# 第10章
週末の朝、厳喆珂はアパートのベッドで目を覚ました。窓から差し込む柔らかな日差しが部屋を明るく照らしている。彼女はスマートフォンを手に取り、何気なくメッセージを確認した。すると、主人から新たな任務が届いていた。
「ペットショップに行き、店長の指示に従え。住所は添付の地図を参照。」
短い命令文の下には、見慣れない住所と地図が添付されていた。厳喆珂の胸が少し早鐘を打つ。また新しい任務だ。何をされるのだろう。しかし、今の彼女には主人の命令に従う以外の選択肢はなかった。あの忌々しい動画がある限り、彼女は自由を奪われている。
彼女は深く息を吸い込み、立ち上がった。バスルームで身を清め、最低限の化粧を施す。鏡に映る自分の顔は、かつての誇り高き武道家の面影を失っていた。目の下にはうっすらと隈ができ、どこか虚ろな表情をしている。
「行かなければ…」
厳喆珂はシンプルなワンピースに着替え、小さなバッグだけを持ってアパートを出た。外の空気は冷たく、彼女の頬を刺す。地下鉄に乗り、地図に示された場所へ向かう。電車の中で周囲の乗客の視線を感じる。誰も彼女がこれから何をされるのか知る由もない。
三十分ほどで目的地に到着した。駅を出ると、少し寂れた商店街が広がっている。その一角に、目的のペットショップはあった。看板には「Pet Paradise」と書かれ、窓には子犬や子猫の写真が飾られている。しかし、なぜか入り口には薄汚れたカーテンがかけられ、内部は外からは見えないようになっていた。
厳喆珂は一呼吸置いて、ドアを押し開けた。店内に入ると、軽快なベル音が鳴る。中は一般的なペットショップのようだが、どこか異様な雰囲気が漂っていた。ペット用のケージや餌、おもちゃが陳列されているが、客の姿は一人もいない。店員が一人、カウンターの後ろで退屈そうにスマートフォンをいじっていた。
「すみません…」厳喆珂が声をかけると、店員は顔を上げた。
「いらっしゃいませ。何かお探しですか?」店員の目が、厳喆珂の全身をじろじろと見渡す。その視線に、彼女は不快感を覚えた。
「あの…主人の指示で来ました。店長に会いたいのですが」
店員の表情が一瞬で変わる。彼は軽く頷き、奥の電話を取って短く何か話した。しばらくして、電話を置き、厳喆珂に近づいてきた。
「店長がすぐに来ます。少々お待ちください」
厳喆珂は緊張しながら待つ。数分後、奥の扉が開き、一人の中年男性が現れた。太めの体型で、頭頂部は薄くなりかけている。彼の目はギラギラと光り、厳喆珂を見ると特徴的な笑みを浮かべた。
「おお、君か。よく来たね」店長は厳喆珂の周りを一周しながら、品定めするように彼女の体を眺める。「うん、なかなかいい体つきだ。若くて柔軟そうだ」
「あの…私は何をすれば…」厳喆珂が問いかけると、店長はニヤリと笑った。
「君は今日から、この店の特別な商品になるんだよ。まあ、心配しなくていい。こっちに来なさい」
店長は厳喆珂を奥の通路へと誘導する。通路の両側にはペット用のケージが積み上げられ、中には犬や猫がいる。しかし、その奥にはさらに別の扉があった。店長はその鍵を開け、厳喆珂を中に招き入れる。
「ここがペット洗浄室だ。まずはきれいにしてもらう」
部屋の中は清潔だが、どこか殺風景だった。中央にはステンレス製の洗濯台があり、壁にはホースやシャンプーボトルが並んでいる。厳喆珂が不安そうに周囲を見渡すと、後ろから店員が入ってきた。先ほどの若い男性店員だ。
「では、服を脱いでもらおうか」店長が淡々と言った。
「えっ…」厳喆珂が戸惑うと、店長の顔つきが厳しくなる。
