严喆珂的留学生活—主人的任务篇

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# 第一章 秋の終わり、コンスタント・シティには冷たい風が吹き始めていた。キャンパスの並木道では、赤や黄色に染まった葉が風に舞い、地面を彩っている。そんな季節の訪れを感じさせるある日の午後、厳喆珂はキャンパス内のカフェテリアで一人、ラップトップを開いていた。 画面の向こう側には、彼女の夫である楼成の笑顔があった。武道の
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章节 1

# 第一章

秋の終わり、コンスタント・シティには冷たい風が吹き始めていた。キャンパスの並木道では、赤や黄色に染まった葉が風に舞い、地面を彩っている。そんな季節の訪れを感じさせるある日の午後、厳喆珂はキャンパス内のカフェテリアで一人、ラップトップを開いていた。

画面の向こう側には、彼女の夫である楼成の笑顔があった。武道の試合でますます名を上げている彼は、最近も全国大会で素晴らしい成績を収めたばかりだ。

「珂珂、そっちは寒くなってきたろ?ちゃんと暖かくしてるか?」

楼成の声がイヤホンから聞こえてくる。彼の声を聞くだけで、心が落ち着くのを感じる。結婚してからというもの、二人の絆はより一層強くなっていた。

「うん、大丈夫だよ。楼成、あなたこそ、試合で無理してない?」

「俺はプロの武道家だぞ。それに、お前のためにも強くなりたいんだ。海外で頑張ってる珂珂に負けてられないからな」

その言葉に、厳喆珂はほほえみを浮かべた。結婚式を終え、すぐに留学の準備を始めた日々を思い出す。楼成との新婚生活はわずか一ヶ月足らずだったが、その短い間に彼女は彼のすべてを全身で感じ取った。初めての夜、彼のたくましい腕に抱かれ、彼女は女としての悦びを知った。あの瞬間、彼女の中で何かが永久に変わったのだ。

「楼成、次に会う時までに、私はもっと成長しているよ。金融の知識をしっかり身につけて、帰国したらあなたの役に立ちたい」

「俺もだ。珂珂、愛してる」

「私も…愛してる」

ビデオ通話を終え、厳喆珂はラップトップを閉じた。キャンパスを歩きながら、彼女はふと周囲を見渡した。コンスタント大学は全米でも有数の名門校だ。キャンパス内の建築物は古風でありながらも、最先端の設備を備えている。そんな環境の中で、彼女は武者としての鍛錬も怠ってはいなかった。

毎朝五時に起床し、キャンパスの隅にある静かな林の中で、武道の稽古を行う。職業九品という位は、武道の世界ではまだまだ入り口に過ぎない。楼成は既に五品の非人級武者だ。彼に追いつくためには、日々の努力が欠かせない。

入学から一ヶ月が経ったある金曜日の夕方、クラスメートのサラが声をかけてきた。

「ねえ、珂珂。今夜、新入生歓迎パーティーがあるんだけど、来ない?」

サラは金髪のショートヘアが似合う、明るく社交的なアメリカ人女性だ。彼女の誘いはいつも楽しそうなものばかりで、厳喆珂も何度か彼女の誘いを受けたことがあった。

「今夜?そうだな…特に予定はないけど」

「決まりね!場所はキャンパスの南にある『ブルーオーシャン』っていうバーよ。八時から始まるから。みんなで楽しみましょう!」

サラの熱意に押され、厳喆珂は参加を決めた。彼女は普段あまり派手な場所には行かない方だが、留学生活も始まったばかり。同級生との交流も大切だと思ったのだ。

午後七時半、厖喆珂は寮の部屋で支度を整えていた。鏡の前で、彼女は軽く化粧を施す。普段のすっぴんも美しいが、今夜は少しだけドレスアップしようと思った。薄いピンクの口紅と、アイシャドウをほんの少し。髪は後ろでゆるくまとめ、白いブラウスに黒のスカートというシンプルな装いだ。

「よし、行こう」

彼女はバッグを持ち、部屋を出た。キャンパスを抜け、南へ十分ほど歩いたところにそのバーはあった。外観は落ち着いた雰囲気で、店内からはジャズの流れる音が聞こえてくる。

ドアを開けると、既に多くの学生が集まっていた。サラが手を振っている。

「珂珂!こっちよ!」

サラの隣には、見知った顔がいくつかあった。同じクラスの中国人留学生のリーチェン、そして…マークというアメリカ人男子学生もいる。

マークはいつもニコニコと笑顔を絶やさない好青年だ。しかし、厳喆珂は彼の視線に時折不気味なものを感じることがあった。特に、彼が自分を見る時の目つきが、どこか深く沈んでいるように思えるのだ。

「こんばんは、みなさん」

「珂珂さん、こっちに座ってくださいよ」

マークが隣の席を勧める。厖喆珂は少し迷ったが、断るのも失礼かと思い、その席に座った。

パーティーは和やかな雰囲気で進んでいった。飲み物は各自でバーカウンターから取ってくるスタイルだ。厖喆珂はオレンジジュースを選んだ。酒はあまり強くないし、武道の鍛錬にも差し支えるからだ。

「珂珂さん、武道をやってるんですって?すごいですね」

マークが話しかけてくる。彼の日本語は少し訛りがあるが、流暢だ。

「はい、少しだけ。武道が好きで、子どもの頃から続けています」

「かっこいいですね。僕も武道に興味があるんです。今度、よかったら教えてくれませんか?」

「そうですね…時間があれば」

会話は他愛ないものだった。しかし、マークの視線は常に厳喆珂の体をなぞるように動いていた。彼女はその視線に気づいていたが、あえて気にしないようにした。

パーティーが始まって一時間ほど経った頃、厖喆珂は軽いめまいを感じ始めた。最初は気のせいかと思ったが、次第にそれが確かな異変へと変わっていく。

(おかしい…。オレンジジュースしか飲んでいないのに)

彼女の職業九品の武者としての感覚が警鐘を鳴らしていた。この感覚は、武道の修行で鍛えられた第六感に近い。何かがおかしい。

さらに数分が経過し、彼女の意識は徐々にぼんやりとしてきた。体の力が抜けていくような感覚。手足が鉛のように重くなっていく。

(これは…薬を盛られた?)

厖喆珂は必死に冷静さを保とうとした。彼女の体内には、武道の修行によって培われた高度な抵抗力が備わっている。だが、それでも完全に打ち勝てるほどのものではないようだった。

「すみません、ちょっと気分が…」

厖喆珂は立ち上がった。周りの学生たちは盛り上がっており、彼女の異変に気づく者はほとんどいなかった。ただ、マークだけが彼女の一挙一動を追うように見つめていた。

彼女はバーを出て、外の空気を吸おうとした。冷たい夜風が彼女の頬を打つ。しかし、めまいは収まらず、むしろ悪化しているようだった。

(誰かに見られてはいけない…この状態は危険だ)

武者としての本能が彼女にそう告げていた。人目に付かない場所に行かねば。彼女はキャンパスの方へと歩き出したが、バランスを崩してよろめく。道行く人が振り返る。

「大丈夫ですか?」

見知らぬ男性が声をかけてきた。厖喆珂は無理に笑顔を作る。

「大丈夫です…ちょっと飲み過ぎたみたいで」

彼女はそう言って、なんとか歩き続けた。しかし、意識はもうろうとし始め、目の前がかすんでいく。

(誰かに連絡しなければ…でも、連絡先が…)

彼女はバッグの中のスマートフォンを探ろうとしたが、指がうまく動かない。楼成に電話したい。でも、時差がある今の時間は、彼は朝の稽古中だ。それに、彼に心配をかけたくない。

そう考えているうちに、彼女は気づかないうちに人気のない通りへと足を向けていた。建物と建物の間の狭い路地。街灯の明かりも届かない暗闇の中を、彼女はふらふらと進んでいく。

(もう…だめだ…)

壁に手をつき、なんとか立っていようとするが、膝の力が抜けていく。職業九品の武者としての身体能力も、この強力な薬の前には無力だった。

そして、彼女の膝が地面に着こうとした瞬間、誰かの腕が彼女の体を支えた。

「珂珂さん?大丈夫ですか?」

その声に、厖喆珂はかすかに意識を保ちながら顔を上げた。そこには笑顔のマークが立っていた。

「マーク…さん…?私は…」

「具合が悪そうですね。送っていきましょう」

彼の声は優しかった。しかし、その目は獲物を見つけた捕食者のようにぎらついていた。

「いや…大丈夫…一人で…」

「そんな状態で一人にするわけにはいきませんよ。よかったら、近くのホテルで少し休みませんか?」

「ホテル…?いいえ…寮に…」

「でも、寮までは遠いですよ。それに、こんな状態で歩くのは危険です」

マークはそう言いながら、自分の上着を脱いで、厖喆珂の頭を覆うようにかぶせた。

「何かの匂いが強いですね。風邪かもしれません。あったかくしてあげないと」

その言葉とは裏腹に、彼の行動には迷いがなかった。彼は厖喆珂の体を優しく抱き上げた。彼女の意識は朦朧として、何が起きているのかもはや理解できていなかった。

路地を出て、数分歩くと、小さな宿泊施設が見えてきた。「スリーピー・イン」という看板がかすかに光っている。マークはそのドアを押し開けた。

フロントには中年の女性が座っていた。

「ルームをお願いします」

「一泊ですか?」

「ええ、一泊で」

彼はカウンターに現金を置いた。フロントの女性は、彼の腕の中で意識を失っている女性を見て、一瞬躊躇したような表情を見せたが、何も言わずに鍵を差し出した。

部屋は二階の角部屋だった。狭いシングルルームで、ベッドと小さな机、テレビがあるだけの簡素な造りだ。カーテンは分厚く、外の光が差し込むことはない。

マークは厖喆珂をベッドに横たえた。彼女の意識は完全に失われている。規則正しい呼吸をしているが、体は完全に脱力していた。

彼は部屋の鍵を確認し、カーテンをしっかりと閉めた。そして、バッグから一台のビデオカメラを取り出した。小型で高性能なカメラだ。彼はそれを机の上にセットし、ベッド全体が映るように調整した。

「ようやく…この日が来たな」

マークの声が、静かな部屋に響く。彼の顔には、今まで隠してきた欲望がむき出しになっていた。

最初に彼女のブラウスのボタンを外した。白いブラウスの下には、淡いピンクのブラジャーが隠れている。彼女の肌は陶器のように滑らかで、白く、そして温かい。

「本当に綺麗だ…」

彼はゆっくりと彼女の衣服を脱がせていった。スカート、ストッキング、そして下着まで。すべてが丁寧に脱がされ、床に落とされる。

全裸になった厖喆珂の体は、武者として鍛えられた引き締まった筋肉と、女としての柔らかな曲線が絶妙に調和していた。彼女の胸は形が整っており、健康的な美しさを放っている。

マークは自分の服も脱ぎ始めた。彼の体は普通の男よりは鍛えられているが、楼成のような武道家には到底及ばない。しかし、今はそれが重要ではない。彼は今、この美しい女性を自分のものにできるのだ。

彼はベッドに上り、厖喆珂の体の上に覆いかぶさった。彼女の目は閉じられ、口元はわずかに開いている。その唇に彼は自分の唇を重ねた。彼女は何の反応も示さない。ただ、無防備にそこにあるだけだ。

「ふふ…いくぞ」

彼の手が彼女の胸を撫で始める。指先で敏感な部分を刺激しながら、もう一方の手で彼女の腰を抱く。彼女の肌は柔らかく、汗の匂いがかすかに混じった花のような香りがした。

「結婚してるって言ってたけど…そんなことは関係ない。今、お前は俺のものだ」

彼は彼女の脚を広げ、自身の勃起した性器を彼女の股間へと導いた。入り口で一瞬止まり、そして一気に突き入れた。

彼女の体は内側から引き裂かれるような衝撃を受け、無意識のうちに体が弓なりになった。それでも彼女は目を覚まさない。マークはそのまま腰を振り始めた。

「はあ…はあ…中が熱い…」

彼の動きが速くなる。彼女の体は彼の動きに合わせて揺れ、ベッドのスプリングが軋む音が部屋に響く。

約十分後、彼は彼女の中で果てた。精液が彼女の体内に流れ込む。彼は一度に満足せず、体位を変えて再び彼女の中に入り直した。今度は彼女をうつ伏せにし、後ろから貫く。

「お前の夫は…知らないんだろうな…こんなに綺麗な妻が…他の男に抱かれていることを…」

彼は笑いながら腰を動かし続けた。三度目には、彼女を仰向けにし、両脚を抱え上げて深く穿った。その間、ビデオカメラは一切の動きを逃さず記録し続けていた。

すべてが終わったのは、夜中の二時を回った頃だった。マークは満足げに彼女の体を一撫でした後、ベッドから降りた。カメラの電源を切り、記録された映像を確認する。完璧な画質で、彼女の顔も、体も、すべてが鮮明に映っていた。

「これで…お前は永遠に俺のものだ」

彼は衣服を整え、部屋を後にした。後片付けもせず、ただ厖喆珂を裸のままベッドに残して。

数時間後、窓の外が明るくなり始めた頃、厖喆珂の意識が徐々に戻ってきた。最初に感じたのは、全身を襲うだるさと、下半身の痛みだった。

「…ここは…?」

彼女の目の前に広がるのは、見知らぬ天井。体を起こそうとして、自分が裸であることに気づく。胸元には無数の赤い痕がついていた。

「何…これ…?」

彼女の記憶は断片的だった。パーティーでおかしくなって…路地で倒れて…そして…

(あの男が…)

