第5章 乳汁分泌訓練
朝の冷たい空気が調教室に流れ込む。蘇婉児は壁に固定された鉄の椅子に縛られ、両腕を頭の上で鎖につながれていた。彼女の目の前には、無機質な医療用トレイの上に並べられた注射器が二本。針先が天井の蛍光灯を反射して、冷たく光っている。
「いや……それ以上は……」
蘇婉児の声は震えていた。かつてはすべてを支配していたその声が、今はかすれて消え入りそうだ。彼女の隣には周雪が同じように縛られ、無表情で正面を見つめている。周雪の瞳には、かつて蘇婉児が見せていたあの傲慢さはもう欠片も残っていなかった。
教官と呼ばれる白いコートの男が、無言で注射器を手に取った。彼の指は確実に、躊躇なく蘇婉児の腕の静脈を探る。
「これは催乳ホルモンだ。あなたたちの身体は、これから母乳を生産するように作り変えられる」
冷たいアルコール綿が腕に触れる。その瞬間、蘇婉児は本能的に身をよじったが、鎖ががちゃりと音を立てて彼女の動きを阻んだ。
「やめて……私はそんなもの……」
針が皮膚を貫く。透明な液体が静脈に押し込まれる感覚。じわりと広がる冷たさが、腕の中を這い上がっていく。蘇婉児は唇を噛みしめ、必死に嗚咽を飲み込んだ。
その隣で、周雪も同じ注射を受けていた。しかし彼女は一切の抵抗を見せず、ただ静かに目を閉じている。まるで、自分の身体がこれからどうなるかを、すでに受け入れているかのように。
注射が終わると、教官は二人の乳首の状態を確認した。蘇婉児の乳房はまだ通常の状態だが、ホルモンの効果が現れるまでそう時間はかからないだろう。
「一時間後に、次の工程に移る」
教官はそう言い残して部屋を去った。残された蘇婉児と周雪。部屋には時計の秒針の音だけが響いている。
蘇婉児は自分の胸を見下ろした。何かの違和感が、ゆっくりと広がっていく。最初はかすかな張り。胸の内側が、内側から押されるような感覚。それは次第に明確になり、やがて痛みへと変わった。
「あ……っ」
思わず声が漏れる。乳房が熱を持ち始めている。自分の中に、何かが生成されていく。それは抗いようのない生理的な変化だった。
時間が経つにつれ、蘇婉児の乳房は目に見えて膨らみ始めた。もともと形の良い乳房だったが、その輪郭がいっそう強調され、乳首も色素を濃くして硬く立ち上がっている。ブラウスの布地の下で、乳輪の形がくっきりと浮かび上がる。
一時間後、教官が戻ってきた。彼は蘇婉児と周雪の胸を触診し、満足そうに頷いた。
「十分に発達している。次の段階に進む」
二人は鉄の椅子から解放され、今度は部屋の中央に設置された特殊な台へと連れて行かれた。それはまるで診察台のような形状だが、上半身がやや傾斜し、両側にアームレストが付いている。そして何より、乳房を固定するためのカップ状の器具が取り付けられていた。
「これは搾乳台だ。君たちの身体が生産する乳を、効率的に採取するためのものだ」
蘇婉児は必死に抵抗しようとしたが、教官の手は容赦なく彼女を台の上に押し付ける。うつ伏せになるように身体を固定され、首と腰にベルトが巻かれる。そして、両腕はアームレストに括り付けられた。
彼女の顔のすぐ下には、透明な採集容器が設置されていた。その内部は何かの装置とつながっていて、乳首が挿入される部位には柔らかいシリコンカップが取り付けられている。
「やめ……離して……」
蘇婉児がもがくほどに、ベルトはきつく締まる。彼女の乳房は重力に従って垂れ下がり、シリコンカップにぴたりと吸い付いた。
隣の台では、周雪も同じように固定されていた。しかし彼女の表情は、もはや抵抗の色すらなかった。むしろ、どこか諦めにも似た安堵が浮かんでいるように見えた。
教官が装置のスイッチを入れる。かすかなモーター音が始まり、シリコンカップの中に陰圧が発生する。蘇婉児の乳首が吸い上げられ、周囲の乳輪ごとカップの中に引き込まれる。
「ああっ……!」
蘇婉児の身体がびくんと跳ねる。乳首が吸引される刺激は、想像以上に強烈だった。それは単なる物理的な感覚ではなく、身体の奥深くから何かが絞り出されるような、抗いがたい生理的衝動を伴っていた。
規則正しいリズムで、装置は吸引と解放を繰り返す。透明なチューブの中を、かすかに乳白色の液体が流れ始めた。
「見えた……乳が出始めている」
教官の声は淡々としていた。彼は採集容器の変化を確認しながら、ノートに何かを書き留めている。
蘇婉児は自分の身体が、意志とは無関係に生成しているものを感じていた。乳房の奥深くから、何かが押し寄せてくる感覚。それはまるで潮の満ち引きのように自然で、そして抗いがたかった。
隣の周雪は、最初から安定した分泌を見せていた。彼女の乳房は、ホルモンの効果を完全に受け入れ、規則正しく乳を供給し続けている。透明なチューブの中を流れる乳白色の液体は、次第に濃くなり、やがて白濁した乳となって採集容器に溜まっていった。
一時間の搾乳が終わると、二人は台から解放された。蘇婉児は自分の乳房が、依然として張っていることに気づいた。搾ったはずなのに、まだ内側には十分な乳が残っているように感じられる。
