クラブの重厚な扉を抜けると、むせ返るような熱気と甘ったるい香水の匂いがリン・シャオナの鼻腔を刺激した。薄暗い照明の下、革張りのソファや檻のような個室が並ぶこの場所は、欲望の坩堝と化している。今夜はいつもと違う。予約の段階で、複数のVIP客から彼女を指名するリクエストが殺到していたのだ。
控え室で待機していると、黒服のスタッフが無表情で告げる。「リンさん、今夜のメインプレイルームはB7です。獣姦セットと多人数用の拘束具が用意されています」。その言葉だけで、下腹部がじんわりと熱くなるのを感じた。もう自分は普通の快感では満たされない身体になっている。
B7の扉が開くと、そこには異様な光景が広がっていた。スタジアムのように円形に配置された観客席には、仮面をつけた数人の男たちが座っている。中央のステージには、大型犬が二匹、鎖で繋がれて待機していた。品種はドーベルマンとロットワイラー。筋肉質で眼光鋭い獣たちだ。
「今夜の主役が来たな」。観客席から、ワン・ハオの声が聞こえる。彼は仮面をつけずに堂々と座っていた。隣にはマイクもいる。契約上の所有者と、実質的な調教師。二人が同時にいるということは、今夜のプレイは特別な意味を持つということだ。
「服を脱げ。そして台に上がれ」。マイクが命令口調で言う。
シャオナは震える指でワンピースを脱ぎ捨てた。照明が裸体を照らし出す。長期間の調教で磨き上げられた肢体は、無駄な脂肪が一切なく、それでいて胸と腰の曲線は官能的に強調されている。首輪だけを残して全裸になると、彼女は中央の診察台のような台に自ら上がった。
最初に解放されたのはドーベルマンだった。訓練された獣は、人間の女体に慣らされているのか、迷うことなく彼女の股間に鼻先を埋める。生温かく湿った感触と、獣特有の臭いが鼻をついた。舌が長く、人間のそれとは比べ物にならないほど筋力がある。膣口を舐め回されると、電流のような刺激が背筋を走り抜けた。
「あっ……! や、やめて……」。口では拒否しても、腰は勝手に動いてしまう。十倍に増幅された感度を持つ粘膜は、ちょっとした摩擦でも絶頂に達しそうになる。
観客たちがざわめく中、ドーベルマンが前足を彼女の腰に掛け、交尾体勢に入った。獣のペニスは人間のそれよりも細長く、根元にはコブのような膨らみがある。先端が秘裂に当てられると、シャオナは無意識に息を呑んだ。挿入は一瞬だった。ぬるりとした感覚の後、内臓を押し上げられるような圧迫感が広がる。
「ひっ……! 深い、深すぎる……!」。子宮口を直接ノックされるたびに、目の前が白く霞んだ。痛みと快感の境界線が完全に溶け去り、全身が性感帯に変わってしまう。ドーベルマンは容赦なく腰を打ち付け、やがて根元のコブが膣内で膨張し、完全にロックされた。
「これが犬の交尾だ。メス犬と同じ扱いをされて、どう感じる?」。ワン・ハオがマイクに向かって囁く。
ロックが外れるまでの数分間、シャオナは身動きできずに獣の精液を子宮に注がれ続けた。滴り落ちる白濁液が台の上に水たまりを作る。だが、休む暇はなかった。ロットワイラーが既に彼女の背後で唸り声を上げている。
「次は後ろだ。同時に入れろ」。マイクが指示を出すと、スタッフが彼女の体勢を変えた。
うつ伏せにされたまま、今度は肛門にロットワイラーのペニスが押し込まれる。まだ準備もされていない後孔は、強引な侵入に悲鳴を上げる。裂けるような激痛が走り、涙が溢れた。しかし、それすらも甘美な刺激に変換されてしまう異常な肉体。痛みが快感のスパイスとなり、彼女は狂ったように啼き始めた。
「もっと……もっと虐めてください……!」。本人の意思とは裏腹に、口が勝手に懇願する。
観客席から歓声が上がった。仮面の男たちが次々と立ち上がり、衣服を脱ぎ始める。多人数プレイの開始だ。シャオナの視界は汗と涙と精液でぼやけ、何本の手が自分を弄んでいるのか分からない。口にはペニスを咥えさせられ、両手にも握らされ、胸の谷間にも押し当てられる。身体のあらゆる穴と窪みが、男たちの欲望を処理するための容器と化していた。
二時間に及ぶ乱交の末、彼女は意識を失いかけた。全身に噛み跡や引っ掻き傷が刻まれ、あちこちが腫れ上がっている。獣と人間、合わせて十数体分の精液が体内外をべったりと汚していた。
プレイ終了後、彼女は医療室に運び込まれた。クラブ専属の女医が待機しており、手際よく検査を始める。冷たい機械が膣内に挿入され、超音波で内部をスキャンしていく。
「興味深いですね」。医師がモニターを見ながら呟いた。「あなたの感度は常人の約十倍。これだけの刺激を受けても、オーガズムに達した痕跡が22回記録されています。普通の女性なら、ここまでのプレイで子宮破裂や心停止を起こしてもおかしくありません」
シャオナは朦朧としながら聞いていた。医師はさらに続ける。