「主人からの命令だ。服を脱げ。すべてだ」
厳喆珂の唇が震える。しかし、彼女は主人の命令に逆らえない。深く息を吐き、ゆっくりとワンピースのボタンを外し始めた。服が床に落ち、下着だけになる。店長と店員の視線が彼女の体に突き刺さる。
「続けろ」店長の声が部屋に響く。
厳喆珂は目を閉じ、ブラジャーのホックを外し、ショーツを脱ぎ捨てた。全裸になり、両手で胸を隠そうとする。しかし、店員が彼女の手を掴み、両腕を広げさせた。
「隠すな。これから全身を洗うんだ」
店員はホースを手に取り、ぬるま湯を厳喆珂の全身にかけ始めた。水が彼女の白い肌を伝って流れる。次に店員は専用のシャンプーを手に取り、彼女の髪から丁寧に洗い始めた。
「すべてきれいにしなければならない。特に…ここは念入りにな」
店員はそう言うと、厳喆珂の肛門に指を這わせた。彼女は思わず体を強張らせる。
「準備はいいか?これから浣腸をする。三回行うからな」
「浣腸…?」厳喆珂が聞き返すと、店員は無言で大きなバッグから器具を取り出した。ゴム製の球根に長いノズルがついている。それにぬるま湯を満たし、厳喆珂の肛門にノズルを押し当てた。
「力を抜け」
店員が球根を押し込むと、ぬるま湯が厳喆珂の体内に流れ込む。冷たい液体が腸内を満たしていく感覚に、彼女は息を呑んだ。腹が張って苦しい。
「五分間、我慢しろ」
厳喆珂は必死に耐えるが、腸内の圧迫感がどんどん強くなる。五分後、店員がトイレへ連れて行き、排出させる。これを三回繰り返した。最後にはほとんど水だけが出るようになり、腸内はすっかりきれいになった。
「よし、次だ」
店員は厳喆珂を再び洗浄台に横たえ、全身を丁寧に洗い始める。シャンプーで髪を洗い、ボディソープで肌を洗う。特に胸や股間などの敏感な部分も容赦なく洗われる。彼女はただされるがまま、涙をこらえながら耐えるしかなかった。
洗い終わると、店員は厳喆珂の体をタオルで拭き、乾かした。そして、彼女を鏡の前に立たせる。鏡に映るのは、すっかり無防備な自分の姿。肌は湯気でほんのりと赤く染まり、濡れた髪が肩に張り付いている。
「さあ、仕上げだ」
店員は机の上からいくつかのアイテムを取り出した。まず、黒い革製の首輪。それには小さな銀のプレートがついており、何か文字が刻まれている。次に、犬の耳を模したカチューシャ。そして、ふわふわした犬の尻尾がついたアナルプラグだ。
「これを着ける」
店員はまず首輪を厳喆珂の首に巻きつけた。革が肌に冷たく触れる。カチッと金具が留まる音がして、首輪が固定された。次に、犬耳のカチューシャを彼女の頭に装着する。
最後に、アナルプラグだ。店員は厳喆珂の肛門に潤滑剤を塗り、ゆっくりとプラグを挿入していく。異物が体内に入り込む感覚に、彼女は唇を噛みしめた。プラグが完全に収まると、ふわふわした尻尾が彼女の臀部からたらりと垂れた。
「よし、これで完成だ」
店員は厳喆珂を鏡の前に立たせた。鏡の中の自分は、もはや人間ではなく、一匹の牝犬だった。首輪に犬耳、尻尾。彼女は自分が何に変えられたのか、ようやく理解した。
その時、扉が開き、店長が入ってきた。彼は厳喆珂の変わり果てた姿を見て、目を輝かせた。
「素晴らしい!見事な牝犬だ。実に良く似合っている」
店長は厳喆珂の周りを回りながら、じっくりと観察する。そして、机から一枚の書類を取り出した。
「これにサインしろ」
書類には「牝犬契約書」と大書され、細かい条項がびっしりと書き連ねられていた。厳喆珂はそれを読みながら、その内容に愕然とする。
第一条 本契約者は、自らの意思により、主人の所有する牝犬となることを誓う。
