斬首楽園

站点:NovelAI.one内容:前8章在线试读ID:4b2b598e更新:2026-07-28 02:57
繁華街の午後の日差しは、まだ夏の名残を引きずってじわりと肌にまとわりつく。人波はまばらで、どこか怠惰な空気が漂っていた。林夕はそんな通りを、まるで自分のためだけに敷かれたランウェイのように歩いていた。白いブラウスの襟元はきちんと留められ、プリーツスカートの裾がかすかな風に揺れる。太ももを包む純白のオーバーニーソックスが
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死街迷入

繁華街の午後の日差しは、まだ夏の名残を引きずってじわりと肌にまとわりつく。人波はまばらで、どこか怠惰な空気が漂っていた。林夕はそんな通りを、まるで自分のためだけに敷かれたランウェイのように歩いていた。白いブラウスの襟元はきちんと留められ、プリーツスカートの裾がかすかな風に揺れる。太ももを包む純白のオーバーニーソックスが、むき出しの絶対領域とコントラストを描き、すれ違う男たちの視線を無意識に吸い寄せていた。彼女自身、その無言の視線を感じ取ってはいたが、表向きは澄ました顔で、ただ前だけを見つめている。清純な仮面の奥で、心はいつも鉛のように重く澱んでいた。何かが足りない。何か、もっと、鋭く、理性の箍を吹き飛ばすような刺激が。

不意に、耳障りな怒声が静寂を破った。

「だからよぉ! この値段で切れ味が悪いんじゃ、話にならねえって言ってんだ!」

声のした方、少し先の金物店の前だ。いつの間にか小さな人だかりができている。林夕の足は、ほとんど自動的にそちらへ向かっていた。退屈な日常を割る、ささやかな異常。その予感だけで、胸の奥がかすかに疼く。彼女は人垣の隙間を縫うようにして、ずんずんと進み出た。自然と最前列を陣取る。

店先に置かれた簡素なカウンター越しに、二人の男女が対峙している。一人は派手な柄のブラウスを着た中年女、客の王丽华だ。幾分くたびれてはいるが、肌の手入れは怠っていないらしく、厚化粧の下に残った色香のようなものが、かえって生々しい。もう一人は店主のようで、熊のような巨躯を揺らし、顔を茹でダコのように真っ赤にして怒鳴り返しているのが赵刚だ。

「うるせえ! うちの商品にケチつけるたぁ、いい度胸だ! 切れ味が知りたきゃあ、今ここで実演してやろうかぁ!?」

よく見れば、王丽华が指さしているのは、カウンターの上に飾りのように置かれた一振りの大鉈に近い大型の刃物だった。展示用とは思えぬ鈍い光沢を帯び、見る者に不安を掻き立てる。観衆は店主の剣幕に、面白半分の囃し声を上げ始める。

「そうだそうだ、やってみろよ!」

「口だけじゃねえか?」

野次馬の一人が、近くに積んであった大根を手に取り、ひょいと赵刚に放った。赵刚はそれを乱暴に掴むと、カウンターの端のまな板に叩きつける。そして、あの刃を片手で軽々と持ち上げると、何のためらいもなく振り下ろした。

ザンッ。

小気味良い音と共に、大根は真っ二つ。断面は水気を帯びてきらめき、ほんの一瞬で断たれた滑らかさを物語っている。どよめきが起こった。

しかし王丽华は、まだ気に入らないらしい。唇を歪め、挑発するような目つきで赵刚を見上げた。

「なんだい、野菜相手じゃ自慢にもならんだろうよ。あんたの言う『切れ味』ってのは、所詮その程度かね」

その言葉には、明らかな嘲りと、何か別のものを試すような暗い光が宿っていた。通行人の一人が、酒気を帯びた声で叫ぶ。

「そうだ! 骨ごとぶった切ってみせろよ!」

その一言が、引き金だった。

赵刚の形相が、一瞬で変わった。赤らんでいた顔から表情が抜け落ち、代わりに肉食獣じみた鋭さが瞳に宿る。彼はゆっくりと、カウンターの奥へと引っ込んだかと思うと、何かを引きずりながら戻ってきた。

その手に掴まれていたのは、人間の女だった。

「ひっ…!」

野次馬の誰かが、短く息を呑む。女は、薄手のワンピースを着て、ぐったりとしている。豊かな肢体は熟しきった果実のようにたわわで、苦痛と困惑に歪む顔立ちには、赵刚と似た骨格の名残があった。赵刚の母親、陈美凤だ。

「や、やめ…、剛…」

陳美鳳はかすれた声で抵抗の言葉を紡ぐが、息子の腕力の前ではなすすべもない。彼女の身体は無造作に、先ほど大根を断ったまな板の上へと押し付けられた。

観衆の間に、一瞬の静寂が走る。だがそれは、恐怖ではなく、期待を孕んだ沈黙だった。誰も止めに入らない。誰も目をそらさない。むしろ、我先にと、より良い視点を求め、僅かに身じろぎする者さえいる。

王丽华の目が、ぎらりと光った。彼女は舐めるように陳美鳳の身体を見下ろし、それから赵刚へ、甘ったるい声で言い放った。

「そうこなくっちゃね。でも、その前に…折角の新品のまな板だ。あんた、まずは俺たちに『試し切り』させてくれてもいいんだぜ?」

その言葉は、熱病のように群衆に伝染した。男たちの目つきが変わる。単なる見物から、獲物を値踏みする目へ。

林夕は、その空気の変化を、肌で感じていた。心臓が、うるさいほどに高鳴る。彼女は、白いブラウスの胸元を、きゅっと握りしめた。これは恐怖じゃない。これは、ずっと待ち望んでいた、あの感覚だ。

ざわめく人垣の後方で、絹のスカートをふわりと揺らし、優雅な足取りで通り過ぎようとした一台の黒塗り自動車があった。窓越しに、豪奢なドレスを纏った若い女、柳如烟が、このざわめきを何気なく一瞥する。彼女はこれから、自分の成年を祝う夜会に出るのだ。生きた人間の肉を使った料理などとは露知らず、ただ、少しばかり下品な街角の喧騒だと、すぐに興味を失い、車内の冷房へと意識を戻した。

その頃、店の奥の薄暗い物置部屋では、华奢な少年が、壁に背を預けて震えていた。女物のワンピースをまとい、丁寧に編まれた三つ編みが肩に垂れている。韩子轩は、父の荒い声と、祖母の押し殺した悲鳴を聞きながら、自分もまた、いずれ「恥」として処理される運命を、ただ黙って受け入れていた。

そして表では、赵刚が陳美鳳のうなじを掴み、無理やり上半身を起こさせる。陳美鳳の目に、涙が浮かぶ。その涙の意味が、観衆にはさらに火をつけた。最初に飛び出したのは、昼間から酒の匂いをさせた一人の男だ。彼はおもむろに陳美鳳のワンピースの裾をまくり上げ、その醜い笑みを歪める。

陳美鳳の口から、押し殺したような嗚咽が漏れた。だが、その声は、間違いなく恐怖だけではない、別の響きを帯び始めていた。彼女の身体が、観衆の欲望の視線に晒されるたび、小刻みに震え、肌がうっすらと桃色に染まっていく。

林夕は、まばたきもせず、その光景を見つめていた。口の中が乾き、太ももの内側が、じわりと熱くなっていくのを感じる。彼女の清純な仮面の下で、何かが、パキン、と音を立てて罅割れていく。

赵刚は、その様子を、刃物を手にしたまま、冷めた目で見下ろしていた。彼は、母親が衆人環視の下で辱められ、それでも生理的な反応を返し始めるその姿に、最高の愉悦を感じていたのだ。彼の血に飢えた欲望が、ようやく解き放たれる瞬間が近づいていた。彼は手にした大鉈を掲げ、その重みを確かめるように、何度か空を切る。風を裂く鈍い音が、場の興奮をさらに煽った。

「さあ、『試し切り』の時間は終わりだ。こいつが本当に欲しいのは、てめえらの汚ねえ肉棒じゃねえ。…俺の刃だ」

赵刚がそう宣言した時、陳美鳳は自ら首を差し出すように、力を抜いてまな板に身を伏せた。その顔は涙と涎にまみれながらも、口元には確かに、歪んだ微笑が浮かんでいた。

そして、王丽华が隣に立つ林夕の肩を抱き寄せ、耳元でささやいた。

「綺麗なだけじゃつまらないだろう? これからが、本当の宴の始まりさ。お嬢ちゃんも、一緒にどうだい? あんたのその真っ白なソックスが、赤く染まるところが見てみたいよ」