「それから、妊娠の可能性はゼロです。卵子は生成されていますが、子宮内膜が受精卵を着床させない特殊な状態になっている。その代わりに、乳腺が異常発達していますね。刺激を与えれば、母乳が出るでしょう。薬物の影響か、あるいは長期間の調教による進化的適応か……いずれにせよ、あなたはもう普通の繁殖機能を失い、純粋に快楽と奉仕のための肉体になったのです」
「母乳……私が……?」。シャオナは自分の胸を見下ろした。確かに、以前より張りがあり、乳輪の色も濃くなっている。
医師が乳首を摘むと、透明に近い液体が滲み出た。甘い香りが漂う。
「搾乳も今後のメニューに加えましょう。さて、痛みについてですが、あなたが自傷行為的な快感を覚えている兆候があります。最近、自ら虐待を求めるようになりましたか?」
その質問に、シャオナは目を閉じた。思い当たる節はある。先週の調教で、マイクがいつもより強く髪を引っ張ったとき、あまりの激痛に絶叫しながらも、膣がぎゅっと収縮するのを感じた。それ以来、平手打ちや鞭打ちを妄想して自慰に耽るようになっていたのだ。
「はい……。痛いほうが、気持ちいいんです。縛られて、息ができなくなるくらい締め付けられて、肌が焼けるような鞭を受けると……私、頭の中が真っ白になって、それでいてすごく興奮してしまうんです」。彼女は告白した。
検査が終わり、再び控え室に戻ると、マイクとワン・ハオが待っていた。報告を受けたらしい二人は、何やら相談をしている。
「次のフェーズに進む時期だな。縛りと打擲の専用ルームを予約しろ。観客も募れ、ガチのSMを見せてやる」。マイクが冷淡に言う。
「いいだろう。ただし、傷跡が商品価値を損なわない程度にな。それよりも、母乳のデータは貴重だ。搾乳機を導入して、定期的に採取しよう。あの液体、何か特殊な成分が含まれているかもしれない」。ワン・ハオはビジネスライクに応じた。
シャオナはソファにぐったりと身を沈めたまま、二人の会話を聞いていた。自分の身体が実験台や見世物になっている現実に、かつては恐怖や羞恥を感じたものだが、今はどうだろう。これから味わう未知の苦痛に、胸が高鳴っている。自分から、もっと酷く扱ってほしいとねだる日も近いのかもしれない。
翌週。クラブの最深部にある「懲罰室」で、新たな調教が始まった。拘束用の壁には無数の鎖とフックが吊るされ、床には吸水性のマットが敷かれている。照明は暗く、壁一面に様々な鞭やムチ、電撃器具がディスプレイされていた。
シャオナは自ら壁に向かい、両手を上げて拘束を促した。冷たい金属が手首に巻きつき、つま先立ちになるほどの高さで固定される。背中は丸裸で、腰布だけが身体に巻かれていた。これから行われるのは、本格的な鞭打ちだ。
「望み通り、たっぷり可愛がってやる。どこまで耐えられるか見物だな」。担当する調教師は、中年の厳つい男だ。
最初の一撃が背中に炸裂した。バシッという鋭い音と共に、皮膚が裂けるような衝撃が走る。シャオナは叫び声を上げた。だが、痛みの後に訪れるのは、内側から湧き上がる熱い快感だ。脳内で何かが弾け、視界に火花が散る。
「もう一本……お願いします……」。彼女は震える声で要求した。
二撃、三撃と重ねられるうちに、背中には無数の赤い線が浮かび上がった。一部は血が滲んでいる。それでも彼女はやめようとしない。腰をくねらせ、拘束を揺らしながら、さらなる責めを求めた。
調教師が次の鞭を振り上げた時、シャオナは自分から言葉を発した。「お腹にも……お腹にも打ってください……! それから、私の顔を……平手で打って……!」
もはや男の指示を待つのではなく、自分の欲望を直接訴えている。調教師が怪訝な顔をしながらも彼女の頬を張ると、シャオナはうっとりと目を細め、「もっと……もっと強く……」と囁いた。
部屋の外では、モニター越しに観察していたワン・ハオとマイクが、冷徹な視線を交わしていた。
「完全に堕ちたな。ここまで痛みに依存するとは、予想を超えた副産物だ」。マイクが言う。
「ああ。この調子なら、近々ショーを開けるだろう。観客の前で、自ら縛られて鞭打たれながらイキ狂う女。最高の見世物だ。しかも、搾乳も同時に行えば、ダブルで稼げる」。ワン・ハオは手にしたタブレットでスケジュールを確認する。
その夜、独房のような個室に戻されたシャオナは、傷だらけの身体を丸太のようなベッドに横たえた。背中の熱を持った痛みが、まるで恋人の愛撫のように感じられる。彼女は自分の太腿を強く抓り、その痛みで小さな絶頂を味わった。もう戻れない。この闇の奥へ、どこまでも落ちていくだけだ。
そして、彼女の脳裏には、いつか見せられた林小美の写真が浮かんだ。同じ道を辿るであろう娘の姿を想像し、シャオナは初めて、純粋な母性とは異なる、歪んだ連帯感のようなものを感じた。血は争えない。あの子もいずれ、この闇の檻の中で、快楽の奴隷として開花するのだろう。それを思うと、不思議な安堵感が全身を包み込んだ。