# 第七章 色気は衰えず
鏡の前で、私は自分の裸体を眺めた。四十五歳とは思えないほど、肌には張りがあり、胸の形もまだ若い頃の面影を残している。腰回りに少し肉がついたが、それもまた男たちを惹きつける魅力だと、私は知っている。
「母さん、風呂上がりか?」
背後から小天の声がした。振り返ると、彼はドアの隙間から私の裸を覗いていた。その目つきは、もはや子供のそれではない。二十年近く生きてきた男の、獲物を値踏みするような視線だった。
「覗くなんて、礼儀知らずね」
そう言いながらも、私はわざと的に体をひねり、彼に見える範囲を広げた。乳首が固くなり始めているのを感じる。抑えきれない欲求が、私の理性を侵食していた。
「悪いな。でも、母さんは本当に綺麗だ。四十過ぎた女とは思えない」
小天が部屋に入ってきた。彼の手が私の腰に触れる。その指先が、ゆっくりと背中を撫で上がっていく。
「前よりも、張りが出たんじゃないか?」
「バカなこと言わないでよ」
でも、その言葉に私は心の底から喜んでいた。何年もの間、SM撮影の現場で身体を酷使してきたのに、まだこんなにも男を引きつける魅力がある。それが誇らしかった。
「最近、新しいおもちゃを買ったんだ」
小天がポケットから小さな包みを取り出した。開けると、そこには先端が二又に分かれた金属製の器具が入っていた。
「これは何?」
「クリトリスを刺激するやつだ。両方の突起で、陰核を挟むようにして使うんだ」
彼の説明を聞きながら、私は自分の股間が湿り始めているのを感じた。もう、私の身体は完全に息子の手のひらの上で踊らされている。
「試してみるか?」
小天の目が、私の目を射抜くように見つめた。その瞳に、かつての従順さは微塵もない。完全な支配者の目だった。
「…うん」
私は頷いた。自分の意志とは逆に、身体が歓喜に震えている。ベッドに伏せた私の上に、小天が覆いかぶさった。
「まずは、これで口を塞ぐ」
彼が差し出したのは、黒い革製のボールギャグだった。私は素直に口を開けて、それを受け入れた。唾液が、拘束具を通して滴り落ちる。
「いい子だ」
小天の手が私の尻を撫でる。その手つきは、まるで高級な陶器を扱うように丁寧だった。でも同時に、彼の指には確かな力が込められている。私が逃げ出そうとすれば、即座に痛めつけるための。
「母さんはさ、もっと痛いのが好きだろ?」
その言葉に、私は心臓がどくんと大きく跳ねるのを感じた。彼は本当に、私のすべてを見抜いている。
「だから、今日は特別なゲームをしようと思って」
小天がベッドの下から何かを取り出した。それは小さな箱だった。中を開けると、そこには様々な形のピアスやリングが整然と並んでいる。
「これ、全部乳首につけるんだ。片方に五つずつ。計十個のピアスで、君の乳首を飾るんだ」
私は恐怖と期待で身体が硬直した。同時に、自分の中の被虐欲求が歓喜の声を上げている。
「待って、そんなにたくさん…」
「嫌なら、やめてもいいぞ」
小天の声は優しかった。でも、その目は冷酷だった。彼は私が拒否できないことを知っている。私が拒否すれば、彼はもっと残酷な方法で私を罰するだろう。それも分かっている。
「…やる」
私は小さくうなずいた。小天が私の乳首を指でつまみ上げる。その指先が冷たい金属の感触を伝えてくる。
「一つ目だ。痛いけど、我慢しろよ」
最初のピアスが、私の右の乳首を貫通した。鋭い痛みが走る。私は声を上げようとしたが、ギャグに遮られてくぐもった音だけが漏れた。
「いいぞ。そのまま次のをいく」
二つ目のピアスが、一つ目から数ミリ離れた場所に打ち込まれる。痛みが重なり、私の視界が歪んだ。でも、その痛みが私をさらに興奮させた。
三つ目、四つ目と続くにつれて、私は自分の身体が小天の手で完全に所有されていくのを感じていた。彼の指が、私の肌を這い回る。そのたびに、私は悦びで震えた。
