厳喆珂の全職業体験(厳喆珂の娼婦生活)

站点:NovelAI.one内容:前8章在线试读ID:e23ac69d更新:2026-07-18 00:18
第10章 その夜、厳喆珂はいつものように高級クラブ『蝶影』に顔を出した。彼女はもうすっかりこの場所に慣れていた。自分の美貌と、武者として鍛えたしなやかな体躯を活かし、客の心を巧みに掴む術も身につけていた。今日もまた、ある大口の常連客が彼女を指名している。四十代半ばの実業家で、いつも高級スーツを着こなし、品のある笑みを浮
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第10章

第10章

その夜、厳喆珂はいつものように高級クラブ『蝶影』に顔を出した。彼女はもうすっかりこの場所に慣れていた。自分の美貌と、武者として鍛えたしなやかな体躯を活かし、客の心を巧みに掴む術も身につけていた。今日もまた、ある大口の常連客が彼女を指名している。四十代半ばの実業家で、いつも高級スーツを着こなし、品のある笑みを浮かべている男だ。

「お嬢さん、今日も美しいね」と男はソファに深く腰掛け、手にしたウイスキーグラスを揺らしながら言った。

「お褒めにあずかり光栄です」喆珂は優雅に一礼し、向かいの席に座った。彼女の一挙一動には、武道の訓練で培われた無駄のない気品が漂っていた。胸元は控えめに開いたドレスが、清楚な顔立ちと相反するような艶やかさを醸し出している。

会話は他愛のないものだった。男は自身の事業の話や、最近手に入れた骨董品の自慢話を楽しそうに語る。喆珂は相槌を打ち、適度に笑みを浮かべながら、心の内では全く別のことを考えていた。

——楼成は今頃、どうしているだろう。籠もり修行は順調だろうか。

彼女の心は常に夫である楼成に向いていた。武聖の称号を得た天才武者であり、彼女の最愛の人。しかし新婚旅行から戻った後、楼成は妻の勧めもあって、さらに高みを目指すために深山での籠もり修行に入ったのだ。あれからもう三ヶ月が過ぎた。連絡は週に一度の手紙だけ。彼は今も無事だろうか。修行に励みすぎて身体を壊していないだろうか。

「——お嬢さん?どうかしたか?」男の声が喆珂の意識を現実に引き戻した。

「あ、すみません。少し…上の空でした」彼女は慌てて笑顔を作った。

男はグラスをテーブルに置き、じっと喆珂を見つめた。「君はいつもどこか遠くを見ているな。俺の話がつまらないのか?」

「そんなことはありません。ただ、今日は少し疲れていたもので」

男はふと真剣な表情になった。「俺はな、君のその儚げな雰囲気が好きなんだ。他の女たちのようにベタベタせず、かといって冷たくもない。まるで…手の届かない高嶺の花というか。」

喆珂は小さく息を呑んだ。高嶺の花——まさに彼女の立場そのものだった。武聖の妻でありながら、娼婦として夜な夜な見知らぬ男たちと酒を酌み交わす。もしこの事実が公になれば、楼成の名誉は地に落ち、武聖の称号も危うくなるだろう。彼女は自分が何をしているのか、よくわかっていた。だがどうしても、この禁断の生活から足を洗えなかった。

「お褒めいただき光栄です」喆珂は再び優雅に微笑んだ。「しかし私はただの一介の女に過ぎません。あなた様のような素晴らしい方のお相手など、おこがましい限りです。」

男は愉快そうに笑った。「その謙虚さも美点だな。よし、今日はもう遅い。そろそろ帰るとするか。また来週も君を指名する。」

「ありがとうございます。お気をつけてお帰りください。」

男が立ち上がると、喆珂も立ち上がり、深々とお辞儀をした。その瞬間、ドレスの裾が揺れ、彼女の脚の付け根にある小さな刺青が一瞬だけ見えた——それは楼成と結婚した時に二人で彫った、夫婦の絆の証だった。彼女は慌てて裾を整え、男に見られていないことを確認して安堵の息をついた。

店を出た後、喆珂はタクシーを拾い、自宅マンションへと向かった。車窓から見える夜の街並みはきらめくネオンに彩られ、華やかでありながら虚ろな美しさを放っている。彼女はふと、自分が今歩んでいるこの道の行く末を考えた。

——いつまで続けられるのだろう。楼成が修行から戻ってくる前に、きちんと終わらせなければ。

そう思うたびに胸が締め付けられる。楼成を裏切っているという罪悪感。しかし同時に、この刺激的な生活から得られる自由と興奮もまた、彼女の心を捉えて離さなかった。武術修行に明け暮れた日々では味わえない、生々しい人間関係の面白さ。そして何より、誰にも知られない秘密を抱えているという背徳感が、彼女の退屈な日常に鮮やかな彩りを添えていた。

マンションのエントランスに着き、エレベーターに乗り込む。自宅の扉を開けると、冷たい空気が出迎えた。玄関には楼成のスリッパがそのまま置いてあり、彼がいつでも帰ってくるかのように整然と並んでいる。喆珂はスリッパを一瞥し、軽く唇を噛んだ。

「楼成…ごめんね。でも、あと少しだけ。もう少しだけ、この自由を味わわせてほしい。」

誰に言うでもなく、彼女はそう呟いた。その声は静かな部屋に吸い込まれ、返事はなかった。

翌朝、目を覚ますと窓の外はしとしとと雨が降っていた。喆珂はバスローブに袖を通し、ベランダに出た。冷たい雨粒が肌を濡らす。彼女は目を閉じ、雨の匂いを胸いっぱいに吸い込んだ。武者としての感覚が、体の芯まで研ぎ澄まされていくのを感じる。

——今日は店を休もう。久しぶりに武術の稽古でもしようか。

そう決めて、彼女は室内用のトレーニングウェアに着替えた。リビングの一角には、楼成が設置していった木人形やダンベルがそのまま残っている。彼女は深く息を吸い込み、基本の套路(とうろ)を一連流し始めた。

体を動かすうちに、気持ちが徐々に落ち着いていく。武者としての自分を取り戻す感覚。しかし套路を終えて額の汗を拭った時、ふと昨夜の男の言葉が頭をよぎった。

——「君はいつもどこか遠くを見ているな。」

その言葉が、喆珂の心に突き刺さる。彼女は鏡の前に立ち、自分の顔を見つめた。清楚なのにどこか艶めいた表情。結婚前の純真な娘の面影は、もうそこにはなかった。

「私は…変わってしまったのかな。」

答えは出ない。ただ、雨音だけが部屋に満ちていた。

第11章

# 第11章

厳喆珂は窓辺に立ち、遠くの山々を眺めていた。秋の日差しが障子を通して柔らかく差し込み、畳の上に淡い光の模様を描いている。彼女の指先は無意識に窓枠をなぞり、その木目の感触を確かめていた。

楼成が籠もり修行に入ってから、もう三ヶ月が経とうとしている。彼からの手紙は週に一度、決まった曜日に届く。いつも同じような内容だ——修行の進捗、食事のこと、そして彼女への想い。最後には必ず「珂珂、元気でいてくれ」と書かれている。

その手紙を読むたびに、喆珂の胸は温かくなる。だが同時に、何かが足りないという空虚感も広がっていく。彼女は武道の妻として、夫の決意を尊重している。しかし、自分自身の時間を持て余すようになっていた。

「お嬢様、今日の午後はいかがなさいますか?」

背後から声がした。振り返ると、年配の女中が立っている。彼女は優しく微笑み、トレイに乗せたお茶をテーブルに置いた。

「そうね…少し街へ出てみようと思う」

喆珂はそう言って、そっと着物の袖を整えた。彼女は今日、ある決意を胸に秘めていた。それは誰にも言えない、自分だけの秘密だった。

街へ出ると、秋の風が頬を撫でる。喆珂は繁華街を歩きながら、様々な店や人々を観察した。彼女はかつて武道の訓練に明け暮れていた頃を思い出す。あの頃は、こうして街を散策する時間さえも貴重だった。今は自由すぎるほど時間があるというのに、なぜか心は満たされない。

ふと、ある店の前に足を止めた。それは高級クラブだった。夕方の準備を始めているのか、店の前に立つホステスたちが忙しそうに動いている。喆珂はその店の看板を見上げ、心臓が高鳴るのを感じた。

