二重の枷

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# 二重の枷 ## 第一章 逃亡と誤入 蘇家の屋敷は、表通りに面した立派な門構えを持ちながら、その裏手には決して人目に触れてはならない秘密が広がっていた。 蘇晴は幼い頃から知っていた。父が営む「群芳閣」が単なる高級仲介業ではないことを。表向きは、自ら売身を志願する女性たちに職を紹介する合法的な組織。しかし、その地下には
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逃亡と誤入

# 二重の枷

## 第一章 逃亡と誤入

蘇家の屋敷は、表通りに面した立派な門構えを持ちながら、その裏手には決して人目に触れてはならない秘密が広がっていた。

蘇晴は幼い頃から知っていた。父が営む「群芳閣」が単なる高級仲介業ではないことを。表向きは、自ら売身を志願する女性たちに職を紹介する合法的な組織。しかし、その地下には、顧客の注文に応じて標的を特定し、拉致し、調教するための施設が存在していた。

「お嬢様、お急ぎください!」

管家の老陳が息を切らして書斎の扉を叩いた。その声には、普段の落ち着いた様子は微塵も残っていなかった。

蘇晴が立ち上がると同時に、屋敷の一階でガラスの割れる音が響いた。続いて、母の悲鳴。

「お父さん!お母さん!」

階段を駆け下りようとする蘇晴の腕を、老陳が強く掴んだ。

「いけません!仇家の者どもが十数人、既に屋敷に侵入しております!」

「でも、両親が——」

「旦那様と奥様は——」老陳の声が震えた。「お嬢様、生き残ることが何よりの弔いです。さあ、裏手の倉庫へ!」

老陳に引きずられるようにして、蘇晴は書斎の秘密の通路を抜けた。屋敷の裏手に広がる倉庫群。その中で、ひときわ異様な存在感を放つ密閉式の貨物トラックが一台、エンジンをかけた状態で待機していた。

「これは——」

「お客様への納品用の車両です。今のうちに——」

老陳は無言でトラックの荷台の扉を開けた。中には、五つの鉄製の檻が規則正しく並べられていた。そのうちの一つには、若い女が気を失った状態で鎖につながれていた。

「申し訳ございません、お嬢様。他に隠れる場所が——」

老陳は蘇晴を最も奥の空いた檻に押し込んだ。冷たい鉄格子が彼女の背中に触れる。

「しばらくここで息を潜めてください。このトラックは——」

その言葉を最後に、老陳は扉を閉めた。暗闇が蘇晴を包み込む。彼女が何か言おうとした瞬間、トラックが大きく揺れ、発進した。

数分後、銃声が数発、遠くで聞こえた。そして——二発目の銃声が、より近くで、より乾いた音を立てた。

蘇晴の指が檻の鉄格子に食い込んだ。老陳の最後の言葉が、頭の中で反芻される——「このトラックは——」何だったのだろう。

意識が遠のいていく。恐怖と疲労が、彼女の思考を飲み込んでいった。車輪の振動が、規則正しく彼女の意識を揺さぶる。やがて——すべてが闇に変わった。

---

蘇晴が目を覚ました時、最初に感じたのは、全身を覆う鈍い痛みだった。次に——首輪の存在。冷たく、重い金属が、彼女の細い首に巻きついていた。

「新しい子か?」

女の声が頭上から降ってきた。蘇晴が顔を上げると、筋肉質な体格の女性が、無表情で彼女を見下ろしていた。灰色の制服を着て、腰には鞭を携えている。

「ここは——」

「奴隷島だ。お前は、今日からここで生きることになる」

蘇晴の思考が一瞬で覚醒した。奴隷島——それは「群芳閣」が最も秘匿してきた施設。表向きは存在しないことになっている、調教専用の孤島。自ら売身を志願した女性たちが、最終的に送られる場所。しかし——

「なぜ私がここに?私は蘇家の——」

「蘇家?」女が冷笑した。「蘇家なんて、もうとっくに潰れたよ。お前の両親は昨夜殺された。そして、お前はその遺産——いや、商品だ。客からの注文があって、わざわざ運ばせたんだ」

蘇晴の心臓が凍りついた。父が、母が——死んだ?そして、自分は「商品」としてここに?