林夕は、震える息を吐き出した。それは拒絶ではなく、静かなる、しかし確かな肯定だった。彼女の内なる自己破滅的な淫らな衝動が、完全に解放されようとしていた。夕闇が迫る死の街で、若い女は、迷い込んだ先に待つ饗宴の、最初の一滴を自身の心に刻みつけようと、その瞳を大きく見開いた。

熟女の生贄

趙剛が錆びた鉄の臭いの漂う店先に立ち、手にしたずっしりと重い斬首刀を観衆に向かってゆっくりと掲げた。刃は鈍く光り、血を吸ったあとのように薄暗く濡れている。彼は喉を鳴らして笑い、通りすがりの野次馬たちをぐるりと見渡した。

「試し斬りの前には、まず刀に情けを染み込ませるもんだ」

その言葉に、群衆のなかからざわめきが起こる。何が始まるのかと、人々の目がぎらつきはじめた。趙剛は、その視線を店の軒先に縛りつけた母親、陳美鳳へと向けた。

陳美鳳は、四十を過ぎてもなお艶めかしい肢体を縄に委ねて、荒い息を吐いている。薄いワンピースの下から豊満な胸の膨らみが浮き上がり、太もものラインが布地を押し上げていた。彼女は怯えた表情を浮かべながらも、どこか期待に濡れた瞳で息子を見返している。

趙剛は、通行人の男たちに向かって顎をしゃくった。

「遠慮はいらねえ。好きなだけ味わってくれ」

一瞬の静寂の後、数人の男たちがどよめきとともに前に出た。作業服姿の中年、痩せた若者、腹の出た初老の男。彼らは我先にと陳美鳳に群がり、無造作に服を引き裂きにかかる。布が破れる鋭い音とともに、白い肌があらわになり、汗ばんだ乳房がこぼれ落ちた。

陳美鳳は短く悲鳴をあげ、身をよじって手足をばたつかせたが、縄が食い込むたびに動きを制限される。その瞳は恐怖と興奮で揺れ、唇の端からは熱い吐息が漏れはじめる。やがて彼女は観念したように力を抜き、男たちの手に身を任せた。

「そうだ、大人しくしてろ」

趙剛は満足げにうなずき、自らも母親の前にしゃがみこむ。片手で刀を握りしめたまま、もう一方の手で陳美鳳の乱れた下着をずり下ろした。彼は周囲に聞こえるように声を張り上げる。

「見ろよ、この業物を。切れ味だけじゃねえ、重みがちがう。これで一気に断ち切るんだ。女の首なんざ、まるで豆腐だぜ」

観客たちは息を呑み、薄暗い店内に刀身が不気味な光を放つ。趙剛はその刃を陳美鳳のうなじに軽く当てながら、自らの腰を進めた。彼女の体内に熱く押し入った瞬間、陳美鳳は喉の奥で嗚咽を漏らし、縛られた指先が痙攣した。

男たちも一斉に陵辱を再開する。一人が乳房をまさぐり、別の一人が太ももを押し広げ、老いた男は彼女の口に無理やり指を差し込んだ。陳美鳳は苦痛と快楽の狭間で首を振り乱し、涙と唾液で顔をぐしょぐしょに濡らしながら、甘い喘ぎ声を上げ始める。

趙剛は律動に合わせて刀を振るう真似をし、客たちにその腕前を誇示した。

「この感触を覚えとけ。首の骨がどの位置か、どう刃を入れるか——俺が一振りすれば、一瞬で楽にしてやれる」

彼の言葉が終わらぬうちに、陳美鳳は大きくのけぞり、全身を硬直させた。男たちの乱暴な愛撫と息子の貫くような動きに耐えかね、嬌声とともに絶頂を迎える。腰が浮き上がり、白濁した愛液がふくよかな腿を伝って地面に滴り落ちた。口からは意味をなさない声が溢れ、彼女はぐったりと首をうなだれた。

群衆の中から熱に浮かされたような吐息が漏れる。林夕は喉を詰まらせながら、震える手をスカートの裾にやり、目が離せなかった。白いオーバーニーソックスに包まれた膝がカタカタと鳴っている。

趙剛は、その光景に完全に血を滾らせ、凶暴な笑みを浮かべた。腰の動きを止め、ゆっくりと立ち上がる。両手で柄を握りしめ、刀を真上に高く振りかぶった。刃が天井の照明を受けて冷たく輝く。

「これが情けだ、母さん」

低い呟きとともに、彼は一気に刀を振り下ろした。

ズン、という重く湿った音が響き渡り、陳美鳳の首が胴体から綺麗に切り離された。切断された頭部は一度空中で回転し、まるでスローモーションのように、どさりと地面に落下する。その顔はまだ痙攣したまま、絶頂の名残を残した口元が薄く開いていた。

瞬間、切断面から真っ赤な血潮が噴水のように噴き上がる。天井を汚し、近くにいた男たちの顔や服にびしゃりと降りかかった。空気は鉄錆びと生臭い匂いで満たされ、むせ返るような熱気がたちこめる。

群衆から爆発的な歓声が上がった。拍手、口笛、嬌声。誰もが狂気に染まった顔で血しぶきに濡れている。地面を転がる生首を指さし、子供のような笑い声をあげる者もいた。

その饗宴の中心で、林夕はまるで金縛りにあったかのように動けなかった。膝が崩れそうになるのを必死に堪え、両脚を震わせながら、口元を押さえる。彼女の大きな瞳には、鮮血に染まる趙剛の姿と、母の首が映り込んでいる。心臓が早鐘を打ち、下腹部が切なく疼くのを止められなかった。

彼女はそっと足を組み替え、己の内に芽生え始めた破滅的な衝動に、息を詰めて耐えるしかなかった。

男の娘斬歌

鮮やかな照明が照らし出す豪奢な宴会場。硝子のシャンデリアがきらきらと輝き、白いテーブルクロスには銀の燭台が並び、辺りには甘やかな香木の煙が漂っていた。上座に座る名家の令嬢・柳如烟は、今日が二十歳の誕生日を迎えた祝宴の主役である。彼女は優雅な手つきで肉料理を口に運び、芳醇な風味にうっとりと目を細めている。その皿の上に盛られた極上の肉が、つい今しがたまで人間だったものだとは、夢にも思っていない。

しかし、会場の奥まった一角だけは、異様な空気に包まれていた。そこはあたかも即席の処刑場と化し、野次馬たちが円陣を組んで興奮のまなざしを注いでいる。先ほど、主催者の一人である金物店の店主・趙剛は、自らの母親である陳美鳳の首を衆人環視の中で斬り落としたばかりだった。まだ生暖かい生首は無造作に床に転がり、その傍らにはべっとりとした血の海が広がっている。熟れた肉体を持て余していた陳美鳳は、すでに通行人たちの凌辱を受け尽くし、絶頂の表情を貼りつけたまま命を散らした。彼女の首は今、まるで壊れた人形のように、唇の端に歪んだ笑みを残して虚空を見つめている。

野次馬たちの興奮はまだ冷めやらず、血の匂いに当てられた者たちが次の獲物を求めていた。その期待に応えるように、趙剛は再び奥の控え室へ消え、今度は別の人物を引きずり出してきた。細い腕を掴まれ、よろよろと現れたのは、彼の息子・韓子軒だった。

しかしその姿は、見る者すべての目を疑わせるに十分だった。

韓子軒は黒いミニスカートに白いブラウス、首元にはチョーカーを巻き、足には網タイツを履いていた。顔には濃い化粧が施され、瞼には紫のアイシャドウ、まつげは長くカールされ、唇にはどぎつい赤のグロスがてらてらと光っている。もともと華奢な体つきの上に、女物の服を纏い、歩くたびに腰をくねらせる仕草は、どこから見ても男娼のそれだった。

「こいつ、本物の男かよ」

「女装してんじゃねえか、きめえ」

「見ろよ、あのケツ、ぷりっとしてやがるぜ」

どっと湧き起こる嘲笑と罵声。韓子軒は顔を強張らせ、恐怖と羞恥に瞳を潤ませたが、それさえもどこか媚を売るような色を宿している。父親である趙剛は、彼のそんな姿を冷たい目で見下ろし、口元には残忍な笑みを浮かべていた。

「てめえ、家の恥をこれ以上さらすつもりか? 女装して街をうろつき、男に尻を振って……お前のような不道徳な息子は、俺が直々に裁いてやる」

趙剛の言葉に、野次馬たちはさらに沸き立った。一人の酔漢が前に進み出ると、韓子軒のスカートの裾をむんずと掴み、無遠慮に引き剥がす。メリメリと布が裂ける音が響き、露わになった太腿と、その上の黒いレースのショーツが衆目に晒される。韓子軒は「やめてっ」と悲鳴をあげ、両手で前を隠そうとしたが、すぐに別の男が背後から腕を捻り上げ、身動きを封じる。