「ここで働いてみたい…」

彼女は自分でも驚くほどの確信を持ってそう呟いた。武道の世界と全く異なる世界。そこで自分がどう変わるのか、試してみたかった。

喆珂は意を決して、店の裏口へと足を向けた。そこには「従業員募集中」の貼り紙があった。彼女は深呼吸し、ノックをした。

「はい、どなたですか?」

中から中年の女性が顔を出した。彼女は喆珂を見て一瞬驚いた表情を浮かべたが、すぐに営業スマイルに変わる。

「あの、こちらで働かせていただけませんか?」

喆珂の言葉に、女性は目を丸くした。彼女は喆珂の清楚な姿と気品のある雰囲気に圧倒されたようだった。

「まあ…あなたのような方が、どうしてこのような場所を?」

「色々な体験をしてみたいんです。新しい世界を知りたくて」

喆珂は真っ直ぐに女性の目を見つめて言った。その瞳には迷いがなかった。女性はしばらく考え込んだ後、口を開いた。

「ここで働くっていうことは、男性のお客様をお相手することになるのよ。あなた、本当に大丈夫?」

「覚悟はできています」

喆珂の返事は簡潔だった。彼女は武道で鍛えた精神力を、こうした状況でも発揮していた。

女性はため息をつき、諦めたように笑った。

「わかったわ。じゃあ、今日から試用期間ってことで。ただし最初は、私の見ている前でお客様と話すだけよ。それ以上はさせないから」

「ありがとうございます」

喆珂は静かに頭を下げた。彼女の心は期待と緊張でいっぱいだった。これから始まる新しい生活が、自分をどう変えるのか。そして、それが夫との関係にどんな影響を与えるのか。その問いに対する答えは、まだ誰も知らなかった。

第12章

# 第12章

その夜、厳喆珂は一人で高級クラブの個室に座っていた。深紅のベルベットのソファは柔らかく、彼女の身体を包み込むように沈み込む。薄暗い照明の下で、水晶のグラスに入ったシャンパンが琥珀色に輝いている。

彼女は今日ここに来た理由を、もう一度自分に問いかけた。楼成は修行に没頭している。彼の武道への情熱は尊敬に値する。しかし、夫が閉じこもってから数ヶ月、彼女の日常は驚くほど静かで、退屈だった。

「お待たせしました」

ドアが開き、一人の男性が入ってきた。推定四十代後半、端正な顔立ちに、ビジネススーツを着こなす落ち着いた風格がある。彼の目は知的で、少し遊び心のある光を宿していた。

「初めまして、厳さん。私は佐藤と申します」

「厳喆珂です。お会いできて光栄です」

彼女は立ち上がり、優雅にお辞儀をした。清楚な白いブラウスに、落ち着いたグレーのスカート。一見すると地味だが、その仕草には武道で鍛えられたしなやかさと、気品が漂っている。

佐藤は彼女の向かいのソファに腰を下ろした。ウェイターが彼の飲み物を運んでくる。しばらく、二人は他愛のない会話を交わした。仕事の話、趣味の話、最近読んだ本の話。

「厳さんは、とても聡明な方ですね」佐藤が微笑んだ。「話していてとても楽しい」

「ありがとうございます。佐藤さんも、とても話しやすい方です」

彼女はグラスを手に取り、一口含んだ。冷たい液体が喉を通る感覚が、少し緊張を和らげてくれた。

「旦那様は、お仕事がお忙しいのですか?」

突然の質問に、彼女の心臓が一瞬止まった。しかし、彼女はすぐに平静を装った。

「ええ……修行が忙しくて」

「武道家なんですか?」

「そうです」

彼女はうつむいた。嘘は言っていない。ただ、すべてを話しているわけではないだけだ。

佐藤は何かを感じ取ったのか、それ以上追求しなかった。代わりに、彼は優しく手を伸ばし、彼女の指先に触れた。

「厳さん。あなたはとても美しい。そして、どこか寂しげだ」

彼の言葉が、彼女の胸の奥に響いた。確かに、彼女は寂しかった。楼成の愛情に疑いはない。しかし、夫は今、彼女ではなく武道を選んでいる。その事実が、小さな棘のように心に刺さっていた。

「佐藤さん……私、今日は……」

「無理にとは言いません」彼は優しく微笑んだ。「ただ、あなたと一緒に時間を過ごせただけで、私は満足です」

その言葉に、彼女の警戒心が少し解けた。彼は他の客とは違う。下心だけで近づいてきたわけではない。本当に、彼女という人間に興味を持っているのだ。

夜は更けていく。会話は紆余曲折を経て、深いものになっていった。彼の人生観、彼女の武道への情熱。二人の間に、奇妙な親密さが生まれていた。

「もう遅いですね」佐藤が時計を見た。「そろそろお送りしましょう」

「いいえ、大丈夫です。一人で帰れます」

しかし、彼は譲らなかった。結局、彼女は彼の車に乗せられ、自宅の近くまで送ってもらうことになった。

車の中は静かだった。窓の外を流れる街明かりが、彼女の横顔を照らす。

「またお会いできますか?」

彼の問いに、彼女は一瞬ためらった。しかし、その後に続く言葉が、口からこぼれ落ちた。

「ええ……また」

その夜、家に帰った彼女は、楼成の修行部屋のドアの前に立った。中からは、かすかに気の流れが感じられる。彼は今日も、全身全霊で武道に打ち込んでいる。

「ごめんね、楼成。でも……私は、私の人生も生きてみたい」

彼女は囁き、自分の部屋へと戻っていった。

ベッドに横たわりながら、彼女は佐藤のことを考えていた。彼の優しい眼差し、知的な会話、そして触れた手の温もり。それは、楼成とは違う、成熟した男の魅力だった。

心の奥で、罪悪感と期待がせめぎ合う。しかし、彼女はもう止まれなかった。この新しい体験のスリルが、彼女の退屈な日常に色を添えていたのだ。

次の日の朝、スマートフォンに一通のメッセージが届いた。

「昨夜は楽しかったです。もしよろしければ、今週末、またお会いできませんか? 素敵なレストランを知っています。——佐藤」

彼女の指が、画面の上で一瞬ためらった。そして、ゆっくりと返信を打ち始めた。

「喜んで」

送信ボタンを押すとき、彼女の唇には、少し危険な微笑みが浮かんでいた。

第1章

第1章

楼成が武聖の称号を手にしたその日、武道界は沸き返った。

史上最年少の武聖——それも外罡級の頂点に達してなお、なおも上を目指す天才。彼の名は瞬く間に世界中に知れ渡り、祝賀の声が絶え間なく続いた。だが楼成にとって、この栄光以上に心を躍らせたのは、長年連れ添った恋人、厳喆珂との結婚だった。

式は質素ながらも温かみのあるものだった。白いウェディングドレスに身を包んだ厳喆珂は、清楚で垢抜けた美しさを一層際立たせ、楼成は我が妻の魅力に改めて心を奪われた。武道の鍛錬が彼女にもたらした均整のとれた肢体は、ドレスのラインを美しく描き出していた。胸は大きくはないが、引き締まった肉体が布地の下に確かな存在感を示していた。

新婚旅行は彼らにとって忘れがたい日々となった。南国の海辺で過ごした時間、星空の下で交わした約束、互いの温もりを確かめ合った夜——すべてが幸福そのものだった。

だが、その幸福は長くは続かなかった。

旅行から戻り、日常が戻ってきたある日、厳喆珂は夫に切り出した。

「楼成、あなたは武聖よ。今、多くの武者たちがあなたに挑もうと牙を研いている。そんな中で、私はあなたに武術に専念してほしいと思うの」

楼成は驚いた顔をした。「だが、俺たちは結婚したばかりだ。君を一人にするわけには——」

「私は大丈夫よ」厳喆珂は微笑んだ。「あなたが禁忌級を突破して、本当の頂点に立つ姿を見たいの。それが私の願いよ」

楼成は黙り込んだ。彼もまた武道の頂点を夢見る者だった。武聖の称号を得た今、その先にある禁忌級——それは彼の人生最大の目標だった。妻の理解ある言葉に、彼は深い感謝の念を抱いた。

「ありがとう、喆珂。必ずや禁忌級を突破して、君に最高の武を見せる」

こうして楼成は籠もり修行に入ることとなった。彼の修練場は家の地下に設けられ、そこには食料と水、そして武具だけが備えられていた。彼は外界との接触を断ち、ただひたすらに武道の極致を追求する日々を送り始めた。

最初の数日、厳喆珂は自由な時間をどう過ごすか戸惑った。結婚するまでは武道の鍛錬に励み、その後は新婚生活に忙しかった。だが今、夫は地下の修練場にこもり、彼女は広い家に一人きりだった。