「待ってください!私は蘇晴です!蘇家の一人娘——」

「それがどうした?」女は疲れたように首を振った。「ここでは、お前の過去は関係ない。ただの番号だ。覚えておけ——お前は今日から奴隷だ」

女は振り返り、檻の外にいる別の職員に向かって声を張り上げた。

「コードX-071、本日未明に到着。身元は蘇家の末娘だが、すでに商品として計上済み。調教プログラムは——」

「待って!」蘇晴は鉄格子にしがみついた。「私は命令できる立場の人間だ!父の仕事は知っている。私を——」

「黙れ」

鞭の先が、鉄格子を叩いた。乾いた音が、檻の中に反響する。

「お前の父の仕事?知っているだと?」女が笑った。「知っていて、なおかつ、お前はこの檻の中にいるんだぞ。それなら——お前にもわかっているはずだ。この島のルールが」

蘇晴の唇が震えた。父の仕事。奴隷の調教。顧客の注文に応じて、女性たちを——「志願」するまで——折檻し、精神を破壊し、服従させる。

そのルールを、今、自分が適用される側になるとは。

「——下級職員ども、この檻を倉庫へ運べ。明日から、基礎訓練を始める」

女がそう言い残して立ち去ると、数人の男たちが近づいてきた。彼らの目には、哀れみも、同情も、何もなかった。ただの作業——商品の移動。

「ちゃんとしとけよ。傷つけるんじゃねえぞ」

機械的な声。そして、蘇晴の檻が地面から持ち上げられた。

鉄格子の隙間から見えたのは、無機質なコンクリートの通路。蛍光灯の冷たい光。そして——他の檻の中にいる、無数の女たちの影。

彼女たちもまた、同じように「商品」としてここに運ばれてきたのだろう。

蘇晴は唇を噛みしめた。蘇家の真実を知る者として、自分を追い詰めたシステムの何たるかを知る者として——絶対にこのまま終わるわけにはいかない。いつか必ず、ここから抜け出し、復讐を果たす。

だが、その前に——この首輪を外さなければ。

車輪の音が、倉庫へと続く道を規則正しく刻んでいた。

身分剥奪

「お待ちください、私には身分を証明する方法があります。役所の登録証も、家の鍵も持っています。それを見せればわかります。」

蘇晴は必死に訴えたが、受付の男は冷たく鼻で笑った。

「登録証?そんなものはここでは通用しない。お前の首には既に番号が刻まれている。それが全ての証明だ。」

彼は手にした端末を掲げ、そこに映るデータを指さした。

「身元不明者、蘇家からの通報により保護。近日中に奴隷登録手続きを行う。暫定番号0721。」

その数字が、蘇晴の胸に冷たい刃のように突き刺さる。

「違う、私は蘇家の令嬢だ。父に連絡を取らせてくれ、すぐに確認が取れる。」

「蘇家は既にお前の行方不明を通報している。身元が確認できない者は、所定の手続きに従って処理される。それが決まりだ。」

男は淡々と言い放つと、隣に立つ警備員に目配せをした。

「隔離室に連れて行け。明日の手続きまで拘束しておけ。」

「待って、話を聞いてください!」

蘇晴は抵抗しようとしたが、二人の警備員に両腕を掴まれ、無理やり廊下の奥へと引きずられていく。コンクリートの壁に囲まれた狭い部屋に放り込まれ、重い鉄扉が閉まる音が響いた。

部屋の中は薄暗く、天井の蛍光灯がかすかに瞬いている。壁は無機質な灰色で、床には使い古されたマットレスが一枚敷かれているだけだ。蘇晴は冷たい床に崩れ落ち、両手で顔を覆った。

「どうして…こんなことに。」

数時間前まで、自分は蘇家の広大な屋敷で紅茶を飲み、庭園を散歩していた。父はいつも通り仕事に忙しく、母は海外に滞在中。そんな日常が突然、崩れ去ったのだ。

思い返せば、全ては昨日の夜に始まった。帰宅途中、待ち伏せていた者たちに拉致され、意識を失った。目覚めればここが奴隷島と呼ばれる場所だと告げられ、首には鉄製の枷がはめられていた。

「蘇家の宿敵が、背後で動いているのか。それとも、内部の裏切りか。」

蘇晴は必死に記憶を手繰るが、明確な答えは出てこない。今はただ、生き延びる方法を考えなければならない。

翌朝、鉄扉が開かれ、厳しい表情の女が立っていた。黒い制服に身を包み、腰には鞭を携えている。彼女は名札に「教官アリ」と記されていた。

「0721、出て来い。手続きを始める。」

アリの声は冷たく、一切の感情を排している。蘇晴はぎこちなく立ち上がり、彼女の後に続いた。廊下を進むと、両側にいくつもの施錠された部屋が並び、かすかに泣き声や怒号が聞こえてくる。

