# 第1章: 山村の檻
卒業式の翌日、林暁娜は家を出た。大学合格の報告もそこそこに、ただ逃げ出したかった。都市の喧騒から、母の偽りの笑顔から、そして何よりも自分の中に芽生えつつある得体の知れない感情から。
バスは舗装された道を外れ、曲がりくねった山道に入った。窓の外には緑が広がり、時折見える集落も次第にまばらになる。暁娜はガイドブックも持たずに適当な停留所で降りた。そこは地図にも載っていないような小さな山村だった。
「観光ですか?」不意に声をかけられ、振り返ると中年の男が立っていた。日に焼けた肌に、濁った目。作業着の胸元がはだけ、黄ばんだ肌着が見えている。
「はい、少し散策したくて」
「もうすぐ暗くなる。今夜はどこに泊まるんだ?」
暁娜は荷物を抱え直した。確かに宿を探さなければ。しかし、辺りを見渡しても民宿のような建物は見当たらない。
「もしよければ、村の集会所を使ってもいいですよ。観光客用に用意してあるんです」男はニヤリと笑った。その笑顔に一瞬の違和感を覚えたが、他に選択肢はなかった。
「お願いします」
男に案内されたのは村はずれの古びた木造建築だった。周囲には民家もなく、不自然なほど静かだ。引き戸を開けると、畳の匂いと埃が混ざった空気が鼻をつく。部屋の中央には薄汚れた布団が敷かれ、窓には分厚い板が打ち付けられていた。
「ここ、鍵がかかってますね」暁娜が振り返ると、男の手には大きな南京錠があった。
「ごめんなさいね、お嬢ちゃん」
がちゃりという音と共に、外から鍵がかけられた。
「何するんですか!開けてください!」
暁娜は戸を激しく叩いたが、応答はない。代わりに、複数の足音が近づいてくる。男たちの低い笑い声と、酒の匂いが隙間から流れ込んできた。
「かわいい子が来たってな」「都会の娘は肌が違うぜ」
恐怖が背筋を走る。暁娜は部屋の中をぐるりと見渡した。窓は塞がれ、逃げ道はない。カバンの中のスマートフォンを取り出そうとした瞬間、戸が乱暴に開かれた。
五人の男たちが立っていた。年齢は様々で、三十代から五十代まで。皆一様に酒臭く、目は獲物を見つけた獣のようにギラギラと輝いている。
「やめ…やめてください!」
暁娜は壁際まで後退した。男たちはゆっくりと輪を狭めてくる。先ほどの中年男が先頭に立ち、ベルトを外し始めた。
「お利口にしてたら、そんなに痛くないぞ」
「助けて!誰か!」
叫び声は無駄だと分かっていながら、暁娜は必死に声を絞り出した。しかし、村中が共犯なのだ。誰も助けには来ない。
最初の男が腕を掴んだ。驚異的な力で壁に押し付けられ、Tシャツの襟元が引き裂かれる。白い肌が露わになり、男たちの息遣いが荒くなる。
「きれいな肌だ…」「ブラも高いやつだな」「金持ちの娘さんだ」
「やだ…離して…」
暁娜は足をばたつかせて抵抗したが、別の男が両足首を掴み、無理やり開かせる。ジーンズのボタンが弾け、ファスナーが下ろされる。下着の上から、指が這う。
「こんなに濡れてるよ。感じやすい体なんだな」
「違う…これは…」
否定しようとしても、指が敏感な部分を掠めるたびに、身体が勝手に震える。中学の時、こっそり見ていたアダルトサイトの映像がフラッシュバックする。あの時、胸が高鳴りながらも、どうしても目が離せなかった映像。自分の中に潜む何かが、目を覚まそうとしていた。
「もういい、俺から行く」
先頭の男が暁娜の両腕を頭上で一つに束ね、反対の手で太腿を開かせる。下着を横にずらすと、熱く硬いものが入り口に押し当てられた。
「いやあああ!」
激痛が下半身を貫いた。何かが裂ける感覚。暁娜の身体が弓なりに反る。男は一気に腰を押し進め、奥まで貫いた。
「くっ…締め付けがすげえ…」
涙が視界を滲ませる。しかし、痛みの中で感じる奇妙な充実感。内臓を圧迫されるような感覚。男の肉棒が膣壁を擦るたび、背筋に電流が走る。
「おら、動くぞ」
律動が始まった。最初はゆっくりと、次第に激しさを増す。男の腰の動きに合わせて、暁娜の体も揺れる。乳房が上下に跳ね、視界が歪む。痛いはずなのに、身体の奥から熱が立ち上ってくる。
「次は俺の番だ」「口を使わせろ」
交替で男たちが襲いかかる。口の中に無理やりねじ込まれる肉棒。喉の奥まで押し込まれ、吐き気と戦いながらも、舌が自然に舐め回す。二本、三本と重なる快楽。膣も、口も、手も、全身が男たちの玩具にされている。
何度目かの絶頂が訪れた時、暁娜は自分が腰を振っていることに気づいた。抵抗ではなく、快楽を求めて。
「おい、この娘、感じ始めてるぞ」「やっぱり淫乱なんだな」
嘲笑の中、それでも身体は正直だった。頭では嫌だと叫んでいるのに、膣は男の肉棒を締め付け、腰は自ら奥を求めて動く。二度目、三度目と絶頂を重ねるうち、思考がぼやけていく。
「もっと…」
気づけば、そんな言葉が口をついていた。男たちの笑い声が遠く聞こえる。何もかもどうでもよくなった。痛みも、羞恥も、全てが快楽に飲み込まれる。
明け方まで続いた輪姦の間、暁娜は何度も意識を失いかけた。最後の男が放たれた後、荒れた布団の上に横たわる。全身が傷だらけで、太腿には精液が垂れている。口の中には生臭い味が広がっている。
それなのに。
腹部の奥で、まだ何かが疼いている。もっと強く、もっと深く、もっと激しく。
「これで終わりじゃない…」
自分に言い聞かせるように呟いた声は、しかし確かな期待に震えていた。抵抗していたのは、もう過去の自分。今の暁娜は、これから始まる地獄の日々を、どこかで待ち望んでいる自分に気づいていた。
「雌犬…」
誰かにそう呼ばれた時、暁娜の口元にはかすかな笑みが浮かんでいた。