「次は、互いの乳首を吸わせる」
教官の言葉に、蘇婉児は凍りついた。
「な……何を……」
「君たちの身体は、乳を生産するだけでなく、授乳という行為そのものを学習する必要がある。そのために、互いの乳首を吸い合うのだ」
教官は蘇婉児と周雪を向かい合わせに座らせた。二人の顔の距離は、わずか十センチほど。蘇婉児は周雪の瞳を見つめた。そこには、かつて自分が支配していた秘書の姿があった。
「さあ、始めろ」
教官の命令に、周雪が先に動いた。彼女はゆっくりと顔を近づけ、蘇婉児の膨らんだ乳首を唇で捉えた。
「あ……っ」
蘇婉児の身体が震える。周雪の舌が、硬くなった乳頭を優しく舐め始める。その温かく湿った感触が、蘇婉児の胸を駆け巡る。そして、周雪が乳首を吸い上げた瞬間、蘇婉児の乳房から乳がほとばしり出る感覚が走った。
「んんっ……!」
蘇婉児は声を殺そうとしたが、喉の奥からくぐもった悲鳴が漏れる。周雪は規則正しいリズムで乳房を吸い続け、そのたびに乳輪が引き伸ばされ、乳首から白い液体が溢れ出る。
羞恥が蘇婉児を蝕んだ。自分が誰かに乳を吸われるなんて、想像もしたくなかった。しかし、その羞恥と同時に、何か奇妙な快感が蘇婉児の身体を這い上がってくる。周雪の舌の動きに合わせて、下腹部が熱を帯び始める。
「あなたも、周雪の乳を吸え」
教官の命令が蘇婉児に下される。彼女は一瞬ためらったが、首に回された手錠の感触が、拒否の選択肢を奪っていることを思い知らせる。
蘇婉児はゆっくりと頭を下げた。そして、周雪の乳首に唇を近づける。周雪の乳房は、すでに乳で満たされてぱんぱんに張り、乳頭からはかすかに乳が滲んでいた。
蘇婉児が舌を伸ばす。最初は抵抗があった。しかし、唇で乳頭を捉えた瞬間、周雪の身体がびくんと震えた。そして、舌で刺激すると、周雪の乳から温かい液体が口の中に流れ込んできた。
「……ッ」
その味は、驚くほど甘かった。そして、温かく、何か懐かしいような感触があった。蘇婉児は無意識のうちに、もっと深く吸い付いていた。リズムに合わせて乳房を吸い、舌で乳頭を転がす。
周雪の甘い喘ぎ声が、蘇婉児の耳に届く。その声が、蘇婉児の背中をさらに押した。二人の間で、乳が交換され、吸われ、飲まれる。その行為が、次第に自然なものになっていくのが蘇婉児には恐ろしかった。
教官の拍手が響く。
「よくできた。今日はここまでにする。明日から、さらに高度な訓練を開始する」
その日の訓練が終わり、二人はそれぞれの独房に戻された。蘇婉児は自分の乳房が、依然として乳を求めていることに驚いた。搾り尽くされたはずなのに、まだ内側に張りが残っている。そして、口の中に残る周雪の乳の味に、身体が抗いがたく反応している。
翌日、訓練はさらに深化した。教官は周雪から採集した乳を、専用の飲料に調合していた。それは普通のミルクのように見えたが、どこか異様な甘さが加えられていた。
「これを飲め」
差し出されたコップを見て、蘇婉児は首を振った。しかし教官は無理やり彼女のあごを掴み、口をこじ開ける。そして、コップの中身を一気に流し込んだ。
「んんっ……!」
蘇婉児は飲み込まされながら、その異様な味に悶絶した。周雪の乳に何かが混ぜられている。それは甘いのか苦いのか、どちらともつかない味だった。しかし、飲み込んだ瞬間、胃がその液体を歓迎するように熱を帯びる。
「これは、君自身の身体が作り出したものだ。拒否するのは、自分自身を拒否することと同じだ」
教官の言葉が、蘇婉児の心に刺さる。彼女は自分の身体が、自分で作り出した乳に依存し始めているのを感じた。喉を通過した液体が、全身に染み渡り、細胞の一つ一つを満たしていく。
その日から、蘇婉児の飲料はすべて周雪の乳がベースになったものに変わった。朝の目覚めとともに、専用のミルクが差し出される。最初は抵抗していた蘇婉児も、次第にその味に慣れ、そして渇望するようになった。
三週間後、蘇婉児は自分が周雪の乳なしではいられない身体になっていることに気づいた。あの温かく甘い液体を口にするたびに、身体の奥底から満足感が湧き上がる。そして、その満足感が失われることを恐れる自分がいる。
ある日、教官が不意にミルクの供給を止めた。蘇婉児は強い禁断症状に襲われ、手足が震え、頭痛が止まらない。彼女は床にのたうち回りながら、ミルクを求めて叫んだ。
「ください……ミルクを……!」
その姿を見て、教官は満足げに頷いた。そして、周雪の乳を再び与えた。蘇婉児は貪るように飲み干し、飲み終えた後の安堵に全身を委ねた。
その瞬間、蘇婉児は悟った。自分の身体は、もうこの調教から逃れられない。乳を生産し、乳を吸い、そして乳に依存する。それが、自分の新しい役割なのだ。
独房の中、蘇婉児は自分の乳房を優しく揉みながら、次の搾乳の時間を待つ。そして、周雪の乳が飲める瞬間を心待ちにする自分に、微かな笑みを浮かべた。