静寂が彼女を包む。時計の音だけが規則正しく響くリビングで、厳喆珂はソファに座り、何をするでもなく窓の外を眺めた。新婚旅行の楽しい思い出が脳裏をよぎる。楼成の笑顔、優しい手触り、温かな抱擁——それらは今、遠い過去のもののように感じられた。

「何かしなければ」

彼女はそう呟き、立ち上がった。これまでずっと良い娘として生きてきた。親の言う通りに育ち、優秀な武道家としての道を歩み、そして愛する人と結婚した。その人生に後悔はない。だが、どこか物足りなさを感じていたのも事実だった。

「一度くらい、違う生活を体験してみてもいいわよね」

そう考えた彼女は、インターネットで短期の仕事を探し始めた。正規の職業に就くつもりはなかった。ただ、暇な時間を潰し、自分を変える経験が欲しかったのだ。

検索を続けるうちに、彼女は一つのサイトに辿り着いた。

『全職業体験クラス』

その名前に興味を引かれ、クリックする。サイトの説明は回りくどく、何が書いてあるのかすぐには理解できなかった。だが、何度か読み返すうちに、厳喆珂は自分なりの解釈をまとめた。

「つまり、お金と暇を持っている人に仕事を紹介し、暇を持て余している人に時間を潰させる——そういうことかしら」

彼女は自分の計画にぴったりだと思った。すぐにメッセージを送り、翌日に詳しい話を聞きに行く約束を取り付けた。

翌朝、厳喆珂は指定された住所へと向かった。それは都心から少し外れた、古びたビルの一室だった。エレベーターで四階に上がり、飾り気のないドアをノックする。

「はいはい、ただいま」

中からは女性の声が聞こえた。ドアが開き、現れたのは三十代半ばほどの女だった。李紅と名乗るその女性は、ビジネススーツを着こなし、髪をきっちりとまとめていた。だが、彼女の目つきが厳喆珂を一瞬で不快にさせた。

李紅は厳喆珂を頭の先から爪先まで、じっくりと値踏みするように見つめた。その視線には、明らかに品定めの色が滲んでいた。厳喆珂は思わず眉をひそめたが、それでも中に入ることにした。

「厳さんですね。どうぞお座りください」

李紅に案内され、応接室のような場所に通される。簡素な机と椅子があり、壁には何の飾りもなかった。李紅は向かいに座り、にこやかな笑みを浮かべた。だが、その笑顔の裏には計算された何かがあるように感じられた。

「では、早速ですが、当社の業務内容をご説明しますね」

李紅はそう言って、会社の説明を始めた。だが、その内容は厳喆珂が想像していたものとは全く異なっていた。

「当社はですね、いわゆる人材派遣会社ではありません。もっと深い——いえ、もっと人間の本質に近いサービスを提供しているんです」

李紅の言葉は遠回しで、直接的な表現を避けていた。だが、厳喆珂は次第にその真意を理解し始めた。

この会社は正規の仲介会社ではない。実質的には売春宿だったのだ。

ここに来る人間は二種類に分かれる。一つは仕事を探す者、もう一つは楽しみを求める裕福な者。仕事を探す者が見栄えが良い場合、会社は内密に実情を伝える。理解した者で残りたい者は——男性なら売春夫、女性なら売春婦となる。断る者は追い返される。一方、楽しみを求める裕福な者は客として振る舞い、会社の中から人を選び、その者が「興味を持つ」仕事をアレンジさせ、その仕事を体験させるのだ。

李紅のほのめかしを聞き取りながら、厳喆珂は大学三年生の時にアメリカに留学した経験を思い出した。向こうでの性の開放度は日本や中国とは比べ物にならなかった。彼女自身はそれに深く関わることはなかったが、友人たちの話を聞き、性的な事柄に対する認識は柔軟になっていた。

「——というわけで、厳さんは体験に来られたんですか?それとも、仕事を探しに来られたんですか?」

李紅の問いかけに、厳喆珂は少しぼんやりとしながら答えた。

「仕事を——探しています」

その言葉を聞いた瞬間、李紅の目が輝いた。その変化に厳喆珂は気づいたが、もう後の祭りだった。

厳喆珂はすぐに後悔した。ここで仕事を探すとは、つまり売春婦になるということではないか。自分はそんなつもりで来たわけではない。ただ、何か新しい経験をしたかっただけだ。

「あ、いや、やっぱり——」

言いかけた厳喆珂の言葉を、李紅が遮った。

「厳さんが当社で働くのは、実は難しいんですよ」

その言葉に、厳喆珂は驚いた。李紅の口調は突然、冷たいものに変わっていた。彼女は続ける。

「顔はまあまあですが、体つきが十分に豊満ではありません。以前はその気質が好まれましたが、今はもうダメです。それに、厳さんが良い家の出であることは明らかで、こういう仕事はできないでしょう」

李紅の言葉には、明らかな挑発の色が含まれていた。彼女は先ほどの会話で厳喆珂の心理を分析していたのだ。

李紅は誤解していた。厳喆珂がアメリカでの性の開放度を経験した後の認識を、彼女の性に対する開放的な態度と誤認した。さらに、厳喆珂が「良い娘の性格を変えたい」という意図を、内心性を渇望するギャップのある女と捉え、売春婦体験に来たお嬢様と思い込んだのだ。

厳喆珂は元々帰ろうとしていた。だが、李紅の言葉に侮辱されたと感じた。何しろ、その言葉は自分は売春婦にすらなれないと言っているようなものだった。

「——何ですって?」

厳喆珂の声には怒気が込められていた。彼女は断ろうとした言葉を忘れ、李紅を睨みつけた。

李紅は厳喆珂の反応を冷静に観察していた。彼女の狙い通り、厳喆珂は怒り心頭に達している。その心理的な揺れを利用して、李紅は契約書を机の上に滑らせた。

「顔がまあまあだから、とりあえず試させてあげましょう」

李紅は無関心なふりを装い、事もなげに言った。その態度が、さらに厳喆珂の怒りを煽った。

「試すだと?誰があなたに——」

「契約書です。読んでみてください。普通の雇用契約ですから」

李紅は涼しい顔で言い放ち、ペンを差し出した。厳喆珂は李紅の態度に腹が立ち、契約書を手に取った。しかし、怒りで冷静さを欠いていた彼女は、内容をろくに確認せずに署名してしまった。

サインを終えた瞬間、厳喆珂は我に返った。手元の契約書には確かに自分の名前が書かれている。何をやってしまったのか——彼女は慌てた。

「あ、私——」

「契約は成立しましたね。厳さん、ようこそ当社へ」

李紅の口調には満足げな色が滲んでいた。厳喆珂は唇を噛みしめた。後悔が押し寄せる。だが、もう後の祭りだ。彼女は自分を慰めるように考えた。非人級の武道家としての実力があれば、何かあっても対処できる。そう考えて、ようやく冷静さを取り戻した。

「契約書を見せてください」

厳喆珂がそう言うと、李紅はにっこりと笑って契約書を差し出した。厳喆珂はそれを手に取り、内容を読み始める。

契約書は簡潔なものだった。会社は社員に一週間の研修を行い、研修後は仕事の手配を待つ。待機中も会社は引き続き研修を行う。長期間仕事がなければ、会社は社員を解雇し、研修期間中の費用を社員に補償させる。最後に社員の給与についての記載があった。

「——これだけですか?」

「ええ、シンプルでしょ?当社は余計な条件を付けない方針ですから」

李紅の言葉に嘘はなさそうだったが、厳喆珂にはその背後に何か隠されているような気がしてならなかった。

「では、研修室にご案内しますね」

李紅は契約書を回収し、厳喆珂を部屋の奥へと促した。廊下を進み、一つのドアの前で立ち止まる。李紅が鍵を開け、中に入るよう手招きした。

中は個室だった。ベッドと机、そして鏡があるだけの簡素な部屋だ。窓はなく、天井の蛍光灯が白く光っている。

「ここが研修室です。これから一週間、ここで過ごしていただきます」

「ここで?自宅から通うんじゃないんですか?」

「いいえ、研修期間中は会社に住み込んでいただきます。規則ですので」

厳喆珂は戸惑った。しかし、李紅の口調には反論を許さないものがあった。彼女は仕方なく従うことにした。

「では、早速ですが、あなたの評価を行います」

「評価?」

「ええ。すべての社員に対して、最初に評価を行います。それに基づいて研修内容を決めるんです」

李紅はそう言って、ノートとペンを取り出した。

「服を脱いでください」

「——はい?」

「評価ですから。体を見せてください」

厳喆珂は一瞬ためらった。だが、先ほどの李紅の言葉——自分は売春婦にすらなれない——という侮辱が頭をよぎる。彼女は自分がどのような評価を受けるのか、知りたいという気持ちが湧いてきた。

