教室の窓から差し込む午後の日差しが、ほこりの舞う空気の中に斜めの光の帯を作っていた。薰は自分の席で、教科書に視線を落としているふりをしながら、耳だけが周囲のざわめきに敏感になっていた。
「おい、薰。お前、また女みたいな声出してるぞ」
後ろから突然、肩を強く叩かれた。振り返ると、趙虎がにやにやしながら立っている。その隣には陳虎がいて、二人はいつものように薰をからかうためにやって来たのだ。
「違う、俺は…」
「違うも何も、お前の声、全然男じゃないじゃねえか。それに、この細っこい体。女と変わらねえよ」
陳虎がそう言って、薰の腕を掴み、無理やり立ち上がらせた。その拍子に教科書が床に落ちる。薰は必死に腕を振り払おうとしたが、相手の力は強く、びくともしなかった。
「おい、みんな見ろよ。これが薰だ。女みたいな体してる奴」
趙虎がクラス中に呼びかけると、何人かの生徒が笑い声をあげた。女子たちの中には、気まずそうに目をそらす者もいた。しかし、メアリーだけは違った。彼女は窓際の席で、退屈そうに外を眺めていた。趙虎の声など、最初から聞こえていないかのように。
趙虎は時折、メアリーに話しかけようとした。しかし、彼女の反応はいつも冷たかった。メアリーはクラスの中で一番美しい女子だった。その美貌と冷めた態度が、かえって趙虎の執着を強めていた。彼はメアリーに振り向いてほしくて、薰をいじめることで自分の力を誇示しているふしがあった。
「おい、メアリー。見てろよ、こいつがどんなに弱いか」
趙虎が薰の襟を掴み、壁に押し付けた。薰の後頭部がコンクリートの壁に当たる。痛みに顔をしかめながらも、薰は歯を食いしばって声を漏らさなかった。そんな姿に、趙虎はさらに興奮して笑った。
その日の放課後、薰は誰もいないトイレで、鏡の前に立っていた。自分の体を見つめる。相変わらず痩せ細った体、目立たない筋肉。そして、性器は幼児のように未成熟だった。彼は拳を強く握りしめた。
「いつか…いつか必ず…」
その言葉は、誰にも聞こえないほど小さな声だった。
数ヵ月が過ぎ、薰の体に変化が現れ始めた。最初は気のせいだと思っていた。身長が伸び、肩幅が広がり、声も低くなっていった。しかし、それ以上に顕著だったのは、下半身の変化だった。
ある体育の授業中、着替えの時間に薰が初めてその変化を認識した。ズボンを脱いだ時、今までとは明らかに異なるその大きさに、自分でも驚いた。それは幼い頃の面影を全く残さず、成人男性をはるかに超えるほどのものだった。
「薰、早くしろよ!」
外から李先生の声がかかる。薰は慌ててズボンを履き、その膨らみを隠した。しかし、その日から、彼の体はさらに勢いを増して変化していった。
メアリーがその変化に気づいたのは、ある日の放課後だった。教室に忘れ物を取りに戻った彼女は、偶然、誰もいないはずの教室で薰が着替えているところを目撃した。
窓から射し込む夕日の光の中で、薰の裸体が浮かび上がる。その体は筋肉質で引き締まり、見るからに力強かった。そして何より、その股間にぶら下がる巨大なものが、メアリーの目を釘付けにした。彼女は思わず息を呑んだ。その大きさ、太さ、そして形。今までにない衝撃だった。
薰は誰かの視線を感じて振り返った。そこにメアリーが立っている。二人の目が合う。薰は一瞬戸惑ったが、すぐに落ち着きを取り戻した。
「何か用か?」
「いや、別に…」
メアリーはそう言いながらも、視線をそらせなかった。彼女の頬がほんのり赤らむ。彼女は急いで教室を出て行ったが、心臓は激しく打ち続けていた。
それ以来、メアリーの薰に対する態度が変わった。授業中、こっそりと薰の方を見るようになった。休み時間には、薰の近くにいることが多くなった。趙虎が氣づかないはずがなかった。
「おい、メアリー。最近、薰と仲良くしてるんじゃないか?」
趙虎が嫉妬にかられて問い詰めると、メアリーは冷たく言い放った。
「別に。ただ、あんたよりマシだと思っただけよ」
その言葉に、趙虎の顔が真っ赤に染まった。しかし、彼はまだ自分に勝機があると思っていた。そんな中、ある夜の出来事がすべてを決定的に変えた。
放課後、薰が図書室で本を読んでいると、突然後ろから誰かが近づいてきた。振り返ると、メアリーが立っている。彼女は表情を固くして、何かを決意したような目をしていた。
「薰、ちょっと来て」