彼女の体に残された感覚が、何が起こったかを如実に物語っていた。密室で、無防備な状態で、誰かに…。

涙が溢れ出した。彼女はシーツを体に巻きつけ、自分の膝を抱えた。武者として鍛えられた体は、しかし今はただ震えるだけだった。

「楼成…ごめんなさい…」

彼女の嗚咽が、朝の静かな部屋に響き渡った。

そこからどうやって寮に戻ったのか、彼女はほとんど覚えていなかった。ただ、自分を責める気持ちと、何よりも楼成に対して申し訳ないという思いが、彼女の心を占めていた。

その日の午後、彼女のスマートフォンに一通のメッセージが届いた。

「おはよう、珂珂。昨夜は楽しかったよ。これからもよろしく。マークより」

そのメッセージには、一枚の写真が添付されていた。それは、昨夜の光景を撮影したものだった。彼女が裸でベッドに横たわり、意識を失っている写真。

厖喆珂の手が震えた。彼女はすぐにそのメッセージを削除しようとしたが、その前に次のメッセージが届いた。

「写真は他にもたくさんあるよ。もし誰かに話したら、全部ネットにアップするからね。それに、君の夫にも見せてあげるよ。どう思うかな?世界一有名な夫婦のスキャンダルって」

彼女はそのメッセージを読み終え、スマートフォンを床に落とした。涙が再び溢れ出し、彼女はその場に崩れ落ちた。

あの日の出会いから、すべてが間違っていたのだ。もしパーティーに行かなければ、もしマークという男に気をつけていれば…。

しかし、時は戻らない。彼女の人生は、あの一夜で永遠に変わってしまったのだ。

そして、彼女はまだ知らなかった。このメッセージが、彼女を奈落の底へと突き落とす最初の一歩に過ぎないことを。

章节 10

週末の朝が来た。窓の外はどんよりと曇り、冷たい風がカーテンを揺らしている。ベッドの上で、私はスマートフォンの画面を見つめていた。主人からの新しい任務、それが画面に表示されている。

「今日はペットショップに行け。店長の指示に従うこと。それ以外のことは何も考えるな。」

簡潔な命令文。私はそれだけを読んで、深く息を吸い込んだ。もう何度もこんな任務をこなしてきた。最初は抵抗したくなった。でも今は違う。ただ淡々と、言われた通りにするだけだ。

私はゆっくりとベッドから起き上がり、クローゼットから適当な服を選んだ。薄手のセーターにジーンズ、それにコート。普通の女子大生が週末に着るような、何の変哲もない服装。外見だけは、まだ「私」でいられる。

ペットショップはキャンパスから少し離れた場所にあった。私はバスに乗り、窓の外を流れる景色をぼんやりと眺めていた。この街に来てからもう数ヶ月が経つ。最初はすべてが新鮮だった。新しい言語、新しい文化、新しい人々。でも今は、すべてがぼやけて見える。現実なのか、それとも何か別の世界にいるのか、自分でもよくわからなくなっていた。

「ペットショップ ハッピーテイル」

その看板が目に入った。私はバスを降り、店の前に立った。ショーウィンドウには、かわいらしい犬のベッドやリード、おもちゃが飾ってある。普通のペットショップ。でも今日は、ここが私の任務の現場になる。

私はドアを押し開けた。中に入ると、ベルがチリンチリンと鳴った。店内は清潔で、ペットフードやアクセサリーが整然と並んでいる。奥の方から、若い女性の店員が出てきた。

「いらっしゃいませ。何かお探しですか?」

私は少し間を置いてから言った。「あの…店長に来たことを伝えてください。任務で来ました。」

店員の表情が一瞬変わった。彼女は何かを理解したように軽くうなずき、「少々お待ちください」と言って奥へ消えた。

数分後、一人の男性が現れた。40代くらいの男性で、少し白髪が混じった髪を後ろに撫でつけている。彼は私を見て、奇妙な目つきでじろじろと見回した。その視線は私の全身をなめるように動き、最後に私の目を見て、口元に薄い笑みを浮かべた。

「君かい…。話は聞いている。こっちへ来なさい。」

そう言って、彼は奥のドアを指さした。私は無言で従った。店内の清潔な空間から、一歩奥へ進むと、そこは違う世界が広がっていた。消毒液の匂いが鼻をつく。タイル張りの部屋には、ステンレスのテーブルやシャワーヘッド、それにケージがいくつも置かれている。

ペットのトリミングルームだ。

「服を脱ぎなさい。全部だ。」

店長の声が冷たく響いた。私は一瞬ためらった。心のどこかで、まだ抵抗する自分がいた。でも、すぐに主人の顔が頭に浮かんだ。あの動画。マークが持っている、私の、あの動画。

私はゆっくりと服を脱ぎ始めた。セーター、ジーンズ、下着。すべてを脱ぎ捨て、裸になった。冷たい空気が肌に触れる。店長は無言で私を見ている。その視線は、まるで商品を値踏みするかのようだった。

「こっちへ来い。」

彼はシャワーエリアの隣にある小さな部屋を指さした。そこには低いテーブルと、何かの器具が置いてあった。私は従った。心臓はドキドキと鳴っているけれど、声を出すことはしなかった。

女性店員が私の腕を取り、優しくも確かな手つきで私をテーブルにうつ伏せにさせた。冷たく硬いテーブルの感触が、胸と頬に伝わる。

「最初に浣腸をします。三回行いますので、しっかりと耐えてください。」

店員の声は事務的だった。私は何も答えなかった。ただ、されるがままになった。温かい液体が体内に流し込まれていく。膨張する感覚に、思わず体が強張る。でも、我慢しなければ。主人が言う通りに、すべてに従わなければ。

我慢して、耐えて、流し出す。その繰り返しが三回続いた。体の中が空っぽになっていく感覚。何もかも洗い流されているようだった。

最後に、清潔なタオルで体を拭かれた。次に、シャワーエリアに連れて行かれ、全身を丁寧に洗われた。髪も、顔も、体中を、店員の手が動く。まるで本物の犬を洗っているかのような、一匹の動物を扱うような手つきだった。

すべてが終わると、店員は私に新しいものを装着し始めた。首には革製の首輪。そして、頭には犬の耳を模したカチューシャ。私の背を丸くさせると、腰のベルトに取り付けられた犬の尻尾が挿入された。ぬめるような異物感に、思わず声が出そうになる。でも、唇を噛みしめて耐えた。

「できましたよ。」

店員がそう言うと、店長が再び部屋に入ってきた。彼は私の姿を見て、満足げに笑った。

「うむ。よく似合っている。まったくの犬だな。」

私は何も言えなかった。かつて私は武道の天才と呼ばれていた。9品の职业級武者。強く、誇り高かった。でも今、私はペットショップで、裸に犬の耳と尻尾をつけられて、立っていることさえ許されず、四つん這いで床に伏していた。

店長が私の前にかがみ込み、一枚の書類をテーブルに置いた。

「これは母狗契約書だ。ここにサインをしろ。」

私はその書類を読んだ。そこには、私自身をペットとして差し出すこと。飼い主の命令に絶対服従すること。どんな扱いも受け入れること。そういった条項が並んでいた。そして、一番下には署名欄があった。

私の手が震えた。ペンを握る指が、力なく動く。一度はペンを置きかけた。でも、マークの顔が浮かぶ。あの動画が。もし拒否すれば、あれが楼成の元に送られる。彼は知らない。何も知らないで、私を待っている。

私はペンを握り直し、震える手で署名した。

「嚴喆珂」

その三文字が、契約書の上に刻まれた。私の意志が、ここに葬られた気がした。

店長は満足げに契約書を手に取り、確認してから端末で何かを打ち込んだ。

「よし。そろそろ配達員が来るはずだ。」

その言葉と同時に、店の入り口のベルが鳴った。店長は軽く笑い、「ちょうどいいタイミングだ」と言って、一旦部屋を出た。数分後、彼は一人の男を連れて戻ってきた。男は作業服を着ていて、帽子を深くかぶっている。年齢は30代くらいだろうか。

「これが今日の商品だ。」

店長が私を指さした。男は私を見て、にやりと笑った。そして、私の前に歩み寄り、しゃがみ込んだ。

「へえ、いい女じゃねえか。顔も可愛いし、体もちゃんとしてる。」

そう言いながら、彼の手が私の胸に伸びた。私の乳房を包み込み、揉みしだく。その感触に、私は一瞬息を呑んだ。でも、何も言わなかった。契約書にサインした時点で、私はペットだ。反抗する権利はない。

「おいおい、ちゃんと仕事しろよ。傷をつけるな。」

店長がたしなめるように言った。男は「わかってるって」と言って手を離したが、未練がましい目つきで私の体を見ていた。

「じゃあ、連れて行くよ。」

彼は私の首輪にリードを取り付けた。そして、私は四つん這いのまま、ペットショップの店内を通り、表へ出された。冷たい風が、裸の肌を叩く。通行人が一瞬驚いたような顔を見せたが、すぐに視線を外す。この街では、ある種の“特殊なペット”を連れて歩く人もいるらしい。誰も口出しはしなかった。

配達用のトラックが止まっていた。男は後部ドアを開け、私を車内に促した。車内は殺風景で、いくつかの段ボール箱と、そして、狗籠が置いてあった。その籠は、大きな犬用のもので、中には毛布が敷いてあった。

「さあ、お利口さんで入れよ。」

男の手が私の肩を押した。私は籠の中に入れられた。中は狭く、立つことはできず、うつ伏せに横たわることしかできなかった。男は私の腕を縛り上げ、次に目隠しをされた。革のベルトが目の上に巻かれ、何も見えなくなる。さらに、口にはガム状のものを噛まされ、その上から革のベルトで固定された。唾が少しずつ漏れるけれど、飲み込むことも満足にできない。

「これでよし。」

籠の扉が閉まる音がした。そして、エンジン音が車内に響き、トラックが走り出した。私はただ、暗闇の中で揺られるだけだった。何も見えず、何も言えず、ただ時が過ぎるのを待つ。

しばらくして、トラックが停まった。エンジン音が静まり、外から話し声が聞こえる。「はい、配達です。サインお願いします。」という声。そして、別の足音が近づいてくる。

籠の扉が開かれる音。冷たい空気が流れ込む。

「お待たせしました。主人様がお迎えですよ。」

男の声が耳元で聞こえた。その言葉は、マークを想起させる。でも、違うかもしれない。主人はもしかしたら、別人かもしれない。私は主人の本当の名前すら知らないのだから。

腕が解かれた。体を起こされ、籠から引きずり出された。足が地面に着く。何も見えない。何も聞こえない。ただ、リードが引かれ、どこかへ連れて行かれる感覚だけがある。

しばらく歩いた後、扉の開く音がして、室内に入る匂いがした。暖かい。柔らかい絨毯のような足触り。たぶん、誰かの家だ。

「うん、よく届いたな。」

その声に、私ははっとした。聞き覚えのある声だ。マーク?いや、違うかも。でも、どこかで聞いたような。

リードがどこかに固定された。私はその場に四つん這いで立たされた。

「お前、この一週間、どうしてた?」

その声が、私の耳元でささやいた。私は首をかしげる。答え方がわからない。口にはまだガムが入っている。私は「んんっ」としか言えなかった。

「ああ、そうか。外せばいいんだな。」

そう言って、誰かの手が私の口元に触れた。ベルトが外され、ガムが取り出される。私は自由になった口で、小さく「主人…」と言った。

「いい子だ。でも、まだ何も見えていないな。」

手が目隠しに触れた。でも、まだ外さない。

「まずはお前を確かめたい。目隠しをしたまま、俺の体を確かめろ。」

その声に、私は従った。手を伸ばして、触れる。まずは胸。筋肉質だ。次に肩。首を撫でる。そして、顔。指が、鼻をたどり、頬をなぞる。口元、あご…。でも、まだわからない。どこかで触れたことがある気がするのに。

「もっと下だ。」

その指示に従い、私の手は彼の腰に触れた。服装はラフなシャツとジーンズ。その下に、筋肉質の体が隠れている気がする。そして、手はさらに下へ。

「もういい。」

彼は私の手を掴み、自分の手で私の目隠しを外した。

一瞬、光が差し込んだ。目の前に映ったのは、金髪の髪。青い瞳。整った顔立ち。誰よりもよく知っている顔。

「マーク…」

その声が、自然と口から漏れた。

マークは微笑んでいた。優しい笑顔。いつもの笑顔。でも、その目は、獲物を見る捕食者のものだった。

「久しぶり、珂。いい子にしてたか?」

私は言葉を失った。そういうことか。すべてはマークの仕業だった。あの日、あの飲み会で気付いたら何もわからなくなって。起きたら裸で、動画を撮られて。それからずっと、主人と呼ばれる誰かに操られていた。その誰かはマークだったんだ。

「どうした?驚いたか?」

マークは私の前にしゃがみ込み、私の頬に手を触れた。優しい手つき。でも、その手は私の首輪に触れた。

「この首輪、よく似合ってるぜ。俺のペットらしい。」

私は彼を見つめる。怒りも、悲しみも、憎しみも、いろんな感情が胸の中で渦巻いていた。でも、なぜだろう。そのすべてが、ひとつの感情に飲み込まれていく。

マークの目を見ているうちに、私の胸の奥で、何かが溶けていった。抵抗しようとしていた最後の力が、くずおれるように消えていった。この数週間、何度も何度も、主人の命令に従ってきた。その中で、自分の意志なんて意味がないことを思い知った。楼成の元にいれば、私はただの妻だ。強くて、誇り高くて、でも、やっぱり普通の女の子だ。でもここでは、主人のペットとして生きる。それだけだ。それが、むしろ楽かもしれない。