「——わかりました」

彼女はゆっくりと服を脱ぎ始めた。上着を脱ぎ、スカートを脱ぎ、下着も脱いだ。鏡に映る自分の裸体を見ながら、彼女は少し居心地の悪さを感じた。

李紅は厳喆珂の裸体をじっくりと観察した。その視線は、冷徹な検査官のように、一箇所も逃さずに全身をなぞっていく。

「うん、顔はいいわね。非常に整っている。清楚な気質もあって、それがプラスに働くわ。でも体つきがね——」

李紅は近づいて、厳喆珂の胸を軽く触った。その指の感触に、厳喆珂は思わず身を震わせた。

「胸は大きくないわね。でも形は悪くない。引き締まってもいる。うん、十分だわ」

次に李紅は厳喆珂の腰や尻を触り、腕や脚の筋肉の付き具合を確認した。そして、メジャーを取り出して身長や体の各部位のサイズを測り始めた。

「身長170センチ、体重58キロ——武道家としては標準的ね。体脂肪率も低い。いいわ」

そう言いながら、李紅はノートに数字を書き留めていく。

「次に——」

李紅は厳喆珂にベッドに仰向けに寝るよう指示した。厳喆珂が指示に従うと、李紅は手を彼女の股間に伸ばした。

「ちょっと——!」

「評価ですから、我慢してください」

李紅の指が膣口に触れ、ゆっくりと内部を探る。その感触に、厳喆珂は体を硬くした。しかし、李紅の手は容赦なく進む。

「うん、処女ではないわね。夫がいるんでしょう?何回くらいしました?」

「——そんなこと、言えるわけ——」

「答えなさい。これも評価の一部です」

厳喆珂は唇を噛みしめた。屈辱感が全身を覆う。だが、契約書のことを思い出し、仕方なく答えた。

「——結婚してからは、何度か……」

「何人と性交しましたか?夫以外にいませんか?」

「いません!」

「フェラチオはしたことがありますか?」

「——ありません」

「肛門は使われたことがありますか?」

「——ありません」

李紅は一つ一つ確認しながら、ノートに書き留めていく。その表情は無感情で、まるで検査報告書を作成するかのようだった。

「体の感度を確認しますね」

李紅の指が乳房の先端を軽く撫でる。そして、陰核への刺激も行った。厳喆珂はその刺激に体が反応しそうになるのを必死に抑えた。

「うん、あまり敏感ではないわね。もっとトレーニングが必要だわ」

評価が終わり、李紅はノートを閉じた。厳喆珂は体を起こし、李紅が何をするのかを見守った。

「評価結果を伝えます」

李紅は淡々とした口調で言った。

「まず、顔が良いのは加点要素。しかし、体つきが十分に豊満でないのは減点要素。気質が清楚だが処女でないのは減点要素。結婚しているが人妻の気質がないのは減点要素。フェラチオ未経験は加点要素。肛門未使用は加点要素。夫とのみ性交しているのは加点も減点もなし。性技はほぼ皆無で減点。体が十分に敏感でないので減点。最終評価は——C級です」

「——C級?」

厳喆珂は愕然とした。評価は高い順にS、A、B、C、Dの五段階だという。自分がC級——それも下から二番目の評価を受けたことに、彼女は衝撃を受けた。

いつも周囲から注目を浴び、褒められてきた彼女にとって、この評価は屈辱的だった。李紅が意図的に低い評価を下していることに、厳喆珂は気づかなかった。実際には、李紅の心中では厳喆珂はA級、研修後はS級にも達すると思っていた。だが、彼女はあえてC級と評価することで、厳喆珂の心に打撃を与え、より支配しやすくしようと企んでいたのだ。

「——しかし、これはあくまでも初期評価です。研修次第で評価は上がりますよ」

李紅はそう言って、厳喆珂に服を着るよう促した。

「では、これから一週間の研修を始めましょう。厳さんには、ここで寝泊まりしていただきます。必要なものは会社で用意しますから、心配しなくていいですよ」

「——でも、私は夫が——」

「夫さんには、あなたが短期の仕事を見つけたと伝えればいいでしょう。一週間程度なら問題ないはずです」

李紅の言葉に、厳喆珂は返す言葉を失った。確かに楼成は籠もり修行中で、彼女の行動を把握していない。一週間程度なら、何の問題もないだろう。

「——わかりました」

厳喆珂はそう言って、李紅の指示に従うことにした。心の中には、逃げ出したいという気持ちがあった。しかし、それ以上に、自分がC級と評価された屈辱が彼女を留めていた。

李紅はその表情を見て、心の中でほくそ笑んだ。彼女の思惑通り、厳喆珂はこの場所に留まることを選んだ。これから一週間、彼女はこの会社の思うままに操られることになる。

研修は明日から本格的に始まる。厳喆珂には、自分が何を体験することになるのか、まだ想像もつかなかった。

第2章

李紅は厳喆珂を連れて、店の裏手にある個室研修室へと向かった。室内は薄暗く、ピンク色の照明が柔らかく漂い、中央には大きなヨガマットが敷かれている。壁際には鏡が一面に設置され、あらゆる角度から自分の姿を確認できるようになっていた。厳喆珂は緊張した面持ちで李紅の後ろに立ち、何をされるのかと不安と好奇心が入り混じっていた。

李紅は冷めた口調で言った。「あんた、本当にやる気はあるのかい? 無理なら帰っても構わないよ。ここは無理強いするところじゃないからね。」

厳喆珂はその言葉に一瞬戸惑った。彼女はてっきり厳しい指導が待っていると思っていたのに、李紅はあっさりと引き返す道を残している。しかし、そのあまりにも軽い態度が逆に厳喆珂の心に火をつけた。自分は非人級の武者だ。こんなことで逃げ出せるか。彼女は決意を固め、声を張った。

「やります。ちゃんと教えてください。」

李紅は微かに口元を緩めたが、すぐに無表情に戻った。「そうか。じゃあ、まずはそのヨガウェアだけになるんだ。下着は外せよ。」

厳喆珂は頷き、背を向けて服を脱ぎ始めた。彼女は武道の鍛錬で引き締まった身体を持っていたが、こうして他人の前で裸になるのは初めての経験だ。心臓が高鳴るのを抑えながら、ピンクのタイトなヨガウェアを身に着けた。下着は外したので、布越しに胸の突起がはっきりと浮かび上がっている。彼女は振り返り、李紅の前に立った。

李紅は厳喆珂の全身をじっくりと観察した。「なかなかいい身体してるね。でも、これから教えることを覚える気はあるのかい? 嫌ならいつでもやめていいんだよ。」

厳喆珂は強い目で李紅を見返した。「やめません。覚えます。」

「ふん、その意気だ。じゃあ、まずはマットに寝転がれ。」

厳喆珂は言われるままにヨガマットに仰向けに寝た。李紅は彼女の横に座り、手を伸ばしてヨガウェアの上から胸を撫で始めた。最初は軽くなでるだけだったが、徐々に指の動きが細かくなり、乳首の位置を正確に捉えて刺激した。厳喆珂は思わず息を呑んだ。武道の訓練で鍛えられた身体は外部の刺激に敏感で、李紅の指の感触が全身に走る。

「あ、そこ、ちょっと……」

「黙ってろ。感じるままに身を任せろ。」

李紅の手は胸から腹部へと移動し、さらに下へ。ヨガパンツの股間部分に手を当て、布越しに膣の位置を探った。指が軽く押し込まれると、厳喆珂は無意識に腰を浮かせた。李紅は手のひらで全体を揉みながら、しっとりと湿り気を帯びてきた布の感触を確かめた。

「もう濡れてきたのか。感じやすい身体だね。」

厳喆珂は顔を赤らめ、何も言い返せなかった。自分の身体が勝手に反応しているのが恥ずかしくてたまらない。しかし、李紅の手は容赦なく動き続け、指が膣口の周りを円を描くように撫でると、淫液がじわりと染み出し、薄いヨガパンツの股部分を濡らしていった。

李紅は満足そうに頷くと、「よし、それじゃあ、このズボンを脱がすぞ。」と言い、厳喆珂のヨガパンツを膝のあたりまでずり下ろした。下半身が完全に露出し、濡れた陰部が薄明かりに照らされる。厳喆珂は羞恥に体中が熱くなるのを感じたが、李紅の手が再びそこに触れると、思考がかき消された。