「隠すことねえじゃねえか、男のくせに」

「そのショーツも脱がしちまおうぜ」

さらに数人の手が伸び、レースの下着は乱暴に引き下ろされた。白い臀が剥き出しになり、閉じられた秘蕾がひくひくと震える。野次馬たちは歓声をあげ、手を伸ばして彼の肌を撫で回し始めた。韓子軒は涙をぽろぽろ流し、声にならない嗚咽を漏らすが、抵抗する力はすでに奪われていた。

「跪け」

趙剛の低く響く命令。韓子軒はがくがくと震えながら、床に膝をついた。彼の目の前には、先ほど首を斬られた祖母・陳美鳳の生首が転がっている。虚ろな目が見開かれ、口元には死の間際に刻まれた歪な笑み。それを見た韓子軒の顔から、血の気が一瞬で失せた。

「ば、ばあちゃん……いやだ、お父さん、許して……お願い……」

懇願の声は、しかし野太い笑い声にかき消される。趙剛は無言で自身のベルトを外し、ジーンズの前を寛げた。晒された怒張はすでに凶器のように盛り上がり、青い血管が浮いている。彼は息子の背後に立つと、その細い腰をガッシリと掴み、何の潤滑もなく、その剛直を強引に後蕾へと押し当てた。

「ひぁっ!」

悲鳴とも嬌声ともつかぬ声が迸る。趙剛は容赦なく腰を突き入れ、裂けよとばかりに奥まで一気に貫いた。韓子軒の細い体が弓なりに仰け反り、喉から引き攣るような嗚咽が漏れる。涙と涎で化粧が崩れ、赤い口紅が頬にまで広がって、まるで血塗られた道化師のようだった。

「あは、親父直々にケツ掘ってやがる」

「さすが血ぃ繋がってるだけあるな、具合はどうだ?」

「もうメスイキしてんじゃねえの」

下品な野次が飛び交う中、趙剛は獣のような息遣いで腰を打ちつけ続けた。結合部からはやがて血が滲み、それが潤滑となってさらに動きが激しくなる。韓子軒は泣きじゃくり、床に爪を立てて耐えていたが、次第に声は掠れ、漏れる吐息にはどこか甘やかなトーンが混じり始めた。

周囲で見ていた女たちも、その光景に当てられていた。中でも、通りかかった客の王丽华は、頬を真っ赤に染めて荒い息を繰り返していた。彼女は自分のスカートの裾をたくし上げ、ショーツの上から秘部を押しつぶすように弄りながら、目を爛々と輝かせている。四十路を過ぎてもなお艶を残す肢体が、血の匂いと陵辱の狂宴に異常な興奮を覚え、とめどなく愛液を溢れさせていた。

そして、そんな彼女のすぐ傍らで、もう一人の少女が立ち尽くしていた。林夕である。白いブラウスにプリーツスカート、白いオーバーニーソックスに包まれた細い脚が、かすかに震えている。先ほどの陳美鳳の首斬りを見せつけられたときから、彼女の内側に封じ込められていた暗い衝動が、少しずつ箍を外れ始めていた。今、目の前で繰り広げられる息子への陵辱と、禁忌の近親相姦。血と精と涙が混ざり合う光景が、彼女の理性を完全に熔かし去ろうとしている。

脚の間はもう、ぐっしょりと濡れていた。下着はとっくに吸いきれず、太腿の内側を生暖かい滴が伝っている。オーバーニーソックスの中まで湿っているのが、自分でもはっきりと感じられた。にもかかわらず、恥ずかしいという感覚はとうに消え失せ、ただもっと、もっとと心の奥が叫んでいる。彼女は無意識のうちに、そっと右手を太腿に這わせ、湿った肌を指先でなぞった。

やがて趙剛が低く呻き、最奥に精を放つと、彼は荒い息を吐きながら息子から離れた。粘ついた白濁が、だらりと垂れ落ちる。しかし陵辱はそこで終わらなかった。趙剛が退くと同時に、周りで見ていた男たちが我先にと韓子軒の身体に群がったのだ。

「代われ代われ、次は俺の番だ」

「後ろだけじゃなくて、口も使えよ」

「このアバズレが、よくもまあそんな格好で」

数人がかりで押さえつけられ、口にも陰茎を押し込まれ、後ろからも同時に貫かれる。韓子軒はもはや声も出せず、ただ体を揺すられ、肉の塊のように扱われた。だというのに、彼の口元にはいつしか、薄気味悪い笑みが張りついていた。涙に濡れた瞳の奥に、何かがぷつりと切れたような、狂気じみた光が宿っている。

「あは……あはは……」

くぐもった笑い声。最中にいる男たちは気づかない。だが、その笑みは徐々に歪みを増し、やがてはっきりとした哄笑へと変わった。恐怖も苦痛も、すべてを飲み込んだ果ての、自棄的な愉悦だった。

「もう、いいよ……斬って……お父さん、斬ってよ……」

かすれた声でそう呟いた韓子軒は、輪姦の合間を縫うようにして顔を上げ、父親の趙剛を見た。その目は、もはや正気のものとは思えない、爛れた輝きを放っている。趙剛はそんな息子を見返し、口の端を吊り上げた。彼は傍らに立てかけてあった長刀を手に取る。刃渡り三尺あまりの、厚みのある剛刀。陳美鳳の首を斬り落としたときの血糊がまだこびりつき、鈍い光を放っていた。

趙剛はまず、刀の背で韓子軒の項を軽く叩いた。ひやりとした鋼の感触に、彼の細い肩がびくんと跳ねる。次の瞬間、もはや躊躇はなかった。

鈍い風切音が一つ。

そして、湿った骨の砕ける音と、何かが繊維を断たれるような音が重なり合い、一筋の赤い線が宙を描いた。韓子軒の首はまるで熟れた果実が枝を離れるように、あっけなく胴体から切り離され、どさりと床に落ちる。それはくるくると転がり、やがて陳美鳳の生首のすぐ隣に、ぴたりと寄り添うようにして止まった。

親子の首が並び、同じ方向を向いて、天井のシャンデリアを虚ろに見上げている。陳美鳳の歪んだ笑みと、韓子軒の薄気味悪い笑みが、まったく同じ角度で刻まれているのが、なんともおぞましい偶然だった。切り口から吹き出した鮮血は、まだしばらくは動き続けていた身体の痙攣に合わせて、周囲の床を更に赤く染め上げていく。

あまりの光景に、一瞬息を呑んだ野次馬たちだったが、すぐにまた歓声と嬌声が巻き起こった。誰かが拍手し、誰かが壺に流れ出る血をすくって酒に混ぜた。

林夕は、一歩、また一歩と前に進んだ。彼女の白いオーバーニーソックスは、飛び散った血飛沫で斑点模様に染まり、まるで抽象画のようになっている。すぐ足元には、韓子軒の生首。その目はまだ完全に閉じられておらず、白目がちらりと覗いている。林夕はそれを見下ろしながら、全身を貫くような震えを感じていた。

「あ……ああ……」

声にならない吐息が漏れる。彼女の内側で、張り詰めていた何かが、ぷつんと切れた。もう抑えるものは何もない。林夕は右手でスカートの上から秘部をぎゅっと押さえつけ、左手でブラウスの襟元を掻きむしりながら、その場にしゃがみこんだ。下腹部がきゅうと疼き、太腿が小刻みに痙攣する。ぐっしょりと濡れたソックスが、床の血を吸ってじんわりと赤く染まっていくのが、酷く扇情的だった。

周囲にいた王丽华も、もはや自分を抑えきれず、嬌声をあげてその場にへたり込んだ。彼女はスカートを完全にまくり上げ、見せつけるように下着をずらして、自分の指で抽送を始めた。その目は潤み、目の前の血まみれの生首と首のない死体を見つめながら、更なる刺激を貪っている。

「もっと……私も、ああやって……斬られたい……あの子みたいに……」

王丽华の呟きは誰に届くでもなく、宴会の喧騒に溶けていった。

上座では、柳如烟が銀のティーカップを傾け、満足げに目を細めている。彼女にとって、この場はただの賑やかな誕生祝いでしかなかった。背後で起こっている血の惨劇など、些細な余興に過ぎない。フォークで刺した柔らかな肉片は、口の中でとろけるようで、彼女は「本当に美味しいわ、こちらのお肉は何?」と隣席の者に尋ねたりしていた。

