# 第一章 仙、凡に堕つ
大夏皇城の朱門が開かれる。九月の陽はまだ高く、金の光が玉石の階段に降り注ぐ。
孤月は雲のように軽やかな足取りで、百官が見守る中を歩んだ。白絹の衣が風に揺れ、その姿はまるで天女が塵世に舞い降りたかのようだった。彼女の瞳は清らかな泉水のように澄み、少しも曇りがない。胸元には天雲剣宗の紋章が銀糸で刺繍され、光を受けてきらめいている。
「大夏皇帝、独孤邪。剣宗の祝福を受けよ」
彼女の声は鈴のように清らかで、大殿に響き渡る。百の官位を持つ者たちは息を潜め、その神聖なる瞬間を見守った。
玉座に座す独孤邪は、ゆっくりと立ち上がった。その体躯は熊のように大きく、龍袍の下に盛り上がる筋肉が力強く脈打つ。彼の瞳には一瞬、獣のような欲望が走ったが、すぐに慈悲深い微笑みに変わった。
「遠路はるばる、剣宗の仙女が我が大夏のために祝福を授けに来られた。誠に光栄の至りだ」
彼の声は低く、太く、大殿の柱を震わせる。孤月はわずかに眉をひそめたが、すぐに礼節を取り戻した。剣を結び、清らかな霊力を指先に集める。青白い光が彼女の周りを渦巻き、やがて一筋の光の帯となって独孤邪の額を包み込んだ。
「この祝福は、国家の安寧と繁栄を願うもの。皇帝陛下が大夏を正しく導かれますように」
光が収まると、孤月は一礼して退こうとした。しかし独孤邪が手を挙げて制止する。
「仙女、せっかくのご来訪だ。三五日、宮中に留まってはどうか。朕も剣宗の道法について、いくつか教えを乞いたい」
孤月は少し迷ったが、断る理由もない。剣宗と大夏の友好のために、と自分に言い聞かせ、うなずいた。
「では、しばらくお邪魔いたします」
その夜、宮中での宴が開かれた。美酒と佳肴が並び、舞姫たちが優雅に舞う。孤月は一人静かに座り、酒杯を手に取ろうとはしなかった。彼女の目は遠くを見つめ、月明かりに照らされた空を思い起こしている。
独孤邪は彼女の様子をじっと観察していた。その目は次第に熱を帯び、喉を鳴らすように低く笑った。
「仙女は酒を召されないのか?」
「修剣の者は、酒気に身を任せることを禁じられております」
「そうか。それは残念だ」
独孤邪は酒杯を掲げ、一気に飲み干す。その目つきはますます危険なものに変わっていった。
宴の後、孤月は与えられた部屋で静かに座禅を組んでいた。しかし突然、体に異変が起こる。丹田が熱く焼けるように疼き、全身の霊力が乱れ始めた。
「これは……何だ?」
彼女は立ち上がろうとしたが、足元がふらつく。壁に手をつき、必死に意識を保とうとした。その時、扉が開かれ、独孤邪が悠然と入ってきた。
「仙女、ご機嫌麗しゅう」
「皇帝陛下……これは一体……?」
「ああ、その酒に一服盛らせてもらった。霊力を封じる特製の薬だ。もっとも、お前は一滴も飲まなかったがな。だが、香炉に焚いた香で十分だったようだ」
孤月の顔が青ざめる。彼女は剣を抜こうとしたが、腕には力が入らない。膝から崩れ落ち、床に倒れ込んだ。
「何を……する気だ……」
「何を、だと? お前のような高慢な仙女が、どのような顔で泣き叫ぶのか、朕は見てみたいのだ」
独孤邪は仁王立ちになり、龍袍を脱ぎ捨てた。その下から現れたのは、彫刻のような筋肉の塊。そして股間には、信じられないほど巨大な男根が怒張していた。
「さあ、今夜は朕がじっくりとお前に教えてやろう。お前の剣よりも、もっと大切なものを」
孤月は恐怖で声も出せず、ただ首を振る。しかしすでに体は言うことを聞かず、独孤邪の手が彼女の衣を引き裂いた。
白絹が裂ける音が部屋に響き、孤月の悲鳴が闇夜に消えた。
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それから数日後、夏家の屋敷は血の海と化していた。夏綾は両親の遺体を目の当たりにし、ただ呆然と立ち尽くす。彼女の周りには大内の兵士たちが立ち並び、剣を掲げている。
「夏家は謀反の罪あり。皇帝の命により、満門皆殺しとする」
隊長の言葉が冷たく響く。夏綾は震える声で叫んだ。
「私は何も知らなかった! どうか無実の者を救ってください!」
しかし兵士たちは耳を貸さない。彼女は引きずられ、地下の牢獄に連れて行かれた。そこは暗く、湿った空気が鼻をつく。壁には鎖が取り付けられ、血痕が染み付いている。
数日後、独孤邪が自ら牢獄に現れた。夏綾は鎖に繋がれ、壁に押し付けられている。彼女の顔は涙と泥で汚れ、かつての美しさは影を潜めていた。
「夏綾よ、お前の家は滅んだ。今のお前には何も残っていない」
「……なぜ……なぜ私たちを……」
「お前の父は朕の命令に背いた。それだけのことだ。だが、お前には別の道がある」
独孤邪は彼女の顎を持ち上げ、じっくりと観察する。その瞳には残酷な光が宿っていた。