登録室は清潔だが無機質で、カウンターの向こうに座った職員が淡々と書類をめくる。

「氏名、年齢、出身地は?」

「蘇晴、二十二歳、都市部出身。」

「蘇姓か…。確認された資料によれば、身分証明は不能。よって奴隷登録番号0721として正式に登録する。」

職員は機械的に手続きを進め、アリに書類を手渡した。

「これでお前は、島の所有物だ。逃亡は許されない。従えば、生き残る確率は上がる。」

アリはそう言いながら、蘇晴の首枷に触れた。

「これは位置情報を常時発信する。外そうと思えば、警報が鳴り、即座に追跡される。覚悟しておけ。」

蘇晴は唇を噛みしめ、必死に恐怖を抑え込んだ。心臓は早鐘を打ち、手のひらに汗が滲む。だが、ここで弱みを見せれば、さらに酷い扱いを受けることは明白だった。

「訓練はいつから始まるのですか。」

できるだけ冷静な声で尋ねると、アリはわずかに目を細めた。

「明日からだ。今日は適応期間として、島内の規則を覚えろ。夕方までに全て暗記しなければ、罰則がある。」

彼女は分厚い冊子を蘇晴に投げ渡した。表紙には『奴隷島規則集』と大きく書かれている。蘇晴はそれを両手で受け取り、一ページ目を開いた。

第一条:教官の指示には絶対に従うこと。

第二条:逃亡を企てた者は、即座に重罰に処す。

第三条:仲間との私的な会話は禁止。

文字の一つ一つが、鉛のように重くのしかかる。だが蘇晴は、この規則を破る日を心に誓った。

「必ず、ここを出る。父の無実を証明し、蘇家の名誉を取り戻す。そのために、どんな訓練も耐え抜いてみせる。」

彼女は規則集を胸に抱き、教官の後を追って訓練エリアへと向かった。足元には、鉄の鎖が重く響く。明日からの苛烈な訓練が、彼女の運命をどう変えるのか、まだ誰も知らなかった。

全裸契約

# 二重の枷

## 第3章: 全裸契約

冷たい空気が肌を刺す。蘇晴は裸のまま、部屋の中央に立っていた。

「さあ、こっちに来なさい」

教官アリーの声は無機質だった。彼女は長い鞭を持ち、壁際の机を指さした。その上には一枚の書類が置かれている。

蘇晴は足を震わせながら歩いた。一歩踏み出すたびに、裸の足裏が冷たい床に吸い付く。腕は自然と胸の前で交差され、隠そうとした。

「手を下ろせ。隠すな」

アリーの鞭がピシリと空気を切った。蘇晴は反射的に腕を下ろした。全身が露わになる。彼女の白い肌は薄っすらと赤みを帯び、緊張で微かに震えていた。

「ここに立って」

アリーはカメラの前の印を指さした。蘇晴がそこに立つと、正面のモニターに自分の裸体が映し出された。髪は乱れ、目は潤んでいる。名家の令嬢として育った自分が、今ここに立っていることが信じられなかった。

「これが売身契約書だ。読め」

アリーが机の上の書類を指で叩いた。蘇晴は俯いて文字を追った。そこには「自発的に自身を売却することを誓約する」という文言と、奴隷としての全ての権利を放棄する条項が記されていた。

「署名しろ」

「でも、これは……」

「黙れ。お前の意見など聞いていない」

アリーの鞭が蘇晴の太腿を打った。鋭い痛みが走り、彼女は息を呑んだ。

「署名しろ。そして、ここに指印を押せ」

アリーは朱肉の入った小さな皿を差し出した。蘇晴の手は震えていた。ペンを握る指が白くなる。彼女はゆっくりと、自分の名前を書いた。一文字一文字が、自分の人生を否定する音のように響いた。