李紅はポケットから偽のペニスを取り出した。それは肌色をしたシリコン製で、長さは十数センチ、太さは中指と人差し指を合わせたくらいだ。李紅はそれを厳喆珂の目の前に掲げて見せた。

「これから、これを使ってお前の穴を慣らす。痛かったら言えよ。でも、ちょっとくらいの痛みは我慢しろ。」

言うが早いか、李紅は偽ペニスの先端を厳喆珂の膣口に当て、ゆっくりと押し込んだ。厳喆珂は初めての異物感に体を強張らせたが、李紅の手が優しく腰を撫でると、徐々に力が抜けていった。偽ペニスは滑らかな動きで膣内に侵入し、奥まで収まった。

「はあっ……はあっ……」

厳喆珂は荒い息を吐きながら、下腹部に広がる充実感に集中した。李紅は偽ペニスをゆっくりと引き抜き、また押し込む。その動きが規則正しく続くうちに、厳喆珂の膣内はさらに潤み、淫液が李紅の手を濡らした。

「いい感じだ。そろそろ本気でいくぞ。」

李紅は抽送の速度を上げた。偽ペニスが膣壁を擦るたびに、厳喆珂の体内から甘い声が漏れる。彼女は無意識に腰を動かし、挿入に合わせて揺れ始めた。快感が徐々に高まり、奥の方から何かが込み上げてくる感覚があった。

「あっ、あっ、もう、いきそう……」

厳喆珂が絶頂の兆候を見せた瞬間、李紅はピタリと動きを止めた。偽ペニスが膣内に止まったまま、一切の動きがなくなる。厳喆珂はもどかしさに身をよじった。

「な、なぜ止めるんですか? 続けてください……」

李紅は冷ややかに笑った。「簡単にイかせたら、お前のためにならない。男を喜ばせる技術ってのは、自分の快感をコントロールするところから始まるんだ。俺の言う通りに動けるか?」

厳喆珂は歯を食いしばって頷いた。李紅は再び偽ペニスを動かし始めたが、今度はゆっくりとしたリズムで、厳喆珂が耐えきれずに腰を突き出そうとすると、また止める。これを何度も繰り返し、厳喆珂は絶頂の手前で何度も宙吊りにされた。

やがて厳喆珂の目に涙が浮かび、声は懇願に変わった。「お願いします……もう我慢できません……イかせてください……」

李紅はその言葉を待っていた。彼女は偽ペニスを抜き取り、厳喆珂の顔をのぞき込んだ。「いいだろう。ただし、お前がこれから覚えることを一つ覚えるごとに、一度だけイかせてやる。まずは正常位だ。お前の足を開いて、俺の腰を挟むんだ。」

厳喆珂は言われるままに両足を開き、李紅の腰に絡めた。李紅は再び偽ペニスを膣に挿入し、今度は本格的に抽送を始めた。厳喆珂は両手を床について体を支え、李紅の動きに合わせて腰を動かした。数十回の激しい抽送の後、厳喆珂は遂に絶頂に達した。全身が震え、膣内が収縮し、淫液が溢れ出した。

「はあっ、はあっ、すごい……!」

李紅は厳喆珂が絶頂から醒めるのを待って、次の体位を教えた。「次は後背位だ。四つん這いになれ。」

厳喆珂は素直に体勢を変えた。両手と両膝を床につき、尻を高く突き上げる。李紅はその尻を撫でながら、偽ペニスを後ろから膣に挿入した。今度は角度が違うため、より深くまで届く感覚があった。厳喆珂は自分の口から漏れる声を抑えきれなかった。

「ああっ、そこ、奥に当たってる……」

「いい感じだ。そのまま動くなよ。」

李紅は厳喆珂の腰を掴み、激しく抽送した。厳喆珂の胸が揺れ、ヨガウェアの上部分がめくれ上がって、露出した乳首がマットに擦れる。それもまた快感を増幅させた。二度目の絶頂はすぐに訪れ、厳喆珂は全身の力を失ってマットに伏せた。

続いて李紅は四つん這い位、騎乗位など、様々な体位を教えた。厳喆珂は一つ一つの体位を覚えるごとに絶頂を許され、そのたびに自分の身体が新しい快感に開かれていくのを感じた。気がつけば、初めの緊張や恥ずかしさは消え去り、ただ李紅の次の指示を待つ自分がいた。

初日の研修は数時間に及んだ。厳喆珂はヨガマットの上でぐったりと横たわり、全身が汗と淫液で濡れていた。李紅は満足げに頷くと、「今日はこれで終わりだ。明日も続けるぞ。ちゃんと休めよ。」と言い残して部屋を出て行った。

二日目、厳喆珂は前日の疲れも見せず、早めに研修室に現れた。李紅はその姿を見て、内心で感心した。やはり体力は並外れている。李紅は前日と同様、淡々とした態度で厳喆珂を迎えた。

「今日は午前中に体位の復習をして、午後からは新しい技術を教える。ついてこい。」

午前中は、前日覚えた正常位、後背位、四つん這い位、騎乗位を厳喆珂に復習させた。厳喆珂は李紅の指示に従い、一つ一つの動作を正確に再現した。李紅は細かい修正を加えながらも、厳喆珂の飲み込みの早さに驚かされた。

午後になると、李紅は新たな偽ペニスを取り出した。それは口に含むのに適した大きさで、先端がやや太く、根元が細くなっている。李紅はそれを厳喆珂の目の前に差し出した。

「これからフェラチオを教える。男の喜ばせ方の基本だ。まずは、この偽ペニスを舐めるところから始める。」

厳喆珂は偽ペニスを受け取り、躊躇しながらも口に近づけた。まずは先端を舌でそっと舐める。シリコン特有の無味無臭だが、李紅の視線が自分に注がれているのを感じると、それが本物の男根のように思えてきた。

「もっと大胆に。舌の先を尖らせて、裏筋をなぞるように舐めろ。そうだ、その調子だ。」

李紅の指導に従い、厳喆珂は舌を器用に使って偽ペニスの表面を舐め回した。時折、先端を口に含んで吸い付くようにすると、李紅は「いいぞ、そのまま吸い込め」と指示した。厳喆珂は目を閉じ、口の中の異物感に集中しながら、頭を前後に動かしてフェラチオの動作を繰り返した。

「よし、次は深く咥えろ。喉の奥まで入れるんだ。吐き気を我慢しろ。」

厳喆珂は勇気を振り絞って、偽ペニスを喉の奥まで押し込んだ。一瞬、えずきそうになったが、武道の訓練で鍛えた呼吸法を使って耐えた。李紅はその様子をじっと見守り、「そのまま数秒キープしろ。そうだ、うまいじゃないか。」と褒めた。

数時間の練習の末、厳喆珂は偽ペニスを使って一連のフェラチオ動作をスムーズに行えるようになった。李紅は満足そうに頷き、「次はアナルセックスだ。夜にやるぞ。」

夜になると、李紅は厳喆珂を連れて浴室に向かった。そこで厳喆珂に浣腸を施した。三度にわたって浣腸液を注入し、腸内を完全に洗浄した。厳喆珂は自分の尻穴から水が出る感覚に羞恥を覚えたが、もはや拒否する気は起きなかった。

研修室に戻ると、李紅は厳喆珂に四つん這いの姿勢を取らせた。そして新しい偽ペニスを取り出した。それは膣用より細く、先端がやや尖っている。李紅はローションをたっぷりと塗り、厳喆珂の肛門に当てた。

「初めてだから痛いはずだ。でも、耐えろよ。」

言うが早いか、李紅は偽ペニスをゆっくりと肛門に押し込んだ。厳喆珂はその痛みに声を上げたが、李紅の手が腰を優しく撫でると、痛みが薄らぎ、代わりに圧迫感が広がった。

「はあっ、はあっ、痛いけど、なんとか……」

「そのまま動くな。俺が動くから、お前は力を抜け。」

李紅は偽ペニスを慎重に抜き差ししながら、徐々に速度を上げた。厳喆珂は肛門が徐々に慣れていくのを感じ、痛みよりも異物感が支配的になった。数分後、李紅は抽送を続けながら、「どうだ? 痛みは引いたか?」と尋ねた。

「はい……少し慣れてきました……」

「よし、じゃあもっと深くいくぞ。」

李紅は偽ペニスをさらに奥に押し込んだ。厳喆珂の体内からくぐもった声が漏れる。前立腺のあたりが刺激されると、膣とは違う快感が全身を走った。厳喆珂は自分の肛門が開発されていく感覚に酔いしれた。

