# 変革の始まり
今日は私の五十歳の誕生日だ。朝から小天が何か企んでいるような、妙に落ち着かない気配を感じていた。彼は二十歳になったばかりだというのに、最近は私を見る目つきが明らかに変わってきている。かつては幼かったあの瞳には、もうかつての無邪気さは微塵も残っていない。
「母さん」
リビングのソファに腰掛けた彼が、冷たい声で私を呼んだ。私はエプロンで手を拭きながら、無理に笑顔を作って振り返る。
「なあに、小天?」
「ここに来て、座れ」
彼は自分の足元の床を指さした。一瞬、何を言われたのか理解できず、私は呆然と立ち尽くした。彼の目は、まるで見知らぬ他人を見るかのように冷たく澄んでいた。
「何をぐずぐずしているんだ。言う通りにしろ」
声のトーンが一段と低くなった。嫌な汗が背中を伝う。何かがおかしい。これはただの誕生日のサプライズではない。何かが、決定的に変わろうとしている。
「小天、お母さんは今、夕飯の準備を...」
「黙れ」
その一言に、私は言葉を失った。彼がそんな口調で私に話しかけたことなど、今まで一度もなかった。恐怖が足元から這い上がってくるのを感じながら、私は指示された場所にゆっくりと歩いていった。
「服を脱げ」
「え?」
「聞こえなかったのか?服を全部脱いで、私の前に跪け」
彼の口調には一切の妥協がなかった。私は震える手でエプロンの紐を解き、ブラウスのボタンを外していく。カーテンは閉まっている。誰も見ていない。それでも、自分の息子の前で裸になるという事実が、私の尊厳を粉々に打ち砕いた。
「早くしろ」
彼の苛立った声が鞭のように私を打つ。私は最後の一枚を脱ぎ捨て、彼の前に膝をついた。床の冷たさが、痩せ細った膝に染み入る。羞恥と屈辱で、目の前が霞んでいく。
「よくできたな、母さん」
彼は立ち上がり、私の周りをゆっくりと歩きながら、値踏みするように視線を上下に這わせる。全身が総毛立つ。
「今日からお前は、私の性奴隷だ」
彼はポケットから黒い革の首輪を取り出した。金具が鈍い光を放っている。それは明らかに、犬用の首輪ではなかった。
「ま、待って、小天。そんなこと...」
「反論するな」
彼の手が私の髪を掴み、無理やり顎を上げさせる。痛みに顔が歪む。その隙に、彼は首輪を私の喉に巻きつけた。カチリという金属音が、何かが永遠に終わったことを告げている。
「他の男を見るな。他の男と話すな。私の許可なく服を着るな。私が命じることすべてに従え」
首輪に取り付けられたリードを彼が引っ張る。私はよろめきながら立ち上がった。体が震えて止まらない。恐怖で心臓が張り裂けそうだ。でも――その時、奇妙なことに気づいてしまった。
下腹部の奥底で、何かが疼いている。
「お前の体は、もうお前のものじゃない。私のものだ」
彼の言葉が、まるで遠くから聞こえるようだ。私はただ、震えながらうつむくことしかできなかった。涙が床に落ちて、丸い染みを作る。
「これからお前は私を『ご主人様』と呼べ。いいな?」
「...はい」
「何て言った?」
「はい、ご主人様」
初めて口にしたその呼び名は、思いのほかすんなりと舌に乗った。その事実に、私はさらに深い絶望を感じる。もしかしたら、本当はずっと前から、私はこの瞬間を待っていたのかもしれない。
満足げに微笑む小天の顔を、うつむきながら盗み見る。私の知っている息子は、もうそこにはいなかった。
「これから毎日、お前のすべてを私に捧げるのだ」
彼の言葉が、部屋中に冷たく響き渡った。