私はゆっくりと、マークの足元に頭を下げた。大学の友人、私を好きだと言ったマーク。そして今、私の主人。

「主人…」

かすれた声でそう言った。マークは私の頭を撫でた。優しく、でも、確かな力で。

「いい子だ珂。お前は俺の母狗だ。それ以上でも以下でもない。わかってるな?」

「はい…、主人…」

私は答えた。心の中で、もう何も抵抗しなかった。私はもう、武道の天才ではない。楼成の妻でもない。ただ、マークのペットだ。それでいい。

マークは私のあごを持ち上げ、自分の目をのぞき込ませた。

「これで、お前は完全に俺のものだ。もう戻れないぞ。」

私はうなずいた。涙が一筋、頬を伝った。でも、それは何の涙だったのか、自分でもわからなかった。

彼の手が、私の犬耳に触れる。私はそれに甘えて、しっぽを振る仕草をした。偽物のしっぽが揺れる。

「いい子だ。明日からまた新しい訓練を始めるぞ。楽しみにしてろ。」

そう言って、彼は私の頭を軽く叩いた。

私は床に伏せた。マークの足元で、犬のように、ペットのように。

これで終わりだ。私の意志は、もう何も残っていない。ただ、主人の命令に従うだけ。それが、嚴喆珂の新しい人生だ。

章节 2

目が覚めた瞬間、全身に鉛を流し込まれたような感覚が広がっていた。

何かがおかしい。

嚴喆珂は最初、自分がまだ夢の中にいるのだと思った。しかし、意識がはっきりと覚醒するにつれて、それが甘い幻想に過ぎなかったことを思い知らされる。視界は完全に闇に閉ざされていた。目の周りに何か柔らかい布のようなものが巻き付けられ、ぴったりと密着している。口の中には異物が詰め込まれていた。球状のシリコンが舌を押し付け、唾液が止めどなく溢れ出るが、飲み込むこともできずに顎を伝って首へと流れ落ちていく。口枷だ──即座に理解した。

手足にも同じような違和感があった。手首と足首を何かで縛られ、背後で固く結ばれている。力を込めようとしても、全身が鉛のように重く、指一本まともに動かせない。薬だ。何か薬を盛られた。武道家としての感覚が警鐘を鳴らす。職業九品の武者である自分が、これほど無力な状態に陥るなんて──心の奥底で恐怖が沸き上がる。

そして、その恐怖をさらに掻き立てるものがあった。

下腹部に、生々しい熱と圧迫感。

自分の身体の中に、何かが入っている。質量のある、人間の体温と同じくらいに温かいものが、ゆっくりと出入りしている。その動きは規則的で、時折深く突き込まれるたびに、內臓の奥まで圧迫されるような感覚があった。嫌悪感が全身を駆け巡った。何が起きているのか、理解したくなかった。けれど、身体は正直にその感覚を脳に伝達し、理解を強要する。

誰かが、自分を犯している。

「ん──っ! んん──!」

聲を上げようと試みるが、口枷に阻まれてくぐもった嗚咽しか出てこない。上半身を捩って抵抗しようとするが、薬で弛緩した筋肉は思うように動かず、かすかに身体が震えるだけだった。

その時、下腹部の動きがピタリと止まった。

逃れようもない沈黙が部屋を支配する。自分の荒い呼吸だけが、口枷を通して漏れ聞こえてくる。誰かが近くにいる。犯人が、自分を見ている。その視線を感じた。

そして、聲が聞こえてきた。

「目が覚めたか」

機械的で、感情のない聲だった。明らかに人の聲ではない。変聲器を通した、合成音のような平板な音色。男か女かすら判別できない、不気味な声。

「これから、お前は俺の性奴隷だ」

言葉の意味が、一瞬遅れて脳に浸透してくる。性奴隷。その言葉の持つ重みが、全身を押し潰そうとした。

「俺はお前の主人だ。これから、リモートでお前に任務を指示する。従え。もし従わなければ」

一呼吸の間。

「お前をレイプしている映像を、夫に送る」

全身の血液が凍りつくような感覚だった。

夫──楼成。武道の頂点を目指す、非人級武者である楼成。彼のことを思うだけで、胸が締め付けられる。大好きな人。結婚して、初めて全てを捧げた人。そんな彼に、こんな辱めを受ける自分を見せるわけにはいかない。絶対に、絶対にダメだ。

「そして、俺の身元を調査しようとするな。もし調べれば、同じように映像を夫に送る」

言葉が、一つ一つが刃となって心臓に突き刺さる。

「分かったか?」

返事を強要するような間があった。だが、口枷を嵌められたままでは言葉を発することができない。代わりに、嚴喆珂は小さく頷いた──わずかに、震えるように。

それに満足したのか、犯人はさらに続けた。

「これから口枷を外す。悲鳴を上げるな。大声を出せば、すぐに映像を送信する。分かったら、もう一度頷け」

再び、小さく頷いた。

犯人に呼応するように、後頭部のバックルが外され、口の中の異物が引き抜かれた。唾液が糸を引いて、シリコン製の球体から垂れる。

「よくできた」

すると、犯人が何事かを囁く。合成音の声がさらに近づき、耳元で響く。侮辱的な言葉が並べられた後、突然、口元に冷たいプラスチックが押し付けられた。ストローだ。水を差し出している。一瞬迷ったが、喉の渇きに負けて、嚴喆珂はストローから水を吸った。

犯人が満足げな息を漏らす。

それから、部屋の中に物音が響いた。衣類を整える音。そして、足音がドアの方へと遠ざかっていく。

「言った通りにしろよ」

最後にそれだけを殘し、ドアの開閉音が聞こえた。そして、部屋は完全な靜寂に包まれた。

しばらくの間、嚴喆珂は動けなかった。全身の力が抜け、まるで抜け殻のようだった。しかし、次第に薬の効果が薄れていくのを感じた。職業九品の武者としての回復力が、少しずつ身体の自由を取り戻していく。指先が微かに動く。手首の縄はしっかりと結ばれていたが、力が戻れば、こんなものは何の障害にもならない。

一気に全身に力を込める。筋肉が膨張し、布製の縄が悲鳴を上げるように軋む。さらに力を込めると、バツンという乾いた音と共に、手首の拘束が弾け飛んだ。

すぐに目の覆いを引きはがす。

部屋は、自分のアパートだった。見慣れた天井、ベッドサイドのランプ、勉強用のデスク。すべてがいつも通りだった。ただ、自分の姿だけが、いつもとは全く違っていた。衣服は乱れ、シーツは無慘に汚されていた。

足首の縄も引きちぎり、ベッドから転がり落ちるようにして立ち上がる。足がもつれて、よろめきながらも壁に手をついてバランスを取る。

浴室に向かった。鏡に映る自分の姿は、見るも無慘だった。髪は亂れ、目は潤み、頬には涙の跡が乾いている。

蛇口をひねり、湯を流す。まずは何よりも、この汚れを落としたかった。

服を脱ぎ捨て、シャワーの下に立つ。熱い湯が頭から全身を濡らし、肌を伝って流れ落ちる。ボディソープを手に取り、全身を擦った。何度も、何度も。肌が赤くなるまで擦り続けた。特に下腹部は、何度も何度も洗った。しかし、どんなに洗っても、あの生々しい感覚が消えてくれない。肌の表面はきれいになっても、心の奧のほうで、何かがズッシリと沈殿し続けている。

もう一度、もう一度と繰り返すうちに、肌は真っ赤に腫れ上がっていた。それでも、止められなかった。身体中を擦り続け、やがて力尽きてシャワールームの床に座り込んだ。流れ落ちる湯が、音を立てて排水溝へ消えていく。

泣きたかった。しかし、涙はもう出なかった。

あの男は誰だ。なぜ、自分を狙ったのか。考えられる可能性を必死に辿るが、見當がつかない。この留學先で、自分はごく普通の學生として暮らしていた。派手な生活はしていないし、敵を作るようなこともしていない。

ただ一つだけ確かなことは、あの男は自分のことを知っているということだ。楼成の存在を知っていて、それを脅迫の材料に使っている。

恐怖が再び襲ってくる。楼成に知られたくない。あんな映像を、絶対に見せられない。

浴室から上がると、裸のままベッドの端に座り込んだ。シーツを見ると、あの時の痕跡が生々しく殘っている。気持ち悪くて、すぐにシーツを剥がしてゴミ袋に放り込んだ。

それから、部屋の中を見回した。何か痕跡はないか。あの男が殘したものはないか。しかし、部屋はいつも通りで、侵入者がいたことなど微塵も感じさせなかった。玄関の鍵は無事で、窓も閉まっている。

どうやって入ってきたのか。どうやって薬を盛ったのか。

考えれば考えるほど、恐怖は深まるばかりだった。

結果的に、あの日、嚴喆珂は一睡もできなかった。

---

それから、時に経つのは残酷なほど早かった。

翌日、朝になると、スマートフォンに一通のメールが屆いていた。送信者は匿名、タイトルは「任務1」。

開くのを躊躇した。しかし、もし無視すれば映像を送ると言われている。震える指でメールを開く。

そこには、簡潔な指示が書かれていた。

「今夜、街で寫真を撮れ。服裝はこの通り」

添付されていた画像には、極めて薄い生地のランジェリーセットが寫っていた。ほとんど透けている。それを着て、夜の街に立ち、寫真を撮れというのだ。

胃のあたりが重くなる。こんな格好で外に出ろというのか。恥辱で全身が熱くなるが、拒否する選択肢はない。スマホを握りしめ、ぎゅっと目を閉じる。

そして、その夜。

嚴喆珂は指示された通り、あの薄っぺらな下著を身に着け、薄手のコートを羽織って外に出た。夜風が肌を刺す。誰もいない路地を選び、何度も周囲を確認してから、コートを脫いだ。フラッシュが燈り、自分の姿がスマホの畫面に映る。

早く、早く終わらせなければ。

寫真を數枚撮り、指定されたアドレスに送信する。送信完了の表示を見た瞬間、すぐにコートを羽織り、足早にアパートへ戻った。

部屋に帰り、亂暴に下著を脫ぎ捨てて、シャワーを浴びる。また身體を擦る。昨夜と同じように、赤くなるまで。

次の日。またメールが屆く。

「任務2」

今度は、正常な服裝。しかし、その下に條件があった。小穴と後庭に、それぞれ指定されたサイズの器具を入れ、授業を受けろ。課間にトイレでその狀態を寫真に撮って送れ。

送られてきた器具は、精巧に作られたシリコン製の模型だった。それを見ただけで、吐き気がした。しかし、拒否できない。

嚴喆珂は、震える手でその器具を挿入した。異物感が身體の中を満たす。正常な姿勢で歩くことすら難しい。スカートの下に、違和感が隠れている。周りの人間には分からない。誰も気づかない。しかし自分だけは、その感覚をはっきりと認識している。

授業中、教授の声が遠くに聞こえる。ノートを取ろうとしても、字が震える。隣の席の学生が何気なくこちらを見るたびに、心臓が飛び跳ねる。もし分かったら。もし誰かに見られたら。

時間が永遠のように感じられた。ようやく課間のベルが鳴る。嚴喆珂は立ち上がり、なるべく自然に教室を出て、トイレに駆け込んだ。個室に鍵をかけ、荒い息を吐く。

スマホを取り出し、指示通りに寫真を撮る。その姿が、自分とは思えなかった。

送信する。指が震える。

そして三日目。また同じように、夜の任務。

四日目。今度はリモートコントロールのバイブレーターを挿入しての授業。講義中に、突然振動が始まった。全身が跳ねるほど驚き、口から聲が出そうになる。必死に唇を噛みしめて耐える。振動が波のように押し寄せ、下半身が痙攣しそうになる。

授業が終わるまでの間、嚴喆珂は必死に耐え続けた。ペンを持つ手が震え、額に汗が浮かぶ。隣の學生が心配そうに聲をかけようとしたが、大丈夫だと笑ってごまかす。

課間のベルと同時に、トイレに駆け込んだ。個室に鍵をかけ、必死に自慰をする。身体が自分の意志とは無関係に反応し、指を動かすたびに聲が漏れる。やがて、全身が跳ねるような絶頂が訪れた。その瞬間、涙が溢れ出た。

寫真を撮り、送る。自分の、亂れた姿を。

五日目。

「任務5」のメールには、短い指示と共に、場所が指定されていた。夜の街。薄いランジェリー。そして、二つの器具を挿入したまま、路地で潮を吹く瞬間の寫真を撮れ。

もう、斷れない。

嚴喆珂は、冷めた目でその指示を読み返し、小さく溜め息をついた。着替え、器具を挿入し、コートを羽織って外に出る。

夜の街は、靜かだった。指定された場所に立つ。街燈の明かりが、薄暗く路面を照らしている。誰もいないことを確認して、コートを脫ぐ。

冷たい風が、肌を撫でる。スマホをセットし、タイマーを設定する。

その時、不意に涙が溢れ出た。この一週間、何のために耐えてきたのか。何のために、ここで辱めを受けているのか。

答えは、一つだけだ。

楼成を守るため。

あの映像を、彼に見せないため。

タイマーが鳴る。嚴喆珂は、身體に殘っていた力を振り絞って、指示されたポーズを取った。器具のスイッチを入れる。振動が全身を駆け巡る。必死に耐えながら、カメラに向かって笑顔を作る。