「五つ目で終わりだ。よく頑張ったな」
最後のピアスが打ち込まれると、小天は優しく私の乳首を撫でた。その指先が、新しくできた傷口をなぞる。痛みと快感が、私の中で溶け合っていく。
「鏡で見てみろ」
彼に促されて、私は立ち上がった。鏡の前で、自分の胸を見る。十個のピアスが、私の乳首を飾っていた。まるで、金属の花が咲いたようだった。
「綺麗だろ?」
小天が後ろから抱きしめる。彼の腕が私の胸を包み込む。その手が、ピアスをそっと引っ張った。
「あっ…」
鋭い痛みが走る。でも、その痛みが私をさらに興奮させた。
「今日は、このピアスをつけたまま外を歩いてもらう」
小天の声が、耳元でささやく。
「え?」
「もちろん、服の下には何も着せない。ブラジャーもダメだ。ピアスが擦れて、どんどん痛みを感じるだろう」
彼の言葉に、私は恐怖した。でも、その恐怖が私の欲求をさらに掻き立てた。
「分かった」
私は素直に頷いた。彼が選んだ服は、薄手のブラウスとスカートだけ。ブラウスの下に、ピアスがよく透けて見える。
「行ってこい」
玄関で送り出されると、私は街へと歩き出した。一歩踏み出すごとに、ブラウスが乳首に擦れる。そのたびに、痛みが走る。でも、その痛みが私をさらに興奮させた。
通りすがりの男たちの視線が、私の胸に向けられている。彼らは、このブラウスの下に何があるのか、想像もしていないだろう。
「…気持ちいい」
私は思わずつぶやいた。今、私の身体は完全に小天の支配下にある。彼の作ったゲームの駒として、私は街を歩いている。
その日から、私の生活は完全に変わった。小天は毎晩のように新しいゲームを考案し、私を苛め抜いた。時には、舌で身体中を舐め回し、時には、鞭で叩き続けた。
でも、そのすべてが私には心地よかった。私はもはや、自分の身体が小天の所有物であることに、何の疑問も持たなかった。
「母さん、今日は特別なゲームをしよう」
ある晩、小天が私の耳元でささやいた。
「何をするの?」
「君の身体に、俺の名前を刻むんだ」
彼が手に持っていたのは、焼きゴテだった。先端が真っ赤に焼けている。
「これで、君の太ももに俺の名前を書く。跡が残るまで、しっかりと焼き付けるんだ」
恐怖と期待が、私の中で渦巻いた。でも、私はもう自分を抑えられなかった。
「…やって」
私はベッドにうつ伏せになった。小天が私の太ももに焼きゴテを近づける。その熱気が、私の肌を焦がす。
「痛いぞ。でも、我慢しろ」
彼の声と同時に、焼きゴテが私の肌に触れた。激痛が走った。私は声を上げそうになったが、その瞬間、唇を噛みしめた。
「もう一つ目だ」
次々と、焼きゴテが私の肌を焼く。痛みで意識が飛びそうになりながらも、私はその痛みを全身で味わっていた。
「これで終わりだ」
最後の一文字が焼き終わると、小天は優しく私の太ももを撫でた。彼の指が、焼けた傷跡をなぞる。そのたびに、痛みが走る。
「鏡で見てみろ」
私はよろめきながら鏡の前に立った。太ももには、焼き跡で「天」という文字が刻まれていた。私の身体が、完全に小天のものになった証だ。
「綺麗だ…」
私は思わずつぶやいた。その傷跡を見ると、私は自分の存在価値を感じた。この傷がある限り、私は小天のものだ。
「これからも、もっと激しいことをしよう」
小天が私の耳元でささやく。その声には、もはや私の意見を聞こうとする気配はなかった。彼は完全に、私の主人になっていた。
「…うん」
私は素直に頷いた。もはや、私には逆らう気力すら残っていなかった。自分の被虐欲求に飲み込まれ、私はさらに深い闇へと堕ちていく。
その夜、私はベッドの中で一人泣いた。苦しみと快感が入り混じった涙が、枕を濡らした。もう、私は元の生活には戻れない。知ってしまったのだ。痛みの中にある快楽を。支配されることの悦びを。
でも、その涙もまた、明日の私をさらに堕落させるための潤滑油に過ぎなかった。