「次は、ここに膣印を押せ」

アリーが契約書の下部にある特別な欄を指さした。そこには「身体の証明として、膣印を押印する」と書かれている。

蘇晴の顔から血の気が引いた。

「そんな……できません……」

「できるかどうかを聞いているのではない。やれ」

アリーは蘇晴の手首を掴み、朱肉につけた指を彼女の陰部に押し付けた。冷たい粘り気が広がる。

「自分で押せ。さもなければ、私が手伝うことになるぞ」

蘇晴は涙をこらえながら、震える指を契約書の欄に押し当てた。インクが紙に吸い込まれていく。それは彼女の尊厳の最後の一片を奪う瞬間だった。

「いいだろう。次はビデオを撮る」

アリーはカメラを三脚に固定し、レンズを蘇晴に向けた。赤いランプが点灯する。

「自己紹介をしろ。名前、年齢、そして……なぜここに売られたのかを話せ」

蘇晴は唇を噛んだ。喉の奥が詰まるような感覚。

「早くしろ」

「わ、私は……蘇晴……二十三歳です……」

声が震えた。カメラのレンズは冷たく、彼女の裸体を映し出している。

「なぜ売られた?」

「私は……自ら望んで……自ら望んで……」

「はっきり言え」

「自ら望んで、奴隷になることを志願しました」

その言葉を口にした瞬間、心の何かが砕ける音がした。

「もっと詳しく。家はどこだ? なぜ自ら売る?」

アリーの鞭が蘇晴の頬を撫でた。冷たい感触に彼女は身をすくめた。

「私は……蘇家の令嬢でしたが……家族の借金のため……自ら進んで身を売ることを決意しました……」

「顔を上げてカメラを見ろ」

蘇晴は従った。涙が頬を伝う。

「もっと感情を込めて。お前は喜んでここにいるんだ」

「私は……喜んで……奴隷になります……」

声が裏返った。アリーは満足げにうなずいた。

「よし、それでいい。次は、お前が奴隷として何を提供するかを言え」

蘇晴の脳裏に、家族の顔が浮かんだ。父の厳しい眼差し、母の優しい笑顔。彼女は必ず生き延びると決意した。この屈辱を乗り越えて、いつか必ず復讐すると。

「私は……全てを捧げます……身体も……心も……全て……」

「そうだ。それでいい。お前はもう、誰のものでもない。お前は島の所有物だ」

アリーはカメラの電源を切った。赤いランプが消える。

「よくやった。契約は成立した。これからお前は、奴隷番号047として生きることになる」

蘇晴はその場に崩れ落ちた。床の冷たさが全身に染みる。

彼女は泣かなかった。涙は枯れ果てていた。ただ、心の中で誓った。

必ず生きて、この島を出てやる。そして、自分にこれをさせた全ての者に、報いを受けさせてやると。

遠くのどこかで、時計が十二時を告げる鐘の音が聞こえた。新しい一日が始まる。そして、彼女の新しい人生もまた、ここから始まるのだ。

身体検査

検査室は白一色だった。壁も天井も床も、冷たい蛍光灯の光の下で無機質に輝いている。中央に据えられた金属製の台は、まるで解体を待つ家畜のためのもののように見えた。

「服を脱げ。」

アリ教官の声に感情はない。蘇晴は唇を噛みしめ、震える指でドレスのファスナーを下ろした。一枚一枚衣が剥がれるたびに、自分の中の何かが削ぎ落とされていくようだった。最後の下着を脱ぎ捨てた瞬間、冷たい空気が肌を包み込み、鳥肌が立った。

「台の上に仰向けになれ。両足を開いて、この固定具に乗せろ。」

金属の冷たさが太腿の裏に触れる。蘇晴は目を閉じた。もう二度と、自分は純真な令嬢には戻れない。そのことが全身を貫く鉄のように重い感覚となってのしかかった。

医師が入ってきた。白いガウンを着た中年の女性で、目だけが無機質に光っている。手に持った器具——細長い金属製のプローブと、目盛りの刻まれた透明な管——が嫌な輝きを放っていた。

「測定を開始する。動くな。」

医師の指が最初に触れたのは首筋だった。リンパ節のチェックと言いながら、その指はゆっくりと鎖骨へ、そして乳房へと滑り落ちる。指の腹で硬さを確かめるような、執拗な動きだった。

「乳房の発育状態、標準。弾力性、良好。」

無機質な声がデータを読み上げ、アリ教官が端末に打ち込む。蘇晴は天井のシミを数えた。三つ。形は不揃いだ。自分は今、物として評価されている。その思考だけが、現実から逃れる唯一の手段だった。

「次、膣内検査。」

蘇晴の全身が強張った。医師の指は躊躇なく下腹部へと伸び、冷たい潤滑剤が塗布された。金属のプローブが差し込まれるよりも先に、最初は指だった。一本。ゆっくりと内壁を探るような動き。

「抵抗感、やや強め。締まり度、等級A。」

医師の指が中で曲がり、ある点を押した。蘇晴の体が反射的に跳ねた。嫌な声が出そうになり、必死に唇を噛みしめる。

「深さ、約八センチ。次の角度で計測する。」

プローブが挿入された。冷たく、異物感が全身を満たす。何かが内側から拡張されていく不快感。目盛りが少しずつ進むたびに、医師が数値を読み上げる。

「異常なし。弾力性、良好。次、感度試験。」

医師の指が再び膣内に入り込み、今度は先ほど反応を見せたポイントを正確に狙って押し始めた。円を描くような圧力。クリトリスを親指の腹で擦りながら、中の指がリズミカルに動く。

「いや……っ」

自然と漏れた声に、蘇晴自身が驚いた。これは検診ではない。意図的な——そう気づいたとき、もう遅かった。

医師の指の動きは機械的で正確だった。まるで機械が動作を確認するように、一定のリズムでポイントを刺激し続ける。蘇晴の腰が無意識に浮き、太ももが震え始める。

「いや、やめて……どうか……」

「黙れ。これは検査だ。」

アリ教官の冷たい声が上から降ってくる。蘇晴は首を振り、耐えようとした。しかし、体は正直だった。内壁がきつく指を締め付け、全身に甘い痺れが走る。

「生理的反応、良好。到達まで約一分三十秒。」

医師の指がさらに深く入り込み、中の敏感な場所を押し上げる。同時にクリトリスを擦る動きが速くなった。蘇晴の呼吸が乱れ、視界が歪む。必死に天井のシミを数えようとしたが、数はもうわからなかった。

「や、あ……ああっ!」

抑えきれない声が部屋に響いた。体が弓なりに反り、そのまま内壁が痙攣する。医師の指をきつく締め付けながら、温かいものが下腹部の奥から溢れ出る感覚があった。

「到達。反応時間、標準。分泌量、標準よりやや多め。」

医師が指を抜き、汚れた手袋を外して廃棄する。蘇晴は台の上で体を丸め、震えながら嗚咽を飲み込んだ。自分が今、何をされたのか。何をされたのかは理解している。その理解が、心を深く深く抉った。

「データはすべて記録した。次の工程に移る。」

アリ教官が無表情でそう言い、蘇晴に衣類を投げつけた。床に落ちた粗末な布切れ——奴隷のための服だった。

手が震えてうまく着られない。屈辱が内側から溢れ出し、涙が一粒、服の上に落ちた。しかし、泣くことすら許されない。泣けば、弱さを見せれば、さらに追い詰められることを、本能が理解していた。