趙剛は刀の血を無造作に拭いながら、並んだ二つの首を見下ろした。母と息子。彼はそれらを足で軽く転がし、位置を整えると、満足そうに喉を鳴らした。やがて彼の視線は、しゃがみ込んで震える林夕と王丽华へと移る。嗜虐に歪んだ目が、獲物を見つけた獣のように細められ、彼は次の一手を考え始めていた。

自ら家畜に

金物店の前はまるで屠殺場のような、むせ返る血の匂いに包まれていた。陳美鳳の首が転がるたびに飛び散る鮮血が地面を黒く染め、先ほどまで韓子軒が犯され、断ち切られた場所からも、まだ生温かい湯気が立ち上っている。群衆は動物的な興奮の唸りをあげ、誰もが舌舐めずりしながら次の獲物を待ちわびていた。

そんなざわめきの中、趙剛が血に濡れた鉈を肩に引っ掛け、獣じみた目つきで人垣を見回しながら吠える。

「次は若い女だ!試し切りを志願する女家畜はいねえかァ!首を跳ねてやるから出てこい!」

その濁声に、空気がわなないた。見物人の視線が一斉に動き、女たちは怯えて身を竦ませる。しかし林夕だけは違った。彼女の頭の中は真っ白で、思考は霧のように散り散りになっている。なのに体は熱く疼き、まるで何かに突き動かされるように、一歩、また一歩と前に踏み出していた。

白いオーバーニーソックスに包まれた脚が震えるのも構わず、セーラー服の少女は人垣をかき分けて進む。まるで何かに魅入られた操り人形のようだった。心臓は早鐘を打ち、息は切れ切れなのに、唇の端が歪に吊り上がってしまう。死への憧れ、それ以上に、自分がバラバラにされる瞬間を想像するだけで、スカートの奥がじわりと濡れてくるのを感じていた。

「私!」

鈴のような声が、その場の喧騒を切り裂いた。林夕は高々と右手を突き上げ、何かに取り憑かれたように叫ぶ。

「私です!私を斬ってください!」

群衆がざわめき、好奇と嘲りの眼差しが少女に突き刺さる。人垣から押し出されるようにして、林夕は趙剛の真ん前へと歩み出た。セーラー服の清楚な出で立ちと、その口元に浮かぶ背徳的な笑みの対比が異様な空気を醸し出している。

趙剛は三白眼をぎょろつかせ、舌なめずりをしながら少女の顎に手を伸ばした。節くれだった太い指が、きめ細やかな首筋を這い回る。強く掴めば折れてしまいそうな華奢な喉仏の辺りを、奴はまるで新鮮な肉の品質を確かめるみたいに、揉みしだき、骨格を確かめた。

「いい首だ……骨が細くて柔らけえ。一太刀で綺麗に落とせそうだ」

野獣のような吐息が耳元に吹きかけられ、林夕の背筋を甘い戦慄が走る。それだけでほとんど達してしまいそうになり、唇の隙間から熱い息が漏れた。目の前の男は、これまで抑えつけてきた彼女の暗い欲望を具現化したような存在だった。もっと触って、もっと痛めつけて、そうして殺してほしい――。

周囲の視線が突き刺さる中、林夕はゆっくりと地べたに両膝を突いた。白いニーソックスが血の染みたコンクリートに吸い付く感触も厭わず、震える両手でJKスカートの裾をたくし上げる。ふとももの内側が生々しく露わになり、その奥には何も身に着けていない、濡れ光る秘所がさらされた。

「どうぞ……見てください……。私、こんなになるまで濡らして待ってたんです」

観衆からどよめきと野次が上がる。ちょうど先ほどまで陳美鳳が陵辱され、絶頂の中で断ち切られた場所で、今度はセーラー服の少女が自分から性器を晒しているのだ。誰かが卑猥な口笛を吹き、別の男がいやらしい舌打ちをした。遠巻きに立ちすくむ王麗華は、そんな光景を食い入るように見つめ、自分の太ももを無意識に撫で回している。彼女からしてみれば、すぐ目の前で繰り広げられるこの倒錯は、日常では決して味わえない極上の刺激だった。

趙剛はその光景を上から見下ろし、にやりと唇を歪めた。女の自発的な淫らさほど、解体欲をそそるものはない。彼はさらに身をかがめ、林夕が自らたくし上げたブラウスから飛び出した白い乳房を、じっくりと舐めるように見つめた。血色の良すぎる舌が伸び、乳首のすぐ横を掠めるように動く。

「家畜の分際で、ずいぶんと躾のいい牝だな」

林夕は目を潤ませ、喉を反らしながら差し出すように胸を突き出した。乳首は尖りきって硬くしこり、唾液を欲しがってひくひくと震えている。もう言葉にならない。ただ自分のすべてを捧げ、肉の一片に還りたい。彼女は完全に、この血腥い楽園の家畜へと成り果てようとしていた。

趙剛は右手に鉈を握り直しながら、左手で林夕の後ろ髪を乱暴に掴む。こうしてぐいと上向かせ、白い喉を露わにさせると、その眺めに満足げに何度も頷いた。

群衆の熱狂は最高潮に達し、誰もが一人の少女の解体を待ち望んでいる。そして、そんな空気に当てられたもう一人の女――王麗華が、はだけた胸元を押さえながら震える一歩を踏み出そうとしていた。

別れの飽食

金物店の奥に設えられた血塗られた処刑場は、むせ返るような鉄錆と体液の匂いに満ちていた。天井から吊るされた裸電球が、まな板代わりの巨大な木製作業台を不気味に照らし出している。先ほどまで母親と息子が切り刻まれ、肉塊と化して床に転がる光景に、見物人の群れは熱狂の渦にあった。そのただ中で、制服姿の林夕は、白いオーバーニーソックスに包まれた脚を震わせながら、自分に向けられる視線の一つ一つを甘美な毒のように感じ取っていた。

趙剛は血に濡れた分厚い手で林夕の細い腕を掴むと、無造作に引き寄せた。彼の作業着は返り血で黒く濡れ、獣のような息遣いが少女の首筋にかかる。

「待ちかねたろう、お嬢ちゃん」

耳元で囁く低い声に、林夕は背筋をぞくりと震わせた。逃げるつもりはなかった。むしろ、これこそが彼女が抑圧し続けてきた欲望の果てだと、全身の細胞が歓喜していた。趙剛は彼女の腰を抱え上げると、まな板の上へ押し付けるようにうつ伏せに寝かせる。表面はまだ生温かく、先刻までここで何人もの人間が絶命したことを生々しく物語っている。粘液と血液が混じり合った板の感触が、頬と太腿にべっとりと貼りついた。

スカートをまくり上げられ、下着を乱暴に引き裂かれる音が響く。趙剛はごつい指で林夕の秘部をまさぐり、既に溢れている蜜を確認すると、満足げに喉を鳴らした。

「いい具合に仕上がってるじゃねえか。これなら最高の獲物だ」

背後から熱い肉棒があてがわれる。周囲を取り巻く野次馬たちが息を呑み、やがて一気に挿入された瞬間、林夕は鋭い悲鳴と嬌声が入り混じった声を上げた。痛みと快楽が同時に背骨を突き抜け、視界が白熱する。

趙剛は腰を打ちつけながら、林夕のうなじを愛撫するように撫で回し、油ぎった声で言った。

「いい獲物だ。首が細くて柔らかいぜ。斬り甲斐がありそうだ」

言葉の一つ一つが刃のように心臓を抉り、林夕の内側に溜め込んでいた破滅願望を刺激する。見物の群れからは拍手と口笛が巻き起こり、猥雑な野次が飛び交った。

「もっと突いてやれ、親父!」

「その娘、いい声で啼くじゃねえか!」

「早く首を落とせ!腹が減ったぞ!」

そんな狂騒の中、ひときわ異様な気配が近づいてきた。中年女の王麗華が、血走った目で林夕の顔を覗き込みながら、まな板の脇にしゃがみ込む。派手な装いの彼女は、既に興奮で頬を上気させ、唇を舐め回していた。

「ああ、可愛い子……こんなに感じているのね。私にも味わわせて」

そう言うと、王麗華は乱れたブラウス越しに林夕の尖った乳首を口に含み、強く吸い上げた。舌で転がし、歯を軽く立てる刺激に、林夕は腰を浮かせて悶える。趙剛の抽送はさらに激しさを増し、結合部から泡立った愛液が飛び散る。二つの穴を同時に蹂躙されながら、乳首をしゃぶられる三重の責めに、林夕の意識は白濁した快楽の海に溶けていった。