フラッシュが燈る。

その光の殘像が、暗闇に溶けていくまで。

嚴喆珂はその場に立ち竦んだまま、冷たい夜風に身體を震わせていた。

章节 3

週末の朝、目覚まし時計が鳴る前に、厳喆珂はすでに目を覚ましていた。ベッドの上で天井を見つめながら、彼女は心の中に広がる不安と戦っていた。窓から差し込む朝日が部屋を明るく照らしているのに、彼女の心は重く曇っていた。

スマートフォンが振動した。画面に映し出されたのは、見覚えのない番号からのメッセージだった。

「本日午前十時、住所を送る。指定された店に行き、臨時レジ係として働け。応募は済ませてある。耳麦は郵便受けに入れてある。必ず装着しろ。」

短く、有無を言わせぬ命令口調。厳喆珂は唇を噛みしめた。あの日から一週間。彼女は自宅に閉じこもり、ただ時間が過ぎるのを待っていた。楼成からの電話にも、うまく誤魔化し続けた。留学先の生活に慣れるのに忙しいのだと。声に出せば、自分でも驚くほど自然な口調で嘘をつけている自分がいた。

ベッドから起き上がり、彼女は簡素な部屋着のまま玄関に向かった。郵便受けを開けると、そこには小さな箱が入っていた。開けると、Bluetooth接続の小型イヤホンが一つ。耳に装着すればほとんど目立たない、精巧な作りだった。

彼女はそれを手に取り、しばらく眺めていた。もしこれを拒否したらどうなるのだろう。あの動画がばらまかれる。楼成に知られる。両親に知られる。武術界全体に、楼成の妻がそんな恥辱的な姿を晒したことが広まる。それだけは絶対に避けなければならなかった。

深く息を吸い込み、彼女は耳にイヤホンを装着した。何の音も聞こえてこない。ただ、装着したという事実だけで、彼女の心臓は早鐘を打っていた。

指定された住所は、学生街から少し離れた、古びた商店街の一角にあった。看板には「山田商店」と書かれ、小さな食料品店のようだった。ガラス戸の向こうには、中年の男性が一人、レジスターの前で煙草を吸っていた。

店の戸を開けると、ベルが軽やかな音を立てた。

「ああ、あなたが応募してきた子かい?」

店主は五十代前半だろうか。痩せた体つきに、薄くなった頭髪。目だけがやけに鋭く、厳喆珂の全身を舐めるように見つめた。

「はい、厳喆珂と申します。本日からお世話になります」

彼女はできるだけ自然な笑顔を浮かべた。職業級武者として、この程度の男なら一睨みで黙らせることができる。しかし今は、そんな力を使えない。むしろ、目立たず、おとなしく振る舞わなければならなかった。

「ふん、若いのにこんな古臭い店で働くなんて、よほどの事情があるんだろうな」

店主は煙草の烟を吐き出しながら、レジスターの後ろにある小さな事務室を顎で示した。

「そこにエプロンがあるから着けてくれ。仕事は簡単だ。商品のバーコードを通して金を受け取るだけ。釣り銭を間違えるなよ」

厳喆珂はうなずき、事務室に入った。壁にかかった薄汚れたエプロンを手に取り、着用する。その時、耳に装着したイヤホンから、かすかにノイズが走った。誰かが接続を確認しているのだろう。しかし、声は聞こえてこない。

彼女はレジスターの前に立った。午前中は客もまばらで、年配の女性が買い物に来る程度だった。厳喆珂は手際よくバーコードを通し、釣り銭を渡す。この単純な作業が、今は不思議な安堵感を与えていた。何も考えずに機械的に体を動かせる。その間に、余計なことを考えなくて済む。

昼を過ぎると、少し客足が増えた。厳喆珂は笑顔を絶やさず対応した。その笑顔は、自分でも驚くほど完璧だった。彼女は武道家として、長年感情を表に出さない訓練を積んできた。その訓練が、今こんな形で役に立つとは思わなかった。

夕方になり、日が傾き始めた。店主はカウンターの隅で煙草を吸いながら、スマートフォンをいじっている。時々、厳喆珂に視線を向けるが、何も言わない。

(今日は、何もないのだろうか)

厳喆珂の胸に、かすかな期待が芽生えた。もしかしたら、今日は本当にただの仕事で、何も起こらないのかもしれない。あの男の目的は、自分を脅迫して服従させることだけではない。じわじわと精神的に追い詰め、完全に支配下に置くことなのだ。今日はその練習日だったのかもしれない。

そう考えた瞬間、イヤホンから声が聞こえてきた。

「よく頑張ったな、珂珂」

低く、ねっとりとした男の声。厳喆珂の背筋に冷たいものが走る。

「もうすぐ閉店時間だ。最後の仕事を言い渡す」

彼女はレジスターの前に立ち尽くしたまま、声を聞いていた。指先がわずかに震えている。

「レジの中の現金から、一万円だけ抜き取れ。そして、それを自分の小穴に押し込め。わかったな?」

厳喆珂の顔が一瞬で青ざめた。何を言われているのか、最初は理解できなかった。自分の、小穴に?金を?

「ふざけないでください…」

「ふざけてなどいない。お前は自分の意志で金を盗み、それを自分の体に隠す。店側が気づけば、お前は窃盗犯だ。通報されれば、警察行きだ。そして、その時の様子を俺はすべて記録している。もし拒否するなら、まずはお前の夫に、お前が他の男に抱かれている動画を送るところから始めるぞ」

「…!」

厳喆珂の拳が強く握りしめられた。職業級武者の握力なら、このカウンターごと粉砕できる。しかし、それ以上に強力な鎖が彼女の全身を縛っていた。あの動画。あの恥辱的な姿をした自分が、世界中に公開される恐怖。

彼女はゆっくりと息を吐き出した。震えをなんとか抑えながら、レジスターの引き出しを開ける。一万円札が数枚、重ねて入っていた。彼女はそのうちの一枚を手に取り、素早く指の間に隠した。

(どうやって…)

彼女は一瞬、途方に暮れた。こんなことをするのは馬鹿げている。しかし、耳の中の声は待ってはくれない。

「早くしろ。他の客が来る前に終わらせろ」

彼女はトイレに向かおうとしたが、店主がカウンターの隅から「おい、どこ行くんだ?」と声をかけてきた。

「あ、いえ…」

仕方なく、彼女はレジスターの後ろの少し陰になった場所に移動した。カウンターに背を向け、誰の目もないことを確認してから、スカートの裾をたくし上げる。下着は白色のシンプルなものだった。彼女は歯を食いしばり、一万円札を丸めて、下着の上から押し当てた。

「そんなんで隠したつもりか?」

イヤホンから嘲笑うような声が聞こえる。

「ちゃんと中に入れろ。下着の上じゃダメだ。直接、お前の小穴に差し込め」

厳喆珂の手が止まった。彼女の顔は羞恥と屈辱で真っ赤に染まっていた。しかし、拒否する選択肢はなかった。

彼女は下着をずらし、慎重に紙幣の端を自分の体内に押し込んだ。冷たい紙の感触が、自分の体温で少しずつ温まっていく。異物感と、それ以上に強い精神的苦痛が彼女を襲った。

「よし…入った」

声には、満足げな響きがあった。

「そのまま普通に振る舞え。閉店まであと十分だ」

彼女はスカートを整え、再びレジスターの前に立った。体中が熱くなり、恥ずかしさで死にそうだった。自分が今、どれほど卑劣なことをしているのか。幼い頃から武術一筋に生き、正義と誇りを胸に戦ってきた彼女が、一万円を自分の膣に隠している。そんな自分の姿が、鏡に映った自分自身に対する冒涜に思えた。

閉店時間が来た。最後の客が店を出るのを確認し、厳喆珂は帰ろうとバッグを手に取った。

「ちょっと待ってくれ」

声をかけられ、彼女は足を止めた。振り返ると、店主がにやにやしながら近づいてくる。

「あんた、さっきレジをいじってなかったか?」

「な、何を…」

「俺は長年この商売をやってる。客が何人いて、どのくらい売り上げたか、大体わかるんだよ。今日の売り上げと、レジの中の現金が合わない。どうやら、一万円足りないようだ」

厳喆珂の顔色が変わった。店主が店のシャッターを下ろし、鍵をかける音が耳に響く。

「そ、そんなことありません。私はちゃんと…」

「じゃあ、カバンの中を見せてもらおうか」

店主は一歩前に出た。目つきが、獲物を狩る獣のように変わっていた。

「や、やめてください! そんな権利は…」

「ここは俺の店だ。権利ならある。それに、もし本当に盗んでないなら、見せても問題ないだろ?」

彼女は後ずさりした。カウンターに背中がぶつかる。耳から、声が聞こえてきた。

「抵抗するな。おとなしく店のルールに従え」

(嘘…)

厳喆珂はギリギリと歯を食いしばった。店主が彼女のバッグを奪い取り、中身を床にぶちまける。財布、スマートフォン、ハンカチ、小さな化粧ポーチ。その中に一万円札はなかった。

「ほらな、やっぱり金がない。どこに隠した?」

店主の顔が、歪んだ笑みを浮かべていた。彼はゆっくりと厳喆珂の周りを回る。

「もしかして、体に隠したんじゃないのか?」

「触らないでください!」

彼女が叫ぶと同時に、耳の中の声が響いた。

「逆らうな! もし腕を使うなら、動画を公開する。お前の全てを終わらせるぞ」

その言葉に、厳喆珂の全身の力が抜けた。彼女はただ、店主の前に立ち尽くすしかなかった。

「おとなしくしてれば、そんなに痛くしない」

店主はそう言いながら、彼女のスカートに手を伸ばした。下着の上から、彼の指が這う。そして、湿り気を帯びた布地に触れたとき、店主は満足げな声を上げた。

「やっぱりな。ここに隠したんだろう?」

彼はぐいっと下着をずらし、指を挿入した。厳喆珂は喉の奥からかすかな悲鳴を漏らしたが、抵抗しなかった。指は簡単に一万円札を探り当て、引き抜いた。

「これだ。俺の店の金だ」

店主は皺くちゃになった一万円札を、厳喆珂の目の前に掲げて見せた。彼の目には、喜びと、それ以上の何かが宿っていた。

「どうやら、お前は本当に盗みを働いたな。警察に突き出すこともできるが…」

店主は彼女の体をカウンターに押し付けた。冷たい木の感触が、彼女の頬に当たる。

「俺の前で、ちゃんと謝ってくれるなら、今回は見逃してやってもいいぞ」

耳からは、無言の圧力が伝わってくる。何も言わないということは、これを受け入れろという命令だ。

「す、すみません…」

かすれた声で、彼女は謝った。しかし、店主はそれでは満足しなかった。

「謝罪の仕方ってもんがあるだろう。こんな風に、直接体で示してくれ」

彼は片手で厳喆珂の両手を背中にねじ上げ、もう一方の手でスカートを引き下ろした。抵抗しようとする彼女の耳に、冷たい声が流れ込む。

「もし動くなら、夫に動画を送る。それでいいのか?」

その言葉が決定打となった。厳喆珂の体から、すべての力が抜け落ちた。彼女は武道家として培ってきた誇りと、妻としての立場の間で引き裂かれ、無力なまま、店主の好きにされるがままになった。

店主は彼女の下着を膝まで下ろし、そのままカウンターに押し倒した。彼の指が彼女の秘部に触れる。そこはまだ、一万円札を挿入した時の感触が残っていた。

「お前、まだ若いのに、結構慣れてるんじゃないか?」

店主はねっとりとした口調で言いながら、彼女の秘裂をなぞった。指が濡れていないことに気づくと、店主は手を舐めてから、再び触れ始めた。

「こんな綺麗な娘が、金を盗んで体に隠すなんて…どんな育ち方したら、そんなことになるんだ?」

店主の指が、彼女の敏感な部分を探り当てる。無理やり広げられ、何度も何度も撫で回される。

「やめて…ください…」

「謝罪の途中だ」

店主は彼女の耳元で囁いた。その息遣いが、彼女の羞恥心をさらに煽る。

「お前、結婚してるんだろ? 旦那は何してるんだ?」

「………」

「まあいい。どうせ俺には関係ない。今日はお前が金を盗んだ罰として、俺の肉棒で謝罪を受け取ってもらう」

店主は自分のズボンを下ろし、硬くなった陰茎を取り出した。彼は何のためらいもなく、それを厳喆珂の腿の間に押し当てた。

「挿れるぞ」

「やめて…本当にやめてください…」

彼女の懇願も虚しく、熱く硬い塊が彼女の中に侵入してきた。痛みと異物感。そして何よりも、自分が今、夫ではない男に犯されているという事実が、彼女の精神を引き裂いた。

(楼成…ごめん…)

涙が彼女の頬を伝った。カウンターの上で、彼女は抵抗一つせず、店主の抽送を受け入れた。耳からは、何かが記録されているような、微かな機械音が聞こえる。おそらく、この男もまた、あのマークと呼ばれる男の手先なのだろう。全ては計画的に行われている。彼女はその罠に、完全に嵌っていた。