第二条 牝犬は主人の命令に絶対服従し、いかなる指示にも従わなければならない。
第三条 牝犬は常に首輪を着用し、主人の許可なく外してはならない。
さらに細かい規則が何十条も続く。最後には「自らの署名をもって、本条項のすべてに同意したものとみなす」と書かれていた。
「サインしろ」店長がペンを差し出す。
厳喆珂の手が震える。しかし、彼女に拒否権はない。主人がいる以上、この契約にサインしなければ、さらなる制裁が待っている。彼女はペンを握りしめ、震える手で署名欄に自分の名前を書いた。
「結構だ」店長は満足そうに書類を受け取り、確認する。「これで君は正式な牝犬商品となった。さあ、配達員を呼ぼう」
店長はカウンターの電話を取ると、短く「来い」とだけ言った。しばらくして、一人の若い男が入ってきた。作業着を着て、キャップをかぶっている。彼は厳喆珂を見ると、にやりと笑った。
「これが商品か?なかなか上物だな」
配達員は厳喆珂の前に立つと、いきなり彼女の胸を両手で掴んだ。強く揉みしだく。厳喆珂は驚いて後ろに下がろうとしたが、配達員が彼女の手首を掴んで動きを封じる。
「おとなしくしろ。これから俺がお前を受け取るんだ。商品は黙って触らせるものだ」
配達員は厳喆珂の胸を揉み続け、乳首をつまんだり引っ張ったりする。彼女は痛みと屈辱に耐えながら、歯を食いしばった。一分ほど弄った後、配達員は手を離した。
「よし、確認終了。君はこれから俺の管理下だ。さあ、行こう」
配達員は厳喆珂の首輪にリードを取り付けると、彼女を引っ張って店の外へ連れ出した。外の空気が彼女の裸体を冷やす。全身が犬耳と首輪、尻尾だけという姿で、路上を歩かされる。周囲の視線が彼女に突き刺さる。
「こっちだ」
配達員は厳喆珂をペットショップの裏手にある駐車場へ連れて行った。そこには白い配送トラックが停まっている。トラックの側面には「Pet Paradise 配送サービス」と書かれている。
「乗れ」
配達員がトラックの後部ドアを開けると、中にはいくつかの犬用ケージが積まれていた。その一つは他のものより大きく、人間が入れるサイズだった。配達員は厳喆珂をそのケージの前に立たせると、まず目隠しを取り出した。黒い布を彼女の目に巻きつけ、しっかりと結ぶ。視界が完全に奪われた。
次に、口枷だ。ゴム製のボールがついた革製のストラップを彼女の口に押し込み、後ろで留める。声が出せなくなり、かろうじて鼻で息をするだけだ。
「いい子だ。じゃあ、おやすみ」
配達員は厳喆珂を抱え上げ、ケージの中に押し込んだ。狭い空間に体を丸める。鉄の柵が肌に冷たい。彼女はケージの中で震えながら、行き先もわからないまま運ばれていくのを待つしかなかった。
エンジンがかかり、トラックが動き出す。ガタガタと揺れる車内で、厳喆珂は時間の感覚を失った。どのくらい走っただろうか。三十分か、一時間か。やがてトラックが停まり、エンジンが切れた。
後部ドアが開く音がする。誰かが近づいてきて、ケージの扉が開かれた。強い手が厳喆珂を引きずり出す。彼女は裸のまま、地面に立たされる。目隠しで何も見えないが、ここは室内のようだ。足元はカーペットで、暖房が効いている。
「主人がお待ちだ」
配達員の声がして、厳喆珂はどこかへ連れて行かれる。何度か曲がり、ドアが開く音。そして、彼女は誰かの前に立たされた。
「よく来たな、私の牝犬」
聞き覚えのある声。しかし、どこで聞いたのか思い出せない。厳喆珂が考え込む間もなく、主人の手が彼女の体に触れた。首から肩、胸へとゆっくりと撫でる。その手つきは優しく、しかし確信に満ちていた。