——私は生き延びる。家の復讐のために、生き延びてみせる。

その思いだけが、崩れ落ちそうな心を支えていた。だが、この身体に刻まれた記録は、決して消えない。二重の枷。それは外からかけられるものだけではない。自分自身が、この経験を決して忘れないのだという予感が、最も重い枷だった。

フェラチオ訓練開始

蘇晴は目隠しを外された。視界に飛び込んできたのは、薄暗いコンクリートの部屋だった。壁には無機質な鉄パイプが這い、天井の蛍光灯が低い唸りを上げている。床には簡素なマットレスが一枚敷かれ、隅に据えられた鋳鉄製のベッドフレームには革製の拘束具がぶら下がっていた。部屋の中央には、台座に固定された等身大のダッチワイフが鎮座している。その人形の顔は作り物めいて無表情で、下半身には白っぽいシリコン製の男性器が直立していた。

「ここが貴様の訓練場だ。」

教官アリは蘇晴の背後から声をかけた。彼女は軍靴の踵で床を蹴り、部屋の明かりをすべて点けた。四十代半ばと思しき女で、短く刈り込んだ黒髪に、頬に一文字の傷跡が走っている。瞳には馴染みの冷淡さが宿り、口元にはいつも嘲笑のような笑みが浮かんでいた。

「これからお前に叩き込むのは、フェラチオの基本動作だ。まずはあのダッチワイフで練習しろ。」

蘇晴は唇を噛みしめた。自分が置かれた立場は理解している。奴隷島の訓練制度から逃れる術はなく、従わなければ生き延びられない。それでも、あまりにも露骨な命令に全身が硬直した。

「どうした?聞こえなかったのか?」

アリが声を荒げた。彼女の右手には遠隔操作のスイッチが握られていた。蘇晴が一秒でも抵抗を見せれば、即座に電流が走る仕組みだ。

「……わかりました。」

蘇晴は声を絞り出した。震える足を引きずりながら、ダッチワイフの前にひざまずく。人形は体温のない冷たいシリコンでできている。その男性器は一本の支柱のようにそそり立ち、根元の角度が無理やり固定されていた。

「口を開けろ。まずは舌で先端をなめろ。膣口の亀頭に沿って、ぐるりと回すんだ。」

アリの声は抑揚なく指示を刻む。蘇晴は目をつぶり、唇を開いた。乾いた舌先が人工的なゴムの感触に触れる。無味無臭だが、その異物感に吐き気がこみ上げた。

「もっと深く。唇で包め。歯を立てるな。歯はお前の敵だ。もし傷つけたら、倍の罰を与える。」

蘇晴は呼吸を整えようとしたが、鼻から吸い込む空気はひんやりと冷たい。人形のペニスを口に含むと、硬いシリコンの塊が喉の奥を圧迫した。吐きそうになるのを必死にこらえながら、舌を動かす。唾液が溢れ、顎を伝って滴り落ちる。

「そうだ。そのままリズムを刻め。頭を上下に動かせ。」

アリは満足げに頷いた。しかし蘇晴の視線は床に据えたまま、水たまりになった唾液を見つめていた。悔しさと屈辱が混ざり合い、胃の底が重くなる。

「お前、サボってるな?動きが止まっているぞ。」

アリの声に警戒が混じった。蘇晴は無理に頭を動かし続けたが、全身の毛が逆立つ。やがて人形の表面を舌が滑るたび、自分の指先さえ自分でなくなっていくような感覚に襲われた。

「嫌だ……やっぱり出来ない。」

蘇晴は口を離し、後ろにのけぞった。唾液の糸が人形と唇の間に引かれて切れる。彼女は涙を拭い、震える声で拒絶の意思を示した。

「そんな中途半端な態度じゃ、この先やっていけないぞ。」

アリの口調は静かだったが、目つきが変わった。彼女は右手のスイッチを押した。一瞬の間をおいて、蘇晴の全身に激痛が走った。首から胸、腹部を貫く電流が骨の髄まで焼き尽くす。蘇晴は悲鳴を上げようとして、声にならない金切り声を漏らした。身体が跳ね、床の上で痙攣する。

「お前はもう、誰でもないんだ。今のお前はただの奴隷だ。その身分を受け入れなければ、ここで死ぬだけだぞ。」

アリはスイッチを切った。蘇晴は床に倒れ込む。全身が痺れ、指一本動かせない。涙と汗が混ざり合い、頬を濡らす。

「立て。もう一度最初からやり直しだ。」

アリの靴音が近づく。蘇晴は震える腕を突き、どうにか膝をついた。ダッチワイフの前で再びひざまずく。唇を噛みしめ、目の前の人工物を見上げる。自分の魂が削られていくのがわかる。だが、それでも生き延びるしかない。二重の枷を背負った身では、選択の余地など最初からなかった。