「お前は美しい。朕の娼妓として売られるのだ。そこで生きるか死ぬかを選べ」
夏綾の目に恐怖が走る。彼女は首を振り、狂ったように鎖を揺らした。
「嫌だ! 私は名門の娘だ! そんな真似は許されない!」
「許されるかどうかは、朕が決める」
独孤邪は笑いながら、彼女の衣を剥ぎ取った。夏綾の悲鳴が地下に響く。しかし誰も助けには来ない。
その夜、夏綾は繰り返し凌辱され、心は完全に壊れた。翌朝、彼女は鳩のように丸まり、無言のまま床を見つめていた。
「どうだ、痛かろう? だがこれからもっと苦しむことになるぞ」
独孤邪は満足げに笑い、彼女を青楼に売り飛ばすよう命じた。
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数ヶ月後、孤月はまだ宮中に閉じ込められていた。彼女は毎夜、独孤邪の玩具にされ、心も体もボロボロになっていた。しかしそれでも、彼女の心の奥底にはわずかな誇りが残っている。
そんなある日、独孤邪が彼女の前に現れ、低く笑った。
「お前もそろそろ飽きてきたな。だが、朕はお前が更に堕ちる姿を見たい」
「……何を言う……」
「お前の親友、夏綾を知っているだろう? あの娘は今、青楼で働いている。お前もそこへ行け。友と再会できるぞ」
孤月の顔が青ざめる。夏綾は彼女の幼い頃からの友人で、純真で優しい娘だった。それが青楼で働いているだと?
「嘘だ……夏綾は……」
「嘘ではない。お前に会わせてやろう。だが、その代わりにお前も娼妓として生きることになる。どうだ? 拒否するか?」
孤月は唇を噛みしめ、首を振った。彼女はもう自分を守る力もない。霊力は封じられ、体は汚され、誇りも踏みにじられた。それでも、夏綾の安否だけは気になった。
「……分かった……行く……」
そうして孤月は、独孤邪の手によって青楼に送られることになった。
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青楼の奥の間で、孤月は再び夏綾と対面した。しかしそこにいたのは、かつての純真な娘ではなかった。
夏綾は豪華な衣装をまとい、顔には濃い紅が塗られていた。その目は冷たく、どこか妖しい光を宿している。彼女は酒杯を片手に、くすくすと笑った。
「まあ、孤月じゃないか。ずいぶんと落ちぶれたじゃないか」
「夏綾……お前は……」
「私はね、今やこの青楼のトップの娼妓だ。お前もこれから、同じように働くことになるのよ」
夏綾は近づき、孤月の顎を持ち上げた。その指の爪は鋭く、孤月の肌に食い込む。
「お前はいつも清らかぶっていた。私が見下されるのを、ただ見ていただけ。だが今はどうだ? お前も同じ泥の中にいる」
孤月は目を見開き、彼女の言葉を聞いていた。そこには憎しみと、狂気じみた喜びが混ざっている。
「お前……私を責めるのか?」
「責める? いや、感謝しているのよ。お前が私を見捨てたから、私は強くなれた。そして今度は、お前を堕とす番だ」
夏綾は笑いながら、部屋の奥へと連れて行った。そこには法昊という僧侶が待っていた。彼は笑顔で手を合わせているが、その目は淫欲に光っている。
「この娘に刺青とピアスを施せ。彼女が娼妓としての自覚を持つように」
「承知しました」
法昊は針を取り出し、孤月に近づく。孤月は恐怖で後退ったが、すでに逃げ場はない。
「おとなしくしていなさい。痛いのは一瞬だけです」
針が肌を刺す。孤月の悲鳴が部屋に響く。夏綾はそれを冷ややかに見守り、内心で快感を味わっていた。
「これから毎日、お前を調教してやる。私が受けた苦しみを、お前も味わいなさい」
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数日後、独孤邪が自ら青楼に現れた。媚姨は慌てて迎え、最上の部屋を用意する。
「皇帝陛下、どのような娘をお望みですか?」
「いつものものではなく、新しい娘を見せろ」
媚姨の目が光る。彼女は孤月を連れて来させた。孤月は衣も乱れ、体にはまだ刺青の痛みが残っている。彼女の目は虚ろで、かつての輝きは失われていた。
「この娘はまだ新人で、調教が足りませんが……」
「それでいい。朕は未完成のものを自ら調教するのが好きだ」
独孤邪は孤月をじっと見つめ、満足げにうなずく。彼は彼女の顎を持ち上げ、無理やり目を合わせさせた。
「お前はただの娼妓だ。だが朕の娼妓だ。今夜は朕が自ら教えてやる。お前は何より、帝王の愉しみになることが使命だと」
孤月の瞳に涙が浮かぶ。しかしその涙は、もはや誰の心も動かさない。かつて仙女だった彼女は、ただの弄び物に過ぎなかった。
「さあ、始めよう」
独孤邪の声が部屋に響き、孤月の絶望の叫びが闇夜に溶けていった。