「これまでの調教で、お前もずいぶんいい女になったな」
主人は厳喆珂の胸を揉み、乳首を指で挟んで引っ張る。その感覚に、彼女の体が反応する。嫌なのに、体は主人の手に慣らされてしまっていた。
「お前の体は、もうすっかり牝犬だな。特にこの尻尾のつけ方はなかなか様になっている」
主人の手が厳喆珂の臀部に触れ、プラグを軽く押し込む。彼女は声を出せずに呻いた。主人はその反応を楽しむように、さらに何度かプラグを弄る。
「さあ、そろそろ正体を見せてやろう。お前の目隠しを外す」
主人の手が厳喆珂の頭に回り、目隠しの結び目をほどく。布が外れ、急に光が差し込む。彼女はまぶしさに目を細めながら、目の前の人物を見た。
そこに立っていたのは、見慣れた顔だった。マーク。同じ大学でクラスメートだった、あのマークだ。彼は優しげな笑みを浮かべているが、その目は冷たく光っている。
「久しぶりだな、厳喆珂。まさかこんな形で再会するとは思わなかっただろう?」
厳喆珂の頭の中で、すべてがつながった。あのパーティーで飲んだ飲み物。その後の記憶の断片。何度も送りつけられてきた脅迫メール。そして、この一連の調教。すべてはマークの仕業だったのだ。
「お前は…マーク…」
口枷があるため、厳喆珂の声はくぐもっている。しかし、その言葉には驚きと怒りが込められていた。しかし、次の瞬間、彼女は気づく。自分は今、牝犬の姿で彼の前に立っている。抵抗する力も、逃げ出す場所もない。
マークはゆっくりと厳喆珂に近づき、彼女の顎に手をかけた。
「そうだ、俺だ。ずっとお前を手に入れたかった。楼成という男がいることは知っていたが、そんなことは関係ない。お前は俺のものになるべきだったんだ」
厳喆珂の目に涙が浮かぶ。彼女はかつて、マークのことを親切なクラスメートだと思っていた。まさかこんな裏の顔を持っているとは夢にも思わなかった。
「抵抗するか?それとも、もう頑張るのをやめるか?」
マークの言葉に、厳喆珂はしばらく黙り込んだ。確かに、彼女は武道の達人だ。もし全力で戦えば、マークくらいなら倒せるかもしれない。しかし、彼女の動画がある。それをばらまかれたら、楼成との関係は終わる。すべてを失うことになる。
そしてもう一つ。この数週間の調教で、彼女の心は少しずつ壊れていた。主人の命令に従うことに、かすかな安堵を覚え始めていた。自分で決断しなくていい。ただ従えばいい。その方が楽だ。
厳喆珂はゆっくりと膝を折り、マークの足元にひれ伏した。彼女の首を垂れ、牝犬として従う姿勢を示す。マークはその姿を見て、満足そうに笑った。
「いい子だ。よくわかっているじゃないか」
マークは厳喆珂の頭を撫でる。彼女はその手に身を委ねた。もう二度と、彼女は人間として立ち上がることはない。牝犬として、主人に飼われる人生を選んだのだ。
「さあ、お前の新しい名前を教えてやろう。今日からお前は『ベル』だ。俺の可愛い牝犬だ」
「ベル」という名前に、厳喆珂は小さく頷いた。もう自分の名前も捨てた。彼女はただの牝犬ベルのなった。
マークはベルの首輪を引っ張り、彼女を立ち上がらせる。そして、部屋の中央にある大きな犬用ベッドを指さした。
「そこがお前の寝床だ。今日はもうゆっくり休め。明日からまた楽しい訓練をしよう」
ベルはおとなしく犬用ベッドに向かい、その上に丸くなった。毛布の感触が肌に優しい。彼女は目を閉じ、もう戻れない自分の運命を受け入れた。
その夜、マークのアパートの一室で、一人の女性が牝犬としての第一夜を過ごした。窓の外には冷たい月が輝き、彼女の新しい人生を静かに見守っているようだった。