性交訓練

群芳閣の一室で、蘇晴は震える指でシーツを握りしめていた。アリ教官が去った後、扉が再び開き、見知らぬ男が数人入ってきた。彼らは値踏みするような視線で蘇晴を見ると、几帳面な声で今夜の予定を告げた。蘇晴の初夜は入札にかけられ、落札者と今夜を過ごすことになるという。

蘇晴は唇を噛みしめ、懸命に涙をこらえた。彼女は名家の令嬢として、いずれこんな日が来ることを覚悟していた。しかし、いざ現実となると、胸が張り裂けそうだった。

時計の針がゆっくりと動く。夜が深まり、足音が近づいてきた。蘇晴の心臓は激しく鼓動を打ち、冷や汗が背中を伝う。扉が開き、暗闇の中から一人の男が姿を現した。その男のシルエットを見て、蘇晴は息を飲んだ。見覚えのある、あのなじみ深い姿だった。

「陳…執事?」蘇晴の声は震えていた。

老陳はゆっくりと部屋に入り、扉を閉めた。蝋燭の明かりが彼の苦渋に満ちた表情を映し出す。彼は無言で蘇晴に近づき、目の前に立った。

「お嬢様…」老陳の声は低くかすれていた。「あなたのご両親が…」

蘇晴の顔色が一瞬で青ざめた。「両親が…どうしたの?」

「殺されました。」老陳の声には深い悲しみが込められていた。「蘇家の宿敵の仕業です。すべては一夜のうちに…」

蘇晴の脳裏が真っ白になった。彼女はよろめきながらベッドに崩れ落ち、両手で口を覆った。涙が次々とこぼれ落ちる。

「お嬢様、しっかりしてください。」老陳が彼女の肩を支えた。「あなたが継承するはずだった群芳閣の商売は、今は私が表面だけ取り仕切っています。あなたがここから出られれば、すべてを取り戻せます。しかし、裏の商売は混乱状態で、私には訓練中の性的奴隷を直接解放する権限がありません。」

蘇晴は涙に濡れた顔を上げた。「では、どうすれば…」

「競売で落札されるのを待つしかありません。」老陳の目には複雑な光が宿っていた。「そして今夜…偽装のために、私は普通の客として行動しなければなりません。」

蘇晴の体が硬直した。彼女は老陳の顔を見つめ、その目に浮かぶ苦悩と決意を読み取った。名家の執事として、彼は忠誠を誓っていた。しかし今、この状況で、彼に課せられた役割はあまりにも残酷だった。

「お嬢様、すみません。」老陳が一歩下がり、頭を下げた。「これはあなたを守る唯一の方法です。私が他の誰かにさせるわけにはいきません。」

蘇晴は深く息を吸い込んだ。両親の死、蘇家の崩壊、自分に課せられた運命。すべてが一度に彼女の上にのしかかる。彼女はゆっくりと目を閉じ、震える声で言った。

「来てください。」

老陳は躊躇した。彼の手が震えていた。しかし、彼は自分の役目を果たさなければならなかった。彼はゆっくりと蘇晴に近づき、彼女の肩に手を置いた。蘇晴の体は硬直していたが、抵抗しなかった。

部屋の中は沈黙に包まれていた。蝋燭の灯りが揺れ、影が壁の上で踊る。老陳の手が蘇晴の衣服に触れ、一枚、また一枚と剥ぎ取っていく。蘇晴の唇は血が出るほど噛みしめられ、目には涙が光っている。

「申し訳ありません、お嬢様…」老陳の声はかすれていた。

蘇晴は何も言わなかった。彼女は天井を見つめ、自分の体が他人の手によって弄ばれていくのを感じていた。痛みが走り、彼女は声を押し殺して耐えた。それは肉体的な痛みだけではなく、心の奥底まで切り裂かれるような苦しみだった。

すべてが終わった後、老陳は立ち上がり、背を向けた。

「お嬢様、必ず生き延びてください。蘇家の復興のために。」

蘇晴はベッドの上に横たわり、目を閉じた。涙がこぼれ落ちるのを止められなかった。彼女は何も言わず、ただゆっくりと頭を縦に振った。

老陳が部屋を出ていった後、蘇晴はしばらくそのまま横たわっていた。やがて、彼女はゆっくりと体を起こした。下腹部の痛みが彼女に現実を思い知らせる。彼女は歯を食いしばり、涙を拭った。

数日後、新たな訓練が始まった。今回は男性教官が担当し、性交訓練が強制された。

教官は無骨な中年の男で、目つきは冷たく、言葉遣いも粗雑だった。彼は蘇晴に何度も体位を変えさせ、指導の名の下で彼女の体を弄んだ。

蘇晴は最初、抵抗した。体を強張らせ、指示に従わなかった。教官は怒り、彼女の髪を掴んで引きずり、跪かせた。

「お前のような奴は、最初から叩き直さないとわからないんだ!」教官が鞭を手に取り、空中で一振りした。

鞭が空気を裂く音が響き、蘇晴の背中に激しい痛みが走った。彼女は声を上げて叫び、体がよじれた。しかし教官は容赦なく、何度も鞭を振り下ろした。

「服従を覚えろ!」教官の声は怒りに満ちていた。「ここでは、お前の感情なんて何の価値もない!」

蘇晴の背中は無数の鞭痕で覆われ、出血していた。彼女は歯を食いしばり、痛みに耐えた。涙が地面に落ちる。しかし、心の中では別の感情が燃え上がっていた。それは憎しみだった。