店主は荒い息遣いで数分間抽送を続け、やがて彼女の中で精を放った。熱い液体が体内に広がる感覚が、彼女にさらなる屈辱を与えた。

「ふう…いいもん抱かせてもらった」

店主は陰茎を引き抜き、彼女の尻を撫でた。

「これでチャラだ。しかし、もしこのことを外部に漏らしたら…お前が窃盗したことは、俺の証言で確実になる。わかってるな?」

厳喆珂はカウンターにうつ伏せになったまま、うなずいた。

「よし。じゃあな」

店主は彼女の下着を直すこともせず、着衣を整えてから、さっき引き抜いた一万円札を再び彼女の小穴に押し込んだ。冷たい紙が、まだ精液で濡れている体内に挿入される感触。

「これで、盗んだ金は元の場所に戻った。つまり、今日の窃盗事件は形式的には解決した。ただし…お前の中には、俺の証拠が残ってる。どう出るかは、お前次第だ」

店主はそう言い残し、シャッターを開けて彼女を追い出した。

外に出ると、すでに夜空には星が輝き始めていた。厳喆珂は店の前で立ちすくみ、自分の体に残る異物感と、精液が腿を伝う感触に耐えながら、深く息を吸った。

耳から、再び声が聞こえてきた。

「よくやった。お前はいい子だ。今日の任務もクリアだ。次の連絡を待て」

声はそれだけを言い残し、通信を切った。彼女はその場にしゃがみ込み、嗚咽を漏らした。

自分は何をしているのだろう。武道家として戦うこともできず、ただ相手のいいように弄ばれている。それなのに、どこかでこの屈辱に慣れ始めている自分がいる。次はどんな命令が来るのか、恐怖と同時に、奇妙な期待さえ感じ始めている。

そんな自分に気づいた時、彼女はさらに深い絶望に飲み込まれた。

楼成…私は、もう戻れないかもしれない…

彼女は涙を拭い、震える足で立ち上がった。アパートまでの道のりが、かつてなく長く感じられた。自分の体内に残る紙幣と精液が、彼女が今どれだけ深い闇に落ちているかを物語っていた。そして、その闇は、これからさらに深くなることを、彼女は本能的に感じ取っていた。

章节 4

# 第四章

一週間が静かに過ぎていった。

あの恐ろしい金曜日の夜から、何の連絡もなかった。スマホの画面を見るたびに、心臓が凍りつくような恐怖があったが、通知はただの広告や学校からの連絡だけだった。最初の数日は、まるで自分がまだあの店の地下室にいるかのような幻覚に苛まれた。目を閉じれば、あの店の店主の嫌らしい笑い声が耳の奥で反響した。体には、いくつもの鬱血痕が残っていたが、職業九品の武者である彼女の回復力は常人を遥かに超えていて、三日も経てば肌は元の滑らかさを取り戻した。

しかし、心の傷はそう簡単には癒えなかった。

楼成との国際電話では、いつも通り明るく振る舞った。彼の声を聞くと、涙が出そうになるのを必死にこらえた。「うん、こっちは大丈夫だよ。勉強も順調だからね」と、彼に心配をかけまいと笑顔で言った。楼成は相変わらず優しくて、来月の合宿の話や、新しい武道の技の話を楽しそうに語ってくれた。

「珂珂、何かあったらすぐに言えよ。俺、すぐに飛んでいくからな」

「大丈夫だよ。もう大人なんだから」

通話を切った後、彼女はベッドにうつ伏せになって、枕に顔を埋めて声を殺して泣いた。涙が止まらなかった。自分があのビデオのせいで、どれほど汚されてしまったのか。もし楼成が知ったら、どう思うだろう。彼は非人級武者の頂点に立つ男だ。知れば確実にマークを殺しに行くだろう。それは自分のせいで彼の未来を壊すことになる。

だから、彼に言えない。

次の数日、彼女はできるだけ普通の生活を送ろうとした。授業に出て、図書館で勉強して、寮に戻って眠る。週末はマークも含めたクラスメートと集まることもあったが、マークは以前と変わらない優しい態度で接してきた。あの辣い表情も、あの言葉も、まるで幻だったかのように。

しかし彼女は知っていた。あれは幻ではない。

そして、土曜日の朝、ついにその瞬間が訪れた。

スマホが震えた。新しいメッセージの通知が画面に浮かび上がった。彼女の手が震えた。開きたくない。でも、開かなければならない。彼女は深く息を吸い込み、メッセージを開いた。

「おはよう、子犬ちゃん。元気に過ごしてたか?今日の任務は簡単だ。一時間後に、お前の持っている青い連体ヨガウェアを着て、キャンパス西側の『フィットネスプラザ』に行け。そこで新しい遊びをしよう。」

添付された写真は、以前の自分がヨガをしていた時のものだった。あの服を着ているのは、確かに自分の姿だった。

彼女の喉が震えた。目を閉じると、一週間前のあの夜がフラッシュバックのように蘇った。あの店の裏部屋の蛍光灯の眩しさ。店主の脂ぎった指。そしてカメラのシャッター音。

でも、抗えない。あのビデオがある限り、彼女は何も拒めない。

彼女はワードローブを開けた。奥の方に押し込んであった青い連体ヨガウェアが目に入った。それは体にぴったりとフィットする、肩から足首までを覆うタイプだった。買ったのは半年ほど前で、まだ一度も着ていなかった。

ゆっくりと服を脱ぎ、そのヨガウェアを身に着けた。伸縮性のある素材が全身にぴったりと吸い付く。鏡の中の自分は、まるで包帯で全身を巻かれたような姿だった。胸のライン、腰の曲線、何もかもがはっきりと浮き彫りにされている。

「大丈夫……大丈夫だから……」

彼女は自分にそう言い聞かせた。ただのヨガだ。ただの運動だ。きっとまた誰かに見られるだけで終わる……そう願った。

フィットネスプラザは、キャンパスの西側にある私立の大型ジムだった。会員制で、学生でも比較的安い料金で通えるため、多くの留学生が利用していた。土曜日の午前中ということもあって、ある程度の人出があった。ランニングマシンを使う人、ウェイトトレーニングに励む人、ヨガマットの上でストレッチをする人。

彼女がジムに入った瞬間、数人の視線が彼女に集まった。そのぴったりとしたヨガウェアはどうしても目立ってしまう。彼女は俯きながら、奥のストレッチコーナーへと歩いていった。

スマホのイヤホンを耳に差し込んだ。すぐにマークの声が流れてきた。

「よく来たな、子犬ちゃん。今日は本当におとなしいな。褒めてやるよ」

彼女は小さく息を呑んだ。周りの音を遮断するために、音楽を流しているふりをした。

「まずは、ウォーミングアップだ。普通にストレッチをしろ。そして、次に俺が言うポーズを取れ」

彼女は従った。マットの上に立ち、前屈をし、体を伸ばした。筋肉が伸びる感触に少しだけ安堵した。少なくとも今は、周りは普通の光景だ。

「よし、次のポーズだ。亀のポーズだ。ちゃんとやれよ」

亀のポーズ――ヨガの中でも特に体を折りたたむようなポーズだ。彼女はマットの上に座り、両足を大きく開いた。そして上体を前に倒し、両腕を足の下に通して背中の方へと伸ばした。体は丸くなり、まるで甲羅の中に縮こまる亀のような形になった。

呼吸が浅くなる。顔がマットに近づき、視界が狭まった。

「そのまま動くな」

耳元でマークの声が冷たく響いた。

突然、足音が近づいてきた。二人分の重い足音だ。彼女が顔を上げようとした瞬間、何かが彼女の手首と足首に触れた。

「!?」

金属の冷たい感触。手錠のようなものが、彼女の右手首を拘束した。そして左手首。次にくるぶし。手際の良い動きだった。まるで訓練されたかのように正確だった。

彼女は驚いて体を起こそうとしたが、拘束具がそれを許さなかった。両手は背中の方で固定され、両足も大きく広げたままロックされた。彼女の体は、まるで展示品のようにその場に固定された。

「動くな」

イヤホンからマークの声が聞こえた。彼女の動きが一瞬止まった。

「抵抗するなよ。ここで暴れたら、お前のあのビデオが全キャンパスに拡散されるぞ。お前がどこの大学の誰かも、全部バラされる」

その言葉に、彼女の全身の力が抜けた。歯がカチカチと震えた。視線を上げると、二人の男が立っていた。どちらもスポーツウェアを着ていて、サングラスとマスクで顔を隠していた。筋肉質で、動きに無駄がない。彼らは一言も喋らなかった。

辺りのジム利用者が何事かと視線を向け始めた。

「何やってるんだ?」

「あの女、拘束されてるぞ」

「ちょっと、何あれ」

囁き声が周りから聞こえてくる。彼女の顔が一瞬で真っ赤に染まった。恥ずかしさと恐怖で、涙が滲み始めた。

一人の男が、ゆっくりと彼女の背後に回った。そして何かを取り出した。はさみだった。金属の冷たい感触と共に、背中の中央で布が切られる音がした。

「やめ……」

「静かにしろ」

耳元でマークの声が警告した。

鋏の動きは続いた。肩のラインに沿って、背中から脇腹へ。布が裂ける感触が全身を走る。切り裂かれた布が、重力に従って彼女の体から滑り落ちた。まず左肩。次に右肩。胸の前の部分が剥き出しになった。そして背中全体が露出した。最後に、腰の部分が切られ、布が完全に彼女の体から分離された。

青い布の断片が床に落ちた。

彼女は裸になった。

亀のポーズで固定されたまま、全身を丸めて隠すことさえできない。両手は背中で拘束され、両足は大きく開かれたまま。彼女の全てが、ジム中の人間の目前に晒された。

「うわ……」

「まじかよ……」

「誰か通報しろよ!」

「通報って……何て?」

周りから驚きの声と、どこか興奮したような声が聞こえる。何人かがスマホを取り出した。写真を撮る者もいた。彼女は歯を食いしばり、涙を必死に堪えた。

「許可なく写真を撮らないでください……」

彼女の声は震えていた。しかし、誰も止めようとしなかった。

「お前ら、見たいんだろ?見せてやれ」

マークの声がイヤホンから聞こえた。彼女の感情が一瞬で恐怖に変わった。

「違う……違う……」

突然、一人の男が彼女の前に歩み寄った。筋肉質で、日に焼けた肌をした男だった。彼は彼女の顔の前にしゃがみ込み、顎をつまんで無理やり顔を上げさせた。

「本当にきれいな体だな」

「やめて……」

「主人の命令だ。お前はここにいる俺たち全員のものだ」

男はそう言うと、彼女の胸に手を伸ばした。彼女は体を捩ったが、拘束具がそれを許さなかった。

「いや……!」

男の指が彼女の胸の頂点を撫でた。彼女は悲鳴をあげたが、誰も助けには来なかった。周りの人間は、むしろ好奇の目でその光景を見つめていた。中には、スマホで動画を撮り始める者もいた。

「やめろ!通報するぞ!」

どこからか抗議の声が上がった。しかしそれに応える者は誰もいなかった。スタッフさえも、ただ遠くから見つめているだけだった。もしかすると、彼らもこの計画に関わっているのかもしれない。

「次は俺の番だ」

別の男が前に出た。そして彼女の足の間に入った。

「綺麗なところだな……」

男の指が彼女の最もプライベートな部分に触れた。彼女は全身を硬直させた。

「こんなきれいな女が、亀みたいなポーズでさらされてるんだぞ。すごい光景だな」

「やめて……お願い……誰か……」

彼女の声は掠れていた。涙が止まらなかった。恥辱と絶望で、心が砕けそうだった。

しかし、男たちは止まらなかった。

一人が彼女の背後に回り、腰を掴んだ。彼女は何が起こるかを瞬時に悟った。

「いや!!!」

必死の叫びも虚しく、熱い感触が彼女の体内に侵入した。それは彼女の産道を無理やり引き裂いた。

「ああああ!!!」

彼女の体が激しく震えた。痛みが全身を貫いた。息ができなかった。目の前がチカチカと光った。

「うわ、きつ……」

男の声が、遠くで聞こえる。

「動けよ、俺たちの前でな」

マークの声がイヤホンから聞こえる。彼女はもう従うことしかできなかった。抵抗しても無駄だと、もう分かっていたのだ。

男の腰が動き始めた。彼女の体はそれに合わせて揺れた。周りの人間が歓声を上げた。写真を撮る音が、シャッター音として耳に入ってきた。

「ほら、見せてやれ!こいつが今どんな顔してるか!」

誰かが彼女の髪を掴み、顔を上げさせた。泣き腫らした目、歪んだ表情、涎が垂れる口元。その全てが、カメラに収められていた。

「かわいい顔してるな」

「こんな顔、彼氏は知ってるのか?」

「結婚してるんだってよ」

「うわ、人妻かよ。ますます燃えるな」

男たちの言葉が、彼女の心をさらに深く切り裂いた。

男が一つ、また一つと交代で彼女を犯していった。誰が何人目かも、もう分からなかった。ただ、絶え間なく女陰や口や肛門に異物が挿入され、精液が体のあちこちに浴びせかけられた。

職業九品の武者としての体は、常人よりはるかに回復力が高く、耐久力もあった。もし普通の女性なら、最初の一時間で気絶していただろう。しかし彼女は、何時間も意識を保ったまま、全てを味わわされた。

午前中が過ぎ、午後になった。

もう何人の男が彼女を犯したか分からなかった。体は精液でべとべとになり、床には複数の体液が混ざった水たまりができていた。彼女はもはや快楽も痛みも感じなかった。ただ、機械的に男を受け入れるだけの存在になっていた。

「すげえな、この女」

「もう五時間だぞ」

「まだいけるのか?」

男たちの間で、感嘆の声が上がり始めた。彼女の体の強靭さに、彼らも驚いていたのだ。

やがて、夕方になった。

ジムの窓から差し込む光が橙色に変わった。彼女はもう、立っていることさえままならなかった。拘束されたまま、床に伏していた。

「今日はここまでだ」

マークの声がイヤホンから聞こえた。彼女の体が軽く震えた。

「拘束を解いてやる。その後は、自分で片付けろ。ちゃんと元の場所に戻れ」

拘束具が外された。彼女の手足が自由になったが、体はすぐには動かなかった。全身が痺れていた。しびれが徐々に引いていく感覚の中で、彼女はゆっくりと体を起こした。

周りの男たちは、満足げな笑みを浮かべながら、それぞれの場所に戻っていった。何人かは、まだスマホで彼女の写真を撮っていた。

彼女は這うようにして、ジムのシャワールームに向かった。床には、最初に着ていた青いヨガウェアの切れ端が散らばっていた。それらを拾い上げ、体の前にかざして隠すしかなかった。