三日目、李紅は厳喆珂の順応性の高さに満足し、本格的な身体の開発に入った。この日は、まず全身を丹念に撫で回すことから始まった。李紅は厳喆珂の身体の隅々まで手のひらで触れ、どの部分が最も敏感かを探った。

「ここはどうだ? ここは?」

李紅の指が耳の裏、首筋、脇の下、腰骨の内側、太腿の内側と探っていく。厳喆珂は触れられるたびに身体を震わせ、声を漏らした。特に背骨に沿って指を滑らせると、彼女は背中を反らせて甘い声を上げた。

「ああっ、そこ、背中のラインが、すごく感じる……」

李紅はその反応を記憶に留め、同時に厳喆珂の胸の突起、乳首を指先で転がすと、彼女の淫液がとめどなく溢れ出した。軽く撫でただけで、ヨガパンツが濡れるほどだ。

「本当に感じやすい身体だな。お前は生まれつきの淫乱かもしれないな。」

李紅の言葉に厳喆珂は否定しようとしたが、自分の身体が正直に反応しているのを認めざるを得なかった。彼女はもはや恥ずかしさよりも、自分の身体が新しい快感で満たされることに喜びを感じ始めていた。

午後には、李紅は厳喆珂にパイズリ、手コキ、足コキ、腿コキなどの技術を教えた。パイズリでは、自分の胸で偽ペニスを挟み、上下に動かす方法を学んだ。胸が大きくない分、腕の力で調整する必要があったが、厳喆珂はすぐにコツをつかんだ。

手コキでは、指の使い方、力加減、リズムの取り方を徹底的に叩き込まれた。足コキでは、足の裏で偽ペニスを扱く技術を学んだ。腿コキでは両腿の内側で挟んで擦る快感を覚えた。

李紅は教え終わると、厳喆珂に言った。「これで一通りの基本技術は教えた。お前の身体はよくできている。特にタフだな。何時間続けても疲れを見せない。これは売春婦として最高の素質だ。」

厳喆珂はその言葉に、なぜか誇らしさを感じた。自分は武術の世界では非人級の実力者だが、ここでは全く別の価値観で評価されている。そのギャップがむしろ新鮮で、彼女をさらに没頭させた。

三日間の調教が終わる頃には、厳喆珂は李紅の指導に完全に心を開いていた。彼女は元々、楼成に勧められてこの体験に臨んだはずだった。だが今、楼成の顔は頭の片隅に追いやられ、代わりに李紅の言葉や手の感触、偽ペニスの挿入感がすべてを占めていた。

最終日、李紅は厳喆珂に総復習をさせた。フェラチオ、パイズリ、手コキ、腿コキ、足コキ、膣交、肛交、すべての技術を順番に試させた。厳喆珂は一つ一つの動作を完璧にこなし、李紅の期待を上回った。

「いいだろう。お前はもう一人前だ。明日から実際の客を取ってもらう。」

厳喆珂はその言葉に、ぞくぞくするような興奮を覚えた。自分が売春婦として客を取る。それはかつての自分なら考えられなかったことだ。だが今は、その未知の体験が待ちきれなかった。

部屋を出る前に、厳喆珂は鏡の前に立った。そこには、ピンクのヨガウェアだけを身に着け、淫らな汗にまみれた自分が映っている。頬は上気し、目は潤んでいた。彼女は自分の姿を見つめながら、ふと楼成のことを思い出した。

(楼成……ごめんね。でも、これも修行の一環なんだ。きっとあなたも認めてくれるよね……)

そう自分に言い聞かせながら、厳喆珂は心の奥底で芽生えつつある欲望を認めようとしなかった。彼女はもう、李紅の手によって着実に調教され、売春婦としての自分を受け入れ始めていたのだ。

三日間の研修は、厳喆珂の身体だけでなく、心までも変えてしまった。彼女はもはや、清楚でおとなしかった頃の自分には戻れない。その事実に、彼女はまだ気づいていなかった。

第3章

四日目の朝、厳喆珂は研修室の簡易ベッドの上で目を覚ました。昨日までの調教で、彼女の身体はすでにある程度の性愛刺激に慣れていたが、心の奥底ではまだ強い羞恥心が燻っていた。李紅は早朝から部屋に現れ、いつものように無表情で準備を整えていた。

「今日から、お前を本当の意味で売春婦に近づける。」

李紅の声は冷たく、厳喆珂の背筋を凍らせた。しかし、同時に彼女の身体の奥底で、何かが期待している自分に気づき、ぞっとした。

李紅は研修室のドアを少し開け、廊下に向かって何かを合図した。すぐに、廊下から足音や話し声が聞こえ始めた。人は研修室の前を行き来しているようだった。李紅が厳喆珂の前に座り、ゆっくりと彼女の服を脱がせ始めた。

「や、やめてください…外に人が…」

厳喆珂は声をひそめて懇願したが、李紅は無視した。指が彼女の胸の先端に触れ、軽く撫でる。同時に、廊下から人の気配が近づいてくる。厳喆珂の身体は緊張し、息が詰まった。

李紅の手の動きはますます激しくなった。胸を揉みしだき、腹部を撫で、太ももの内側を這う。そのたびに厳喆珂の口から小さな吐息が漏れる。そして、ちょうど誰かが研修室の前を通り過ぎる瞬間、李紅は彼女の最敏感な部分を強く刺激した。「あっ…!」

厳喆珂は反射的に声を上げてしまい、すぐに口を押さえたが、遅かった。廊下の足音が一瞬止まり、話し声が聞こえた。「何の音?」「さあ…」そしてまた歩き去った。厳喆珂の顔は真っ赤に染まり、身体全体が熱くなった。

「お前の喘ぎ声、外に聞こえたぞ。」

李紅は冷たく言い放ち、さらに激しく彼女の身体を弄った。指が膣口に触れ、そこがすでに濡れていることを確認すると、李紅は軽く笑った。「さっきまで恥ずかしがっていたのに、もうこんなに濡れているとはな。」

厳喆珂は否定しようとしたが、言葉にならなかった。身体は正直で、羞恥心が高まるほどに感度が増していた。廊下から再び足音が近づく。今度は複数の足音だ。李紅はタイミングを見計らい、彼女のクリトリスを指で弾いた。「んんっ…!」

耐えきれず、声が漏れた。外の足音がまた止まった気がする。会話が聞こえる。「研修室で何かしてるのか?」「知らないけど、まあいいんじゃない?」そしてまた去っていく。厳喆珂の心臓は激しく打ち、恥ずかしさで頭の中が真っ白になりそうだった。

しかし、そうなればなるほど、身体は制御不能になった。李紅の指の動きに合わせて、自然と腰が動き、口からは止められない喘ぎ声が溢れ出る。何度目かの絶頂を迎えた時、彼女は悟った。もう隠し通せない。聞かれてしまった。聞かれてしまっている。

「もういい…好きにしてください…」

厳喆珂は小さな声でつぶやいた。それは敗北の宣言であり、同時に解放でもあった。恥ずかしい。恥ずかしすぎる。だけど、もうどうしようもない。彼女は両手で顔を覆い、うつ伏せになった。いわゆるダチョウの姿勢だ。見えないことにすれば、見られていないのと同じ。そう自分に言い聞かせた。

李紅はその反応を見て、満足げにうなずいた。「少しは開き直れたようだな。まだまだこれからだ。」

五日目、厳喆珂が研修室に入ると、李紅はラテックス製のフードを手に持っていた。全身を覆う黒いフードで、口の部分にだけ小さな呼吸穴が開いている。

「これを被れ。」

厳喆珂はためらいながらも拒否できなかった。李紅に促されるまま、フードを頭からかぶる。視界は完全に奪われ、真っ暗になった。耳だけが鋭くなり、周囲の音が鮮明に聞こえる。

李紅が彼女を裸にし、研修室の中央に立たせた。そして、身体の弄り始める。胸、腹、太もも、そして脚の間へ。指が入念に性感帯を刺激する。その間、研修室のドアが開く音がした。

