第5章 フェラチオ訓練の開始
蘇晴が目を覚ましたとき、彼女はコンクリートの床の上に倒れていた。冷たい感触が頬を刺し、全身の痛みが徐々に意識に戻ってくる。記憶の断片が洪水のように押し寄せる——裏切られた晩餐、狙撃手の閃光、そして管家老陳の悲痛な叫び。
「蘇晴様、ご無事ですか?」
老陳の声が耳元で響く。彼の手が震えながら彼女の肩を支えた。蘇晴はゆっくりと体を起こし、周囲を見渡した。鉄格子の向こうには無数の檻が並び、それぞれに絶望に沈んだ顔があった。空気は湿気と汗と、何か甘ったるい腐敗臭で満ちている。
「ここは…」
「奴隷島の訓練キャンプです、様。私も監禁されましたが、どうにかあなたの近くに来ることができました。」老陳の声は嗄れていた。「システムのルールに従えば、すべての新入りは訓練を受けなければなりません。」
そのとき、鉄のドアが軋みながら開いた。一人の女が入ってくる。筋肉の盛り上がった腕に、顔には無数の傷跡が走っていた。彼女は鞭を手に、鋭い目つきで蘇晴を見下ろした。
「新入りはお前か。私は教官アリだ。これからの三ヶ月、お前のすべてを管理する。」
蘇晴は立ち上がろうとしたが、足首に鎖が絡まってよろめいた。それでも彼女は顎を上げ、アリの目を真っ直ぐに見つめた。
「私は蘇家の娘よ。こんな場所にいるべき人間じゃない。」
「蘇家?」アリは軽く笑った。「ここではすべての人間が平等だ。お前の家柄も地位も、ここではただの数字に過ぎない。番号は四七。覚えろ。」
彼女は鞭で地面を叩いた。鋭い音が檻の中に響く。蘇晴は全身が強張るのを感じたが、歯を食いしばって声を出さなかった。
「訓練を始める。ついてこい。」
アリは振り返らずに歩き出した。老陳が蘇晴の腕を支え、彼女は必死の思いで足を引きずりながら後を追った。通路の両側には監視カメラが無数に取り付けられ、赤いランプがまばたきのように点滅している。
訓練室は殺風景な白い部屋だった。中央には簡素な椅子が一つ置かれ、壁には様々な器具が掛けられている。その中でも蘇晴の目に飛び込んできたのは、人間の陰茎を模した人工物だった。シリコン製のそれは、あまりにも生々しい色と形をしていた。
「今日の訓練項目は口淫技術だ。」アリは冷たく言い放った。「奴隷にとって、客を満足させることは最も基本的な技能の一つだ。お前はそれから学ぶ。」
蘇晴の顔色が一瞬で青ざめた。彼女は老陳の方を振り返るが、老人はただうつむき、拳を握りしめているだけだった。
「拒否するわ。」蘇晴の声は震えていたが、それでもはっきりと言い切った。「私は誰の奴隷でもない。そんなことは絶対にしない。」
「ふん、決まりだ。」アリは人工陰茎を手に取った。「他の新入りは泣き叫びながらやる気を見せるが、お前はもう少し手間がかかるようだな。」
彼女は蘇晴の髪を掴み、無理やり椅子に座らせた。蘇晴はもがいたが、鎖が自由を奪い、ただ虚しく手足を動かすだけだった。
「口を開けろ。指示に従わなければ、結果はお前自身が知っているはずだ。」
蘇晴は唇を固く結び、アリを睨みつけた。その目には怒りと誇りが混ざっていた。アリはため息をつき、リモコンを取り出した。
「最初は警告だ。」
彼女がボタンを押すと、蘇晴の首の周りに巻かれた金属製の首輪がブーンと低い音を立てた。次の瞬間、激しい電気が全身を駆け抜けた。蘇晴は椅子の上で硬直し、歯を食いしばって叫び声を抑えようとしたが、あまりの痛みに口から悲鳴が漏れた。
「やめてくれ!」老陳が叫びながら前に出ようとしたが、二人の警備員に押さえられた。「彼女は…彼女はただの少女だ!」
「この島では誰も特別じゃない。」アリは冷たく答えた。
電気ショックは十秒間続いた。蘇晴の体は汗でびっしょりと濡れ、髪の毛が乱れ、唇からは血の味がした。彼女は息を切らしながら、それでもまだアリを睨み続けていた。
「まだ足りないようだな。」アリはスイッチの強度を上げた。「次はあなたの体にどれだけの痛みに耐えられるか、教えてやろう。」
「待って…」
蘇晴の声はか細かったが、アリの耳には確かに届いた。「どうした?」
「…わかった。やる。」
その言葉を聞いた老陳の顔が歪んだ。彼はただ無力そうに首を振り、目には涙が浮かんでいた。蘇晴はその姿を見て、自分の中の何かが砕け散る音を聞いた。しかし、生き残るためには、たとえこのような屈辱でも受け入れなければならない。