「ああっ、あああっ!」

絶頂が立て続けに訪れる。膣壁が痙攣し、趙剛の剛直を搾り取るように締め付けるたび、温かい潮がぴゅっと噴き出し、作業台の血のりを洗い流した。見物人たちはなおも高揚し、中には自らの股間を弄り始める者もいる。王麗華は恍惚とした表情で乳首から口を離し、林夕の涙と唾液に濡れた顔を見つめて言った。

「綺麗よ。最高の瞬間まで、あんたを見届けてあげる。それから私も、後を追うからね」

林夕は虚ろな微笑みを返した。言葉にならない感謝と連帯感が胸に広がる。この狂った金物店で、自分と同じように倒錯した魂と巡り会えた奇跡。それだけで十分だった。

やがて趙剛は大きく息を吐き、肉棒を引き抜いた。粘液の糸が切れ、林夕の内部からどろりとした愛液が溢れ出す。よろめきながら後退すると、壁に立てかけてあった斬首刀を手に取る。刃渡り三尺あまりの分厚い刀身は、既に数十人もの首を刎ねてきたため、ところどころ微かに欠け、黒ずんだ血糊がこびりついている。

「そろそろ終いだ。綺麗に送ってやるぜ」

趙剛は刀を両手で構え、林夕の細いうなじに狙いを定めた。彼の目は獲物を屠る喜びに燃え、口元には野獣のような笑みが浮かんでいる。見物人たちは水を打ったように静まり返り、ただごくりと唾を飲み込む音だけが響いた。

林夕はゆっくりと瞼を閉じた。薄暗い視界の裏で、これまでの退屈な日常が走馬灯のように流れ去っていく。偽りの優等生。押し付けられた清純さ。真綿で首を絞めるような息苦しい毎日。すべてが今、この瞬間のためにあったのだと、心の底から確信した。

冷たい刃の気配が首筋に触れる。間合いを図る趙剛の呼吸が、背中越しに伝わってくる。林夕は深く息を吸い込み、訪れるであろう決定的な衝撃と、その後に広がる無限の暗黒を想像し、切ないまでの期待に胸を膨らませた。

「……さようなら、つまらない世界」

唇だけでそう呟くと、少女は頬に血の気が引いていくのを感じながら、ただ無心に、首を刎ねられる瞬間を待った。周囲の期待の高まりが、空気を震わせる。王麗華が息を呑み、手を合わせる音が聞こえた。

趙剛は一気に刀を振り下ろした。風を切る鋭い音。次の瞬間、まな板の上に鮮血の華が咲き乱れ、観客たちからどよめきとも嘆声ともつかぬ歓声が上がった。

(本章終わり)

飛頭と泉

刃が落ちた瞬間、林夕は不思議な静けさに包まれていた。冷たい鋼が首筋を滑り抜ける感覚だけがやけに鮮明で、世界からすべての音が消えた。彼女の瞼が閉じ、開く。その一瞬のうちに、視界が急激に回転し始めた。

宙を舞っている。そう認識した時、彼女の目は自分の首のない身体を捉えていた。白いオーバーニーソックスが陽光に照らされて輝き、制服のスカートが微かに揺れている。両膝は地面につき、まるで祈りを捧げるような姿勢。その姿があまりにも美しくて、彼女は心から見蕩れた。

しかし、周囲の観衆が見つめていたのは別のものだった。切り口から噴き出したのは赤い血潮ではない。透明に近い粘液が、高々と弧を描いて飛び散ったのだ。陽光を受けてキラキラと輝く飛沫は、まるで祝福のシャワーのように群衆に降り注ぐ。甘酸っぱい匂いが広がり、何人かの観客が思わず舌舐めずりをした。

「ははははっ!」

趙剛が刀を掲げたまま大笑いした。その顔には狂喜が張り付いている。彼は刀身に付着した愛液を指で拭い、口に運んだ。

「最高の味だ。生娘の蜜は格別だな」

横で見ていた王麗華は手を叩いて飛び跳ねた。中年女性の顔は興奮で紅潮し、目はらんらんと輝いている。

「まあまあ!こんなことってあるのね!趙さん、素晴らしい腕前だわ!」

彼女はしゃがみ込むと、まだ跪いている林夕の身体に近づいた。切断面からはまだとめどなく愛液が溢れ出ている。王麗華は人差し指を差し入れ、内部の感触を楽しむように回した。

「熱い……まだ生きてるみたい」

地面に落ちた林夕の頭は、確かにまだ生きていた。口元には満ち足りた微笑みが浮かび、その瞳はうっとりと細められている。彼女は自分の身体が他人に弄ばれる様子を、まるで他人事のように眺めていた。

「もっと……もっと見せて……」

かすかな声が漏れる。誰にも聞こえないほどの小さな声だったが、趙剛には確かに届いた。彼はにやりと笑うと、刀を構え直す。

「嬢ちゃん、まだ満足してないのか?よし、特別サービスだ」

刃が再び振り下ろされた。今度は縦に、林夕の身体を真っ二つにする。しかし断面から溢れるのはやはり血ではなく、愛液と臓物が混ざり合った生暖かい液体だった。腸がずるりと飛び出し、それに絡まった子宮が陽光を受けて桃色に輝く。

王麗華は恍惚の表情でそれを受け止めた。彼女は自分のスカートをまくり上げ、その臓物を自身の股間に押し当てる。

「ああ……若い子の臓器って、こんなに温かいのね……」

群衆から歓声が上がった。誰かがスマートフォンを掲げて撮影している。数人の男性がズボンの前を寛げ始めた。趙剛は血(正確には体液)に濡れた刀を掲げ、次の獲物を探すように周囲を見回す。

その視線が、物陰で震えている韓子軒を捉えた。女装した少年は、恐怖で顔を真っ青にしながらも、その瞳には隠しきれない興奮の色が浮かんでいる。

「次はお前だ、子軒」

趙剛の声に、少年の身体がびくんと跳ねた。

「父さん……私……」

「言い訳は聞かん。こっちへ来い」

韓子軒は震える足で一歩を踏み出した。その瞬間、何人もの男たちが彼を取り囲む。手が無数に伸びて、彼の着ているフリルのブラウスを引き裂いた。露わになった白い肌に、無数の手が這い回る。

「やめて……あっ……ああっ!」

少年の口から漏れる声は、拒絶なのか歓喜なのか、もはや本人にもわからなかった。男たちに床に押さえつけられ、脚を大きく開かされる。蕾のような後孔が晒され、一人の男がそこに自身の肉棒を押し当てた。

「ひっ……痛い……でも……なにこれ……」

韓子軒の身体は、恐怖とは別の理由で震え始めた。貫かれる痛みが、なぜか全身を駆け巡る快感に変換される。彼の細い腰が、無意識に男の動きに合わせて揺れ始める。

「こいつ、感じてやがる」

「親父が首斬り魔なら、息子は淫乱かよ」

嘲笑が飛び交う中、韓子軒は絶頂へと押し上げられていく。涙と涎でぐしゃぐしゃになった顔で、彼は叫んだ。

「もっと……もっと突いて……ああ、イく……イっちゃう!」

その瞬間、趙剛の刀が振り下ろされた。絶頂と同時に、韓子軒の首が胴体から切り離される。切断された首の表情は、苦痛と陶酔が混ざり合った、この世ならざる美しさを湛えていた。

切り口からは、彼の場合、血が噴き出した。赤い液体が飛び散り、周囲の男たちを紅く染める。しかしその血は、なぜか生暖かく、粘り気を帯びていた。まるで彼の体液すべてが、死の間際に変質してしまったかのように。

「あはは……あはははは!」

王麗華が笑い転げる。彼女は林夕の臓物を弄びながら、次の犠牲者の死に様に喝采を送った。

「素晴らしい!なんて素晴らしい見世物なの!趙さん、あたしも……あたしにもやらせてくれない?」

彼女は立ち上がると、自分の服を脱ぎ始めた。熟れた身体が露わになる。年齢の割に引き締まった肢体、しかし確かに刻まれた年輪。彼女は趙剛の前に歩み寄り、両手を広げた。

「切って。あなたの一番いい刀で、あたしの首を刎ねて」

趙剛は一瞬驚いた表情を見せたが、すぐに邪悪な笑みを浮かべた。

「おばさん、本気か?」

「本気よ。さっきの子みたいに、飛ばしてほしいの。あたしの体液を、みんなに浴びせてやって」

王麗華の目は正気ではなかった。彼女は地面に横たわる林夕の頭部に視線を落とす。まだ生きているその顔は、彼女に微笑みかけているように見えた。

「あの子、すごく幸せそうでしょう?あたしもああなりたいの」

趙剛は刀を構えた。王麗華は自ら跪き、首を差し出す。彼女の手は自分の股間を弄り、すでに準備は整っているようだった。

刃が閃いた。

今度の切り口から噴き出したのは、やはり血ではなかった。王麗華の体液は、年齢を重ねた女特有の、やや黄ばんだ色をしていた。それは勢いよく噴き出し、観衆の顔や服に降りかかる。匂いは若い娘のそれよりも強く、むせ返るような獣臭を放っていた。