シャワールームのドアを閉めると、彼女は崩れ落ちた。

温水が全身を流れていく。精液と汗と唾液が、排水溝へと流れていった。彼女は体を洗い続けた。何度も何度も。肌が痛くなるまで擦った。それでも、汚れが落ちた気がしなかった。

鏡の前に立った。自分が映っている。髪は乱れ、目は虚ろで、全身に紅い跡がいくつもついていた。胸や太ももには歯形がついていた。顔には涙の跡があった。

(楼成……)

彼の顔が頭に浮かんだ。彼なら、こんな屈辱を受けさせなかった。彼なら、この全ての男を一瞬で倒せただろう。でも、彼はここにいない。そして、彼に知られたら、もっと大きな悲劇が待っている。

彼女は自分のスマホを取り出した。マークからのメッセージが届いていた。

「今日の動画と写真は保存してある。次もちゃんと従えよ。次の任務は、お前の誕生日パーティーの時にやる。楽しみにしてろよ」

彼女はスマホを握りしめた。涙が再び溢れ出した。

シャワールームから出ると、既にジムは閉店の準備をしていた。スタッフが怪訝そうな顔で彼女を見ていたが、何も言わなかった。彼女はタオルで体を包み、外へと出た。

外はもう暗くなっていた。街灯の明かりが、人影を長く伸ばしていた。彼女は寮に向かって歩き出した。足取りは重く、体のあちこちが痛んだ。でも、それ以上に心が痛んだ。

寮に戻り、自分の部屋のドアを閉めた。誰もいない。一人きりだった。

彼女はベッドにうつ伏せになり、声を殺して泣いた。泣いても泣いても、涙が止まらなかった。

「楼成……ごめん……」

その言葉だけが、暗い部屋の中で響いた。

次の日、彼女の体にはいくつかの鬱血痕が残っていたが、職業九品の武者としての回復力で、三日も経てばまた元の肌に戻っていた。しかし、心の傷は決して癒えなかった。そして、その傷を癒す時間すら、主人は与えてくれなかった。

一週間後の誕生日。その日が、次の地獄の幕開けだった。

章节 5

マークはパソコンの画面に映る映像を何度も見返していた。そこには、かつて清楚で可憐だった留学生の姿はなく、ただ一人の女が主人の命令に従い、自らの体を対価にタクシーの運転手と関係を持つ様子が克明に記録されていた。彼女の表情には、抵抗の色はほとんど見えなかった。むしろ、どこか安堵したような、ある種の解放感すら漂っているように思えた。

「やはりな…」

マークは薄く笑みを浮かべ、満足げに映像を保存した。彼女が完全に服従し始めている。その確かな手応えが、彼の支配欲をさらに刺激した。

翌日の授業中、マークは何気なく彼女の様子を観察した。彼女は以前通りの落ち着いた態度でノートを取っている。しかし、彼にはわかる。あの瞳の奥に潜む光が、かつての純粋さとは違うものに変わっていることを。彼女は今、自分の内側に芽生えた歪んだ快楽と、それを否定できない自分自身との狭間で揺れているのだ。

講義が終わり、学生たちが立ち上がる中、マークは彼女に近づいた。

「厳さん、最近の課題は順調かい?」

「ええ、特に問題はありません」

彼女の声は相変わらず落ち着いていた。しかし、その細い指がわずかに震えているのを、マークは見逃さなかった。

「そうか。それは良かった。ところで、今日の天気予報では夜から雨が降るそうだ。外出するなら気をつけた方がいい」

「ありがとうございます」

彼女は短く答え、視線をそらした。その瞳の奥に、何かを悟ったような不安が走る。マークはそれを見て確信した。彼女は次の命令を待っている。いや、待ち望んでいるのだ。

その夜、彼女のスマートフォンに一通のメールが届いた。

「明日の午後三時、大学近くのコンビニの駐車場にコートだけを着て現れよ。中には何も着てはいけない。タクシーを拾い、目的地を告げよ。運転手が気に入れば、その体で支払え。全てを映像に収め、いつものアドレスに送れ」

命令文は簡潔だった。しかし、その一言一言が彼女の心臓を激しく打つ。彼女はしばらく画面を見つめていたが、やがて小さく息を吐き、スマートフォンを閉じた。

翌日、彼女は指定された時間に、部屋で一枚のロングコートだけを身に着けた。クローゼットの鏡に映る自分の姿は、普段の清楚な印象とはまるで違っていた。コートの下は完全に裸で、冷たい空気が肌を撫でる。彼女はその感覚に、自分の頬がほんのり赤くなるのを感じた。

「私は…何をしているんだろう…」

頭のどこかで、もう一人の自分が警鐘を鳴らしている。しかし、体は命令に従うことを選んでいた。彼女はコートのポケットに小型カメラを忍ばせ、部屋を出た。

駐車場に立つ彼女は、周囲の視線を敏感に感じ取った。誰かが自分を見ている。その視線はコートの下の裸体を透かして見ているかのようだった。彼女は震える手を挙げ、通りかかったタクシーを止めた。

「行き先は?」

タクシーの運転手は中年の男だった。彼の目が、彼女のコートの襟元から覗く肌を一瞬見たように思えた。

「…東区のショッピングモールまでお願いします」

彼女はそう答え、後部座席に乗り込んだ。シートに座ると、冷たい革の感触が直接肌に伝わる。彼女の体が微かに震えた。運転手はバックミラー越しに何度も彼女を確認している。

「お嬢さん、風邪を引くよ。そんな薄着じゃ」

「…大丈夫です」

彼女は小声で答え、目をそらした。車内には沈黙が流れる。彼女の心臓は高鳴り、下腹部が熱く疼き始めていた。自分からこの状況を作り出しているという倒錯感が、かえって彼女の感覚を鋭くしていた。

目的地に着く。彼女は運転手に告げた。

「すみません、財布を忘れてしまいました。代わりに…」

彼女は声を潜め、運転手の耳元で囁いた。

「私の体で支払ってもいいですか?」

運転手の目が驚きに見開かれたが、すぐに欲情の色に変わる。彼は後部座席の方を振り返り、彼女のコートの裾がめくれるのを確認した。

「…冗談か?」

「本気です。ただし、これを着けてください」

彼女はバッグからコンドームを取り出し、運転手に渡した。運転手は一瞬ためらったが、やがて欲望に負けてうなずいた。

彼女が後部座席で脚を開き、運転手がその上に覆いかぶさる。その間も彼女は、バッグの中に仕込んだカメラを密かに作動させていた。すべてを記録する。それが主人の命令だ。

行為はすぐに終わった。運転手は乱れた息を整え、彼女の顔をまじまじと見つめた。

「お嬢さん、こんなこと、普段からやってるのか?」

「…特別な時だけです」

彼女は短く答え、コートの前を合わせて車を降りた。冷たい風がまだ熱の残る肌を撫でる。彼女は足早に路地へと消え、そこでカメラのスイッチを切った。

その夜、彼女は映像を編集し、いつもの匿名アドレスに送信した。メールの件名は「任務完了」の一言だけ。送信ボタンを押した瞬間、彼女の体の中に快感のようなものが広がった。それは罪悪感と背中合わせの、歪んだ充足感だった。

数日後、マークはその映像を確認し、声を出して笑った。

「本当にやったのか…彼女はもう完全に俺のものだ」

彼はさらなる命令を考え始めた。彼女の限界はどこにあるのか。どこまで追い詰めれば、彼女の精神は完全に崩壊し、奴隷として再生するのか。

翌日の夜、彼女のスマートフォンに新しいメールが届く。

「今夜十一時、大学の男子トイレに行け。三番目の個室に入り、中から鍵をかけろ。ドアの下の隙間から、自分の指で膣を弄りながら、入ってくる者に見せつけろ。誰かが入ってきたら、その者の欲望のままに体を使わせろ。すべてを撮影し、必ず僕の元に送れ」

彼女はその文面を何度も読み返した。男子トイレ。公共の場での露出。そして見知らぬ誰かに体を差し出すこと。かつての自分なら、絶対に拒否しただろう命令だ。

しかし、今の彼女の心は、その命令に従うことを拒否できなかった。むしろ、その先にある羞恥と快楽の混ざった感覚を、どこかで待ち望んでいる自分がいた。

彼女は夜の十一時に、大学の校舎に足を踏み入れた。廊下は静まり返り、誰の気配もない。男子トイレのドアの前に立ち、彼女は一瞬ためらったが、やがて意を決して中に入った。

三番目の個室。彼女は中に入り、鍵をかけた。バッグから小型カメラを設置する。そして、スカートをまくり上げ、下着を膝まで下ろした。ドアの下の隙間は約十五センチ。そこから、自分の下半身が外から見えるように、彼女はしゃがみ込んだ。

彼女は震える手を自分の股間に持っていき、ゆっくりと指を膣に挿入した。自分の指が濡れているのを感じる。羞恥と興奮が混ざった感情が、全身を支配している。

数分後、トイレのドアが開く音がした。誰かが入ってきた。足音が近づき、個室の前に立つ。彼女は指を動かすのをやめず、隙間から自分の濡れた秘部を見せつけた。

「…何だよ、これ」

男の声がした。驚きと、それ以上に興奮を帯びた声だった。

「好きにしていいよ」

彼女はか細い声でそう言った。個室のドアが外から叩かれる。

「開けろ」

彼女は鍵を外した。ドアを開けた男は、二十代半ばほどの学生だった。彼は彼女の姿をまじまじと見つめると、無言でズボンを下ろした。

その晩、彼女は三回にわたって異なる男たちに体を提供した。その度に彼女はカメラを回し続けた。すべてを記録する。それが主人の命令だ。

トイレから出た時、彼女の脚は震えていた。スカートの内側には、誰かの精液が伝っている。しかし、その不快感の中に、なぜか充足感があった。自分は命令を果たした。主人に従った。その事実が、彼女の心を奇妙に満たしていた。

自室に戻った彼女は、すぐに映像を編集し、送信した。そして、ベッドに横たわり、天井を見つめた。

「私は…もう戻れないのかもしれない…」

その言葉は、自分自身に対する確認のようだった。

一方、マークはその映像を見て、歓喜に打ち震えていた。彼女の表情は、以前のような抵抗の色を完全に失っていた。むしろ、快楽に歪んだ、淫猥な笑みすら浮かべているように見えた。

「素晴らしい…本当に素晴らしい」

彼は次の命令を考える前に、しばらく彼女を休ませることにした。焦ってはならない。彼女の心が完全に屈服するまで、じわじわと追い詰める必要がある。

次の日から、数日間、彼女のもとに命令は届かなかった。最初は安堵したものの、時間が経つにつれて、彼女は何か物足りなさを感じ始めた。主人からの連絡がない。そのことが、彼女の心に不安と、ある種の飢餓感を生み出していた。

彼女は授業中も、頭の片隅で主人のことを考えていた。次はどんな命令が来るのか。どんな辱めが待っているのか。その想像が、彼女の体を熱くする。

「どうして…私はこんな風になってしまったんだろう…」

自分でも理解できない変化に、彼女は戸惑いながらも、その変化を拒否することができなかった。むしろ、それを受け入れることで、ある種の解放感を得ている自分がいた。

休憩時間、彼女はスマートフォンを開き、いつもの匿名アドレスからのメールがないか確認する。受信ボックスは空だ。小さなため息をつき、彼女はスマートフォンを閉じた。

「待っている…それが一番辛い…」

彼女はそう呟き、自分の心の中に巣食う主人への依存を自覚した。

その日の夜、彼女は自室で一人、自分の体を弄っていた。目を閉じれば、あのタクシーの運転手や、トイレの男たちの感触が蘇る。彼女は自分の指を膣に深く挿れ、その刺激に体を震わせた。

「あ…ああ…」

彼女の唇から、甘い吐息が漏れる。頭の中では、主人の声が響いている。

「お前は俺の雌犬だ」

その言葉が、彼女の全身を駆け巡る。彼女はその言葉に、どこか安心感すら覚えていた。

数日後の朝、彼女のスマートフォンにメールが届いた。差出人はいつもの匿名アドレス。彼女の心臓が高鳴る。

「お疲れ様、よく頑張った。今週は休め。次の命令は来週の月曜日に送る」

文面は簡潔で、ねぎらいの言葉すらない。しかし、彼女はそのメールを見て、なぜか涙がこぼれそうになった。

「主人が…僕のことを認めてくれた…」

それは倒錯した喜びだった。彼女はスマートフォンを胸に抱きしめ、しばらくその場に立ち尽くした。

その週末、彼女は自分から積極的に外に出ることを控えた。主人の命令がない限り、自分は普通の留学生に戻るべきだ。しかし、その決意とは裏腹に、彼女の心は主人の支配に縛られていた。

彼女は机の引き出しから、以前主人から送られてきたアイテムを取り出した。それは小さなバイブレーターだった。彼女はそれをスカートの中に仕込み、リモコンのスイッチを入れた。微かな振動が下腹部を刺激する。