彼女に連れられて、二人は誰もいない音楽準備室に入った。薄暗い部屋の中、二人は向かい合って立つ。メアリーは緊張した面持ちで、薰の目をまっすぐに見つめた。
「私は…あんたに触れられたい」
その言葉は、はっきりと、迷いなく紡がれた。薰は驚きながらも、彼女の目に宿る本気の光を見逃さなかった。彼はゆっくりと手を伸ばし、メアリーの頬に触れる。彼女は少し震えたが、拒まなかった。
キスを交わす瞬間、メアリーの体が一瞬固まった。しかし、薰の強い腕が彼女を支え、導いた。制服のボタンが外され、下着が取り払われていく。薰の巨大なものが露わになった時、メアリーは思わず息を呑んだ。
「入れるぞ」
薰の低い声が響く。メアリーが軽くうなずくと、彼はゆっくりと腰を進めた。彼女の体が弓なりに反り返り、甘い声が漏れる。痛みと快楽が混ざったその声は、部屋の中に響き渡った。
その夜、メアリーは処女を失った。その相手がかつていじめられていた少年であることに、彼女自身が一番驚いていた。しかし、それ以上に彼の体の大きさと、与えられる快楽に魅了されてしまった。
それ以来、二人は恋人同士になった。教室でも、二人の距離は急速に縮まった。手を繋ぎ、寄り添い、時には薰の膝の上に座るメアリーの姿も見られるようになった。
趙虎の怒りは頂点に達していた。ある日、彼は陳虎を連れて、薰に詰め寄った。
「お前、メアリーに何をしたんだ!」
「別に何も。ただ、彼女が俺のものになっただけだ」
薰の返答は冷ややかだった。今の彼にとって、趙虎はもう怖い存在ではなかった。その態度に趙虎の怒りが爆発した。彼は薰の胸倉を掴み、殴りかかろうとした。
次の瞬間、趙虎の腕が逆にねじ上げられた。薰の力は驚異的で、彼は全く動けなかった。そのまま壁に押し付けられ、腕を背後に固められる。
「痛い、痛い!離せ!」
「離す?お前が俺にしたことを忘れたのか?」
薰の声には、これまでの鬱積が込められていた。彼の目に冷たい光が宿る。その時、メアリーが教室に入ってきた。
「薰?」
彼女は状況を察すると、少し迷った後、薰のそばに歩み寄った。そして、趙虎の前で、薰の手を取り、自らキスをした。趙虎の目が大きく見開かれる。
「メアリー…お前、まさか…」
「そうよ。私は薰のものよ。あなたと違って、彼は本物の男だから」
その言葉が、趙虎の心を打ち砕いた。さらに、薰は趙虎の腕を離すと、メアリーを抱き寄せた。そして、彼の目の前で、メアリーのスカートの中に手を入れ始めた。
「何をする気だ!?」
「見たいんだろ?俺たちがどうやって愛し合うのか」
薰はそう言うと、メアリーを机の上に座らせ、自らのズボンのファスナーを下ろした。メアリーは恥ずかしそうにしながらも、抵抗しなかった。むしろ、期待に目を輝かせている。
「やめろ…やめてくれ!」
趙虎の懇願も虚しく、薰はメアリーの中に自身を埋め込んだ。彼女の艶めかしい声が教室に響く。趙虎はその光景を目の当たりにし、何もできずに立ちすくんだ。
「どうだ?よく見えているか?自分の想い人が、他の男に抱かれている姿を」
薰の声には、冷酷な喜びが滲んでいた。彼は趙虎を完全に屈服させるために、わざとゆっくりと腰を動かした。メアリーの体が快楽に震え、その度に彼女の声が大きくなる。
やがて、メアリーが絶頂に達し、体を震わせた。薰もその中に精を放った。二人はしばらく重なり合ったまま、呼吸を整えていた。
趙虎は床に跪き、涙を流していた。彼の中で何かが決定的に壊れた。自分がかつていじめていた相手が、今や自分にとって最も忌まわしい存在になった。その事実が、彼の自尊心を完全に粉々にした。
その日以来、趙虎は薰に逆らわなくなった。むしろ、彼の前では怯えた態度を取るようになった。クラスの立場は完全に逆転した。いじめられっ子だった薰が、今やクラスの中で最も力を持つ存在になった。
しかし、薰の中で何かが変わり始めていた。力を手に入れた喜びと同時に、復讐の快感に溺れている自分に気づき始めた。彼の目には、次第に冷たい光が宿るようになっていった。
メアリーは薰の変化を感じ取っていた。しかし、彼女はそれでも彼のそばを離れなかった。彼の巨大なものに魅了され、その力に支配されることに、甘美な陶酔を覚えていたからだ。
夜の闇が教室を包み込む中、薰とメアリーはまた一つ、深い繋がりを結んだ。その瞬間、彼の心の中で、復讐の炎はさらに強く燃え上がっていた。