「うわっ、くせえ」

「でも、これがたまんねえ……」

群衆の反応は様々だったが、誰もその場を離れようとはしなかった。むしろ、より多くの人々が集まってきている。中にはスーツ姿のサラリーマンや、買い物袋を提げた主婦の姿もあった。

地面に転がる王麗華の首は、目を見開いたまま、口をパクパクと動かしている。何かを言おうとしているようだが、声は出ない。しかしその顔には、確かな満足の色があった。

趙剛は刀を置き、手を叩いた。

「さて、と。そろそろメインディッシュといくか」

彼の視線の先には、縛り上げられた陳美鳳の姿があった。実の母親である彼女は、これから息子の手によって首を刎ねられる運命にある。しかしその顔には、恐怖よりも期待の色が濃く浮かんでいた。

「剛……お願い……母さんを……母さんをめちゃくちゃにして……」

陳美鳳の声は甘く掠れている。彼女の身体はすでに陵辱されていた。通行人たちによって服を剥がれ、あらゆる穴を犯され、体中に精液の跡が残っている。それでも彼女の欲望の火は消えるどころか、ますます燃え上がっていた。

趙剛は母親の髪を掴み、その顔を自分の股間に押し付けた。彼は無言で要求する。陳美鳳は喜んでそれを受け入れ、息子の肉棒を口に含む。周囲から歓声と拍手が沸き起こった。

「親子だぜ、すげえ」

「これがほんとの親子丼かよ」

陳美鳳は巧みな舌使いで息子を奉仕する。その間、他の男たちが彼女の身体を弄び続けた。誰かが彼女の肛門に瓶を突っ込み、別の誰かが膣に手を突っ込んでいる。それらすべてが、彼女に更なる快感を与えるだけだった。

十分に硬くなった趙剛の肉棒が、母親の口から抜かれた。彼は陳美鳳を仰向けに押さえつけ、何の前触れもなく貫いた。親子の禁忌を犯す行為に、観衆の興奮は最高潮に達する。

「ああっ!剛……剛!」

陳美鳳は叫びながら、何度も絶頂に達した。その度に彼女の膣は痙攣し、息子の肉棒を締め付ける。周囲の男たちも次々に彼女の身体に放った。顔に、胸に、腹に、白濁が降り積もる。

最大の絶頂が訪れた瞬間、趙剛は刀を手に取った。彼はまだ自分を母親の体内に埋めたまま、その首筋に狙いを定める。

「母さん……愛してるよ」

刃が下りた。

陳美鳳の首は、娘や王麗華よりも高く舞い上がった。彼女の切断面からは、これまでの三人とは全く異なる液体が噴き出す。それは黄金色に輝く液体だった。まるで芳醇なワインか、あるいは神酒のよう。甘美な香りが辺りに満ち、嗅いだ者すべてを酔わせた。

「なんだこれは……」

「蜜だ……女神の蜜だ」

人々はその液体を手ですくい、口に運んだ。味は人によって異なるように感じられた。ある者は最高の美酒と感じ、ある者は母乳のような懐かしさを覚え、またある者は初めて性を知った時の興奮を思い出した。

陳美鳳の首は地面に落ちる寸前、誰かの手にキャッチされた。その顔は陶酔に満ち、唇は動いている。

「ありがとう……剛……最高の……死に際だったわ……」

趙剛は無言で母親の首を受け取り、その額に口付けをした。彼の目から一筋の涙が流れる。それが感動によるものなのか、別の感情なのかは、誰にもわからなかった。

その時、会場の奥から一人の女性が歩み出てきた。豪華なドレスを身に纏い、宝石を輝かせる名家の令嬢、柳如烟だった。彼女は何が起こっているのか全く理解していない様子で、優雅にグラスを傾けている。

「まあ、素敵なパーティーですこと。これは何の余興かしら?」

彼女は目の前の惨状を見ながらも、それが現実だとは認識できていないようだった。庭園の芝生に転がる首、無残に解体された身体、それらすべてが精巧な作り物に見えているのかもしれない。

柳如烟は給仕から新しいグラスを受け取ると、その中身を一口含んだ。彼女の喉を、温かい液体が通っていく。

「このワイン、とても芳醇で美味しいわ。どちらの醸造元のものなの?」

給仕は無言で頭を下げた。その手に持つボトルの中身は、つい先ほどまで陳美鳳の体内を巡っていた液体だった。柳如烟はそれとは知らず、満足げに微笑む。

趙剛はその様子を眺めながら、刀を鞘に収めた。彼の周りでは、観衆たちが群がり、地面に落ちた林夕の身体や王麗華の臓物を奪い合っている。誰かがオークションを始めようと声を上げた。

林夕の頭は、いつの間にか誰かの手で台座の上に飾られていた。彼女の目はまだ生き生きと輝き、その口元には変わらぬ微笑みが浮かんでいる。彼女の視線の先では、自分の身体が次々に解体され、観衆の間で取引されていくのが見えた。

腕はある老紳士が落札した。彼はその手を自分のコレクションに加えると宣言する。脚は若いカップルが競り落とし、何に使うのか楽しそうに囁き合っている。胴体は料理人を名乗る男が、今夜のディナーのメインディッシュにすると言って持ち去った。

白いオーバーニーソックスだけは、趙剛自身が手元に残した。彼はそれを大事そうに折り畳むと、自分の胸ポケットにしまう。

林夕の意識は、ゆっくりと薄れ始めていた。視界がぼやけ、音が遠のく。しかしそれさえも心地よく感じられた。彼女は自分のすべてが消費されていく様子を、最後まで見届けることができたのだ。

彼女の魂は、まだ動いている身体から静かに抜け出した。それは半透明の若い女性の姿をしていて、生身の彼女よりもずっと美しく輝いている。魂の彼女は振り返り、台座の上の自分の首を見下ろした。

〈ありがとう、私〉

魂はそっと手を振ると、ゆっくりと空へ昇り始めた。その先には、同じように半透明の存在たちが無数に浮かんでいる。韓子軒、王麗華、そして陳美鳳。彼らは皆、晴れやかな笑顔で林夕の魂を迎え入れた。

地上では、趙剛が刀を掲げている。彼の周りには、何かを期待する新しい顔ぶれが集まっていた。斬首の饗宴は、まだ終わらない。

庭園の奥では、柳如烟が新しい料理に手を伸ばしていた。白い陶器の皿に盛られた、淡い桃色の何か。彼女はそれを一口で頬張ると、目を細めて笑った。

「このお料理も絶品だわ。いったい何の肉なのかしら?」

誰も答えなかった。ただ、庭園のあちこちから、包丁がまな板を叩く音だけが、規則正しく響き続けている。

最後の試し斬り

生温かい血の匂いが、金物店の空気にべったりと張り付いていた。つい今しがたまで、ここでは二つの首が立て続けに跳ねられ、一人は実の母親、もう一人は女装した息子だった。鉄の匂いと、それに混じる甘ったるい体液の残り香が、薄暗い店の奥から漂ってくる。壁や床に飛び散った赤黒い染みはまだ乾ききっておらず、蛍光灯の白い光の下で妙に生々しい光沢を放っている。

林夕は、その場にへたり込んだまま、自分の両脚の間から滲み出るぬめりを感じていた。白いオーバーニーソックスは陳美鳳の絶頂の際に飛んだ体液で汚れ、制服のスカートの裾は乱れに乱れている。彼女の瞳はまだ焦点が合わず、陶酔の余韻に揺れていた。さっき目の前で繰り広げられた血と性の饗宴は、彼女のうちに長年抑圧されていた何かを根本から破壊し、そこからどす黒い欲望がマグマのように溢れ出していた。自分も、あの首切り包丁の下で果てたい。そう思いながら、彼女はただぼんやりと、倒れた二つの死体を見つめていた。

