遺跡の最深部、空気は淀み、濃厚な紫黒色の邪気が渦巻いていた。萧炎は額の汗を拭い、警戒しながら奥へと足を踏み入れる。出雲帝国のこの遺跡は、小医仙が最後に目撃された場所だ。彼女が何を企んでいるのか、あるいは何かに巻き込まれたのか、萧炎には確信が持てなかった。ただ、胸の奥に引っかかる不安が、彼をここへ導いた。
石室の中央に差し掛かったとき、萧炎は足を止めた。目に飛び込んできた光景に、彼の呼吸が一瞬止まる。空中に、小医仙が浮かんでいた。彼女の全身は、無数の紫黒色の邪能の糸に貫かれ、まるで操り人形のように吊るされている。糸は彼女の四肢、腹部、背中から侵入し、不気味な脈動を繰り返しながら、彼女の体内に何かを注ぎ込んでいるようだった。
「小医仙!」萧炎は叫び、駆け寄ろうとした。だが、その瞬間、彼女の体が激しく痙攣し始めた。彼女の両脚が、見る見るうちに異様な変形を遂げる。皮膚が裂け、筋肉が溶解し、骨が砕ける音が石室内に響く。代わりに現れたのは、滑らかで繊細な黒色の鱗に覆われた巨大な蛇の尾だった。十数メートルはあろうかというその尾は、彼女の腰から生え、床を這うようにうねっている。ビルマニシキヘビを思わせるその姿は、美しくもあり、同時に悍ましくもあった。
「くっ…なんだ、これは…」萧炎は唇を噛みしめ、無意識に拳を握りしめた。彼の知る小医仙は、もうそこにはいなかった。彼女の胸は異常に膨らみ、元の服を破り裂いて、巨大な乳房があらわになる。その双丘は、邪能の影響でさらに張りつめ、血管が透けて見えるほどだった。
小医仙の顔にも変化が現れた。彼女の化粧が、自動的に動き出したのだ。頬が紅潮し、目尻が釣り上がり、口元が緩んで涎が垂れる。彼女の表情は虚ろで、焦点の合わない瞳が、天井を見上げながら無意識に開閉を繰り返す。それは、まるで絶頂に達した後のような、淫靡で陶酔した「おほー仙子」のメイクだった。
「あ…おほ…はぁ…」小医仙の口から、か細く、しかし確かな淫らな声が漏れる。舌が無意識に口の端から垂れ、だらしなく伸びたまま、彼女は喘ぎ続けた。
萧炎は立ち尽くしていた。彼の知っている小医仙は、清純で、どこか気弱な少女だった。それが今や、邪悪なエネルギーに侵され、このような姿に変えられてしまった。彼の心には衝撃と無力感が渦巻く。だが、それでも彼は目を背けなかった。目の前の彼女が、まだ小医仙であることを信じたかったのだ。
そのとき、彼女の巨大な黒い蛇の尾が、さらに不気味な動きを見せる。腹部の最下部、尻尾の付け根に近い部分で、邪能が集中し始めた。紫黒色の光が一点に集まり、無理やり皮膚を裂いて、新たな裂け目を開く。そこから現れたのは、ピンク色で泥濘んだ、小さな穴だった。蛇の総排出腔と呼ばれるその器官は、絶えず収縮と拡張を繰り返し、粘液を吐き出しながら、何かを欲しがるように蠢いていた。その穴は、あまりにも露骨に、虚無感を訴えているように見えた。
「おほ…あ…ああっ…」小医仙の喘ぎ声が、さらに激しくなる。彼女の体が、自らの意志とは無関係に、その穴を差し出すように反り返る。彼女の理性は、すでに欲望に飲み込まれかけていた。邪能は、彼女の意識を徐々に浸食し、ただ快楽だけを追い求める淫らな存在へと変えつつあった。
萧炎は、一歩前に踏み出そうとして、足を止めた。自分に何ができるのか、わからなかった。彼は異火の保持者であり、純陽の闘気を操る強者だ。だが、この邪能の前では、その力も無力に思えた。彼は唇を噛みしめ、拳を握りしめる。その瞳には、怒りと悲しみが混ざり合っていた。
「小医仙…しっかりしろ…」萧炎は声を絞り出す。だが、彼女の耳にその言葉が届いているかどうかはわからなかった。彼女はただ、虚空を見つめながら、淫らな喘ぎ声をあげ続けている。その姿は、もはや人間の領域を超えていた。
石室内には、紫黒色の邪能の光が脈動し、小医仙の蛇の尾が床を擦る音と、彼女の濡れた喘ぎ声だけが響いていた。萧炎は、その光景を見つめながら、次に何をすべきかを必死に考えていた。彼の中で、ある決意が固まりつつあった。たとえ彼女がどんな姿になろうとも、自分は彼女を見捨てない。その思いが、彼の胸に灯り続けていた。