「賢明な選択だ。」アリは人工陰茎を苏晴の口元に押し付けた。「じゃあ、始めよう。まずはこれをお前の口の中に入れろ。舌の使い方が重要だ。歯で傷つけるな。ゆっくりと、深く飲み込む感覚を覚えろ。」
蘇晴は震える手でそれを受け取った。シリコンの感触が指先に伝わり、吐き気が込み上げてくる。しかし彼女は目を閉じ、ゆっくりとそれを口に含んだ。アリの声が頭の上から降ってくる。
「そうだ。今度は動かせ。上下に。もっと滑らかに。酸っぱい顔をするな。客はそれを嫌う。」
蘇晴は涙を必死にこらえながら、機械のように動きを繰り返した。口の中は異物の存在でいっぱいだった。彼女の心は真っ二つに引き裂かれていた。表面は奴隷としての奉仕を強いられている少女。内面は蘇家の誇りにしがみつく令嬢。その二重の自分が、今、一つの行動に収束しようとしていた。
「次は角度を変えろ。舌先で敏感な部分を刺激するんだ。」
アリの指示は容赦なく続いた。蘇晴はそれに従いながら、自分がどこまで堕ちていけるのか、ぼんやりと考えていた。老陳の声が遠くから聞こえる。
「蘇晴様…ごめんなさい…私はあなたを守れなかった…」
その言葉が蘇晴の胸をさらに締め付けた。彼女は口を離し、激しく咳き込んだ。涙と唾液が混ざり合い、床に滴り落ちる。
「休憩は三十分だ。その後も続ける。」アリは時計を確認した。「次の訓練は後背位の技術だ。しっかり準備しておけ。」
彼女が部屋を出ていくと、警備員も老陳を解放した。老人はすぐに蘇晴に駆け寄り、彼女の痩せた肩を抱きしめた。
「蘇晴様…なんということを…」
「老陳…」蘇晴の声は掠れていた。「私は…私はこの場所で生き抜く。たとえ手を汚しても、たとえ自分を捨てても。いつか必ず、あいつらに復讐する。」
「ですが…」
「もう言わないで。」蘇晴は老陳の手を握り、彼の目を真っ直ぐに見つめた。「私はあなたの知っている蘇晴じゃない。この島は私を変えた。でも、その変化こそが私の武器になる。」
老陳は何も言えなかった。ただ彼女の手を握り返し、震える指でそっと撫でた。その瞳には深い悲しみと、わずかな希望が浮かんでいた。
三十分の休憩が終わり、アリが再び現れた。彼女は今度は別の器具を持っていた。革製のベルトに取り付けられた人工陰茎だった。
「次の訓練は後背位からの挿入技術だ。このベルトを装着し、壁に手をついて四つん這いになれ。」
蘇晴は何も言わず、指示に従った。その動作は機械的で、感情のこもらないものだった。アリは満足げに頷いた。
「素直でいい。じゃあ、今からお前は客の前で奉仕することを想像しろ。目は虚ろに、唇は少し開けて、体は微かに震えているように。それこそが客を興奮させるんだ。」
蘇晴は言われた通りにした。しかし、その目はどこか遠くを見つめていた。彼女は自分の中に二つの蘇晴を作り出していた。一つは命令に従い、肉体を差し出す奴隷。もう一つはすべてを見届け、復讐の計画を練る令嬢。その二重の存在が、彼女を狂気と正気の狭間で引き裂いていた。
「次は声を出せ。もっと甘ったるく。悲鳴ではなく、喘ぎ声だ。」
蘇晴は口を開けた。最初は無理矢理絞り出した声だったが、次第にそれは官能的な響きを帯び始めた。アリは満足げに微笑んだ。
「いいだろう。今日はこれで終わりだ。明日は実技訓練。生きた相手で練習する。」
その言葉に蘇晴の体が硬直した。しかし彼女はそれに気づかれないように平静を装った。老陳が彼女を支えて檻に戻る。その足取りは重く、疲れ果てていた。
檻の中に戻ると、老陳は小声で言った。「仇家からの連絡がありました、様。彼らはあなたがどこにいるかを知っています。すぐには動けませんが、絶対にあなたを助け出すと。」
蘇晴は冷笑した。「助け出す?もう結構。私は自分で這い上がる。この島が私を壊そうとするのなら、私はこの島を利用してみせる。」
彼女は檻の鉄格子を握りしめ、遠くの空を見上げた。夜の闇が島全体を覆い始めていたが、その瞳の奥には、消えることのない炎が燃えていた。
奴隷としての顔と、令嬢としての誇り。その二重の枷が彼女を縛りながらも、同時に力を与えていた。蘇晴は暗闇の中で呟いた。
「待っていろ。いつか必ず…」
その声は確かな意思を帯びて、夜風に消えていった。