そこへ、一人の女が動いた。

王麗華である。年齢は四十をいくつか過ぎたくらいだろうか。派手すぎないが上質なワンピースを着こなし、首元には真珠のネックレス、化粧はやや濃いめだが品の良さを保った中年女だ。つい先ほど、たまたま金物を買いに立ち寄っただけだった彼女は、そこで繰り広げられる凄惨で倒錯した光景を、最初は恐怖に見開いた目で見つめていた。しかし、陳美鳳が実の息子に辱められながら絶頂に達し、その首が飛ぶ瞬間、王麗華の口からは悲鳴ではなく、熱っぽい吐息が漏れた。韓子軒が女装を剥がされ、父親に陵辱されながら泣き叫び、それでも身体は確かに悦びに震えていた、その光景は彼女の内側の何かを確実に変えてしまった。

王麗華は、ゆっくりと、それでいて迷いのない足取りで趙剛の前に進み出た。かかとの高いサンダルが、血溜まりを踏み、ぴちゃりと湿った音を立てる。趙剛は、血まみれになった包丁を布で拭きながら、ぎろりと彼女を睨みつけた。その眼光には、まだ満足しきっていない獣のような飢えが宿っている。

「あんた、何の用だ。まだ見物してたのか」

趙剛の声は低く、威圧的だった。しかし王麗華は怯まない。むしろ、その乱暴な態度にすら、自分の奥底にある何かが反応してしまうのを感じていた。

「あたしも……あたしも斬ってほしいの」

王麗華ははっきりと言った。その声は自分でも驚くほど落ち着いていて、どこか甘えるような響きさえあった。

趙剛は眉をひそめ、乱暴に包丁を台の上に置いた。木の台は、先ほど母親と息子の首を斬ったばかりの、あの巨大なまな板だった。血が溝を伝って滴っている。

「何だって?」趙剛は彼女の顔を値踏みするように見下ろし、口の端を歪ませた。「さっきのを見て、頭がおかしくなったのか。それとも、冗談で言ってるのか」

「冗談じゃないわ」王麗華は一歩、さらに近づいた。その瞳は異様に輝き、熟れた身体の芯が熱を帯びているのが自分でも分かる。「さっき彼女にしたのと、同じにしてほしいの。あの若い娘さんに……林夕ちゃんにしたみたいに」

彼女は、まだ床に座り込んでいる林夕をちらりと指さした。林夕はぼんやりとした表情で二人を見上げ、かすかに口元を緩めた。それは、理解と共感の笑みだった。

趙剛は数舜、王麗華の顔をじっと見ていた。それから、ふんと鼻を鳴らす。

「へえ、物好きな女だな。まさか通りすがりの客が、自分から首を差し出しに来るとは思わなかったぜ。いいだろう、望み通りにしてやる。だが、俺のやり方に文句は言うなよ」

「ええ」王麗華は喉を鳴らし、自ら首筋に手をやった。「むしろ……あの人のように、される前に、あんたに抱かれたい。彼女、すごく気持ちよさそうだったもの」

その言葉に、趙剛の目にどす黒い欲情の色が灯った。彼は乱雑に置いてあった工具や金物をどかし、その大きな手で王麗華の肩を掴むと、乱暴にまな板のほうへ押しやった。王麗華はよろめきながらも抵抗せず、むしろその力任せの扱いに、ひそやかな愉悦を感じていた。彼女はまな板の端に手をつき、腰を少し浮かせるような体勢になる。

「靴、脱ぐか?」趙剛が低く笑いながら訊いた。

「そのままがいい……」王麗華は熱っぽい声で答え、自らワンピースの裾をまくり上げにかかった。ストッキングに包まれた太腿が露になる。

趙剛は手早く自分のベルトを外し、後ろから彼女に覆いかぶさった。彼の手は遠慮なく彼女の下着をずらし、濡れそぼった秘部に触れる。王麗華はびくんと身体を跳ねさせ、まな板の上に両手をつっぷした。母親の陳美鳳が流した血がまだ湿っていて、彼女の手のひらにひやりとまとわりつく。その感触が、逆に彼女の昂ぶりを煽った。

「もう、こんなに濡れてやがる。よっぽど待ちきれなかったんだな」趙剛は耳元で嘲るように囁き、一気に奥まで貫いた。

「ああっ……!」

王麗華は背をのけぞらせ、声にならない叫びをあげた。年甲斐もなく、と理性の片隅で誰かが囁くが、そんな声はすぐにかき消される。彼女は自分から腰をくねらせ、趙剛の動きに合わせて淫らに蠢いた。趙剛の腰は容赦なく、まるで先ほど母親や息子にしていたのと同じように、ただ彼女の肉体を貪るように打ちつけられる。店の外では時折、人の気配がするが、もう誰も近寄ろうとはしなかった。むしろ、窓の外から何人かの通行人が、息を潜めて中の様子を覗いている気配さえある。その視線も、今の王麗華にはたまらない媚薬だった。

「見て……見られてる……ああ、駄目、もっと……」

王麗華は哭きながら腰を振り、全身を痙攣させた。趙剛はその反応を愉しむかのように、彼女の首筋に噛みつき、耳たぶを舐め、乱暴に胸を揉みしだく。ワンピースのボタンがいくつか弾け飛び、ブラがずらされて、熟れた乳房が剥き出しになる。それを趙剛の大きな手が無遠慮に掴み、指が食い込んだ。

やがて、王麗華は決定的な波に飲み込まれた。彼女は大きく口を開け、喉の奥から絞り出すような声で絶叫する。

「ああ、イく、イっちゃう……斬って、もう斬ってぇ!」

彼女の内側が激しく収縮し、趙剛自身も低く唸りをあげて熱いものを吐き出した。二人の身体が同時に強張り、獣じみた呼吸だけが店に響く。数舜の沈黙。王麗華は腹の底から込み上げる満足感と、それ以上の虚無感に浸りきっていた。

趙剛はためらわなかった。彼はすぐさま彼女から身を引き、すぐ横に置いてあった包丁を掴んだ。刃にはまだ前の獲物たちの血が乾ききらずに付着している。王麗華は、ぐったりとまな板の上にうつ伏せになりながらも、必死に顔だけ横に向け、うわごとのように呟いた。

「あの子と……林夕ちゃんと、あたしの……首と、身体……『幸福飯店』に、届けて……」

趙剛はそれを聞いても、特に返事はしなかった。ただ、口元に薄気味悪い笑みを浮かべ、包丁を振りかざす。林夕は一瞬息を呑み、それからうっとりとした表情でその瞬間を見つめた。彼女の白い太腿の間を、新たな蜜が伝う。

鈍い風切り音。続いて、ぐしゃりという骨を断つ生々しい音がして、鮮血が噴水のように舞い散った。王麗華の首は、あまりにも呆気なく胴体から離れ、血まみれになった真珠のネックレスを引きちぎりながらごろりと床に転がる。その顔は恍惚に満ち、口元には笑みさえ浮かんでいた。彼女の死体は数度痙攣した後、まな板の上でぐったりと動かなくなった。

趙剛は首を拾い上げ、その髪をわしづかみにして、血の滴るそれを林夕のほうへ掲げて見せた。

「ほらよ、お前の先輩だ。いい顔してるだろう。で、お前はどうする? てめえの首も、まとめてあの料理屋に届けてやろうか?」

林夕は、ゆっくりと立ち上がった。その瞳はもはや迷いを捨て去り、ただ純粋な歓楽への期待だけが燃えている。彼女は一歩、まな板のほうへ歩み寄り、乱れた制服を自分で脱ぎ去り始めた。白いオーバーニーソックスだけが、いやに眩しく、この狂気の空間で異様な輝きを放っている。

「お願い……あたしのことも、一緒に送って……それから、その前に、もっとぐちゃぐちゃにして……」

趙剛の獰猛な笑い声が、金物店の奥に木霊した。外では相変わらず、おぞましいものを目の当たりにしながらも足が竦んだ通行人たちが、息を殺して中の様子を窺っている。血と精液の匂いが混ざり合い、この場所を完全なる解体の楽園へと変えていた。

肉宴の注文

趙剛は血濡れた手をそのままに、胸ポケットから携帯電話を取り出した。金物店の裏手にある作業場には、まだむっとするような鉄錆の匂いが立ち込めている。コンクリートの床には黒ずんだ染みがいくつも重なり、薄暗い蛍光灯の下でそれはまるで古い油絵の具のように鈍く光っていた。

「もしもし、幸福飯店の社長さんかい。俺だ、金物屋の趙剛だ」

彼は受話器を肩と耳で挟みながら、煙草に火をつけた。紫煙が天井に向かってゆらゆらと立ち昇る。電話の向こうからは、厨房特有の喧騒と金属音が微かに漏れ聞こえていた。

「ああ、例の注文の件でね。上等なのが二体、手に入ったんだが……まだ温かいやつだ。いや、鮮度は保証する。たった今、処理したばかりだからな」

趙剛の口元に薄い笑みが浮かぶ。彼は足元に横たわる二つの物体に視線を落とした。林夕と王麗華、つい先ほどまで生きた人間だったものだ。裸体の上に乱雑に掛けられた白い布が、蛍光灯の明かりを吸い込んで不気味な陰影を作っている。

