午後の陽射しがリビングのカーテン越しに柔らかく差し込んでいた。テレビからは退屈なバラエティ番組の笑い声が流れているが、陳軒の耳にはまったく入っていなかった。彼の視線は、ソファの前をゆっくりと横切る母親の脚に釘付けになっている。林雅は今日、黒いストッキングを履いていた。薄手のそれは彼女のふくらはぎから太ももにかけてぴったりと張り付き、歩くたびに微かに光を反射する。彼女は特に何かをしているわけでもなく、ただコーヒーを淹れるためにキッチンへ向かい、戻ってきたかと思うと、今度は窓辺でわざとらしく背伸びをした。ストッキングの縫い目が脚の後ろで一直線に伸び、その先にある細い足首と、かかとの丸みが陳軒の視界を奪う。
彼は唾を飲み込んだ。心臓が早鐘を打っているのが自分でもわかる。ソファのクッションに深く沈み込みながら、必死に視線を逸らそうとしたが、どうしてもできない。母親の足は、まるで磁石のように彼の目を吸い寄せるのだ。
林雅はそんな息子の様子に気づかないふりをしながら、内心でほくそ笑んでいた。彼女は今日、わざとこのストッキングを選んだのだ。40歳の身体を包むそれは、まだ充分に張りと艶を保っていて、特に脚のラインは若い娘にも負けないと自負している。彼女はそっと陳軒の隣に腰を下ろした。ソファがぎしりと軋む。
「今日は暑かったわね」彼女は何気なく言いながら、片足をもう一方の膝に乗せる。ストッキングに包まれた足の甲が、陳軒の視界のすぐそばでゆっくりと動いた。「足がむくんでるみたい」
陳軒は生返事をするのが精一杯だった。彼の目は、母親の足の指がストッキングの中でわずかに動くのを追っている。その薄いナイロンの膜の向こうに、肌の色が透けて見える気がして、彼は慌ててテレビに顔を向けた。
夕方になり、陳軒は自分の部屋で課題をしているふりをしていたが、集中できるはずもなかった。頭の中はさっきの光景でいっぱいだ。彼はこっそりと洗面所へ向かった。洗濯籠の中に、母親が脱いだ服が無造作に放り込まれている。その一番上にある黒いストッキングが、彼の目に飛び込んできた。
周りに誰もいないことを確認し、彼は震える手でそれを取り上げた。まだほんのりと温かさが残っているような気がして、彼はそれを両手で握りしめた。ストッキングは驚くほど滑らかで、指先に吸い付くような感触がする。彼はそれを持ち上げ、顔に近づけた。微かに、母親の匂いがした。
「軒」
突然の声に、彼は心臓が止まるかと思った。振り返ると、浴室のドアのところに林雅が立っている。彼女はゆったりとした部屋着を着て、濡れた髪から水滴が落ちていた。その目は、息子の手にあるストッキングをじっと見つめている。
「あ、これは…」陳軒はしどろもどろになった。顔がかっと熱くなる。「その、落ちてたから…」
言い訳にもならない言い訳を口にしながら、彼は母親が怒り出すのを覚悟した。しかし林雅の反応は意外だった。彼女はほんの少し口元を緩め、首をかしげただけだ。
「そう」彼女は静かに言った。「気になるの? お母さんのストッキング」
陳軒は答えられなかった。手に持ったそれを離すこともできず、かといって握りしめ続けることもできず、ただ立ち尽くす。
林雅はゆっくりと近づいてきた。彼女の足は裸足で、床にぺたぺたと音を立てている。陳軒の前まで来ると、彼の手からそっとストッキングを抜き取った。
「別に、隠さなくてもいいのよ」彼女はささやくように言った。「男の子なら、そういうことに興味があってもおかしくないわ」
その言葉に込められた奇妙な寛容さが、かえって陳軒を混乱させた。彼は母親の顔を見上げ、その瞳の奥に何か得体の知れない光がちらついているのを感じた。
「ごめんなさい…」彼はかろうじて謝った。
「謝ることじゃないわ」林雅は言い、ストッキングを再び洗濯籠に戻した。「さ、夕ごはんにしましょう」