数え切れないほどの鞭打ちの後、蘇晴はついに屈服した。彼女は頭を垂れ、教官に従った。教官の指示に従い、彼女は様々な体位を取らされ、教官の欲望のままに弄ばれた。彼女の体は機械のように動き、感情は凍りついていた。

訓練が終わった後、蘇晴は独房に戻された。彼女は壁にもたれかかり、体の痛みと心の傷を感じていた。しかし、目の中には微かな光が宿っていた。それは憎しみの光だった。

「待っていなさい…」彼女は低い声で呟いた。「いつか必ず復讐する。」

彼女の手は拳を握りしめ、爪が掌に食い込んだ。彼女は老陳の言葉を思い出した。生き延びなければならない。蘇家の復興のために。そして、この屈辱を晴らすために。

その夜、蘇晴は独房の冷たい床の上で横たわり、天井を見つめた。彼女の心は静かに燃えていた。それは復讐の炎だった。奴隷の枷を外したその日、彼女は必ず戻ってくる。この地獄を自らの手で終わらせるために。

訓練不合格

訓練不合格の宣告は、冷たい水を浴びせられるように蘇晴の全身に沁み渡った。彼女は血の滲んだ拳を握りしめ、震える膝を必死に支えながら直立していた。訓練場にはまだ他の奴隷たちの荒い息遣いが残響している。

「蘇晴、総合評価——不合格」

教官アリの声には一切の感情が籠っていない。彼女は腕組みをしたまま、評価表を無造作に床に落とした。薄っぺらい紙が舞い、蘇晴の足元に滑り落ちる。

「体力測定は下限を僅かに上回ったが、戦闘技術の応用、戦術判断、精神耐久試験——全てが基準値以下だ」

蘇晴の喉が震えた。言い訳は無意味だと知っている。この三ヶ月、彼女は文字通り血の滲むような努力を重ねてきた。夜も眠らずに訓練を続け、全身の骨が軋むほどの負荷に耐えた。それでも、名家の令嬢として育った身体は、幼少期から叩き込まれた奴隷たちの身体には敵わない。

「教官、もう一度だけ——」

「黙れ」

アリの平手が蘇晴の頬を打った。鋭い痛みと共に口の中に血の味が広がる。蘇晴はよろめきながらも倒れず、睨み返すように教官を見据えた。

「反抗的な目をするな。ここは奴隷島だ。お前の家柄など何の意味も持たない」

アリはゆっくりと蘇晴の周りを回りながら、声を低くした。

「規定により、不合格者は即座に奴隷島から追放される。だが——お前には特例を適用する」

蘇晴の目に一瞬の希望が灯った。しかし、その希望はすぐに打ち砕かれる。

「群芳閣へ送る。期間は一ヶ月。刑期を耐え抜いた場合のみ、最終卒業試験の受験を許可する」

群芳閣——その言葉を聞いた瞬間、蘇晴の肌が粟立った。奴隷島の外れにある娼館。そこでは、最も過酷な肉体的・精神的屈辱が奴隷を待ち受けていると聞く。噂では、一週間と持たずに廃人になる者も少なくないという。

「それでお前も、本当の奴隷の意味を骨の髄まで理解できるだろう」

アリの口元に冷たい笑みが浮かぶ。

「誰か、この不合格者を移送室へ連れて行け」

二人の屈強な監視員が近づき、蘇晴の両腕を掴んだ。抵抗しようとした瞬間、背後から老陈の声が聞こえた。

「お待ちください、アリ教官」

老陈は一歩前に出ると、恭しく頭を下げた。その顔色は青ざめ、手が微かに震えている。

「この娘は蘇家の——」

「知っている。蘇家の生き残りだ。だが、ここでは全員が平等の奴隷だ。蘇家の名が何の特権も与えない」

アリは老陈を一瞥もせずに言い放った。

「もし抗議するなら、お前も一緒に群芳閣へ送ってやっても構わないぞ」

老陈は唇を噛みしめ、何かを飲み込むように沈黙した。彼の目は、無力さに飢えた野獣のようだった。

蘇晴はその光景を見て、かえって冷静さを取り戻した。彼女は監視員の手を振りほどこうとはせず、ゆっくりと顔を上げた。

「分かりました。行きます」

その声には、かすかな決意が宿っていた。名家の令嬢としての誇りではなく、生き残るための意志の光が。

アリは一瞬だけ目を細めたが、すぐに背を向けた。

「一ヶ月後、生きて戻って来られたらの話だがな」

蘇晴は監視員に連行されながら、訓練場の出口へと向かった。廊下の突き当たりで、老陈の悲痛な声が聞こえた。

「お嬢様——どうか、どうかご無事で」

蘇晴は振り返らず、ただ静かに頷いた。その瞳に、冷徹な光が宿っていた。

群芳閣。この島の最も深い地獄。そこで一ヶ月も耐え抜けば、人間としての尊厳の全てを削り取られるかもしれない。しかし、殺されるわけにはいかない。仇家の首領を、この手で討つまでは。