「あ…」

彼女はそれをそのままにし、リビングでテレビを見ているルームメイトの元へ歩いていった。

「ねえ、ちょっとコンビニに行かない?」

「いいよ、行こう」

ルームメイトは気軽に応じた。彼女はそのままの状態で外に出る。振動を与え続けるバイブレーターが、彼女の歩く度に敏感な部分を刺激した。

コンビニの店内で、彼女は無表情で買い物を済ませた。しかし、その内側では熱が渦巻いている。誰かに見られているかもしれないという羞恥と、それがもたらす快感が、彼女を満たしていた。

その夜、彼女は一人でベッドに横たわり、これからのことを考えた。

主人の命令はいつまで続くのだろう。いつか元の生活に戻れるのだろうか。しかし、その考えはすぐに打ち消された。もう戻れない。自分はもう、あの清楚で純粋だった厳喆珂ではないのだ。

彼女はスマートフォンを手に取り、主人にメールを送ろうかと考えた。しかし、送信ボタンを押す前に、思い直した。

「命令を待つ…それが私の役目…」

彼女は深く息を吸い込み、目を閉じた。頭の中は、主人に支配された自分だけの世界が広がっていた。

そして月曜日の朝、待ちに待ったメールが届いた。

「今週の木曜日、夜の九時に、駅前のホテルに行け。四階の四〇三号室だ。部屋には鍵がかかっている。合言葉は『私は主人の雌犬です』。部屋の中には、お前のための『客』が待っている。好きなように使われろ。すべてを記録し、送れ」

彼女はそのメールを何度も読み返した。ホテルの一室で、見知らぬ客の相手をしろという命令。それは明らかに、彼女が娼婦のような役割を果たすことを意味していた。

しかし、彼女の心は跳ねていた。また命令が来た。その事実だけで、彼女の体は熱く反応した。

「わかりました、主人」

彼女はそう呟き、その命令を心に刻んだ。

マークは、パソコンの画面越しに彼女の反応を確認していた。彼は彼女のスマートフォンをハッキングし、彼女の行動を監視している。彼女の心が完全に屈服した今、次の段階に進む時だ。

「これからが本番だ…厳喆珂。お前は俺の思い通りに動く、完璧な雌犬になるんだ」

彼の唇に、満足げな笑みが浮かんだ。

章节 6

週末の朝、スマートフォンが震えた。匿名のメールだ。開くと、短い指示と共に、今日中に届く荷物があると書かれている。彼女はそれを読んで、すぐに主人からの任務だと理解した。心臓が嫌な音を立てて跳ねる。もう何週間も続いているこの関係に、彼女は決して慣れることはなかった。慣れてはいけないのだと、自分に言い聞かせていた。慣れてしまうことが、最も恐ろしいことだと思っていた。

午後、宅配便が届いた。小さな箱で、差出人は書かれていない。彼女は自分の部屋に戻り、カーテンを閉めてから箱を開けた。中には、見たこともない器具が入っていた。銀色の鎖がついた、先端にシリコン製と思われる膨らみのあるプラグのようなもの。そして、小さなリモコンのような装置。彼女は添付された説明書きを読んだ。それは遠隔操作で作動する肛門ロックだった。鎖の先端は一度ロックされると解除不能で、プラグ部分は遠隔で空気を注入されて膨らみ、抜けなくなる仕組みだった。

彼女の手が震えた。こんなものを使うなんて。でも、拒否する選択肢は最初から存在しなかった。メールを開き、主人に送る。

「届きました。指示をお願いします」

すぐに返信が来た。

「公園へ行け。人気のない場所で、自分を固定しろ。そこにいれば、必ず誰かがお前を見つける。見つけられたら、その者に自分の体を明け渡せ。全てを撮影しろ」

彼女は唇を噛んだ。目が潤んだが、涙はこぼさなかった。泣くことは許されていなかった。泣くことは、弱さを見せることだった。主人は弱さを好まなかった。

彼女はクローゼットを開けた。制服を選んだ。高校の頃に着ていたJK制服。懐かしさと共に、それを着ることの意味を彼女は理解していた。主人は、彼女の若々しい姿を見たがっている。学生の頃の、純粋だった自分を汚すことで、主人は悦びを得るのだ。

濃紺のブレザーに、白いブラウス。チェックのスカートは短めで、動くたびに太ももが覗く。下着は一切身につけなかった。ブラジャーも、パンツも。主人の指示通り、何も着けずに制服を着た。ブラウスの下で胸の先端が擦れ、敏感に反応した。彼女は深く息を吸い、覚悟を決めた。

最寄りの小さな公園まで歩いた。それは住宅街の一角にある、遊具も少なく、木々に囲まれた静かな場所だった。週末の昼下がりだが、人の気配はほとんどない。彼女は公園の奥へと進んだ。木陰に隠れるようにして、頑丈そうな金属製の手すりを見つけた。高さは膝くらいで、地面にしっかりと固定されている。

彼女はあたりを見回した。誰もいない。自分が何をしようとしているのか、その事実が重くのしかかる。彼女は制服のスカートをまくり上げ、しゃがみ込んだ。手に持った器具を見つめる。プラグ部分には潤滑剤が塗布されていた。主人が細かいところまで気を配っている証拠だった。

彼女は器具を手に取り、プラグの先端を自分の肛門にゆっくりと押し当てた。体内に入っていく冷たい感触。彼女は声を殺しながら、それを深く押し込んだ。異物感が広がる。全部飲み込んだところで、手すりに固定された鎖のリングを確認した。彼女は鎖の端にあるロック機構を、手すりのリングに通して、カチリと音を立てて閉じた。もう二度と外れない。

彼女はスマートフォンを取り出し、主人にメールを送った。

「準備ができました」

すぐに返信があった。

「いい子だ。今からお前を固定する」

彼女は器具の一部分にある小さな振動を感じた。そして、体内のプラグがゆっくりと膨らみ始めた。圧迫感が内側から広がる。空気が注入されるたびに、プラグは彼女の内壁を押し広げた。固定される。逃げられない。膨らみきったプラグは、肛門の内側でしっかりと引っかかり、引き抜こうとしても決して抜けなくなっていた。鎖は手すりから外れず、彼女はその場に縫い止められた。

彼女は立ち上がろうとしたが、無理だった。しゃがんだ姿勢のままで、鎖の長さ分しか動けない。スカートを整えようとした手が震えた。これで、本当に逃げ場がない。自分から進んで、刑具につながれたのだ。

彼女は周囲を見回した。木々の隙間から、日差しが差し込む。遠くで子供の声が聞こえる。誰かが来るかもしれない。むしろ、来なければならない。主人の任務は、誰かに見つかり、その相手に自分を明け渡すことだった。

彼女はスマートフォンを手に取り、動画撮影の準備をした。主人は、全ての一部始終を要求している。もし断れば、前回の動画が楼成の元に送られる。彼女の結婚。大切な人。全てを失うくらいなら、この恥辱に耐える方がましだった。

どれくらい経っただろうか。彼女はただじっとしていた。汗が額を伝う。昼の暑さと、緊張と恥辱で、全身が熱かった。スカートの下、何も身につけていない部分が空気に晒されている。下腹部がひくつくのが分かった。自分でも制御できない。主人に管理されているこの身体は、もう彼女のものではなかった。

足音が聞こえた。彼女は顔を上げた。一人の男性が、散歩の途中でこの公園を通りかかったのだ。中年の、冴えない外見の男だった。彼は何気なく彼女の方を見て、足を止めた。

「あの……大丈夫ですか?」

彼女は何も言えなかった。顔が赤くなる。彼は近づいてきた。彼女の姿勢、固定された手すり、乱れた制服。そして、鎖の先端が彼女のスカートの下に消えていることに気づいた。彼の目が驚きに変わった。

「これ……何やってるんだ?」

彼女は声を絞り出した。

「見つかりましたね……あなたに、私のことを好きにしていいんです」

彼は一瞬、言葉を失った。それから、興奮と困惑が混ざった表情を浮かべた。

「本気か?」

「はい……でも、撮影させてください。全部、録画します」

彼女はスマートフォンを手に持って、自分の顔と彼が映るように構えた。彼は一呼吸置いてから、彼女の前にしゃがみ込んだ。制服のスカートをたくし上げると、鎖が彼女の肛門から伸びているのが見えた。彼はその鎖を指でなぞった。

「すごいな……お前、道楽者だな」

彼女は何も答えなかった。ただカメラを向け続けた。彼はジッパーを下ろし、彼女の顔の前に立った。

「口を開けろ」

彼女は従った。何もかも、主人の指示通りだ。全てを記録する。この辱めを、永遠に残すために。

日が傾くまで、何人もの男たちが彼女を見つけた。散歩中のサラリーマン、ジョギング中の若者、夕方になって帰宅途中の父親。全ての男たちが彼女の姿を見て、欲望のままに彼女を弄んだ。彼女はその全てを受け入れた。泣きながらも、カメラを構え続けた。主人に送るために。

時折、主人からメールが届いた。

「もっと辱めろ」

「お前はただの穴だ」

「その姿を、永遠に覚えていろ」

彼女はそれらの言葉を読みながら、さらに深く男を受け入れた。もう自分を止めることはできなかった。

夜が訪れた。公園は静寂に包まれている。彼女はクタクタに疲れ果て、地面に座り込んでいた。制服は汚れ、涙と汗と体液でぐしょぐしょになっていた。体内のプラグが、急に空気の抜ける音を立てて萎んだ。鎖のロックが解除される音がした。彼女はゆっくりとプラグを引き抜いた。鎖を手すりから外し、全てをバッグにしまった。

スマートフォンを確認した。膨大な量の動画が保存されている。彼女はそれらを主人の指定する匿名アカウントにアップロードした。全ての動画が無事に送信されたことを確認して、彼女はその場を立ち去った。歩くたびに、下半身が痛んだ。内側が擦り切れたように熱かった。

アパートに戻ると、服を脱ぎ捨て、シャワーを浴びた。熱いお湯が肌を流れる。彼女は声を上げて泣いた。嗚咽が浴室に響く。でも、涙はすぐに乾いた。泣いている暇はなかった。明日もまた、主人からの指示が来る。彼女はそれに従うしかないのだ。

ベッドに横たわり、彼女は天井を見つめた。記憶の中の楼成の笑顔が浮かぶ。彼に話したい。助けてほしい。でも、彼女の口は塞がれている。主人の鎖が彼女の心を縛っている。どんなに強く願っても、もう戻れない場所があることを、彼女は嫌というほど知っていた。

主人からのメールが届いた。

「いい動画だった。お前は良い母犬だ。これからも頑張れ」

彼女はそれに「はい」とだけ返信した。涙がまた一筋、頬を伝った。けれど、それはすぐに乾いた。彼女はもう、泣くことを自分に許さなかった。それが、主人の望む姿だったから。自分が選んだ道だったから。もう、後戻りはできないのだから。

章节 7

新たな一週間が始まった。月曜日の朝、午前七時ちょうど。スマートフォンが振動し、画面にメッセージの通知が表示される。送信者はいつもの匿名アカウント。アイコンは真っ黒で、名前も数字の羅列だけ。もう何度も見た、あの忌々しい通知だ。

「よく眠れたか?今週も始まるぞ。今日の任務は簡単だ。お前の部屋があるアパートの階段、三階と四階の踊り場。そこで服を脱げ。そして、三十秒間裸で立て。誰かに見られるかもしれないが、それがスリルだろ?七時半までにやれ。証拠の動画を撮って送れ。もしやらなかったら、前回の動画が『主人』から直接お前の旦那に送られることを覚悟しろ」

严喆珂は唇を噛みしめた。まだベッドの中だ。カーテンの隙間から差し込む朝日が、部屋の埃を浮かび上がらせる。彼女の肌は白く、寝巻きの襟元から覗く鎖骨が哀れに浮いている。武道をやっていた頃の引き締まった体つきは、この数週間で少しやつれてしまった。それでも、彼女の美しさは衰えない。むしろ、憔悴がどこか儚げな魅力を増していた。

彼女はゆっくりとベッドから起き上がる。二段ベッドの上段にはルームメイトのサラがまだ眠っている。微かな寝息。彼女は留学生で、週末は実家に帰っていることが多い。今日も、彼女はいない方が良かった。そう思いながら、严喆珂は音を立てずに服を着替えた。ジーンズにTシャツ。ノーブラ。ブラジャーをつける余裕はなかった。指示には「服を脱げ」としか書かれていない。着たら着たで、また怒られる。

寝室を出ると、廊下は静まり返っている。他の留学生たちはまだ寝ている時間だ。アパートは築二十年ほどの古い建物で、壁は薄く、階段は軋む。彼女の部屋は四階にある。エレベーターはない。彼女は階段に向かった。

コンクリートの階段は冷たい。一歩一歩、靴底が擦れる音が響く。三階と四階の間の踊り場。四角い窓から朝日が差し込んでいる。外は誰もいない。道路も静かだ。彼女は周囲の気配を探る。武道で鍛えた感覚が、近くに人の気配がないことを教えている。

だが、それは安心にはならない。

彼女はTシャツの裾を掴み、頭の上に引き上げた。肌が空気に触れる。次にジーンズ。ファスナーを下ろし、足を抜く。パンティーも一緒に脱いだ。下着はつけていなかった。裸になった。彼女は立ち上がる。自分の裸体を見下ろす。引き締まった腹筋、形の良い胸、細く長い脚。全てが完璧だった。しかし今、それは彼女の武器ではない。辱めのための道具だ。

恥ずかしさで体が震える。それでも、彼女はカメラアプリを起動し、スマートフォンを階段の手すりに立てかけた。タイマーを十秒に設定して、一度深く息を吸った。シャッターのタイマーがカウントダウンを始める。十、九、八——彼女は裸で立つ。理想のポーズを取れとは言われていない。ただ立っているだけ。手は体の横。顔は正面を向いている。カメラのレンズが彼女の全てを捉える。三、二、一——シャッター音。

