるわよ。喉に詰まらせないでね」

水がフードを濡らし、べちゃべちゃになる。それでも私は食べ続けた。空腹だった。何より、抵抗する気力がもう残っていなかった。

客たちは私を見下ろしながら、優雅にシャンパンを傾けている。誰一人として止めようとしない。むしろ、面白がっている。

「さて、次の出し物よ」

夏夢琪が再びリードを引く。私は引きずられるように会場の中央へ連れて行かれる。そこには低い台が設置されていた。

「お前は今夜の祝賀会のメインアトラクションだ」

彼女はそう言って、私を台の上に立たせる。裸の私を、二百人以上の人間が取り囲む。

「さあ、皆さん。この雌犬がどうやって脚本を書いたか、見てみたくない?」

夏夢琪は私の耳元でささやく。

「ここで、新しい脚本を書いてもらうわ。テーマは『自ら進んで奴隷となった女の愛』よ」

机と紙が用意される。私は裸で立ったまま、ペンを握る。手が震えて文字が書けない。

「早く」

彼女の鞭のような声。私は必死に書く。しかし、頭の中は真っ白だ。何を書けばいいのか、全くわからない。

趙薇薇が近づき、私の手元を覗き込む。

「あら、こんなものしか書けないの? あの華麗な脚本は、全部嘘だったのかしら」

彼女はそう言って、私の書いた紙を奪い取り、客たちに見せる。

「見てください、この下手くそな字。まるで小学生の落書きです」

嘲笑が沸き起こる。私は台の上で小さくなり、自分の体を抱きしめる。

「どうしたの、蘇婉? もっと抵抗してよ」

夏夢琪が私の顎を掴み、無理やり顔を上げさせる。涙がぼろぼろと零れ落ちる。

「ああ、泣いてるの? それもいいわ。涙は観客を喜ばせる」

彼女は私の涙を指で拭い、自分の口に運ぶ。

「涙の味は、苦くてしょっぱい。まさにあなたの人生そのものね」

趙薇薇が笑う。

「でも、あなたの夫——元夫の陸霆は、もう私のものよ。彼の財産も、地位も、全部私がもらった」

その言葉に、胸が締め付けられる。陸霆。かつて愛した男。今は趙薇薇の腕の中。

「どうして……」

「どうしてって?」趙薇薇は楽しそうに笑う。「あなたが弱すぎたからよ。簡単に支配される女に、価値なんてない」

その時、夏夢琪が私の体にマジックペンを走らせ始めた。私の胸や腹に、彼女は言葉を書き連ねる。

「『私は雌犬』『私の口は汚いだけ』『私はただの性奴隷』——どう? 似合うでしょう?」

客たちがスマートフォンを向ける。フラッシュが絶え間なく焚かれる。私はただ立っていることしかできなかった。

「さあ、もう一度みんなにお披露目よ」

夏夢琪が私の手首を縛り、首輪のリードを天井のフックに引っ掛ける。両腕を吊り上げられた状態で、私は客たちの前にさらされる。

「綺麗に書けてるわね。あなたの体は、最高のキャンバスだわ」

彼女はそう言って、私の股間に手を伸ばす。指が敏感な部分に触れる。

「どう? 興奮してるんでしょ?」

確かに、私の体は彼女の指に反応していた。この屈辱的な状況なのに、体は正直に濡れていく。

「ああ、やっぱり。あなたは生まれつきの奴隷なのよ」

彼女の指が中に入る。私は声を殺して喘ぐ。周りでは笑い声と拍手が起こっている。

「もっと——もっと見せて」

彼女の指が激しく動く。私はもう我慢できず、悲鳴をあげた。

「あっ……ああっ!」

「そうよ、その声よ。今夜のBGMにぴったり」

彼女が指を抜く。私の体液が滴り落ちる。

「さあ、皆さん。この雌犬がどれほど淫らか、ご自身の目でお確かめください」

客たちが私の周りに集まる。何人かの男たちが私の体に触れる。私はされるがまま——抵抗する力がもうなかった。

「私——私は——」

「あなたはただのもの。私たちが使うものよ」

夏夢琪の声が遠くに聞こえる。私はもう、何も考えられなかった。

この祝賀会はいつ終わるのだろう。それとも、これが永遠に続くのだろう——。

私は目を閉じ、辱めの波に身を任せた。もう、自分を保つ必要はない。こんな私でも、誰かの役に立てるのなら——それでいい。

涙が頬を伝い、床に落ちる。その一滴は、かつての自分への最後の別れだった。