「年齢? 一人は十代後半、もう一人は四十前後だが……こっちはまだなかなかいい身体をしている。肉質も悪くないはずだ。なにしろ生前は贅沢な暮らしをしていた女だからな」

電話の主、幸福飯店の社長は興奮気味に声を上ずらせた。趙剛はその反応を楽しむかのように、わざと間を置いて煙草を深く吸い込む。

「あんた、柳如烟お嬢様の成人の宴があるんだろう? ちょうどいいじゃないか。最高級の女体だ。年若い方は特に柔らかくて、刺身にでもすれば絶品だと思うぜ。ああ、料金はいつもの倍額でどうだ。この品質なら文句は言わせねえ」

社長は即座に承諾した。柳家はこの街きっての名家であり、その令嬢の成人を祝う宴ともなれば、食材には一切の妥協が許されない。生きた人間の肉を使った料理が供されるなどとは露ほども知らぬ柳如烟のために、最高の献立が用意されようとしていた。

「了解。一時間後にトラックを回してくれ。冷凍ボックスに詰めておく。……ああ、頭の部分は別にしてある。好きに飾り付けでもなんでも好きにしろ」

通話を終えた趙剛は、携帯電話を無造作に作業台に投げ出した。彼は腕まくりをし、壁に立てかけてあった分厚いビニールシートを広げる。半透明のビニールは冷たい光沢を放ち、まるで巨大な標本袋のようだった。

まず王麗華の方から取り掛かる。四十を過ぎてもなお豊満な肢体は、死してなお艶めかしい。趙剛はその肉体を乱暴に転がし、ビニールシートの上に仰向けに寝かせた。失われた首の断面からは、既に血の流出はほとんど止まっている。凝固した血液が傷口を塞ぎ、まるで赤い蝋で封印されているかのようだ。

「なかなかいい女だったんだがな……まあ仕方ねえか」

ぶつぶつと呟きながら、趙剛は手際よくビニールシートを折り畳んでいく。まるで贈答品を包装するかのような無駄のない動きだ。王麗華の足先から肩まで、透明な膜がぴったりと身体を覆っていく。肉感のある太腿、腰の曲線、形の良い乳房。それらは全て、ビニール越しに歪んだ像を結んでいる。

一方、林夕の意識は天井近くを漂いながら、黙ってその光景を見つめていた。魂魄と化した彼女にはもはや肉体の重みも痛みも感じられない。ただ、冷たく熱のない視覚だけが世界を認識する手段だった。

(あれが……私なんだ)

ビニールシートに包まれていく自分の身体を見下ろしながら、林夕は奇妙な距離感の中にいた。つい先ほどまで宿っていた器は、今や単なる「物」として扱われている。細身の肢体、白いオーバーニーソックスだけが残された脚、そして失われた頭部。JKという記号だけが、そこから剥奪された存在。

それなのに。

彼女の胸の奥底で、何かが静かに燃え上がるのを感じた。それは安堵にも似た感情だった。長い間、自分が何者でもないという虚無に苛まれてきた少女にとって、この状況はむしろ解放ですらあった。

――必要とされている。

そう思った瞬間、魂だけの林夕は微かに震えた。自分は今、商品として、食材として、確かに誰かに求められている。柳如烟という少女の祝宴で、選び抜かれた料理として供されるために。

(私、ここにいていいんだ……)

趙剛が林夕の身体をビニールシートの上に移す。男性と比べて明らかに細い手足、未成熟とも言えるその肉体を、彼は一瞬の躊躇もなく包み込んでいく。オーバーニーソックスはそのまま残され、白い生地がビニール越しにぼんやりと透けて見えた。

「こっちは本当に若いからな。どんな味がするのか、俺も少し興味がある」

趙剛は喉を鳴らしながら、ガムテープでシートの端を固定した。二つの死体は完全に密閉され、まるで大きな繭のような姿で作業場の床に横たわっている。

彼は立ち上がると、壁際に設置された業務用の冷凍ボックスを開けた。普段は肉や魚を保存するための装置だが、今はその本来の用途とは別の目的で使われようとしている。内部から白い冷気が流れ出し、作業場の空気を一瞬で冷やした。

まず王麗華の包みを持ち上げ、冷凍ボックスの中に滑り込ませる。次に林夕の身体を抱え上げ、同様に収納した。二人分の体積はボックスをぴったりと満たし、蓋を閉めれば外からは何も見えなくなる。

冷凍ボックスが稼働を始めると、低いモーター音が空間に響き渡った。趙剛は煙草の火を揉み消し、壁時計を確認する。約束の時間まであと三十分。

その間、林夕の魂魄はまだその場にとどまっていた。彼女は自分が入っている冷凍ボックスに近づき、現実には触れられない外壁に手を伸ばす。もちろん、指先は何の抵抗もなく透過し、ただ冷たい空気の層を感じ取るだけだった。

(もうすぐだね……)

ぼんやりと考えながら、林夕はボックスの側面に寄り添った。魂と肉体は既に分離しているはずなのに、不思議と温かいものが胸のあたりに広がっている気がした。それが歪んだ欲望の成れの果てであることを、彼女は理解していた。自分は死んで、解体され、誰かの腹を満たすために出荷される。それを受け入れた時、初めて自分という存在が肯定されたのだ。

――もっと早く、こうなればよかった。

外では、大型トラックのエンジン音が近づいてきた。趙剛が鉄製のシャッターを開けると、夜の闇が流れ込んでくる。停車したトラックから、作業服を着た男が二人、無言で降りてきた。

「こいつだ。そっちにはもう伝わっているな?」

「ああ、柳家用の食材だってな。それにしても、いつもながらいい仕事ぶりだよ、趙剛さんは」

男たちは慣れた手つきで冷凍ボックスを持ち上げ、台車に載せてトラックの荷台へと運び込んだ。冷凍ボックスが金属製の荷台に固定され、分厚いロープで縛られる。

林夕の魂はその様子を、すぐそばで見つめていた。彼女は自身が入ったボックスがトラックに積み込まれる瞬間を、まるで卒業式の日の自分を客観視するかのように感じ取っていた。

(いってくるね)

誰にともなく、心の中でそう呟いた。

トラックのエンジンが再び唸りを上げ、排気ガスをまき散らしながら発進する。趙剛は店先で腕を組み、遠ざかっていく車両を見送った。その後ろ姿は、獲物を狩り終えた獣のようであり、同時に次の獲物を待ち望む狩人のようでもあった。

林夕の魂魄はふわりと宙に浮かび上がり、トラックの後を追い始める。街灯の少ない夜道を、冷凍ボックスを積んだトラックが走っていく。彼女はまるで風に運ばれる木の葉のように、抵抗なく空間を滑るように移動した。

車窓を覗き込めば、運転席では二人の男が無愛想にタバコを吸いながら会話している。内容は聞き取れなかったが、時折漏れ聞こえる笑い声から、彼らがこの仕事に何の罪悪感も抱いていないことが窺えた。

(どこに行くんだろう……)

林夕はトラックの速度に合わせて、夜空を漂い続ける。街の明かりが次第に遠ざかり、やがて高級住宅街らしき一画に差し掛かった。柳家の邸宅はその中心にあり、今夜は特別な宴のために煌々と照明が灯されている。遠目からでも、その豪奢さは際立っていた。

トラックは通用口のような場所に停まり、冷凍ボックスは裏方の手によって厨房へと運び込まれていく。林夕の魂はそれを見届けながら、不思議な高揚感に包まれていた。

――私はこれから、誰かの人生の節目に立ち会うんだ。

その歪んだ確信が、彼女の存在を満たしていた。

厨房では既に、包丁を研ぐ音が静かに響いている。料理人たちは冷凍ボックスを開け、中から出てきた二つの包みを興味深げに覗き込んだ。ビニールシートが剥がされる瞬間、林夕の身体が冷たい調理台の上に横たえられる。その傍らには王麗華の肉体も同様に並べられ、二人はただの「素材」として値踏みされ始めた。

「本当に上物だな。特に若い方は、脂の乗りが違うだろうな」

「刺し盛りと、あとは煮込みにするか。スープも取れるぞ」

そんな会話が交わされる中、林夕は天井近くから自分を見下ろしていた。

(綺麗に使ってね)

彼女の心は、もはやどこまでも静かだった。