食卓の空気は重かった。陳軒はほとんど味もわからずに食事を口に運び、林雅はいつも通りに他愛ない話を続けていた。彼女はさっきの出来事などまるでなかったかのように振る舞っている。それが逆に、陳軒の罪悪感をさらにかき立てた。
夜も更け、陳軒が自室で横になっていると、ドアをノックする音がした。
「軒、まだ起きてる?」
母親の声だ。彼が返事をすると、林雅がドアを開けて入ってきた。彼女はまだ部屋着姿だが、足にはあの黒いストッキングを再び履いている。陳軒は思わず上体を起こした。
「ちょっと頼みたいことがあるの」林雅はベッドの端に腰掛けながら言った。彼女の太ももがマットレスに沈み、ストッキングがぴんと張る。「今日はやけに足が痛くて。マッサージしてくれない?」
陳軒は心臓が飛び出しそうになった。断る理由も見つからず、彼はこくんとうなずく。林雅は軽く微笑むと、両足をベッドの上に投げ出した。
「ここ、ふくらはぎのあたりが張ってるの」
陳軒はおそるおそる手を伸ばした。指先が最初に触れたのは、ストッキングのさらりとした表面だった。その下の筋肉が、わずかに熱を持っている。彼は母親の指示に従い、ふくらはぎをゆっくりと揉み始めた。ストッキング越しの感触は、直に肌に触れるよりもいっそう扇情的で、彼の指は小刻みに震えていた。
「そう、そこ…」林雅は目を閉じ、うっとりとした声を漏らす。「もっと強くしてもいいのよ」
陳軒は言われるままに指に力を込めた。母親の脚は思ったよりもしなやかで、彼の手の動きに合わせて形を変える。彼は夢中になって揉み続けた。ふくらはぎからアキレス腱へ、そして足首へと指を滑らせる。林雅の足の指が、ストッキングの中でくっと丸まった。
「気持ちいいわ」彼女はつぶやいた。「軒は上手ね」
その言葉が、陳軒の耳に甘く響く。彼の鼓動はさらに速まり、手のひらに汗がにじんできた。気がつくと、彼は母親の足の裏までマッサージしていた。土踏まずのカーブを親指で押すと、林雅が小さく息を呑む。
「ねえ、軒」彼女は突然、上半身を起こし、息子に顔を近づけた。ストッキングの足が、陳軒の膝の上で動く。「もっと…近くで見たくない?」
陳軒は息をのんだ。母親の顔が間近にあり、その瞳が自分をじっと見つめている。
「お母さんの脚、そんなに好きなんでしょ?」林雅の声はささやくように低く、しかしはっきりと陳軒の耳に届いた。「もっと近づいてもいいのよ。ストッキングの感触、確かめてみる?」
彼女はそう言うと、片足を持ち上げ、陳軒の顔のすぐそばにかかとを近づけた。ストッキングの網目が、眼前でぼやけて見える。彼の鼻先に、ほのかな石鹸の匂いと、彼女自身の匂いが混ざったものが漂った。
陳軒の頭の中は真っ白だった。理性は警鐘を鳴らしているが、身体は言うことをきかない。彼は半ば無意識のうちに、うなずいていた。
林雅は満足げに微笑む。彼女の心の奥底で、歪んだ喜びがじわじわと広がっていく。この息子を、自分だけの欲望の対象に、そして加虐者に育て上げること。それは彼女が密かに抱き続けてきた渇望だった。
「いい子ね」彼女は陳軒の髪をそっと撫でた。「じゃあ、もっとよく見せてあげる」
彼女は陳軒の手を取り、自分のふくらはぎに導いた。ストッキングの表面を、息子の指が再び這い始める。
部屋の中は静かで、二人の吐息だけがかすかに聞こえていた。陳軒は、何か取り返しのつかない一線を越えつつあることを感じながらも、その手を止めることができなかった。母親のストッキングに包まれた脚は、彼にとって禁断の果実そのものだったのだ。そして林雅は、その禁断を少しずつ、しかし確実に解き放とうとしていた。
彼女は再び息子の耳元に唇を寄せた。
「明日も、マッサージしてくれる?」その声には、もはや母としての響きはなく、ただひたすらに甘い誘惑が込められていた。
陳軒は声を出せず、ただもう一度うなずいた。彼の指は、まだ母親の脚に触れたままだった。