「李さん、資料持ってきました。」

男性の声だ。厳喆珂は凍りついた。今、自分の裸の姿が、あの男性の目に映っている。そう思うだけで全身が血が上り、ピンク色に染まった。

「ああ、そこに置いておいてくれ。」

李紅は何事もなかったように応答しながら、指で彼女の膣内をかき回す。「んっ…!」厳喆珂は喘ぎ声を噛み殺したが、完全には抑えきれなかった。

「何か、やってますね…」

男性の声が近づく。彼が近くで立ち止まった気配がした。彼の視線が自分の裸体を舐め回している。そう思うと、羞恥心と同時に、なぜか官能が湧き上がった。

「ちょっとした調教だ。お前も見ていていいぞ。」

李紅は平然と言い、厳喆珂の腿を開かせた。男性の息遣いが聞こえる。彼がじっと見つめている。厳喆珂は目を閉じた(もともと見えないが)が、意識はその視線を感じ取っていた。恥ずかしい。恥ずかしすぎて死にそうだ。でも同時に、身体の奥が切なく疼いた。

その日の間、何人もの人間が研修室に出入りした。そのたびに李紅は彼女の身体を弄り、見せつけるようにした。厳喆珂は最初こそ羞恥のあまり硬直していたが、回を重ねるごとに、徐々に慣れ始めた。見られてもいい。どうせ私の顔は見えない。そう自分に言い聞かせた。

しかし、彼女は考えなかった。この研修室に誰がいるか、社員は皆知っている。ラテックスフードを被っていようが、その裸体が誰のものか、明白だったのだ。

夕方、フードを外された時、厳喆珂の目には涙が浮かんでいたが、その瞳の奥には、何かが変わったような光があった。

六日目。李紅は厳喆珂に普通の服を脱ぐように命じた。そして代わりに、犬用の首輪を首にはめ、透明な薄絹で作られたブラジャーと、同じ素材のミニスカートを着せた。薄絹はほとんど何も隠さず、胸の頂点や陰部の形がはっきりと透けて見えた。むしろ、ほのかに隠れることでかえって淫靡さが増していた。

「外を一周してこい。」

李紅の命令に、厳喆珂は首を振った。「出たくない…こんな格好で…」

しかし李紅は容赦しなかった。彼女の両手を背中に回し、冷たい金属の手錠をかける。そして、細い紐を取り出し、一端を厳喆珂の陰核にしっかり結びつけた。「い、痛っ!」鋭い痛みが走る。李紅は紐のもう一端を手に取り、引っ張った。「歩け。」

一歩踏み出すたびに、陰核が引っ張られ、痛みと刺激が同時に走る。厳喆珂は涙を浮かべながら、研修室のドアをくぐった。

廊下にはすでに数人の社員がいた。彼らの視線が一斉に厳喆珂に注がれる。その目には驚きと欲望が混じっていた。厳喆珂はうつむき、歩みを止めようとしたが、李紅が紐を引っ張るたびに、陰核を引き裂かれるような痛みが走り、前に進まざるを得なかった。

「ほら、行くぞ。」

李紅は彼女を引っ張り、会社の敷地内を歩き回らせた。正面玄関、会議室の前、食堂、事務所の前。あらゆる場所を、ほとんど裸同然の姿で引き回された。

社員たちは立ち止まり、彼女を見つめた。中には口笛を吹く者、卑猥な言葉を投げかける者もいた。「おや、厳さん、そんな格好で。」「なかなか似合ってるよ。」厳喆珂の頬は火のように熱く、全身が羞恥で震えた。

しかし同時に、彼女の心の中で、もう一つの声が囁き始めていた。これは強制されている。李紅が紐で私の陰核を縛っているから、逃げられないだけ。抵抗すればもっと痛めつけられる。そう自分に言い聞かせると、少しだけ気が楽になった。そうだ、私は被害者だ。仕方なくやっているのだ。

そう考えると、羞恥心は少しずつ和らいだ。むしろ、周りの視線が心地よく感じられる瞬間さえあった。社員の一人がすれ違いざま、彼女の胸に触れた。薄絹越しに感じる他人の手。厳喆珂は小さく声を漏らしたが、拒まなかった。

しかし、太ももを伝う生暖かい液体の感触が、彼女の思考を揺さぶった。それは淫液だった。自分の膣から溢れ出ている。私は本当に嫌がっているのだろうか?非人級の武術家である私は、たかが紐一本に拘束されるほど弱くはない。本当に抵抗すれば、この程度の拘束など、簡単に引きちぎれるはずだ。

その考えが頭をよぎった瞬間、厳喆珂は強い自己嫌悪に襲われた。しかし、李紅が紐を引っ張り、陰核を刺激すると、その思考はすぐに掻き消された。

午後になると、李紅は引き続き彼女を連れ回した。今度は社員たちも積極的に関わってきた。すれ違うたびに、手を伸ばして彼女の身体を弄る者が出始めた。胸を揉む者、股間を撫でる者、お尻を叩く者。薄絹のブラジャーとスカートはすぐにその手で引き裂かれ、厳喆珂は完全に裸になった。

初めのうちは恥ずかしさで身をよじったが、何度も何度も晒されるうちに、感覚が麻痺していった。もう、裸であることなど気にならなくなっていた。

ある社員が彼女の前に立ちはだかり、「ここでしゃがんでみせろ」と命令した。厳喆珂は李紅を見たが、李紅は無表情でうなずいた。彼女はゆっくりとしゃがみ込み、自分の裸体をさらに露わにした。周りの社員の歓声と笑い声が響く。

その時、厳喆珂の心にふと蘇るものがあった。楼成の顔だ。彼は今、籠もって修行している。彼は何も知らない。彼は、自分の妻がこんなことをしていると想像もしていない。それだけで、胸が締め付けられた。

しかし、その思いは、次の瞬間の身体の反応にかき消された。誰かの指が彼女の膣内に侵入し、彼女は快楽の声を上げた。もう、戻れない。そう確信した。

一日が終わる頃、厳喆珂は会社の敷地内を何十周も歩き回り、ほとんどすべての社員の目に晒され、その半数以上の手で身体を弄られていた。彼女の身体はあちこちに赤い跡がつき、汗と淫液で濡れていた。

李紅が彼女を研修室に戻し、手錠と陰核の紐を外した。厳喆珂はその場に崩れ落ち、大きく息をした。目は虚ろで、何かを考えているようで、何も考えていないようでもあった。

「今日の成果だな。」

李紅が冷たく言った。「お前は今日、会社中に自分を晒した。もう、裸であることを恐れるな。」

厳喆珂は答えなかった。しかし、彼女の心の中で、羞恥心という壁は、大きく崩れ去っていた。残っているのは、空虚な感覚と、そしてもう一人の自分——そんな自分を愉悦する自分への恐怖だけだった。

彼女は俯きながら、自分の太ももを伝う淫液を見つめた。そして、もう一つの疑問が頭をよぎる。明日は何をされるのだろう。そう考えている自分に、彼女は気づいていた。恐怖と共に、期待も混じっていることを。

第4章

七日目、朝の光がカーテンの隙間から差し込む。厳喆珂は目を覚ますと、しばらく天井を見つめていた。今日が研修最終日だ。七日間、娼婦としての生活を体験してきた。最初は戸惑いもあったが、次第にその世界の流儀を覚え、客の相手も自然にこなせるようになった。

彼女はゆっくりと起き上がり、簡素なアパートの部屋を見渡す。ここは研修用に用意された場所で、実際の娼婦が使うような内装ではないが、それでも生活感を出すために最低限の家具が置かれていた。鏡の前で髪を整え、薄い化粧を施す。武道の鍛錬で鍛えた身体は均整が取れており、清楚な顔立ちに今日もどこか明るさが滲んでいる。

「最後の日か……」

彼女は小さく呟き、部屋を出た。表通りに出ると、朝の空気が肌に心地よい。まだ人の少ない路地を抜け、研修先の店舗へ向かう。七日間、ここで様々な客を相手にしてきた。中には一晩中話し込むだけの者もいれば、身体だけを求める者もいた。楼成との新婚旅行後、彼が武術の修行に籠っている間、暇を持て余していた彼女にとって、この体験は新鮮だった。結婚前はおとなしい娘だったが、今は少しずつ自分自身を試してみたくなっている。

店に着くと、女将が出迎えた。

「おはよう、喆珂さん。今日で最後ね」

「はい。お世話になりました」

喆珂は深々と頭を下げる。女将は優しく微笑んだ。

「よく頑張ったわね。初めての日は緊張してたけど、今ではすっかり板についてきたわ」

「まだまだですけど、いろんなことが勉強になりました」

「そう言ってくれると、こっちもやりがいがあるわ。今日はどんな客が来るかしらね。最後だから、特別に誰か指名があるかもしれないわよ」

喆珂は軽く頷き、控え室で待機することにした。他の女性たちも続々と集まってくる。彼女たちは皆、この世界で長く働いているベテランだ。喆珂は彼女たちから多くを学んだ。客の扱い方、言葉遣い、自分の心を守る方法。もともと機知に富んでいる彼女は、すぐにその技術を吸収した。