写真ではない。動画だ。彼女はスマートフォンを取り、三十秒間の自分を撮影する。裸のまま、微動だにせず、ただ時間が過ぎるのを待つ。三十秒は永遠のように長い。吹き抜ける風が肌を舐める。彼女の瞳は虚ろだった。

撮影が終わると、彼女はすぐに動画を停止させ、確認する。画面上で、自分が裸で立っている。その姿は見事なほどに美しかった。そして、それ以上に哀れだった。彼女は動画をそのまま匿名の送信者に送信する。添付ファイルが送られたというチェックマークがつく。

「受信しました。ご苦労さん。任務完了だ。今夜はゆっくり休め」

三秒後、またメッセージが来た。

「明日も楽しみにしてろ」

次の日の夜、火曜日。夕方六時。メッセージが届いた。

「今夜は夕食を頼め。出前だ。ピザでも中華でも好きなものを注文しろ。ただし、条件がある。お前はノーブラ、ノーパン。一枚だけ、透明な素材のランジェリーを着ろ。あの黒いシースルーのやつだ。そして、出前が来た時、その格好のままドアを開けて受け取れ。ただし、自分から積極的に何かを求めるな。だが、相手がお前を抱きたいと言ったら、拒否するな。お前の体は、お前のものではない。俺のものだ。その通りに動け」

严喆珂の手が震えた。彼女はスマートフォンを握りしめた。透明なランジェリー。あれは確か、衣装ケースの奥にしまってあったものだ。以前、マークから送りつけられた、辱めのための下着の一つ。彼女はそれを見ただけで吐き気がした。だが、渋々クローゼットから出し、洗濯した。

部屋には彼女一人だった。サラはまた週末まで戻らない。彼女はその格好で過ごさなければならない。彼女は服を脱ぎ、透明なランジェリーを身につけた。肩から胸を覆う、レースとシースルーのメッシュでできたキャミソール。下はTバック。全てが透けている。鏡の前に立つと、自分の裸体が透けていた。形の良い乳房、薄いピンクの乳首、黒い陰毛の先までが如実に見えた。

彼女は急いでスマートフォンを見て、ピザ店の番号を調べた。テイクアウトを注文するふりをして、自宅までの配達を頼んだ。配達時間は三十分後。彼女はドアの前に立ち、待った。三十分が長い。冷たい風が窓の隙間から入ってきて、彼女の肌を粟立たせる。

インターホンが鳴った。

彼女は息を飲み、覚悟を決めてドアを開けた。外に立っていたのは、二十代半ばほどののっぽの男だった。ピザのロゴが入ったユニフォーム。顔に少し髭がはえている。男は配達料金の入ったビニール袋を掲げていたが、ドアの向こうに立った彼女を見て、口を開けたまま言葉を失った。

「こ、こんばんは。ピザをお届けに来ましたが……」

男は彼女を見る。黒い透明な下着一枚。胸の形、乳首の膨らみ、下腹部のカーブまではっきりと見えている。男が一歩下がった。

「お客様……それ、その格好……」

严喆珂の頭は真っ白だった。だが、マークの指示が頭をよぎる。「拒否するな」。彼女は無理やり笑みを作った。

「お願いします。代金は……現金で」

彼女は震える手でサイフからお金を取り出した。男がそれを受け取る時、指が触れた。男の手は熱かった。

「あの……代金、足りてますか?」

男は唾を飲み込んだ。彼の目線を追うと、男の股間が盛り上がっているのがわかった。

「本当に……いいんですか?こんな格好で、配達員に渡すんですか?」

彼女は頷いた。男が一歩前に出た。

「誘ってるんですか?」

彼女は答えなかった。ただうつむいて、唇を噛んだ。男はその仕草を肯定と受け取った。彼は玄関マットを跨ぎ、ドアの内側に入ってきた。彼女の肩に手をかけ、ぐいと押す。彼女はよろめき、廊下にあった壁に背中を打ちつけた。

「こんな綺麗な人が……一人暮らしで、この格好……そりゃ、誰だってそうなるよ」

男の手が彼女の腰から胸へと這い上がる。シースルーの布地の下で、彼の指が乳首を弄る。严喆珂は声を押し殺した。武道の訓練で鍛えた体なら、この男など簡単に投げ飛ばせる。しかし、彼女は動けなかった。動いてはいけない。拒否してはいけない。命令に従え。

男が彼女をリビングの絨毯の上に押し倒した。彼は乱暴に自分のズボンを下ろす。彼女のTバックを横にずらし、そのまま彼の肉棒を彼女の秘部に押し当てた。彼女の中は渇いていた。痛みが走った。男は挿入した。彼女は歯を食いしばり、天井を見つめながら、それが終わるのを待った。

男の腰の動きが速くなる。彼は何か言っていた。普通のポルノのような言葉。褒め言葉と卑猥な混じったものが、彼女の耳に届いたが、頭の中には入ってこなかった。数分後、男が彼女の中で果てた。熱い液体が彼女の奥に広がる。男は荒い息を整えながら、彼女の体から退いた。

「あ、ありがとう……じゃあ……」

男は慌てて服を整え、ピザの箱をテーブルに置き、出て行った。ドアが閉まる音が響いた。

严喆珂は床に横たわったまま、数分間動けなかった。体の奥に熱が残っている。彼女はゆっくりと体を起こし、スマートフォンを取り出す。メッセージの返信はまだない。とりあえず報告すべきだろうか。彼女は震える指で「任務完了」とだけ打ち込んだ。

返事はすぐに来た。

「写真を見ろ。お前と配達員のセックス、よく撮れてるぞ」

彼女は震えた。何を見ろというのだろう。送られてきたメッセージには、静止画のサムネイルが添付されていた。彼女が押し倒されている様子、男が彼女の中に挿入している瞬間、全てがはっきりと写っている。壁の棚に、彼が隠しカメラを仕掛けていたのだ。

「嫌がらなかったな。いい子だ。今夜はピザを食ってゆっくり休め」

その一言で、彼女の目から涙がこぼれ落ちた。

水曜日。三日目。朝のメッセージが届いた。

「今日のお前は、屋外で小便をしろ。場所は大学の裏手にある公園。あのいつも誰もいない場所だ。時刻は午後一時。人通りが少ない時間を選べ。その場で立ち、周りに誰もいないことを確認してから、しゃがんで小便をするのだ。その一部始終を俺に送れ。動画でな。ただし、普通の小便の仕方じゃない。お前はスカートを履き、パンティーは穿くな。スカートをまくり上げて、太腿の内側を見せながら小便をするんだ。腰をくねらせるんじゃない。腰を落とし、尿道が丸見えになるようにしろ。そして、放尿の音、水の流れる音をしっかりとカメラに収めろ。さらに、顔も映せ。お前が恥ずかしがっている表情を、俺は見たいんだ」

严喆珂はスマートフォンを置いた。頭を抱えた。二日続けての命令。このまま彼女は、どんどん深みにはまっていく。だが、もう戻れない。マークが持っている動画が、彼女の人生を終わらせる。楼成は故郷で、彼女の留学を信じている。彼の信頼を裏切るわけにはいかない。いや、もう裏切っている。彼女の体はもう、別の男たちのものになっている。

彼女は大学の講義をいくつか欠席した。というのも、午後一時にはどうしても都合をつける必要があったからだ。彼女はスカートを穿き、下着は穿かなかった。パンティーを穿かない感覚は、慣れない。風が直接脚の間を撫でる。自分の肌がとても敏感に感じられた。

昼食をキャンパス内のカフェテリアで軽く済ませた後、彼女は公園に向かった。大学の裏手にある小さな公園だ。木々が茂り、ベンチが数脚置いてある。平日の昼間は、ほとんど人の姿はない。ただし、決して完全な人気がないわけではない。近くの道を、人が歩く音がする。

彼女は公園の奥の方に歩いていった。周りに誰もいないことを確認する。木の茂みの陰で、少しだけ隠れた場所を見つけた。地面は砂利混じりの土。彼女はしゃがみこみ、スマートフォンを地面に立てかけた。カメラレンズが自分を捉えるように調整する。

彼女はスカートの裾をまくった。太腿が露わになる。真っ白な肌だ。彼女は太腿の内側をカメラに見せる。股間が丸見えだ。尿道口も、膣口も、全てが見えている。彼女は深く息を吸い込み、排尿した。

暖かい鮮やかな流れが、地面に弧を描いて落ちる。砂利の上に飛び散る。音が、くぐもった水音として周囲に響く。彼女はカメラのレンズを見ながら、恥ずかしさに顔を赤らめた。それでも、彼女は顔をカメラから隠さなかった。指示に従わなければならない。

一分ほどで放尿が終わった。彼女は立ち上がり、動画を停止する。確認する。尿が地面に溜まり、彼女の太腿が濡れているのが映っている。彼女は動画をそのままマークに送信した。

「よくできた。本当にいい作品になった。お前の恥ずかしそうな顔が、たまらないぞ」

さらにメッセージが続く。

「これから二日間、任務はない。休め。だが、その間もお前の体は俺のものだ。自分を傷つけるな。綺麗なままでいろ」

翌日からの二日間、本当にメッセージは来なかった。严喆珂はその隙を利用し、大学の授業に出席しようと努めた。しかし、彼女の意識は常に不安で支配されていた。講義の内容が頭に入らない。教授の話す経済学の理論が、彼女の耳を通り抜ける。教室の窓から差し込む日光がまぶしい。

昼休みに、彼女はカフェテリアの片隅で、一人サンドイッチを食べていた。隣のテーブルに座った男子学生が、彼女を見て何か話している。「あの中国人の女の子、最近やつれてない?」「でも、すごく綺麗だよな。誰かと付き合ってるのかな?」。彼女は聞こえないふりをして、食べかけのサンドイッチを皿に置いた。喉を通らない。

彼女はトイレに行き、鏡の中の自分を見た。美しい。でも、その瞳は虚ろだった。自分の顔に笑顔がない。かつて、武道の試合に勝った時のような、眩しい笑顔はどこにもない。

「このままでいいのか?」

自問自答する。しかし、答えは出ない。もう一人の自分が囁く。もう手遅れだ。一度マークの手中に落ちた以上、抜け出せない。彼は動画を持っている。彼はいつでも、それを使ってあなたの人生を壊すことができる。

金曜日の夜。サラが帰宅した。彼女はいつも通り、元気に「ただいま」と言いながらリビングに入ってきた。严喆珂はソファに座って、何もないテレビ画面を見つめていた。

「ねえ、大丈夫?最近、元気ないね」

サラが心配そうに尋ねた。严喆珂は微笑みを作った。

「うん、ちょっと疲れてるだけ。大丈夫」

嘘だ。自分は大丈夫じゃない。心の奥で叫びたい衝動を押し殺す。

その夜、彼女はベッドの中で、スマートフォンのメッセージ履歴を何度も見返した。文字の一つ一つが刃のように、彼女の心臓に突き刺さる。彼女はマークからの次の命令を待っている。恐怖と同時に、奇妙な高揚感もあった。もう彼女の精神は、麻痺し始めている。

土曜日。大学の図書館でレポートを書くために、自宅を離れた。外の空気を吸うと、少しだけ気分が楽になった。市場を通り抜け、新鮮な果物の香りを胸に吸い込む。街を歩く人々は、ただの普通の大学生、主婦、サラリーマン。彼らは彼女の秘密を知らない。彼女が、自分の恥を動画で撮影し、見知らぬ男に送っていることなど、誰も知らない。

しかし、その静けさも長くは続かなかった。日曜日の朝、再びメッセージが届いた。

「今週も始まるぞ。月曜日から、新しい任務を始める。心の準備をしておけ」

たった一言。それだけで、彼女の一日は台無しになった。

彼女はベッドの上で、天井を見上げた。部屋にはサラがいる。いや、彼女は外に出かけている。一人きりの部屋で、彼女はついに声を出して泣いた。嗚咽が止まらない。涙が枕を濡らす。なぜこんなことになったのだろう。彼女は留学を選んだ。本当は、楼成と一緒にいたかった。でも、彼女は自分の可能性を信じて、海を渡った。そして、この地で出会ったマーク。優しい笑顔と、細やかな気配り。最初はただの友達だった。しかし、彼の好意が次第に重くなり、そしてあの夜の事件へとつながった。

今、彼女の体は奴隷のような扱いを受けている。それでも、彼女は逃げ出さない。楼成に知られるのが怖い。彼の笑顔が曇るのが怖い。彼の信頼を失うことが、何よりも怖い。

日曜日の午後。彼女は散歩に出た。公園のベンチに座り、鳩に餌を撒く老婦人を眺めた。平凡な日常。自分もこんな風に、平凡な生活を送っていたい。武術に打ち込み、恋愛を楽しみ、将来を夢見る。しかし、今の自分は、その全てを失っている。

彼女の視線は空に浮かぶ雲に向かう。薄雲がたなびき、太陽の光を遮る。影が地面に落ちる。一時的に暗くなる。まるで、自分の人生のように。

「どうか、楼成に知られませんように」

そう心の中で祈りながら、彼女は自宅への道を歩き始めた。

そして、月曜日の朝が来た。

スマートフォンが振動する。新しいメッセージ。

「こんにちは、奴隷ちゃん。今日の任務はこれだ……」

彼女の指が震えながら、画面をタップした。新しい命令が、彼女の運命をさらに深く、暗いものに変えていく。彼女は息を飲み、一度だけ目を閉じた。そして、その命令を受け入れるために、画面を見つめた。