深夜の静けさが部屋を包み込む中、陳依婷は一人でソファに座っていた。手にしたグラスの中の赤ワインは既に二杯目、いや三杯目だろうか。麦旺輝はまた出張だと言って、三日も前から家を空けている。彼がどこで何をしているのか、彼女にはもう考える気力もなかった。ただ、この広い家に一人取り残された寂しさが、アルコールと共に喉を焼き、胸の奥で燻る空虚を一時だけ麻痺させてくれる。
窓の外には月明かりがかすかに差し込み、カーテンの隙間から冷たい光の筋が床に落ちていた。彼女はグラスを傾け、最後の一滴を唇に運んだ。頭がぼんやりとし始め、まぶたが重くなる。ソファに寄りかかったまま、意識は次第に曖昧な闇へと溶けていった。
その時、廊下の向こうからかすかな足音が聞こえた。古い木の床が微かに軋む。陳依婷は何かを感じ取ったが、体はアルコールに蝕まれ、指一本動かせない。まぶたの裏に映るのは、ただぼんやりとした影だけだった。
扉がゆっくりと開いた。義父、麦父がそこに立っていた。彼は一瞬、辺りを見回すと、何事かを探すような素振りで部屋の中に足を踏み入れた。しかし、その目は明らかに彼女の体を捉えていた。ソファで崩れるように眠る嫁の姿に、彼の口元が微かに歪む。
「依婷、寝てるのか?」
低く掠れた声が静寂を裂いた。返事はない。彼女の呼吸は浅く、規則的だった。麦父はゆっくりと近づき、彼女のすぐ隣に膝をついた。指先を伸ばし、彼女の頬にかかる黒い髪の毛先をそっと撫でる。その感触に、陳依婷の眉が微かに震えたが、目は開かない。
「起きないなら…いい機会だな。」
麦父は鼻先で嗤うと、その手を彼女の肩へと滑らせた。薄手のカーディガンの下には、柔らかな肌の温もりが透けている。彼は慎重に布地をずらし、露わになったなめらかな首筋に顔を近づけた。舌が熱を帯びた皮膚に触れる。一滴の唾液が、鎖骨のくぼみへと伝った。
陳依婷の意識は、半分だけ浮上していた。何かが自分の体に触れている。それは理解できた。しかし、アルコールが全身を縛りつけ、腕も脚も思い通りにならない。口を開こうとしても、声にならない吐息だけが漏れた。心の奥で警鐘が鳴り響く。『やめて…あなた、何を…』けれど、その言葉は喉の奥で砕け散った。
麦父の舌は、首筋から徐々に下へと這い降りていった。彼女の胸元を覆う薄い布の上に、ぬるりとした感触が広がる。彼の手は、彼女の黒いストッキングに包まれた太腿へと移動した。指先で弾むような弾力を確かめながら、ゆっくりと撫で上げていく。ストッキングの繊維が擦れ、かすかな音が部屋に響いた。
「ふっ…まあまあの足だな。」
麦父の声には、明らかな歓びが混じっていた。彼は太腿の内側に顔を埋め、舌を這わせた。黒いストッキングの上からでも、彼女の肌の熱が伝わってくる。彼の手はさらに上へと進み、スカートの裾をまくり上げた。陳依婷は無意識に腿をぎゅっと閉じようとしたが、力が入らず、ただ震えるだけだった。
『いけない…これ以上は…ダメ…』彼女の心は必死に抵抗を試みていた。しかし、体は裏切るように、彼の舌の動きに反応して微かに浮き上がる。恥ずかしさと恐怖が渦巻く中で、それでも一筋の甘い痺れが背筋を駆け上がる。自分がこんな風に感じてしまうこと自体が、彼女には耐え難い屈辱だった。
麦父は彼女の反応を見逃さなかった。彼はさらに大胆に動き、ストッキングの縁に指を差し入れた。その瞬間、陳依婷の体がびくんと跳ねる。彼は低く笑いながら、指をゆっくりと下ろし、彼女の素肌に触れた。熱い指の感触が、直接太腿の柔らかな部分をなぞる。
「依婷…お前も案外感じやすいんだな。」
その言葉が、彼女の耳にぼんやりと届いた。恥ずかしさで顔が紅潮し、涙が目尻に溜まる。それでも、彼の指が滑るたび、腰が無意識に浮き上がる。自分の意志とは裏腹に、体は快楽を求め始めていた。心の中で叫び続ける声は、次第に小さくなっていく。
麦父はそのまま、彼女のスカートを腰の上までたくし上げた。黒いストッキングと、その上端にある肌色の帯が、月明かりに浮かび上がる。彼の舌は、その境界線をなぞるように這い回り、時折、彼女の内腿に噛みつくように吸い付いた。陳依婷はかすかに声を漏らし、両手でソファの布地を握りしめた。
夜は更け、部屋の中には彼の荒い息遣いと、彼女のくぐもった吐息だけが交錯していた。彼女の抵抗は、アルコールと羞恥と、そして芽生え始めた背徳の快楽によって、完全に打ち砕かれようとしていた。