午前中は誰も来ず、静かな時間が流れた。喆珂は窓から外を眺めながら、楼成のことを考えていた。彼は今頃、どこかの山中で修行に励んでいるのだろう。武聖の称号を守り、さらに高みを目指すために、彼は自らを追い込んでいる。彼が帰ってきた時、自分はこの体験をどう話せばいいのだろうか。いや、話す必要はないのかもしれない。これは自分だけの秘密の冒険だ。

昼過ぎになって、一人の客が現れた。中年の男性で、落ち着いた物腰の商人らしい。彼は喆珂を指名し、個室へ通された。部屋には簡素な卓と座布団があり、向かい合って座る。

「今日で最後なんですってね」と男は穏やかな声で言った。

「ええ、そうです。よくご存知で」

「店の者から聞いたんだ。あなたはまだ若いのに、とても落ち着いている。何か特別な経験を積んでいるんじゃないかと思ってね」

喆珂は少し驚いたが、すぐに笑顔を取り繕った。

「いえ、ただ普通に働いているだけです」

「そうか。まあいい。最後の日にあなたに会えて良かった。何か話をしよう。今日はそういう気分だ」

男は静かに茶を啜りながら、旅の話や商売の話を始めた。喆珂はそれを聞きながら、相槌を打ち、時折自分の経験を交えて返す。彼女の話術は確かで、男は何度も笑った。時間はあっという間に過ぎ、男は満足そうに席を立った。

「楽しかったよ。ありがとう。あなたの将来に幸運があるように」

そう言って男は去っていった。喆珂は部屋に一人残り、しばらく座っていた。この七日間で出会った客たちの顔が次々と頭に浮かぶ。それぞれが何かを求めてここに来る。その一瞬の触れ合いの中で、彼女は多くの人間模様を見てきた。

夕方になり、最後の客が来た。若い男で、少し緊張した様子だった。彼は喆珂を見ると、すぐに目をそらした。

「初めてなんです」と彼は言った。

「そうですか。大丈夫ですよ、ゆっくりしていってください」

喆珂は優しく導き、彼の緊張をほぐすために軽い世間話を始めた。彼は学生で、武術に興味があると言う。喆珂は内心で苦笑した。自分も武術をたしなむ身だ。しかし、それを隠して、ただの優しい女性として振る舞った。

「武術って、どんな感じなんですか?」と彼が尋ねる。

「私はあまり詳しくないけれど、身体を動かすのは気持ちいいわよ。自分を鍛えるって、大事なことだと思う」

「そうですよね。僕ももっと強くなりたいんです。有名な武聖様みたいに」

その言葉に、喆珂の心臓が一瞬止まった。武聖――それは楼成のことだ。彼の名前は多くの人の口に上るようになった。自分はその妻でありながら、今、全く別の顔で男と向き合っている。

「そうね、武聖様はすごいわ。でも、あなたにもきっとできることがあるわよ」と彼女は平静に答えた。

その後、彼はゆっくりと打ち解け、時間を共に過ごした。特に何か特別なことはなく、ただの穏やかな時間が流れた。彼が帰る時、礼を言って去っていった。喆珂は彼の後ろ姿を見送りながら、今日一日が終わったことを実感した。

店が閉まる時間になり、喆珂は女将に最終的な挨拶をした。

「本当にお世話になりました。この経験は、決して忘れません」

「こちらこそ。あなたのような良い子が来てくれて、店も活気づいたわ。もしまた何かあれば、いつでも来なさい」

喆珂は深くお辞儀をし、店を後にした。外はすでに暗くなり、街灯が道を照らしていた。彼女はゆっくりと歩きながら、この七日間を振り返った。娼婦としての生活は、想像以上に複雑だった。身体を売ることの意味、客との距離感、自分自身のアイデンティティ。それら全てが彼女の中で混ざり合い、新たな感覚を生み出していた。楼成が帰ってきた時、自分は変わったかもしれない。しかし、その変化が良いものかどうかは、まだ分からない。

アパートに戻ると、彼女はベッドに横たわった。天井を見つめながら、いつか楼成にこの話をする時が来るのだろうかと思う。いや、おそらく永遠に秘密にするだろう。それが彼に対する優しさであり、自分の選択でもあった。

研修は終わった。明日からまた、普段の生活に戻る。しかし、その生活はもう以前とは違う。彼女の中には、この七日間で得たものが確かに根付いていた。厳喆珂は目を閉じ、静かに眠りに落ちていった。

第5章

夕暮れ時、高級マンションの一室で、厳喆珂は窓辺に立ち、街の灯りが次第に輝き始める景色を眺めていた。彼女の手には、先ほどネットで見つけたアルバイト求人のプリントアウトが握られている。

「非人級の武者が…こんなことをするなんてね」

彼女は自嘲気味に呟いた。武道の達人であり、楼成という武聖の妻である自分が、今から“高級接待”のアルバイトに応募しようとしている。夫は修行に籠もって半年が経ち、彼女の生活は優雅でありながらも、どこか空虚だった。

鏡の前で、彼女は軽くトレーナーを整えた。清楚で垢抜けた顔立ちに、均整のとれた長身。胸は大きくないが、しっかりとした体つきは、武道の鍛錬が作り出した美しさだ。彼女は口紅をひき、髪を軽く整える。結婚前のおとなしかった娘の面影はもうない。

「ただの体験よ。何か新しいことをしてみたいだけ」

そう自分に言い聞かせながら、彼女はエレベーターに乗り込んだ。

待ち合わせ場所は、繁華街の一角にある高級クラブ。厳喆珂が店の重厚なドアを押し開けると、すぐにマネージャーらしい中年女性が現れた。

「厳さんですね。中へどうぞ」

彼女はマネージャーに案内され、個室へと通された。室内は落ち着いた照明で、高級そうなソファとシャンパンバーが置かれている。マネージャーは彼女に一通の書類を差し出した。

「こちらが契約書です。お客様とお会いいただく前に、いくつかルールをご説明しますね」

厳喆珂は書類に目を通しながら、冷静な声で尋ねた。

「お客様は…どんな方なんですか?」

「今日は初めてですからね。ベテランのお客様をご紹介します。とても紳士的な方で、問題は起こさないと思いますよ」

マネージャーはにこやかに笑ったが、その目は厳喆珂の体力と気品を値踏みしているようだった。

数分後、個室のドアがノックされ、一人の中年男性が入ってきた。スーツ姿で、落ち着いた物腰。四十代半ばといったところか。彼は厳喆珂を見て、軽く会釈した。

「初めまして。お招きいただきありがとうございます」

厳喆珂も立ち上がり、微笑みながら応じた。

「こちらこそ、よろしくお願いします」

彼女の声は落ち着いていたが、胸の内は少し高鳴っていた。夫以外の男性と、こういう形で向き合うのは初めてだ。しかし、武者としての訓練が彼女を冷静に保たせていた。お客様の動作、視線、呼吸のリズム——すべてを観察しながら、彼女は会話を進めた。

「厳さんは、普段はどんなお仕事を?」

「ええ…まあ、いろいろと。今はちょっとした冒険をしています」

彼女ははっきりと答えず、曖昧に笑った。自分が武道の達人であり、武聖の妻であることは、もちろん言えない。この世界では、ただの“厳さん”でいなければならない。

男性は彼女の返答に満足したようにうなずき、シャンパンを注いだ。グラスが触れ合う乾杯の音が、部屋の中に小さく響く。

一時間ほど会話を続け、男性が立ち上がった。

「今日はとても楽しかったです。またお会いできますか?」

「ええ、ご連絡ください」

厳喆珂はそう答えながら、内心でほっとしていた。何事もなく終わりそうだ。彼女はお辞儀をし、男性を見送った。

マネージャーが再び現れ、封筒を手渡した。

「こちら、本日のお報せです。またの機会があれば、ぜひ」

彼女は封筒を受け取り、中を確認せずにバッグにしまった。家に帰る道すがら、彼女は何とも言えない感情に襲われた。武者としての誇りと、この新しい体験への好奇心が、胸の内でせめぎ合っている。

「楼成…あなたは知らないでしょうね。私が今、何をしているのか」

月明かりの下、彼女の影が長く伸びていた。非人級の武者としての身体能力と、妻としての立場。その二つの間で、彼女の新たな生活は始まったばかりだった。