暗い通路の奥へと消えていく蘇晴の背中を、老陈はただ見送ることしかできなかった。彼の指は、無意識のうちに拳を握りしめ、爪が掌に食い込んでいた。

クラブの壁の娼婦

群芳閣の地下へと続く階段は、異様に長かった。足音が反響するたびに、自分の鼓動が耳の奥で轟く。蘇晴は全身の力が抜けたように、二人の男に両腕を引かれて石段を降りていった。湿った空気がまとわりつき、かび臭い匂いと混じり合った何か別の獣のような匂いが鼻を突く。

階段の最下段に到達すると、薄暗い通路が左右に伸びていた。壁には等間隔に小さな鉄格子の窓が取り付けられ、その一つ一つから微かな物音が漏れている。かすかに聞こえるのは、女たちのすすり泣きと、何かが打ち付ける規則的な音だった。

「ここだ」

男の一人が立ち止まり、鉄格子のない場所を指さした。一見すると何もないただの壁だが、近づいてよく見ると、壁面に人の形にくり抜かれた溝がある。それが床から腰の高さまで、横一列に並んでいた。

「中に入れ」

蘇晴は壁に向かって立たされ、両手を壁の上部にある金属製の留め具に通された。手首が冷たい鉄に固定される。次に足首が開かれるように固定され、太ももと腰には革のベルトが巻かれた。最後に、後ろから何かが押し寄せ、彼女の全身を壁の空洞に押し込んだ。

がちゃり、と金属の音がした。背中側から何かがはめ込まれ、視界が完全に閉ざされた。壁の中だ。全身ががっちりと固定され、自由になるのは腰から下だけだ。顔も腕も胸もすべて壁の中に封じられ、ただ下半身だけが外に露出している。

「これからお前は、壁の娼婦だ。口がきけないから、おとなしくしろ」

男の声が背後から聞こえたと思うと、尻を平手で叩かれた。乾いた鋭い音が通路に響く。そして足音が遠ざかっていった。

どのくらい経っただろうか。闇の中で呼吸をするたびに、自分の息が顔に当たって戻ってくる。狭い空間に閉じ込められた恐怖がじわりと胸を満たしていく。だが、それ以上に怖かったのは、この後に何が起こるのかという予感だった。

足音が近づいてきた。複数の男たちのものだ。酔っ払った笑い声と、意味ありげな囁きが混じっている。

「新しい子か。壁に出してあるってことは、始めてだろうな」

「穴さえ使えれば、顔なんてどうでもいいんだよ」

誰かの手が彼女の尻を撫でた。嫌悪感が全身を走るが、声を出すことも動くこともできない。ただその場に固定されて、なされるがままにされるしかない。

「こっちはどうだ? 気持ちよくさせてやるからな」

男の一人が彼女の背後に回り、腰を押し当てた。そして無理やり、乾いたままの入口に己のものをねじ込んだ。痛みが一気に走る。声にならない悲鳴を壁の中で上げるが、誰にも聞こえない。男は彼女の反応を気にすることなく、激しく腰を動かし始めた。

「おい、俺もこっちをやるぜ」

別の男が彼女の前、いやむしろ下の方にまわり、もう一つの穴を狙った。二人の男が同時に彼女の身体の異なる場所を貫く。圧迫感と痛みが同時に襲い、下半身が引き裂かれるような感覚に陥る。壁に押し付けられた頬が冷たい石に触れ、そこだけが唯一の現実逃避の場所だった。

最初の客が終わると、間髪入れずに次の客が来た。壁に封じられた彼女には、休む間も与えられない。男たちの順番を待つ列が途切れることはなく、彼女の身体は次々と彼らの欲望の受け皿になった。

何日目かもわからなくなった頃には、蘇晴は時間の感覚を失っていた。痛みは絶え間なく続くが、次第に鈍いものに変わり、やがて全身の感覚が麻痺していくようだった。それでも、男たちの手が触れるたびに、意識の奥で何かがちぎれる音がする。

「こいつ、もうぐったりしてるぞ」

「構わねえ。穴さえ使えればな」

男たちの会話が遠くに聞こえる。自分の身体が、もう自分のものではなくなったような感覚。壁の中の暗闇は、彼女の精神をゆっくりと溶かしていった。

ふと、蘇晴は思った。あの家にいた頃の自分はもういない。奴隷島で訓練を受けた自分も、もう消えかけている。残っているのは、ただ客を受け入れ続けるこの身体だけだ。二重の枷――外からは名家の令嬢だった過去が、内からは奴隷の身分が、彼女を縛り続ける。だが今、その枷さえも意味を失おうとしていた。

誰かが彼女の髪を掴み、顔を壁に押し付けた。痛みよりも先に、虚無感が押し寄せる。流れる涙さえも、壁の石に吸い込まれて消えていった。